長田 たくや ブログ

なぜ今、南鳥島なのか――中国ショックから始まったレアアース国家戦略

2026/1/13

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
レアアースの試験採掘を開始するとの報道がありました。
参照:レアアースを試験掘削、南鳥島周辺で 地球深部探査船「ちきゅう」が清水港を出航

中国がレアアースを外交カードとして使った2010年。
あの「レアアース・ショック」から、日本は深海資源の研究を続けてきました。
そして2025年、中国の再びの輸出規制とほぼ同時に、南鳥島で試験採掘が始まります。
これは偶然なのか、それとも――。


中国の影響
レアアースは、電子機器、EVや風力発電など現代技術に欠かせない希少金属になります。
参照:レアアースとは?スマホ・電気自動車・再エネを支える希少な金属の正体

2010年、レアアース・ショックが生じました。中国は日本向けレアアース輸出を、前年度に比べて約72%削減しました。あの海上保安庁の船舶衝突事件への報復措置であるという分析もあります。その後、2012年の尖閣諸島の国有化のタイミングを縫って、WTOへの提訴に至り、一応の解決となりました。
参照:RIETI - 2010年レアアース輸出停滞等を振り返って中国を考える

衝突事件との関連について分析している東京大学社会科学研究所のWebページにはこう記載がありました。

またレアメタル備蓄の規模は60日分にすぎず、レアアースを海底に20年分貯蔵しているという話は荒唐無稽と言わざるをえない。ところが、この「海底に20年分貯蔵」説は、中国では様々な新聞やメディアに登場し、レアアース研究で著名な学者までが唱えていて、すっかり定説になってしまっているのである。

このように書かれていたレアアースを今回採りにいくという話です。
参照:2010年のレアアース危機 - エッセイ | 危機対応学

■ レアアースと中国
財務省(リンク)によると以下のように分析されています。
(1)埋蔵量
中国のレアアース埋蔵量は世界第一位で、全体の48.9%を占める。(米国は2.1%)
(2)採掘生産
採掘部門でも中国が全体の69.2%を占める。(米国は2位)
(3)精錬
中国の圧倒的な支配力として、最も着目すべきは精錬能力。中国は世界のレアアース精錬の約9割を担っている。

【精錬の問題】
レアアースの精錬過程では、大量の汚染物質が出てくるため各国での規制が厳しく、中国頼みとなっている現状があるそうです。2010年以降、レアアースの輸入分散などに注力しましたが、それでも依存度を減らすことは簡単ではありませんでした。

引用:海洋資源開発技術プラットフォーム会合資料

中国依存を脱却すべく海底のレアアースについて調査・研究が進みました。
そして2025年4月に中国はまたもや輸出規制が実施されました(リンク

2026年、まるでタイミングが合致するように、南鳥島での試験採掘が実施されます。

■ レアアースが日本の海で採れる
南鳥島は、日本最東端の島で、東京都になります。

2011年、深海泥にレアアースが存在していると論文で発表されています。
日本のEEZ内である南鳥島沖におけるレアアース泥の発見を受けて,深海調査研究船「かいれい」と海洋地球調査船「みらい」を用いた調査研究が東京大学と国立研究開発法人海洋研究開発機構 (JAMSTEC) で開始されました。

南鳥島沖レアアース泥を対象とした初の調査・研究航海 (KR13-02航海) では、当初は海底面下10 mより深くにあると思われていましたが、実は海底面近くに分布していることが確認されたのです。

■ SIPの始動
2014年、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の元、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)が発足しました。様々な分野があり、その一つに海洋資源開発が含まれています。

SIP1期・2期では、海底資源の革新的調査方法について研究されました。第3期では、海洋安全保障プラットフォームの構築が命題とされ、テーマの1つに レアアース生産技術開発 が含まれています。
参照:SIPの概要
参照:海洋産業プラットフォーム会合 : 海洋政策 - 内閣府

そして、今、深海泥の採掘に乗り出したということです。

■ 泥の採取試験は成功していた
2022年のJAMSTEC報告書によると、レアアース泥採鉱装置による水深2,470m海域からの海底採取を成功させています。
参照:JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック

その2年前の2020年には、海底鉱物(コバルトリッチクラスト)の採取を世界で初めて成功させています。
こちらは、いわゆるレアメタルにあたります。
参照:世界初、コバルトリッチクラストの掘削試験に成功[JOGMEC]

一方、レアアースを含む海底泥は、鉱物採掘のようにブルドーザーのように掘り起こすわけにはいかないようで、別系統の技術が必要なようです。

引用:南鳥島EEZ海域でのレアアース泥採鉱システム接続試験の実施について 

ぜひ成功してほしいですね。


資源がない国…と言われている日本ですが、輸入依存=安全保障のリスク と位置付けて技術開発が進んでいるようです。ある意味、中国による圧力がなければ後回しにされていたかもしれません。

大東亜戦争でも 資源 がキーワードでした。
同じ轍を踏まないためにも応援したいです。ただ、現実の大きな問題がコストですね。
SIPへの予算も300億円前後と、おそらく他国に比べたら小さいものと思われます。自動運転技術なども含まれていますが、実用化に向けては大きく遅れているのが現状です。
参照:米ロサンゼルスに行って驚いた!街をAIが席巻、「無人タクシー」が驚異的実力を見せつける

海洋資源開発も世界初となっていますが、他国では海まで行って掘る必要がなかったという側面もあるでしょう。でも、海に関する圧倒的な技術を磨いて、世界をリードしてほしいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
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