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【国旗損壊処罰法案について】日本の国旗を傷つける行為を法律で禁じる国旗損壊処罰法案が、衆議院内...

2026/6/26

【国旗損壊処罰法案について】
日本の国旗を傷つける行為を法律で禁じる国旗損壊処罰法案が、衆議院内閣委員会で、法案を提出した自民、日本維新の会、国民民主、参政の4党だけでなく、チームみらいも賛成して可決されました。
参議院でも上記5党で過半数に達するため、成立の公算が大きいとのことです。

しかし、この法案の2条1項が「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者」を処罰の対象者とし、同条2項が「前項の方法に該当するかどうかの判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うものとする」としていることには、憲法上、大きな問題があります。
「著しく不快又は嫌悪」という感情は人それぞれ異なり、そのような「主観的な感情」、「受け手の感情に依存する事情」を犯罪の構成要件に加えることは極めて抽象的かつ不明確です。
また、「行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行う」とする点についても、その行為時の規範として不明確であり、これらは罪刑法定主義(憲法31条)に反すると言わざるを得ません。
内心の発露である表現を伴う行為に対し、こうした罪刑法定主義に反する不明確な罰則を設けることは、思想良心の自由(憲法19条)や表現の自由(憲法21条)を委縮させる効果もあります。

表現の自由を制限する法律が合憲であるためには、「明白かつ現在の(差し迫った)危険」が存在することや、権利侵害が少ない他の手段によっては立法目的を達成できない(法益を保護することができない)といった厳格な審査が求められます。
「将来的に悪質な行為が広がるかもしれない」という予防的な動機(立法事実)は、憲法上の人権を制限する根拠としては極めて薄弱と言わざるを得ません。法学界や法実務において、このような曖昧な予測に基づく人権制限は慎重であるべきとされてきた経緯があります。

これに対し、外国の国旗を傷つける行為は刑法92条(外国国章損壊罪)で処罰されるのに、自国の国旗を守る法律がないのは不均衡だとの議論も見られました。
しかし、刑罰法規の保護法益は具体的かつ客観的に認識可能な利益である必要があるところ、外国国章損壊罪は「外国との国交親善・外交関係の保護」という具体的な保護法益があるのに対し、日本国旗の損壊処罰は「国家の威信」や「国民感情」といった抽象的なものに留まり、同列に論じることはできません。

この法案が成立した後、実際に罰則を適用しようとすれば、弁護側から法律自体の違憲・無効を主張され、かつ裁判所がそのように判断する可能性が十分にあるため、公訴権を持つ検察官にとっても非常に扱いにくい法律となる(その結果、死文化する)のではないかと思います。

国家的な課題が山積する中、今なぜ国会で違憲の疑いの濃い国旗損壊処罰法案を議論し成立させる必要があるのか、理解に苦しみます。

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著者

三雲 たかまさ

三雲 たかまさ

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