2025/1/17
郵政民営化の失敗
郵政民営化の見直しのための法案提出に関する報道です。もはや、郵政民営化が失敗だったことが明らかだと思います。
郵政・郵便の合併案先送り 民営化法改正、自民が素案修正(日本経済新聞ウェブサイト)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO86108980W5A110C2PD0000/
当の米国でさえ郵便事業を民営化していません。日本は「近代郵便の父」前島密氏により3年間で3000の郵便局のネットワークを築き上げました。郵便局が郵便貯金と簡保生命で集めたお金を大蔵省に預け、その中から経費や人件費等が支払われる仕組みで機能していました。しかし、ゆうちょとかんぽの資金が米国に狙われ、両事業が切り離され、外資買収、運用先を変更させられることになりました。
郵政民営化は米国の要求であり、平成6年(1994年)の「対日年次改革要望書(Annual Reform Recommendations)」から始まりました。その狙いは、郵貯と簡保を株式会社として民営化させ、買収して300兆円に達する金融資産(貯金と簡保生命)の運用権限を掌握し、米国の財政赤字や対外債務を補填することにありました(日本財布論)。
小泉政権下で平成17年8月7日に参院で郵政民営化法案が否決、衆院解散選挙となり、平成17年10月に郵政民営化法案が可決しました。平成19年10月から民営化が始まり、郵便会社は日本郵政の子会社として残りますが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は10年以内に(平成29年までに)完全に株式を売却することになりました。
しかし、政権交代後、平成21年12月日本郵政の株式と不動産の売却を停止する法案を可決、平成24年5月に議員立法で「金融2社の株式を2017年(平成29年)までに完全に市場に売却する」という条項を削除し、完全民営化を食い止めました。
民営化後の運用先は、国債から米国債や株式へと大幅に変更されており、ゆうちょでは「外国証券等」86.8兆円(R6.9末)、かんぽでは「外国債券」「外国株式」で5.0兆円(R6.3末)と「ゆうちょマネー」が海外に投資されています。
平成16年時点では、国債発行額(505兆円)の33%(166兆円)を郵便貯金と簡保生命が保有していましたが、令和6年は国債発行額1081兆円のうちゆうちょ44兆円(9末)、かんぽ36兆円(3末)で、7%(80兆円)と大幅に低下しました。
もともとは郵貯や簡保のお金は、大蔵省運用部から国債や地方債、特殊法人の財源等となり、国民から集めたお金が地方経済に還流していました。しかし、財政投融資が廃止され、郵政民営化によって、約80~90兆円が国債から海外投資に回されたことで、国債保有構造が崩れ、地方経済が衰退し、財源不足となり、増税しかなくなる、という流れになります。
現状、政府の日本郵政(親会社)の株式保有は33%、日本郵政による株式保有は郵便が100%、ゆうちょが61.5%、かんぽ生命が49.8%です。
結局、何のための民営化騒動だったのでしょうか。
また、別の問題もあります。近年、郵便のニーズが相対的に低下し、メール、SNS、オンライン上でのやり取りが増加しています。メール、SNS、クラウドなど本来的には官業または国産で行うべき事業です。これを郵便と関連付けるかはともかく、こうした分野が外資に大きくシェアを奪われているのも残念です。
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