2023/2/17
富山県では、子どもの貧困の状況などを明らかにするため、今年度初めて「こどもの生活状況調査」を実施しました。
世帯収入の状況をみると、「もっとも収入の低い層(中央値の2分の1未満)」は中学2年生の生徒・保護者の調査で約9.1%いることがわかります。決して、小さい数字とは言えないと思います。
そして、ひとり親世帯に限って言えば39.1%もいました。ひとり親家庭の深刻な状況が浮き彫りとなりました。
子どもたちの状況を見ると、世帯収入と学校の成績に一定の相関(収入の水準が低いほど、成績が低い傾向)が見られることも明らかとなっていました。
そして、最も衝撃を感じたのは、最も収入の水準が低い層では、中学2年生の子どもの大学への進学意欲がとても低くなっていたことです。
以下は、北日本新聞がまとめたグラフですが、全体では49.7%の子どもが大学へ進学を希望していますが、最も収入水準が低い世帯層では19.3%という結果が出ました。
収入水準の低い層の子どもたちの思いを推し量ることはできませんが、家庭環境により、将来の夢や自分の可能性を諦めてしまう現実があるとするならば、是正は不可欠です。
所得水準により受けられる教育の質や量に差が出ない環境を社会全体でつくる必要があります。そのうえで、学校現場においては、所得水準の低い世帯に育つ子ども達に対し、きめ細かい就学支援の情報提供を行い、それぞれが持てる力を発揮できるように、しっかりと導いてあげる体制づくりが重要であると思います。
富山県は、ウェルビーイング先進県を目指すと宣言しています。そして、ウェルビーイング向上のための指標も取りまとめました。
ウェルビーイング先進県を標榜するのであれば、子どものウェルビーイングを上げることこそを最優先に考えるべきだと思います。
今回、子どもの生活実態調査を初めて実施したわけですが、調査を定期的に実施し、その結果を観測することこそが、ウェルビーイング向上のための重要な指標になると思います。
子どものウェルビーイング向上のために、施策を重点的に投入しする必要があり、新年度に向けて、体制の強化を求めていきたいと思います。
【県議会で質問】
上記を踏まえ、2月20日の厚生環境常任委員会で質問に立ちました。
Q. 子どもの生活状況調査結果の受け止めは?
A. 本県においても世帯収入の水準よって子どもの学習・生活面などが影響を受けており、特に最も収入が低い水準の世帯やひとり親世帯が親子共に様々な困難に直面していることが明らかとなった。
Q. 所得により学習格差が生じないように子どもたちへの学習支援の強化や居場所づくりに積極的に取り組む必要があるが考えは?
A. 学校以外の場所で子供が学習支援や食事提供を受けることができるよう、民間団体による居場所の開設や特色ある取り組みへの支援、こども食堂が学習支援の要素を取り入れて、子どもの居場所・つながりの場として発展できるように、学習支援ボランティアとのマッチングの実施等の必要経費を新年度当初予算に計上した。
Q. 子どもの幸福度を上げることは県政の最重要課題。子どもの生活状況調査は定期的に行うべきである。
A. 県の様々な子ども・子育て支援策が、真に子供の幸せの向上につながっているのか、その効果を検証していくことが大切であると考えている。政策効果の検証方法については議員からご提案があった定期的な調査の実施も含め「県子ども未来プロジェクト」の中で、今後検討する。
ということでした。
子どもの貧困の問題については、県の政策も、今回の調査でようやく緒についた形です。議会質問などを通じて、今後ともこの問題の解決に粘り強く取り組んでいきます。
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