2023/12/21
富山県議会自民党議員会に「富山県教育の未来を考えるPT」を6月に設置し、これまで半年間、他県の先進事例の視察や県内高校との意見交換を行なってきました。
そして、このたび、県立高校再編に対する「中間整理」を取りまとめ、自民党議員会の合意をいただきましたので、会派の総意として、新田知事・荻野教育長に提出し、意見交換をしてまいりました。
議会は、言うまでもなく自治体の最終的な議決権(意思決定権)を有しています。中でも、私たち自民党議員会は40議席中30議席をもつ責任会派です。今回の高校再編においても極めて重い責任があります。間違った判断をしないように、そして最善の高校再編となるように、多くの皆様の声を聞きながら、県民的な議論を行なっていくことができればと思います。
「中間整理」の概要とそこに込めた私の思いを記しておきたいと思います。
まずは、富山県の今後の中学校卒業者数の見通しです。

県全体では、R5⇒R18で、学級数が44学級減る見込みであり、4学級相当の学校に換算すると、10校程度の学校減が計算上は必要であることがわかります。
また、学区別では、4学級相当の学校に換算すると、計算上、新川学区で2校程度、富山学区で4校程度、高岡学区で3校程度、砺波学区で1校程度の学校減が必要となります。
もちろん、地域の実情を考える必要がありますが、なんらかの再編を行うことは不可避であることはご理解いただけると思います。
逆にいえば、県として再編を進めるからには、令和18年を見通して、何校程度の学校を減らす必要があると考えているのか、明確なメッセージとして打ち出す必要があると思います。
県全体で、また学区ごとで「いくつ学校を減らさねばならないのか」これがはっきりすれば、学校再編の議論は、自ずと進んでいくと思います。
①学校規模のみに着目して再編を行うことには反対
ここは、県の考え方と私たちの考えが真っ向からぶつかる部分です。
私たち自民党議員会の多くは令和2年の再編議論を見てきました。仮に、今回も前回と同様に「学級規模のみ(例えば4学級未満の学校を再編対象とする)」に着目した基準の設定をするならば、今回の高校再編は、前回(令和2年)の再編をなぞるかのように進んでいくでしょう。見事な前例踏襲です。理念なき、数合わせの高校再編は決して県民の理解や納得感は得られません。
ささいなことに映るかもしれませんが、ここは今後の再編議論を進めていく上でとても重要な「入口」です。決して譲ることのできない本質的な問題と思っています。
②高校教育は今変わらずして、いつ変わるのか?
人工知能の発展などに見られるように科学技術の進歩は目覚ましく、社会構造は今、大きな転換点を迎えています。高校教育が、これまでの延長線でいいわけがありません。全国各地においても、先進的な私立高校との厳しい競争にさらされ、県立高校における高校教育の改革の流れは急速に進んでいます。
他方で、富山県の高校教育は、従来型の「国公立大学に合格するための受験勉強」が中心の教育に固執している気がしており、改革へのマインドは極めて低いと言えます。
今回の高校再編においては、「教育県・富山」と呼ばれたこれまでの成功体験を捨て去り、富山県の高校をゼロベースで再編するくらいの意気込み、そして、新しい高校の姿を生み出していく覚悟で臨む必要があります。
「富大に◯人入った」、「超一流自動車メーカーに就職先がある」、「高校生ではめったに受からない検定試験に合格した」、「部活動で素晴らしい成績を残した」。
県内高校を回ると、こうした声をよく聞いた。頑張った生徒や指導にあたった先生達には敬意を表したいと思います。
一方、他県の先進的な高校を回ると、多くの学校で聞かれたのが「出口を考える教育はもうやめた」という言葉です。
学校が、大学へ送り出す責任、就職させる責任を背負うことをやめる意味と受け止めました。一見、無責任にも思えますが、現代は、単に大学に入る、就職する、それで幸せになれる世の中ではありません。だからこそ、子どもたち一人ひとりの成長に焦点をあわせる。そしてその中で、「子どもたちが、何かに夢中になれるよう支援する」、「卒業時に、生徒が自分のこと、地域のこと、世界のことを圧倒的に自分の言葉で話せるよう育てる」という具合で、教育の方針を定めています。
子どもたち、一人ひとりの目標が違うので、成績を他人と比べて悲観することもない。
子どもたち一人ひとりが、いきいきと学んでいる、そんな印象を受けました。
ある県外高校の校長先生は、こうした学びが、今後は必ず主流になると断言していました。
富山県の教育は、与え過ぎなのです。きっと。富山県の「まじめさ」ゆえなのだと思いますが、「与えすぎの教育」から抜け出し、生徒の自主性を信頼した教育が必要だと思います。
会派として「地域協議会」設置を求めていきたいと思っています。
下記は、愛媛県の高校再編の進め方です。本体の検討委員会と地域協議会(8学区)が常に意見を交わしながら、再編議論が進められています。

誤解があってはいけないと思うのですが、地域協議会の設置は、単に「地域の声を聴く」ということに留まらず、地域の関係者(市町村長や県立学校長や保護者代表など)に高校再編の決定者として関与してもらう仕組み。つまり、県教委だけで決めるのではなく、県教委が地域の皆さんと一緒に決めるための仕組みです。
高校再編は痛みを伴います。全員が100%満足する再編などありません。だからこそ、地域の皆さんも含めて、みんなで決めるのです。議論を尽くせば、不満は残っても、ある程度の納得感は得られるはずです。
みんなが「地元が学校を残せ」と言えば、議論が進まないじゃないかといった声もありそうですが、例えば、学区ごとに再編統合の数(例:富山学区では3〜4校統合など)を地域協議会に明示して、議論を委ね、一方で、総合教育会議で県全体としてのバランスを考えた議論も並行して行い、集約していく、そうすることで、地域バランスも考慮されながらのダイナミックな議論になっていくのではないかと考えます。
もちろん、それでも最後まで議論が整わないということもあるでしょう。その時こそ、最後は知事や県教委が総合的に決断すれば良いのです。
学校規模については、3〜8学級を基本としており、ある程度の幅を持たせ、柔軟な対応が必要であると考えています(ただし、学校の活力を考えれば、5学級程度の規模が望ましいことは言うまでもありません)。
その上で、各学区に小規模校(1〜3学級)、標準規模校(4〜5学級)、大規模校(6〜8学級)が配置されること、また学科コースについては隣接学区まで含めて多様な選択肢が確保されることが必要であると考えます。
ただし、今後の急速な少子化により、小規模校において定員を著しく割り込む学校が出てくることも想定されます。
こうした場合の対応として、あらかじめキャンパス校化や統合を行う条件を明示しておく方法が考えられます。
具体的には、愛媛県のチャレンジシステムような制度を活用してはどうかということです。3学級以上の学校において、「入学者数が3年連続で80人を切る場合は原則として募集停止とする」といった形です。
こうした制度を活用する中で、愛媛県の市町においては、学校を存続させるために地域ぐるみで生徒を集める努力をしていると聞きました。

具体的にどのような学科やコースを設け、どのような学校を新たに生み出していくのかというところについては、正直、まだ生煮え状態であり、今後、さらに調査を重ねていきたいと思っていますが、大きく3つのタイプがあると思っています。
①進学重点型高校
名のとおり、進学をベースに考える学校です。ただし、進学校においても、偏差値輪切りではなく、特色化を進めることが重要であり、また探究的な学びも重視しながら、単なる受験勉強で終わらない学校をつくっていくことが重要であると考えています。
②総合選択制高校
これまで学校の統合を行う場合、普通科と普通科、職業系専門学科と職業系専門学科というケースが原則でしたが、普通科と総合学科、普通科と職業系専門学科、総合学科と職業系専門学科など多様な組み合わせを検討していけばどうかと考えています。
基本的に単位制の学校とし、入学後においても、より幅広い履修の幅をもたせることができれば良いと考えます。
トップ層の大学進学から就職まで幅広い生徒が探究的・主体的に地域と密着して学べる新たな学校を生み出していく必要があります。
③職業系専門学科単独高校
大規模校においては、職業人材育成の観点からはデュアルシステムの導入などより実践の機会を増やすことが重要であるとともに、昨今は、職業系専門学科においても進学ニーズが高いことから、総合型選抜や学校推薦制度など含めて、進学にも十分に対処できる学校としていく必要があると考えます。
他方で、小規模校においては、厳しい定員割れが続いています。地域における職業人材輩出の大きな役割を担っており、定員割れの要因を分析し、そのあり方を議論することは不可避のように思います。
県では、県立高校再編に向けて、令和の魅力と活力ある県立高校あり方検討会、県立高校教育振興検討会議と2年半にわたり議論を重ねてきました。議論においては、社会の大きな変化を捉えた素晴らしい議論が展開されています。
しかし、こうした素晴らしい議論を踏まえて、現在の高校教育にどのような課題があり、何を変えていかねばならないのか?こうした具体的な検討は、教育委員会においてなされていないというのが私の実感です。
残念ながら、教育委員会内部からは、「高校教育を変えていこう」という強いエネルギーは生まれてこないのではないかと思うのです。
では、県立高校再編の議論に際して、県議会は何をできるのか?
議会は、言うまでもなく、自治体の議決機関(意思決定機関)です。
県立高校が県立である以上、その設置(統廃合含む)や運営は、全て条例や予算に基づいて行われるものであり、最終的な自治体としての議決(意志決定)は議会に委ねられているわけです。
とりわけ、県議会の責任会派である自民党議員会は、今回の県立高校再編議論において大きな責任があると感じています。
我々の考えをゴリ押しするものではありませんが、我々の懸念に対して、しっかりと向き合っていただけなければ、この先、互いの議論は平行線どころか、離れていくばかりかと思います。
そうならないために、今回の中間整理では、我々の思いを伝えました。より良い県立高校再編議論が今後展開されていく一石になることを期待したいと思います。
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