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名古屋ノスタルジックCARショウで社長賞【実録】連載シリーズ|ぼくがテレビマンだった頃 第3話 

2026/2/20

第3話:中古車のショーで入場料? いや、伝説のヒーローたちですから。

価格決定権を持つ――それは「メーカー」になるということ。

テレビマンとして、プロデューサーとして、私のキャリアの中で「最高の業績」と胸を張れる仕事がある。
1996年6月、ポートメッセなごや。
「第1回 名古屋ノスタルジックCARショウ」。

今でこそ「旧車」という言葉は市民権を得ているが、当時はまだ馴染みのない言葉だった。ただの中古車とは違う。自分が一番見たい名車たちに、ひとつの強烈な名前を授け、世に問うた。

「時代を駆け抜けた伝説のヒーローたち」

■ 映像で「命」を吹き込む
スカイライン2000GTR、トヨタ2000GT、S30Z……。
これらを「中古車ですね」と呼び、「中古車を見せるのに入場料が取れるのか」と疑う上司たち。私はテレビの力をフルに活用した。

CMの冒頭、ナレーションはいらない。
響かせたのは、スカイライン2000GTRのエンジンに火が入る瞬間の音だ。

「ブロロロン……!」
――伝説のエンジン、直列6気筒DOHC「S20」の咆哮。

始動音に続き、並走する3台のスカイライン2000GTR(ハコスカハードトップ、セダン、ケンメリ)の走行映像が流れる。
消防法により、会場内ではエンジンをかけることはできない。だからこそ、放送局の武器である電波を使って、事前に男たちの本能へ「S20の咆哮」を叩き込んだのだ。

■ 「入場料」に込めた、空間への誇り
このプロジェクトで、私はあえて「強気」の入場料を設定した。
希少な名車を全国から集め、最高の演出で魅せる。その空間の質に絶対の自信があったからだ。

「中古車を見るのに、そんなに払ってくれるのか?」

局内の不安をよそに、私はプロデューサーとして、その価値をいくらと定義するかという**「価格決定権」**を譲らなかった。
それは、ディズニーランドが夢の対価として入園料を決めるのと同じ、プロとしての決断だ。安売りをしないことは、集まってくれた名車たちや出展企業への敬意でもあった。

結果、会場を埋め尽くしたのは、当時を知る世代だけではない。
大鶴義丹さん主演の映画『湾岸ミッドナイト』などの影響もあり、旧車に熱狂し始めた「若者たち」までもが納得してチケットを手にし、続々と押し寄せたのだ。(のちに社会現象となる『頭文字D』人気が爆発する少し前の、熱い胎動を感じる時代である)

自ら価値を創り、その価値を堂々と世に問う。
メディアの「枠」を売る側から、自ら価値を生む「メーカー」へと脱皮した瞬間だった。

■ 30年後に届いた「答え合わせ」
この話には、最近知った嬉しい後日談がある。
現在、北名古屋で私の活動を支えてくれている同級生の下平くんが、こう明かしてくれたのだ。

「あのショー、俺も当時チケット買って見に行ってたよ。村上が仕掛け人だなんて知らずにな」

仕掛け人が誰かも知らず、一人のファンとして会場に足を運び、あの熱狂の中にいた友。
30年前に私が提示した「価値」は、時を超えて、今の私を支えてくれる縁へとつながっていた。

■ 最後に:価値は、自ら創り出すもの
この実績で、私はスタッフと共に社長賞をいただいた。30代の若造にこれだけの勝負をさせてくれた当時の上司たちには、今も感謝しかない。

30年前、私は名車を「ヒーロー」に変えて、ポートメッセに熱狂を呼んだ。
今、私が取り組んでいる「ロケ誘致」も、本質は同じだ。

街にある何気ない風景を、映像の力で「特別な価値」へと変え、ちょっとだけ自慢できる北名古屋へと進化させる。
価値は、世間から与えられるものではなく、自ら創り出すものだ。

「プロデュースとは、人生とは、なんて面白いんだ」

ブラウン管から流したスカイライン2000GTRの咆哮は、今も私の中で、そしてかつての若者たちの中で、熱く鳴り響いている。

村上さんせい(村上三清)
元テレビマン・プロデューサー。
「テレビの裏側」から「地方創生の最前線」まで、自身の経験を綴っています。

著作制作:村上さんせい | 北名古屋にロケを呼ぶ会(元テレビマン 村上三清後援会)
 

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肩書 元テレビマン(元テレビ愛知大阪支社長)会社経営
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