2022/8/8
企画財務部会視察の2日目は、1箇所目は、埼玉県戸田市で「ICT教育」、2箇所目は東京都新渡戸文化学園の「教えない授業」と教育関係の視察2箇所でした。
一見、全く違うテーマと思い視察に臨んだわけですが、両視察先で全く同じデータが紹介され、そしてこれからの教育のあり方のポイントは共通しているように感じました。
紹介されたデータはこちらです。


これは、日本財団が実施した「18歳意識調査(9カ国調査)」です。
「自分の国が将来良くなる」と考える若者が世界でダントツに少ない。そして「自分の行動が社会を変えられる」と考える割合が世界でダントツに低い。
いったい、日本は「子どもたちにどんな教育をしてきたのか?」
今、改めてゼロから問い直す必要があるということが、両視察先の共通の認識でした。
その上で、自分なりに、これからの教育のポイントはこういうことかなと感じたことを挙げるならば、
一つは、学校で学ぶことが、実社会とどうつながっているかを教えること。
2つには、子どもたち、先生方、保護者、教育委員会、それぞれの主体が、自律的に学び、教え、育てていくこと。後述の新渡戸文化学院の山本先生の言葉を借りれば、依存型から自律型の教育の転換ということ。
であると思います。
視察で訪れた、埼玉県戸田市や東京などの一部高校では、こうした趣旨を捉えて抜本的に教育の転換を行い始めています。
正直、「実社会とのつながりや自らの目的を定め自律的に学ぶ教育」を受けた子どもと「依存型で受験を乗り切るための教育」を受けた子どもでは、実社会に出た時に大きな差が開いていくのではないかと、大きな危惧を抱きました。富山県において成長戦略を一丁目一番地に掲げるのであれば、取り組むべきは、教育改革であると確信しました。
【埼玉県戸田市教育委員会】
それでは、一箇所目は、埼玉県戸田市戸田東小学校です。戸ケ崎教育長から戸田市の教育改革について話を聞きました。
埼玉県戸田市は、東京都などのベッドタウンとして児童生徒が急増しており、教育においては、教室不足が深刻化し、学校施設の老朽化も著しく、ハード面にお金をかけざるを得ない状況となっています。
こうした状況を受けて、戸ケ崎教育長は、どうすればソフト面になるべくお金をかけず、しかし最先端の教育をやっていくことができるのか真剣に考えたそうです。
教育長の出した答えは、教育のICT化において「ファーストペンギン」になることで民間の協力を得て、安価で効率的に最先端の教育を取り入れていくことであったそうです。
現在、戸田市の学校においては外部団体と連携した共同プロジェクトが70個も動いており、戸田東小学校においても、3Dプリンターや最先端のパソコンが配置されていましたが、Intelとの共同プロジェクトであり、戸田市としてはお金を一銭も出していないということでした。
戸ケ崎教育長によれば、ICTの導入は重要としつつ、重要なことは「何のために使うのか」考えることであると言います。
実際に埼玉県においても、全校に配置されているタブレット端末の活用については自治体間でかなり格差が広がっているそうです。
そして、なぜそのような格差が生まれるかといえば、「何のために使うのか」が明確でないことが最大の要因であるとしています。
戸田市においては、基礎学力は徹底してICTを使うことにし、『脱プリント』を進めており、小学校において紙のプリントがほぼ消えつつあります(戸田東小学校の夏休みの宿題は紙ではないそうです。戸田東小学校では「キュビナ」というAI教材を使用)。
今後は、GIGAスクールの第2ステージであり、教育データの利活用、学校と家庭のシームレスな学びの整備、また不登校の子どもたちに対しメタバースを活用した学びの形を模索するなど、意欲的に取り組んでいます。
このように、戸田市ではICTにおいて公立学校においては最先端を走っているわけですが、話を聞けば聞くほど痛感したことは、戸田市教育のすごさはICTの活用ではなく、
①教育委員会において、子どもたちにどのような能力を身に付けさせるべきなのかというビジョンが極めて明確になっていること
②こうしたビジョンを学校現場が理解し、学校現場が自走していくために全力で知恵を絞っていること
であることがわかります。
その上で、教育シンクタンク制度を作り、アドバイザリーボードには成田悠輔さんなど一流の方々を迎え、「教室を科学すること」、「優れた教師の匠の技の言語化、可視化、定量化や個別最適の学び」、「EBPM(EIPP)の推進」など、常にアップデートを意識しています。
時代が大きく変化する中で、小中学校教育を担う市町村教委の力量が試される時代であると感じました。
同時に、県教委には、市町村教委の自走を助けるための取り組みが不可欠と言えます。
【新渡戸文化学園】
2箇所目は 東京都の新渡戸文化学園を訪問、「教えない授業」について視察しました。
「教えない授業」とは何かと思いつつ視察に望みましたが、つまりは、「子どもが主体的に学び始める学校づくり」ということでした。
「勉強しなさい」という言葉をやめ、「将来やりたいこと、やってみたいこと」を子どもたちに問い続けることで、必ず少しずつでもやりたいことが出てくる。この「やりたいこと」が学びの目的になるように指導していくそうです。
また、リアルな社会の第一線で働く人達が、どんな課題感を持ち、どう解決しているのかを知る機会の提供にも取り組んでいます。このことは、自分たちの学びは社会につながっていると感じることにつながります。
講師の山本さんによれば、日本の教育は「やりすぎ教育」であるといいます。なんでもかんでも全て教えるので、極めて依存型の教育になっているというのです。
幸福とは自己決定できることであり、自己決定できない子どもの幸福度は低くなるとしています。サービス提供型の教育をやりすぎていることが、実は、子どもが自己決定する機会を奪っており、そのことが日本の子どもの幸福度が先進国においてもとても低いことと関連しているというのです。
明治の学制開始以来、続けてきた、サービス提供型、依存型学習から自律型学習者をどう育てていくかが問われています。
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