2026/3/17
ジャパンダアワセンター&アルダワマスジド視察報告
― 和歌山における多文化共生と宗教施設を考える ―
令和7年夏頃から
「和歌山市にモスクができる」
というSNS発信が増え始めました
動向を注視していましたが
今年(令和8年)に入り施主とコンタクトをとることができたため
令和8年1月17日大阪市住吉区にある
ジャパンダアワセンター(JDC)およびアルダワマスジド
https://www.nippon-muslim.co.jp/jdc/
を視察しました
本視察は、和歌山市内において
イスラーム関連施設の整備が進められている現状を踏まえ
実態を正確に把握し、市民の不安や疑問に向き合うために実施したものです
こちらの大阪市の施設は
和歌山市で準備中の施設と同じような形態で
令和2年4月頃から運営されていますが
近隣の商店主に話を伺ったところ
特に地域で問題は起きておらず
秩序を守ってくれるのであれば、高齢化の進んでいる
地域の賑わいにもなるので受け入れますとのことでした
1.視察の概要
説明は、日本ムスリム株式会社CEOであり、JDC創立者の
ゾルカナイン・ビン・ハサン・バセリ氏と
JDC東京イマーム/JDCイスラーム講師「アーリム」の松永修氏を
中心に複数の関係者から行われました
2.ゾルカナイン氏という人物について
【略歴】
1974年 マレーシアのペラク州生まれ
1994年~1997年 愛媛県新居浜市 国立新浜工業高等専門学校に留学
1997年~2008年 日系メーカーのマレーシア現地法人にてエンジニアとして勤務
2009年~2019年 同社日本本社にてエンジニアとして勤務
2012年からは仕事のかたわら、週末や祝日はボランティアとして
神戸ムスリムモスクなどで、来訪者にイスラムの説明や
日本語のクルアーンを無料で配布する活動(ダアワ)を始める
更に、Facebookやyoutubeで日本での活動を発信し
日本やマレーシアで多くのサポーターを得る
2019年にそれまで21年間勤めた会社を退職し
日本ムスリム株式会社を立ち上げ、現在に至る
ゾルカナイン氏(以下ゾル氏)は
宗教指導者(アーリム)ではなく、ビジネスマンです
イスラーム法や神学を専門に教える役割は
JDC所属のアーリム(松永修氏)が担っています
印象的だったのは、ゾル氏が一貫して
「現地文化を尊重することが前提」
と繰り返していた点です
日本留学のきっかけは
マレーシアにおける「ルック・イースト政策」と
日本のドラマ『おしん』への共感でした
日本人と結婚し、子育てやPTA活動にも深く関わりながら
「ムスリムであり日本社会の一員として生きる」ことを
体現してきた経験が語られました
3.日本ムスリム株式会社とJDCの位置づけ
日本ムスリム株式会社は営利企業であり
という点が明確にされました
礼拝所はあくまで付帯施設であり、宗教法人ではないため
が基本方針とされています
4.和歌山支部設立の背景
和歌山支部設立の理由として挙げられたのは
などです
特に強調されていたのは、
「外国人を新たに呼び込むためではない」
という点でした
設計・施工には和歌山市内の事業者が関わり
地域との関係性を重視した形で進められています
5.運営と資金の透明性
建設資金
運営資金
6.SNS等で拡散される不安情報について
視察の中で、SNSや書籍で流通するイスラームに関する
ネガティブ情報についても説明がありました
という指摘がありました
特に、路上や公園での集団礼拝については
「本来は例外的状況」であり
施設整備によって回避できるとの説明でした
7.日本の法令・憲法との関係
という整理がなされました
8.火葬・土葬をめぐる議論
イスラームでは遺体を尊重し、火葬を忌避する考えがありますが
それは「復活のため」ではなく、遺体の不可侵性に由来するもの
と説明されました。
土葬墓地については
など、現実的な課題と工夫が紹介されました
一方で、和歌山県内では無住寺院が多いという現状も示され
宗教文化の継承という観点からの問題提起もありました
9.政治・征服・ジハードについて
ゾル氏らは一貫して
であると説明されました
テロ行為との結び付けは誤解であり
もし、世界で20億人のムスリムがテロ行為で
殺人を犯していたら人口が相当減っているはずであること
また、実際に世界で最も犠牲になっているのは
ムスリム自身である、という指摘もありました
10.視察を終えて(所感)
今回の視察を通じて感じたのは
不安の多くは「知らないこと」から生まれているということです
賛成・反対を問わず
この積み重ねが不可欠だと改めて感じました
多文化共生は「無条件の受容」でも「拒絶」でもなく
事実に基づいた冷静な議論と、地域ごとの合意形成が求められます
和歌山市の施設も3月には部分的な使用が始まり
完成すれば内覧会も開催されるとのことなので
まずは、ご自身の五感を使って確かめられることをお勧めします
今後も、市民の声に耳を傾けながら
不安や疑問に一つずつ向き合っていきたいと思います
※補足
本記事は、視察前後に提出した質問と
その回答内容を含めて整理したものです
今後、和歌山での動きについても
必要に応じて情報共有を行って参ります
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