2022/7/13
本日7月13日の地方紙は、「令和5年度の県立高校定員について」、富山県教育委員会議への議案提出が見送られたことを取り上げました。
翌年度の県立高校の入試日程などとともに、各学校の定員は、概ね7月の上旬頃に決定されるのが通例であり、議案提出が見送られたことは異例と言えると思います。
報道によれば、令和5年3月の中学校卒業者数は、8,751人で前年に比べ159人の減少(40人学級で4クラス換算)で過去最低になり、学級数の再編が不可欠な中、県教委では、雄山、富山、富山中部、高岡、氷見の普通科をそれぞれ1学級ずつ減らすことを検討しているということであるが、打診を受けた、立山町と氷見市が「待った」をかけた形になっているということです。
現在、県立学校の定員はどのようになっているのか整理しておきたいと思います。
まずは、富山県の中学校卒業者数の推移です。私たちの年代(昭和50年生まれ)が卒業した昭和から平成の初期にかけてがピークであり、その後は、一貫して減少が続いています。
令和5年(平成35年)度の8,751人も、まだまだ減少の過程に過ぎず、今後もさらに大きく減少していくという厳しい事実をまずは踏まえる必要があります(ちなみに令和3年の出生者数は6,076人)。
次に、令和4年度の各学校の学級数と学級減が報道で取り沙汰されている学校の状況です。
今回、一つ画期的と言えるのは、富山県で御三家と呼ばれる進学校である富山・富山中部・高岡高校の学級数が7学級(普通5・探求2)から6学級(普通4・探求2)になることでしょう。御三家の学級数は、平成10年以降一貫して減少することはありませんでした。しかし、この間、中学校卒業者数は4,000人減っていますから、やむを得ないことであると思います。
また地域別に見ると苦しいのが、高岡地区(高岡、射水、氷見管内)でしょうか。令和4年の中学卒業者数でみると、卒業者数約2,500人に対して全日制県立学校は10校(富山地区は約3,600人で12校)であり、そもそも学校数が過大であると言えます。
そんな中、職業系の県立学校である高岡工芸高校と高岡商業高校は必要な学科を配置する必要があり、学級数をいじることは難しく、高岡高校と氷見高校を除けば、残りは3学級もしくは4学級の小規模校しか、すでに残っていないのが実情です。
高岡地区においては、高岡・氷見両校のクラス減以外の選択肢はなかなか見い出せないように思います。
他方で、新川地区の雄山高校においては、やはり少し気の毒な感じもいたします。
一学年4学級というのは、ひとつの基準であり、これを割り込ませるにはしっかりとした説明が必要だと思われるからです。
以下は、最後の県立学校再編(泊、福光、水橋、高岡西が統合)の議論の際にまとめられた平成28年の報告書の中身です。この中で、学校規模は4クラス以上が望ましく、3クラス以下の学校は例外的に設けるとしています。
しかし生徒数が激減する中、やむを得ない措置であるとも考えられ、定員減を反対する自治体に対しては、丁寧かつ粘り強い説明のもと、理解を求めていくほかはないというふうには思います。
他方で、令和5年度を乗り切ったとしても、令和6年度以降も減り続ける中学卒業者数への対応に県教委は悩まされ続けることになることは必至です。
現在、県教委では、「令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会」を設置して県立高校のあるべき姿について議論を進めています。しかし、この議論においては、具体的な学校の配置についての議論には踏み込んでいません。
もはや小手先の学級減による調整は限界を迎えていることは明らかであり、今回の騒動は、そのことを象徴するものであるという気がしています。
今年度で結論を出すと思われる「令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会」においては、具体的な学校配置の議論につなげるような提言を望むとともに、その提言を受け、次年度からは、具体的な学校配置について議論を始めるべきであると改めて強く感じます。
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ホーム>政党・政治家>永森 直人 (ナガモリ ナオト)>【令和5年度 富山県・県立高校入試】県立高校の定員の議論が難航しているようです。