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福田 とおる ブログ

なぜ救急病院はいつも満床なのか

2023/5/5

今朝、公園でお話した方から、質問をいただきました。
「救急病院はなぜいつも満床なのですか?コロナも収まっているはずなのに」
聞くところによるとご家族が急な腰痛を発症して救急車を呼んだけれど、受け入れ病院がなかなか見つからなかったようです。

「もっと救急病床を増やすべきでは?」
このご意見は、一般市民だけでなく、政治関係の方からも聞きます。
私は、この解決策では解決できないと考えています。現在の診療報酬制度では、病床を増やしても増やしても満床になると予想しています。

現在の診療報酬制度においては、病院経営上、できる限り「満床」にしておくことが有利となります。患者さんが使用しているベッドからは報酬が得られ、使用されていないベッドからは得られません。病院は「病床稼働率」を高めることを目指します。
もちろん救急病院では多くの「入院治療が必要な患者さん」が入院します。しかし一方で、「本当は救急病院で入院治療が必要でない患者さん」も入院しているかもしれません。症状を抑える治療のみの患者さんであったり、在宅医の点滴で治る見込みが高い患者さんがそれにあたります。往々にして現場の医師達はこの矛盾を感じていますが、「病院の経営方針として」病床が空いていればできる限り入院治療とするように指示されていることも少なくありません。

この現状は、完全に病院を責めるべきものではないと感じています。組織として利益を追求することは普通のことですし、何よりそこまでしないと救急病院で職員を雇用し、機器を整備し、サービスを提供し続けることができない実情があります。そして「本当は入院治療が必要でない患者さん」でも入院治療とすることで、患者さんやご家族が喜ばれるケースがたくさんあります。例えばこの公園で聞いたお話も、いわゆる「ぎっくり腰」であれば高度な入院治療は不要と考えられます。それでも腰が痛くて動けない人が家の中で生活するにはご家族のお手伝いが必要で、ご家族の負担となります。必要な治療は鎮痛薬のみでも、病院で着替えやトイレのお手伝いをしてもらった方が安心で楽です。

「病床が空いているよりは、軽症の患者さんでも入院させておいた方が得」という診療報酬制度と「入院させてもらった方が安心で楽」という社会の認識がある限り、どれだけ病床数を増やしても、「病床を埋めるための入院患者さん作り」が行われ、「満床問題」は解決しないと考えています。同時にそれは医療費の高騰に直結します。
「満床問題」を解決するためには、まず診療報酬制度の改革が必要です。重症な患者を診療する病院では、それに見合う治療に対してのみ報酬を支払う。そしてその報酬は、一定レベルの空床を確保しながら病院経営の持続可能性を担保するのに十分な額である必要があります。
それに加え、医療に関する社会の認識を変えることも必要です。特にその基盤として正しい健康と医療の知識が必要です。多くの入院治療と同等の治療は外来や在宅医療で受けられることが理解できれば自宅療養の不安は減るはずです。

救急医療の安心にも、高騰する医療費対策にも、「真に価値のある医療を見分ける」「価値のある医療にしっかり報酬を払う」「健康・医療に関する知識を普及させる」ことが必要だと考えます。


 

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著者

福田 とおる

福田 とおる

選挙 第51回衆議院議員選挙 2026年 (2026/02/08)
選挙区

愛知16区 60,084 票 比例 東海ブロック 国民民主党 [当選]

肩書 国民民主党 衆議院議員(愛知16区)、救急科専門医、MBA(経営学修士)
党派・会派 国民民主党
その他

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