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花園ラグビー場第2グラウンド問題 - 市長の回答

2025/4/11

東大阪市花園ラグビー場第2グラウンドは老朽化しています。ここにサッカーチームのFC大阪が改修の寄付をする問題についてです。

出来事が多いため問題の中核が見えにくくなっていますので論点を整理しました。
また、市長あてに要望書を提出し、市長からの回答を得ましたので共有します。

この記事は、本件について基礎知識をお持ちであることを前提に書いています。基礎知識などは次の記事に書きました。

花園ラグビー場第2グラウンド問題 - 東大阪市

前回の記事は次のとおりです。

花園ラグビー場第2グラウンド問題の中核 - FC大阪

この議論で重要なのは、次の指定管理者の募集要項の「追記」です。

 また、11 月 25 日に、FC大阪からラグビー場の第 2 グラウンドに 5,000 席以上のスタンドを整備し、寄贈をしていただく内容で協定を締結いたしました。具体的な内容は今後協議して決定していきますが、実現すれば一体管理業務において工事期間中の使用制限や、管理内容に変更が生じます。追加情報は随時提供していきますので、現在は第2グラウンドを整備することの提案や増設するスタンドを使った活用の提案は控えていただき、第2グラウンドを現状のまま活用する内容でのご提案をお願いします。市からは確定情報が固まった段階で情報を提供していきますので、それまでは統一的なルールとして既存の第2グラウンドを活用する提案でのご検討をお願いします。

東大阪市花園中央公園エリア官民連携魅力創出整備事業指定管理者募集要項 第13ページ 2019年(令和元年)11月26日追記

募集要項の追記には、FC大阪が寄付をするので第2グラウンドに関する提案をしないでください、という趣旨が記載されました(ここ重要。私の意見の根拠の中核です)。

 

1.論点

論点は次の3個です。
(1)指定管理者の選定
(2)市長がFC大阪の名誉相談役に就任
(3)改修期限の延長

 

(1)指定管理者の選定

改修の寄付は、上記の引用のとおり、募集要項の追記に書かれていました。
それをFC大阪が完了させていない現状は、募集要項が順守されていない、ということです。
ゆえに、FC大阪は条例に定める「公正な手続を妨げた者」に該当するのではないかという疑念を持ちます。

指定管理者の選定のあり方は「東大阪市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例」で定められています。
指定管理者の選定の募集要項は社会全体に対する約束事です。募集要項に書かれた事項を守ることは必須です。守らなければ条例違反ではないかという疑念を持ちます。
この条例第3条は次のとおりです。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団その他規則で定める団体は、指定管理予定候補者及び指定管理者となることができない。

東大阪市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例第3条

「指定管理者となることができない」とは、指定管理者になった後であっても違反した場合には指定を取り消すことができる、と解釈することが妥当だと思います。

条例第3条の「その他規則で定める団体」を、次のとおり、施行規則第2条で定めています。

第2条 条例第3条の規則で定める団体は、次のとおりとする。
(1) 団体の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該団体に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)のうちに次のいずれかに該当する者がある団体
(中略)
エ 本市における指定管理者の指定の手続において、その公正な手続を妨げた者又は不正の利益を得るために連合した者
(中略)
(4) 本市における指定管理者の指定の手続において、その公正な手続を妨げ、又は不正の利益を得るために連合した団体
(中略)
(8) 共同企業体である団体(次号に掲げる団体を除く。)であって、その構成団体のうちに前各号のいずれかに該当する団体があるもの
(以下省略)

東大阪市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例施行規則第2条

なお、追記には、第2グラウンドに関する提案をしないでください、という趣旨が書かれてあったため、指定管理者制度運用会議における審査では第2グラウンドの件は公正に扱われたと思われます。

 

(2)市長が名誉相談役に

2020年10月1日にFC大阪は指定管理者になりました。それによって、FC大阪は東大阪市役所にとって利害関係者になりました。

それにも関わらず、2020年11月1日付けで市長はFC大阪の名誉相談役に就任しました。

営利を目的としており、利害関係者である一個の企業に、市長は、肩入れをしたのです。

このことは地方自治法第142条に違反しているのではないか、という疑義が生じます。

第百四十二条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。

地方自治法第142条

「普通地方公共団体の長」とは市長のことです。
「当該普通地方公共団体に対し請負をする者」とはFC大阪のことです。
「監査役若しくはこれらに準ずべき者」とは名誉相談役のことです。

市長が名誉相談役に就任したことは法律に違反していると思います。

仮に、法律に違反していないとしても、社会通念上、不当です。
法律に違反していないのだからやっても良い、ということにはなりません。
市長は一個の営利事業者に肩入れをしてはいけないという立法の精神に則る必要があります。
公人が一部の営利事業者との結びつきを深めることは不公平であり不適切です。

市長は名誉相談役に就任中、次の点について、FC大阪に有利な計らいをしました。
ア.第1グラウンドを、Jリーグの公式試合のホームグラウンドとして使用できる。
イ.花園ラグビー場を、ラグビー団体と同等程度に、優先的に使用できる。

本来ならば、市は、このような便宜を図る必要はありません。
何故なら、指定管理者の募集要項にFC大阪が改修の寄付をすることが追記されていたためです。改修の寄付は、恩ではなく、善意の寄付でもなく、募集要項事項であり、責務なのです。仮に恩があるとしても、その恩は、指定管理者に選定したことで「恩へのお返し」を済ませています。

むしろ、この便宜を図った時点においてすら改修の寄付がなされていません。東大阪市役所から多大な便宜供与を受けてFC大阪は商売繁盛をしているのだと思います。

 

(3)改修期限の延長

2019年11月25日付けの協定書及びその翌日付けの(募集要項の)追記では改修の寄付の期限を定めていませんでした。

そこにつけこんだ形で、FC大阪は改修の寄付をしないままでした。

この「期限不記載問題」を補う形で、令和3年(2021年)6月29日付けの覚書に、この期限を令和5年(2023年)3月31日(令和4年度末日)までと定めた、と考えることが順当です。

つまり、募集要項に定めた改修の寄付の期限は、覚書で定めた期限(令和4年度末日)のことだと解釈できます。

しかし、残念なことに、FC大阪は、期限(令和4年度末日)が過ぎても改修の寄付をしませんでした。

このため、期限を過ぎた令和5年度(2023年度)以降も指定管理者であり続けることは不当です。

このようにFC大阪は不当であるものの、東大阪市役所も不当なことに、この期限を、2024年12月23日付けの「再協定書」によって、令和10年(2028年)3月末までに延長したのです。

この期限延長に正当な理由は何もありません。FC大阪の都合だけを受け入れているのです。

改修の寄付の期限は、覚書で定めた期限(令和4年度末日)であるべきです。

 

2.要望書提出

上記の問題意識の下で、2025年3月31日に私は下記のとおり東大阪市長あて要望書を提出しました。

 東大阪市花園ラグビー場(以下「ラグビー場」という。)の指定管理者を選定するための「東大阪市花園中央公園エリア官民連携魅力創出整備事業指定管理者募集要項」(以下「募集要項」という。)に、FC大阪がラグビー場の第2グラウンドに5,000席以上の観客席を寄付する旨を令和元年11月26日付けで追記しました。
 この追記には寄付の期限を定めていなかったため、この期限を覚書(令和3年6月29日)にて令和5年3月31日までと定めました。
 この期限は守られませんでしたが、その時点で、FC大阪は募集要項の追記事項に違反していたのですから、指定管理者として不適格であり、令和5年度以降も指定管理者であり続けたことは不当です。
 この違反は「東大阪市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例施行規則」第2条(4)に定める「公正な手続を妨げ」に該当し、FC大阪は指定管理者になることはできません。
 FC大阪は、実現できない寄付を約束することによって入札を有利にし、指定管理者の地位を得たのです。
 令和6年12月23日に市とFC大阪は令和10年3月末までを寄付の期限とする協定書(以下「再協定書」という。)を締結しました。
 しかし、期限を延長する正当な理由は何もありません。
 覚書で定めた期限が募集要項の追記に書かれた寄付の期限であるべきです。
 指定管理者の選定は他の応札者やその他事業者など多くの者が関与する事業であり公正に行われるべきです。それにも関わらず、事件の当事者であるFC大阪と市の2者だけの取決めで寄付の期限を延長し指定管理者の選定問題を不問にすることは不当です。
 市長は利害関係者であるFC大阪の特別相談役に就任し、FC大阪に第1グラウンドを優先的に使用できる権限を与えました。寄付の期限を延長しました。指定管理者の選定問題を不問にしました。これらは不適切だと感じます。
 そこで要望ですが、FC大阪による寄付が実現できていない現状は募集要項の追記事項に違反していることを認めてください。そして、寄付の期限を延長する正当な理由が無いのですから、再協定書に定めた期限を待つことなく、ラグビー場の現在の指定管理者の指定を直ちに取り消してください。

2025年3月31日付け東大阪市長あて要望

なお、この要望書の中の「特別相談役」は誤りで、「名誉相談役」が正しいです。

 

3.市長からの回答

2025年4月4日付けで市長から次のとおり回答がありました。

2025年4月4日付け 市長からの回答

 

4.回答への反論

私の意見は、募集要項の追記において「FC大阪が寄付をする」と記載されていることとFC大阪による実際の寄付の実施とは関連性がある、ということです。
市長の回答は、「公募要件」とFC大阪による実際の寄付の実施とは関連性がない、ということです。
論点がずれています。

市長の回答における「公募要件」や「指定管理者の選定要件」は、指定管理者制度運用会議で審査される事項をさすと思われます。
追記には「第2グラウンドに関する提案をしないでください」という趣旨が書かれています。FC大阪による実際の寄付の実施が「公募要件」や「指定管理者の選定要件」であるとは記していません。むしろ、その逆であり、「公募要件」や「指定管理者の選定要件」にはしないという趣旨です。このことは、市長の回答に書かれてあるとおりです。

しかし、この説明は私の要望への回答にはなりません。市長の回答は論点を意図的にずらせています。
私は「公募要件」や「指定管理者の選定要件」について全く言及していないにも関わらず、市長はこの話題を持ち出し、勝手に否認し、説明を終結させています。

募集要項の追記には「FC大阪が寄付をする」という趣旨が明記されています。
このため、FC大阪による実際の寄付の実施は「別の案件であり、関連性がございません」と言うことはできません。関連性はあるのです。明記されているために、実施しなければならないのです。

市長の立場としては、私の意見を敢えて正確に聞き入れず、論点をずらせてでも「関連性がございません」と言い切りたいのかもしれません。私の主張に賛同すれば条例違反ですから。このような市長の態度は正義ではありません。

募集要項は指定管理者の選定のあり方を規定する公文書です。そこに記載された事項を順守することは、例え追記であっても、必須です。

追記によると、「FC大阪が寄付をする」という前提が存在するからこそ、その結果「第2グラウンドに関する提案をしないでください」という規制が必要になってくるのです。
仮に「FC大阪が寄付をする」が無いのであれば、「第2グラウンドに関する提案をしないでください」という規制が存在する意義はありません。
「第2グラウンドに関する提案をしないでください」という事項だけを順守しておきながら「FC大阪が寄付をする」という事項を順守しないことは不当です。この場合、何のために、「第2グラウンドに関する提案をしないでください」を順守するのか意味不明です。
「FC大阪が寄付をする」ことと「第2グラウンドに関する提案をしないでください」ということとは同時に両方を成立させるべき事項です。

「第2グラウンドに関する提案をしないでください」という規制を既に実施してしまっているため、FC大阪による寄付を実施しないということはあり得ません。

FC大阪は指定管理者に選定された当事者であるため、利害関係の観点からも事態は重大であり、寄付をすることは必須です。寄付をしない場合、FC大阪は、指定管理者の選定のための適正な事務を妨害した、と判断できますし、不当な手続で指定管理者の地位を得た、と判断できます。

指定管理者の選考の原則は応札者を競争させることです。
本件は、追記の記載事項を根拠に、第2グラウンドに関して提案をしないことになりました。応札する者たちによる提案の競争が生じないのです。応札者による競争が生じていない、という意味で、原則に違反しています。
本件の場合、「FC大阪が寄付をすること」が前提であるため「第2グラウンドに関する提案で競争しないこと」が存在しえるのです。

現実は「FC大阪が寄付をすること」が実現されておらず、「第2グラウンドに関する提案で競争しないこと」だけが実施され、結果としてみた場合、応札者による競争がない選考だったのですから、指定管理者の選定は不当であったと言えます。
FC大阪による寄付は(善意の寄付ではなく)募集要項事項として必須なのです。

以上のようにクドクドと説明しなくても、追記をキチンと読めば、そこに「FC大阪が寄付をする」と書いてあるので、それだけで理解できると思います。


5.疑念

疑念1:カネは始めから無かった

FC大阪は指定管理者になりたいために寄付をするというウソをついたのではないだろうか。寄付のためのカネは始めから無かったのではないだろうか。初めから寄付をするつもりはなかったのではないだろうか。何故なら、現に、FC大阪は、指定管理者になった後で、時間をかけてカネを稼ぎ、指定管理者になった8年後に第2グラウンドを寄付しようとしています。

 

疑念2:寄付申し出の絶妙なタイミング

募集要項は11月1日に公開され、25日に寄付の協定がなされ、募集要項の公開中であるにも関わらず26日に募集要項に「追記」(言い換えれば「FC大阪にとって都合の良い修正」)がありました。タイミングが絶妙です。東大阪市役所との連携が巧妙です。ウラで両者が何か協議をしたのではないか、と感じます。

 

疑念3:リスクヘッジ(危険回避)

本来であれば、追記をせず、寄付を提案書に記載する方針にすべきでした。つまり「公募要件」にすべきでした。そうすれば、競争の原理が働きます。また、指定管理者制度運用会議における審査対象になり、寄付をしなければ条例違反になるのではないかと思います。提案書にはウソを記載することはできません。指定管理者に選定されれば寄付のための多大なカネをすみやかに拠出しなければなりません。
これが正当な手続です。

実際には、寄付を提案書に書くやり方ではなく、追記で対応しました。市は、寄付を善意という取扱いにしています。善意の寄付という位置付けであれば、寄付をいつでも撤回できます。また、期限を先延ばしできてきました。これはFC大阪にとってリスクヘッジになります。
また、FC大阪は提案書に関してはウソを書いていませんので、FC大阪にとってリスクヘッジができています。

善意の寄付であれば、それは市から見れば「恩を受けた」ことになりますので、市はFC大阪に第1グラウンドを使わせるなど「恩へのお返し」をすることになります。
仮に寄付を撤回しても、ゴメンね、残念だ、という遺憾の意の表明だけで済みます。周囲からは「厳しい経済環境だから、しかたがないよ」と同情されます。そして、そのまま指定管理者であり続けることはできるので、この点でもFC大阪にとってリスクヘッジできています。

これらのリスクヘッジができたのは、東大阪市役所の配慮の結果です。

リスクを取らない業者選定は、当事者であるFC大阪にとって天国です。

なお、私の意見は、寄付は募集要項に定めた事項なので、撤回することはできない、というものです。寄付が無いのですから、指定管理者を選定しなおすことになります。
市の対応は、寄付を撤回できる、という逃げ道を作っているのです。そして、撤回しても指定管理者であることを継続できます。親切ですね。

 

6.感想

東大阪市役所は、追記によって、他の応札者による第2グラウンドへの提案を封殺しました。また、指定管理者選定問題を不問にしようとしています。

公共機関が行う選定事務は、一般市民から疑念を持たれないように実施する必要があります。

寄付をしないFC大阪が悪い、という印象を持つ人がいるのかもしれません。
しかし、権限を持っているのは東大阪市役所であり、役所は公正な手続をする責務があります。東大阪市役所に根源的な問題があるのです。

2025年4月1日 職員たるもの 前例がない 予算がない 法令がない という言葉を口にしてはならない

「職員たるもの 前例がない 予算がない 法令がない という言葉を口にしてはならない」

この訓示は一見もっともらしく見えるかもしれません。
どこがおかしいのかというと、目標ではなく、手段にこだわった物言いだということです。

目標は市長が指示するので、その目標を達成するために「職員たるもの 前例がない 予算がない 法令がない という言葉を口にしてはならない」という訓示です。
具体的には、FC大阪のために「前例がない 予算がない 法令がない という言葉を口にしてはならない」ということです。
市役所及び職員を手段・道具として使い倒すのです。すべては、FC大阪のために。

以上

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著者

前田 弘一

前田 弘一

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