2024/2/19
【富山県のブランディング戦略】
富山県が策定した「富山県成長戦略」は5つの戦略で構成されており、その一つがブランディング戦略。
そしてブランディング戦略の目標として、「〇〇と言えば、富山」というものを、とにかく一つ作っていこう!ということが掲げられています。わかりやすい例でいえば、「うどんと言えば香川県」ですね。
確かに、県外の方に、富山県と聞いて何がイメージできますか?と尋ねると答えに窮されるような気がしますので、〇〇と言えば富山、富山といえば〇〇といったことを、一点突破で根付かせていくことには意味があるようにも思えます。
では、肝心な「〇〇」をどうするのか?富山県が選んだ答えは「寿司」でした。
【寿司と言えば、富山】
確かに、「寿司と言えば、富山」が定着すれば、世界的に寿司ブームと言われる中で、国内外からの観光誘客、また美味しいネタを生み出す雄大な自然、食器や酒器などの伝統工芸などの情報発信など、波及効果も大きく、富山県のブランドイメージを高めることにつながりそうです。
こうした流れの中で、先日、県議会自民党議員会主催の勉強会に講師として富山県出身で東京すしアカデミー代表の福江誠さんをお招きし、「お寿司業界」の現状についてお聞かせいただきました。
【今は、まさに寿司バブル】
お寿司屋さんの市場規模は、約2兆円あるそうです。いわゆるカウンターのあるお寿司屋さんはピークの5万軒から現在は1.5万軒まで減少しているようですが、回転寿司の台頭もあり、市場規模そのものは、ほとんど変わっていないとのこと。
では回転寿司はなぜ根付いたのかといえば、福江氏によれば、その会計の明朗性にあると言います。確かに、カウンターに座る昔ながらの寿司屋は、そもそも「一見さん」が入りにくい雰囲気があり、またメニュー表があって、このネタは一貫いくらと書かれているわけではありません。会計してみてびっくりというふうにもなりかねず、やはり敷居が高いと言わざるをえません。
こうした中で、最近の寿司ブームを牽引するのは、「OMAKASE(おまかせ)」のある寿司屋さんということです。つまり寿司のコース料理版ですね。1万円、2万円、5万円などがありますが、価格設定が明朗であることで、多少の背伸びをして贅沢をしてみようというニーズを取り込みやすくなっているということです。
【「寿司といえば富山」の道は険し】
「寿司といえば富山」というイメージが定着する可能性はあるのか?福江氏によれば、「やり続ければ可能性はあるんじゃないですか」ということです。
富山県には「天然のいけす・富山湾」があり豊富な魚種からなる新鮮な水産資源は富山の観光のキラーコンテンツの一つと言えます。北陸新幹線開通以降は、首都圏でも「魚が美味しい県と言えば・・・」というランキングで、1位となったこともあり、潜在能力は十分にあると思います。
県の調査によれば、現時点で、「寿司といえば、〇〇県」はダントツの1位は北海道で約52%、2位東京都、3位石川県に次いで富山県は4位(約9%)となっており、健闘しているほうとも言えます。今後、様々な情報発信を行うこと、特に、国外での情報発信を強化するべきと、私は考えています(例えば、ロンドンやパリなどで「寿司といえば富山」が定着すれば、自然と国内でも定着していくと思います)。また、福江氏によれば、例えば石川県では、「炙りノドグロ」という、石川県ならではの寿司ネタがあると言います。富山県でも、この際、富山県の寿司といえば〇〇というネタづくりを行うことも面白いのではと感じました。
しかし、より大きなハードルは、「寿司といえば富山」というけれど、富山でお寿司が食べられるのか?という問題です。
「寿司といえば富山」というから富山に来てみたら、お寿司を食べれれるお店がないということであれば、決してイメージが定着していくことはないでしょう。
福江氏によれば、寿司職人には、寿司を握る技術はもとより、お客さんとのコミュニケーション能力、カウンターを切り盛りするマネジメント能力が必要であり、こうした力を身に付けた人は、世界中から引く手あまたで、かなりの高年収が期待できるそうです。
寿司屋の担い手不足が課題となる中で、寿司職人は目指すに十分に値する仕事であることを、子どもたちにも知ってもらうことも重要と言えます。
同時に、寿司職人を目指す若者たちは、寿司を握る実践の場を求めているということであり、「寿司といえば富山」の実現には、寿司職人を育て、起業していく環境の整備も必要でしょう。
決して、簡単な道のりではありませんが、県の取り組みに期待していきたいと思います。
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