2025/11/27
――「福祉」の名で行われる子どもの行政拘束
市川市大和田にある市川児童相談所は、千葉県が設置する児童相談所の一つです。
虐待通告への対応や一時保護、里親委託など、子どもに関するさまざまな相談・措置を行う機関として位置づけられています(児童福祉法12条・33条など)。
表向きの説明だけを見ると、「子どもの命と安全を守る施設」です。
しかし実際には、裁判所の令状もないまま子どもを親や里親から長期間引き離し、施設に「行政拘束」できる権限を持つ機関でもあります。
その典型が「一時保護」です。
児童相談所長は、子どもを一時保護として施設等に収容することができ、建前上は最長2か月とされていますが、運用上はそれを超えて長期化する事例も少なくありません。 表向きは「保護」ですが、実態としては子どもは施設から自由に出ることはできず、親との面会や連絡も児童相談所の裁量で大きく制限されます。
市川児童相談所については、これまでにもいくつかの問題が指摘されてきました。
定員20人の一時保護所に、2019年には最大61人(定員の約3倍)もの子どもを押し込み、廊下やラウンジ、学習室に布団を並べて寝るしかない「雑魚寝」状態が生じるほど、居室や生活環境が逼迫していた時期があったこと。 その後も千葉県自身が、一時保護所全体として「定員超過の解消には至っていない」と認めており、現在に至るまで、市川児相だけが余裕のある運営になっているとは言い難い状況にあること。
新卒配属の職員を、十分な実務研修もないまま夜勤を含むシフトに入れていたことが、元職員の訴訟と千葉地裁判決で明らかになり、安全配慮義務の観点から重大な問題がある運用だと認定されたこと(2025年3月)。
命と安全を守るはずの職場で、職員自身の安全と教育が軽視されていたのです。
一時保護が「原則2か月」を大きく超えて長期化し、子どもが外界から隔絶された環境に置かれ続けるなかで、「ここから出してもらうためには、児童相談所にとって都合のよい話をするしかない」と感じ、親から虐待を受けていたことにしたい児童相談所の期待に合わせて、事実と異なる内容でも語ってしまう――刑事手続で批判されている『人質司法』と同じ構図に置かれる子どもが少なくないと指摘されていること。
2025年8月6日に行われた千葉県庁での子ども記者会見では、一時保護を経験した3人の子どものうち1人が、市川児童相談所での経験を公の場で語りました。そこで語られたのは、
「同意なき親子分離」
「帰りたくても帰れない一時保護」
への深い不信と苦しみでした。
これらは「一部のミス」ではなく、一時保護という仕組みそのものに内在する構造的な問題が、市川児相の現場にもそのまま表れていると見るべきだと私は考えています。
――2019年 子どもの権利委員会・総括所見29(c)
日本の児童相談所による一時保護のあり方は、すでに国際的にも問題視されています。
2019年、国連子どもの権利委員会は、日本政府の第4・5回報告書を審査し、
**「総括所見(CRC/C/JPN/CO/4-5)」**を採択しました。
そのなかで委員会は、日本の児相制度について、
親の反対があっても、
裁判所の命令なしに、
最大2か月間、児童相談所の一時保護所に子どもを収容できること
そして、多くの子どもが施設に置かれ続けていること
に強い懸念を示しました。
そのうえで、29段落で日本政府に対し、こう勧告しています。
(a) 子どもを家族から分離すべきかどうかを決めるために、子どもと親の意見を聴取したうえで、義務的な司法審査(mandatory judicial review)を導入すること。
…
(c) 児童相談所における一時保護の慣行を廃止すること。
(Abolish the practice of temporary custody of children in child guidance centres.)
ここでいう “practice(慣行)” は、単なる「昔からの習慣」ではありません。
児童相談所が制度として日常的に実行している一時保護の運用そのものをやめなさい、という意味です。
本来、親子分離や子どもの身柄拘束は、「最後の手段・最短期間」であり、裁判所のコントロールを受けるべきものだ――
それが、子どもの権利条約や自由権規約(ICCPR)9条などが示す国際人権法の基本線です。
国連は、日本の児相による無令状・非司法の一時保護が、この国際基準から大きく逸脱していると公式に認定した、ということになります。
――誰も「やめてください」と言えない設計
一時保護には、期間や環境の問題だけでなく、「異議申し立て権」がほぼ存在しないという構造的欠陥があります。
大人の刑事手続なら、身柄拘束に対して準抗告などの手段があります。
しかし、一時保護については、
子ども本人には
「やめてください」「家に帰りたい」と法的に異議を申し立てる正式なルートがほぼ用意されていません。
子どもの権利条約は、「自分に関わるすべての手続で意見を聴かれる権利」(12条)や、「恣意的な拘禁の禁止と裁判所による迅速な審査」(37条・ICCPR9条)を認めていますが、
日本の一時保護制度は、その理念から大きく遅れています。
実親の場合、行政不服審査請求や国家賠償訴訟など、時間も費用もかかる遠回りの手段は一応あります。
決して十分とは言えませんが、まだ「争うための扉」はかろうじて残されています。
最も深刻なのは、親と暮らしていない子どもたち――里子・社会的養護下の子どもたちです。
親のいない子ども、あるいは親権を行使できない事情のある子どもが、
里親の家庭から児相の一時保護で引き離される場合を考えてみてください。
実親は権利主体になれない(連絡がつかない・親権を行使できない等)
里親は「子どもの法定代理人」ではないため、
一時保護そのものに対して正面から異議を申し立てる法的権限がほとんどない
子ども本人にも異議申立て権がない
その結果、
里子がどんなに一時保護を嫌がっても、
その子の声を一番よく知る里親には、
児童相談所に対して「それはその子の利益を奪っている」と
正面から異議を申し立てる権利がない。
という、信じがたい構図が生まれています。
これはただの「運用ミス」ではなく、
制度設計そのものが、子どもと里親の声を封じる形になっていると私は考えます。
――「市川市から日本を変える」ために
一時保護の問題は、市川児童相談所だけの問題ではありません。
しかし、市川市民がまず向き合うべき最前線が、市川児相の運用であることも事実です。
私が市川市から提案したい方向性は、次のようなものです。
市川児相における一時保護の件数・平均在所日数・里子事案の割合などを、
市民にも分かる形で公表させる。
長期化事案についての検証結果を、市議会に定期的に報告させる。
一時保護中の子どもが、第三者機関(オンブズパーソン等)に直接相談・苦情を言える窓口を市として整備する。
里親が「この一時保護は子どもの利益を奪っている」と感じたときに、
児相の判断をチェックできる**準司法的な審査会(助言機関)**を市レベルで設ける。
国連子どもの権利委員会2019年総括所見29(a),(c)を正面から踏まえ、千葉県に対して、
一時保護の乱用をやめること
「最後の手段・最短期間」の原則を徹底すること
司法審査の実効性を高めること
を、市川市として公式に求めていく。
新卒職員をいきなり夜勤に投入するような運用は、子どもの安全のためにも、職員自身のためにもやめるべきです。
児相職員に対する人権教育・子どもの権利条約教育を、市として支援・監視する必要があります。
――「慣れてはいけないもの」に、もう慣れない社会へ
国連が問題にしているのは、法律の条文だけではありません。
福祉の名のもとに、「一時保護」というラベルを貼りながら、子ども本人に異議申立て権すら与えない無令状の親子分離・拘束を、児童相談所が日常業務として強行してきた現実です。
本来、親子の自由を奪うような措置に、社会が「慣れてしまう」こと自体が許されません。
にもかかわらず、日本では、
「児相がやっていることだから、仕方ない」
「虐待が増えているんだから、多少きついことをしても当然だ」
という空気が、長年にわたって一時保護の乱用を支えてきました。
市川市から、日本のこの「慣れ」を終わらせたい。
子どもと里親の声が届く仕組みを、市川で具体化し、そのモデルを全国に広げていきたい。
そのために、私はこれからも、
市川児童相談所の現状と、一時保護制度の構造的な欠陥を、市民と共有し続けていきます。
#市川市
#市川児童相談所
#児童相談所
#一時保護
#親子分離
#子どもの権利
#社会的養護
#里親
#無令状拘束
#人質司法
#国連勧告
#地方政治
#市川市から日本を変える
#たかさん市川市
#たかさんひとり放送局
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>たか さん (タカ サン)>【市川市】市川児童相談所の「一時保護」を検証する――定員3倍・国連勧告とどう向き合うか