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前田 弘一 ブログ

パブリックコメントとは - 意見の書き方

2024/7/3

パブリックコメントは市民社会の実現に向けた有益な手段です。
この記事では、意見を書き易くなるための考え方や書き方を示します。

私がパブリックコメント(以下「パブコメ」という。)に投稿して、役所の文書に取り上げられた事例は次のとおりです。

パブコメに投稿したら採用された - 部活動地域移行

 

1.制度の概要

パブコメは、
・国が政令等を、また地方自治体が計画等を定めようとする際に、
・事前に、
・広く一般から意見を募り、
・その意見を考慮することにより、
・行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、
・国民の権利利益の保護に役立てること
を目的としています。


パブコメの対象となる(案)は、学識経験者など多数の有識者の意見が反映された結果です。
なので、多くの場合、ほぼほぼ、市民が意見を言う余地はありません。
また、意見を提出したからといって、それが反映されることは、実態としては、ほぼありません。

しかし、立場が異なる者の意見が反映されていないとか、国や地方自治体が気が付かない部分もあるため、市民が意見を述べることには意義があります。

市民が何も意見を言わなければ、そのような意見の持ち主は日本の社会に存在しなかった、というように認識されてしまいます。

パブコメは、常時行われるのではなく、期日が指定されます。
提出時期や書式にも一定のルールがあります。
それらは、個々の役所が、広報誌やホームページで案内します。

テーマとしては、役所が策定しようとしている政令(案)、条例(案)、計画(案)などがあります。

役所は(案)が正しいと思い込んでいますし、その方向で施策が実施されていきます。なので、賛成の意見を提出する意味はありません。
パブコメには修正を求める意見や反対の意見を提出するのが一般的です。

市民からの意見が正当であると認められれば、(案)は修正されることになります。

市民からのパブコメで(案)の根幹部分が変更になった事例は、次の記事に書きました。

パブコメにおける在日コリアンの意見のまとめ

 

2.国と地方自治体の違い

パブコメの制度は、国と地方自治体で多少の違いがあります。

国(役所の名前の後に「省」という文字がある組織など)の制度の解説は、次のサイトに掲載されています。

パブリック・コメント制度について 電子政府の総合窓口・e-Gov(イーガブ)

国は、法律「行政手続法」第6章 意見公募手続等(第38条~第45条)に基づき、パブコメを実施しなければなりません。

地方自治体(都道府県や市区町村)は、(行政手続法ではなく)各地方自治体で定めた条例などを根拠にパブコメを実施します。この根拠は行政手続法を参考に作成されています。なので、ほぼ、国と同じです。

国はパブコメを期限を設けずにネットで公開し続けています。

しかし、東大阪市のように、一部のパブコメを恣意的に削除している場合もあります。完全に削除しているため、パブコメがあった事実を知ることもできません。

東大阪市のパブコメ問題

また、大阪府のように一定期間(3年間)を過ぎたパブコメを一律にホームぺージから削除する例もあります。

ただし、削除されて、ホームページから無くなっているパブコメを見る手段はあります。WARPを使えば良いです。

(参考)国立国会図書館 インターネット資料収集保存事業(WARP)の活用方法

 

3.パブコメの流れ

パブコメの流れは下図のとおりです。
案の公示に始まり、結果の公示に終わります。

画像

e-Gov(イーガブ)から引用

 

4.パブコメの約束事

役所側の取扱いは次のとおりです。

1.提出した意見が原文のまま公表される場合がありますが、他の意見にまとめられる場合があり、また、趣旨を損なわない範囲で加筆修正される場合があります。
2.個人や団体を特定又は類推できる情報は削除される場合があります。
3.意見募集と関係のない意見は公表されません。

市民がパブコメを書く際の注意点は次のとおりです。

1.意見をしている(案)の箇所を明示してください。
2.意見・要望をするのであって、質問をするのではありません。
3.意見・要望に関する合理的な理由を書いてください。

 

5.少数派のために

パブコメの対象になっている(案)は、たいがい、社会の多数派が納得のいくような内容になっています。

でも、少数派の立場からすれば、それでは納得がいかない場合があります。

このため、パブコメを活用して意見を言うことになります。

パブコメは社会の少数派のための制度だといえます。

できるだけ知恵を出して意見内容を検討し、少数派の意見が合理的であり、正当であることを訴えましょう。

自分達の利益追及だけのための訴えでは、受け入れられないでしょう。

自分の意見は社会全体にも有意義であるという趣旨を書き加えましょう

社会の制度のあり方について意見を述べるのですから、意見が他の人と同じ内容になってしまうのは良くあることです。他の人と同じ内容を書くと、役所では同一意見として扱われ、1個にまとめられます。
1個にまとめられてしまうと、個々の意見内に書いてある窮状や考え方が公開されない可能性があります。

少数派がパブコメを多数投稿したとしても、社会全体から見れば、少数派は、やはり少数派です。
パブコメは、投票数や文字数で勝負するのではなく、書き手の立場や視点、そして合理性が重要になります。
社会の中でたった一人であっても、その意見が唯一であり、合理的であれば、パブコメの意見としては有意義です。

このような趣旨から、役所は、賛否に関する数を集計することはありません。

(参考)香川県ネット・ゲーム依存症対策条例について

香川県、ネット・ゲーム規制条例のパブコメを地元メディアに全件公開 記載IPアドレスに疑問の声も [谷井将人,ITmedia]

香川県のネット・ゲーム依存症対策条例におけるパブコメの公表では、上記記事にあるように、賛成・反対毎に集計されていましたが、役所がこのような集計・公表を行うことは誤りです。

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)(素案)のパブリック・コメント(意見公募)実施結果

香川県は
「パブリック・コメントについては、県民の多様な意見等を聴取する機会を確保しようとするものであり、多数決や賛否を問うものではないことを御理解いただきますようお願いします。」
と言いつつ、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)(素案)について提出されたご意見とそれに対する考え方の <ご意見の提出者数> で賛成と反対の数を公表しています。

香川県の事例では、読む人に対して「賛成が多い」という印象を与え、この条例(案)の審議や一般の人々の世論形成に影響を与えることが懸念されることになっています。
本当に「多数決や賛否を問うものではない」と考えるのであれば、賛否の数を集計・公表すべきではありませんでした。
香川県におかれましてはパブリックコメント制度の正しい運用をしていただきたいものです。

 

6.反対をする意義

多数派において合意が形成されてしまっているのが(案)です。

180度方向性が異なる「反対の主張」とか「撤回を求める」意見を提出したとしても、現実問題として通る見込みはありません。相当な証拠や論拠を提出しなければならなくなり、パブコメという壮大な作品を創作することになります。

しかし、採用されないことを承知の上で「反対意見があったという事実だけは公式記録として残しておきたい」という考え方もあります。
いろんな立場や考え方の市民が世の中にいることを、パブコメの公開によって、他の市民に知ってもらうことは有意義です。

その場合、「反対します!」だけだと、役所の事務局において、無視され、公表されない可能性があります。

意義を高めるためにも、合理的な反対理由を記しておく必要はあります

合理性が低い場合、役所側の回答として「参考にさせて頂きます」だけで終わってしまうことがありますし、他の市民が読んだ場合、落胆してしまいます。

反対をする意見の意義は、役所の考え方を正す、ということでもあります。
反対を申し出ることにより、役所側の考え方の回答を引き出すのです。

多くの場合は、(案)の中で、役所の考え方が示されています。
しかし、時々、(案)には趣旨や考え方が示されていない場合があるので、「趣旨が不明なので反対します。趣旨を明示してください。」と書いておくこともあり得るかもしれません。

役所が、意味の無い取り決めを行うことは不当です。
趣旨の無い取り決めを行おうとしている場合、「不当だ」と主張することは市民として正当な行為です。
趣旨の無い取り決めは、多くの場合、特定の組織・人物への利益誘導があります。

#東大阪市 は「ラグビーのまち」を標榜していますが、その標榜に何か合理的な趣旨があると、皆さんはお考えになりますか?

何も考えずに行政のプロパガンダに接していれば、合理的に考えることが麻痺していきます。

条件を絞って「このような不具合が考えられるので反対」という主張も良いかもしれません。条件を絞ったということは、理由を説明した、ということです。

 

7.学識経験者の意見を参考にする

自分で文書を創作するのが望ましいのですが、言葉が見つからない場合があります。

多くの場合、困りごとに関して、学識経験者が何らかのコメントを残しています。そのコメントに出会うまで、懸命に検索してみましょう。

パブコメには、自分の意見として書く必要があります。
他人の意見を紹介したり、引用する書き方はやめましょう。

役所側は、当事者の声を求めています。

パブコメへの記述のしかたとしては、学識経験者の意見を、自分が考えついた意見として、自分の言葉で書いてください。

他の自治体で似たような案件があれば、そこに出てある意見をコピーして、自分の意見として提出することもあり得えます。

最低限、(案)における問題点を指摘しておく必要はあります

問題を解決するには、相当な知識が必要になるため、解決策を提案できなくても構いません。

明確に問題とは言い切れない場合は、想定される被害を書いたうえで「懸念されます」としておけば良いでしょう。

 

8.自分の意見を読み返す

何らかの意見を表明せざるを得ない立場に立たされた者が、冷静に、客観的に、自己や他者の立場を観察することは困難です。

なので、気が付けば悪口だけになっていた、というのはあり得ますし、当初は、それが悪口であるということも理解できないでしょう。

特に、同じ志向の仲間がいれば、悪い意味で、集団心理が働いてしまうかもしれません。

自分が正義だと思っていることが、実は、他の誰かに煽られているだけだった、ということがあるかもしれません。

無意識のうちに仲間の同調圧力に屈しているのかもしれません。

よくありがちな誤りは、攻撃対象を誤る、ということです。

関係の無い者を傷つけている場合を考慮しなければなりません。

この問題を回避するテクニックとしては、一般名詞には多様な要素が含まれていることに留意することです。例えば、「日本人」と言った場合、そこには様々な人々が含まれるので、自分が想定している人々と、他の人が抱くイメージが異なる場合があります。
一般論を論じるよりも、条件を絞って論じることの方が、誤解へのリスクは低くなります。

これらの気づきがどこまでできるかが、意見を述べる場合の難しいところです。

冷静に考えられる環境のもとで、数日かけて(日を改めて)何度も自分の書いた意見を読み返すのが望ましいです。

また、自分の意見だけを眺めていても、自分の何が悪いのか気が付かないため、異なった意見を読み、異なった視点を参考にして、自分の意見を考え直すことも良い方法です。

 

9.反論を想定する

「身内だけで盛り上がる考え方」と「敵と勝負をして勝てる考え方」は違います。

「身内だけで盛り上がる考え方」に熱狂してしまう場合があります。

実は、これは「考え方」ではなく雰囲気です。

このようなものに関わるのは時間と労力の無駄です。

これは身内向けの雰囲気なので、これを敵側にぶつけても、簡単に反論されて終わりです。これでは社会は変わりません。

関りを深めねばならないのは、敵側です。

敵の振る舞いをよく観察する必要があります。すると、合理性が無く、数を頼む(かずをたのむ)政策であることが見える場合があります。

でも、敵はバカではありません。敵は、想定される問答を作成済みです。

そこを突破していかねばならないのです。

味方の論法であっても、勝てない論法は批判の対象にすべきです。

有能な社会科学者は、自身への正当な批判を求めるものです。

戦いの前提としては、証拠を確保することです。

戦い方としては、人類の普遍的な真実・価値を根拠とすることです。

例えば、東大阪市役所は「東大阪はラグビーのまち」と標榜しプロパガンダを展開していますが、このようなことが人類普遍の(そして50万人都市東大阪市民の)普遍的真実ではないことは、普通に考えて誰でも分かることです。

 

10.立場が異なる相手を説得する

パブコメの提出先は、合理性のカタマリである役所です。(そうではない役所もありますけど)
役所は、全ての人々を納得させなければならない立場です。(そうではない国もあったりしますが)

意見を言う者は、合理性のカタマリでなければなりません。

自分の意見は、役所へ宛てた意見というよりも、対立する立場の人たちに宛あてた意見なのです。

自分の意見・理由の中に非合理的記述があれば、そこを突かれて返り討ちに合い「参考にさせて頂きます」で終わってしまいます。

情緒的な意見をしたところで、相手は立っている場所が異なるので意味はありません。

情緒的意見は、相手への説得というよりも、自己愛又は仲間同士の連帯が主目的だろうと思います。

立場の異なる相手を説得することは、いつの時代、どこの社会でも困難です。

ですが近年それへの解決テクニックが生まれようとしています。それは、証拠を集め合理的に考えるということです。

ただし、合理的に考えようとしない連中にはこの手段は通じません(笑)。

少数派が拠って立つのは合理的思考しかないと私は考えます。

新たな知見は少数の者から広がります
何故でしょうか。
多数派は既得権があるため、思考をしなくても良いからです。

少数であることは、社会的には不利ではありますが、変革を生み出すのはいつでも少数派です

自信を持って頂いてよろしいかと思います。

ただし、合理的に考えている限りにおいてですが。

 

11.ビジネス文書としてまとめ上げる

パブコメは、考え方が異なる相手に対して、相手の不利益になることを求めることになります。

相手に余計な疑念を与えず、当方の意図を正確に伝えるため、文書作成のテクニックは必要です。

・複数の解釈ができてしまう書き方は避けなければなりません。
・長い文は、理解を損ねる可能性が高くなります。
・二重否定など、判読が難しい表現は避けなければなりません。
・情緒的な表現や例え話は、論理性が損なわれ、誤解されるる可能性があります。

つまり、ビジネス文書としてまとめ上げることが有益なのです。

日本でビジネス文書というと書式に注目がいきますが、書かれている内容が重要であり、そこには明瞭と簡潔(Clear & Concise)が求められます。

パブコメには挨拶やお礼の言葉は全く不要です。全て事務的に書いてください。

一昔前は、クドクドと長い話をすれば、ただそれだけで評価される、という時代がありました。いまでも、ある種の人達はそうです。でも、そういう人達の話には、ほとんど内容がありません。
自分が本当に社会のためにやっている、と思うのであれば、読み手・聞き手の側に配慮すべきです。

 

12.書式の見本

下に書式の見本を2個記しておきます。この書式に従えば、(案)の中の具体的な問題箇所を指定でき、問題箇所に対する意見と理由を明確に提示でき、一定程度まで合理的に記述できます。

該当箇所 17ページ 「教師等の兼職兼業」の「ウ」
意見内容
「地域のスポーツ・文化芸術団体等において、」を
「地域のスポーツ・文化芸術団体等は、」に変更する。
理由
原文のままでは「継続的・安定的に指導者を確保できるよう留意する。」の主語が不明確であるため、主語であることを明確にする。

パブコメで提出する際の、意見の書式

 

該当箇所:22ページ
「学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備」の
「1 新たなスポーツ・文化芸術環境の整備方法」の
「(2)検討体制の整備」のア
意見内容
協議会の構成員や検討状況について、ホームページなどで公開することも本ガイドラインに記載してください。
理由
・団体を今後新規に創設する可能性を考慮し、その新設の参考に資することができるようにするため。
・公正に実施されているのかを、市民が検証できるようにするため。

パブコメで提出する際の、意見の書式

 

13.最後に

本記事は、私がnote用に書いたものです。

パブリックコメントとは - 意見の書き方

 

議論する相手に合理性があるほど、議論をする意義はあります。
なので、パブコメに意見を投稿することは有意義です。

残念ながら、合理性のない役所が存在することは事実です。
でも、役所は唯一の存在ですから、論戦をするしかありません。

 

(参考)

精神論への批判を 精神論で反論してくる - 東大阪市

スポーツ庁の自画自賛 - スポーツ基本計画

 

以上

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著者

前田 弘一

前田 弘一

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