2025/6/21
「少子化」対策について
この都議選でも、「少子化」対策が争点のひとつとなっています。人口をめぐる議論というのは人間についての議論です。子どもを持つかどうかは、生殖に関する選択権は個人、そしてカップルが決めることです。
しかし、日本では、政治家が先頭に立って、女性は産む機械といってみたり、政治も行政もメディアも女性に産んでくれとプレッシャーを与える、産ませる圧力によって個人の基本的人権を侵害する議論が続けられてきました。
こうした点にたいして、東京都の認識をただした論戦を紹介します。
* * *
2023年11月16日・総務委員会
◯米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
少子化対策の推進に向けた論点整理、それに基づく都の取組について伺います。
この間、政府も都も、少子化対策は高い位置づけの取組となっています。人口をめぐる議論というのは人間についての議論です。そして、子供を持つかどうかは、生殖に関する選択権は個人、そしてカップルが決めることです。いかに人権を削り取るような議論にしないか、個人の決定権を、女性が子供を持つかどうか、子供の数、出産間隔を自由かつ責任を持って決める、基本的人権を尊重する立場での施策となるかということが重要です。
しかし、日本では、政治家が先頭に立って、女性は産む機械といってみたり、政治も行政もメディアも女性に産んでくれとプレッシャーを与える、産ませる圧力によって個人の基本的人権を侵害する議論が続けられてきました。
小池知事も去年十二月、都議会所信表明で、人口は国家の最も基本的な要素、このまま少子化が続きますと国力そのものが先細っていくことを懸念せざるを得ませんと述べました。もはや一人一人の人間の話でもなく、人が数の問題として語られていると。これは重大だと思っています。
国際的には、国連は、権利こそが鍵だと繰り返し各国に呼びかけております。
まず、少子化の議論を進めるに当たり、都は、少子化対策と人権との関係をどのように整理していますか。
◯小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
◯米倉委員 個人の意思決定に基づくものという認識は確認をしました。それは大切だと思います。
ただ、人口減少の議論の中で、シングルで生きていらっしゃる方や性的マイノリティーの人たちの生き方が軽んじられたり尊重されないということになるのは、あってはならないことです。
そもそも都は、この多様な生き方を応援するという立場には立っているのか確認します。
◯小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
◯米倉委員 多様な価値観や考えを尊重しながら取り組んでいるということなんですが、それでしたら、そこだけはっきり答えていただけたらよかったんですね。
そもそも、社会には多様な生き方があります。結婚を望まない人も、また、結婚は望んでも子供は望まない人もいます。血のつながりのない親子もいます。望んでも結婚や出産が実現しない人がいます。それぞれの生き方に喜びも困難もあります。それぞれの生き方が応援される社会である必要があります。
ところが、都は実際には、結婚、妊娠、出産、子育てをする一つの生き方のパターンだけを切れ目なく支援するといっています。少子化の議論は、大前提としてそれぞれの生き方が応援される、尊重されるということが確認されるべきですのに、論点整理にもそのことは書いていませんし、ご答弁もすっきりしないということなんです。
望む人への支援というのが本当に空虚に聞こえるんですね。一つの生き方を都が推奨しているように見えます。これでは都民の人権に関わる事態になりかねないと思います。
国際的な到達点に基づいて伺っていきます。
世界人口白書二〇二三、毎年出ています、ここには、人口動態のデータに対してどのような問いを設定するかが極めて重要だと指摘をしています。人が多過ぎるのか少な過ぎるのかを問うのではなく、人々、特に女性や少女、そして最も疎外された人々が、生殖に関する自己決定権を行使できているのかを問うべきです、人々は出生に関する目標を実現できているのか、そうでない場合、それはなぜか、人々の生殖に関する権利は守られ、尊厳を持って平等な暮らしができているのか、こうした問いは政策立案者にとって、人が多いか少ないかという大きな概念よりもはるかに有用ですと述べています。重要な指摘で、都の取組のベースとなるべきと思います。
子供を産む産まない、いつ、どのような間隔で、何人産むかを自分で決めることは、とりわけ女性にとって大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス・ライツ、性と生殖に関する健康と権利が最も重視される必要があります。
女性の妊娠、出産に関わる自己決定権を保障することが前提となる必要がありますが、都はどう考えていますか。
◯小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございます。都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
◯米倉委員 個人の意思決定に基づくものであるということで、これは重要です。これはつまり、リプロダクティブ・ヘルス・ライツが前提だということだと思うんですが、どうですか。
◯小松少子化対策担当部長 リプロダクティブ・ヘルスとは、妊娠したい人、したくない人、産む産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人問わず、心身ともに満たされ健康でいられること、また、リプロダクティブ・ライツとは、産むか産まないか、いつ、何人子供を持つか、自分で決める権利と認識をしております。
妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございます。都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
◯米倉委員 今のご説明を聞いていると、意思決定に基づくものだと、リプロダクティブ・ヘルス・ライツのご説明もありましたが、それは同じものというふうに認識をしました。それは重要だと思います。
人口減少の状況は、ジェンダー不平等社会の問題でもあります。国連事務次長の中満泉さん、新聞のインタビューでこういうふうに語っておられます。過去三十年にわたって平均年収が上がっていないこととジェンダー不平等が少子化の大きな原因であることは間違いない、少子化問題は社会の構造的な問題の帰結であって、根本的な問題に対応しなければ、断片的対策では解決しないということだ、国連人口基金の事務局長も、職場や家庭での性差別といった構造的な状況が不本意ながら子供を持つことができない状況をいかに助長してきたかを経験と調査は示しているとして、問題視されるべきは不平等であると述べています。
都の少子化対策について検討する際、ジェンダーの視点では検討があったのか、検討しているならどのような検討だったか、その結果もお示しください。
◯小松少子化対策担当部長 少子化対策に当たっては、望む人誰もが安心して子育てできる環境や希望に合った働き方を選択できる環境を整備する必要があることから、政策検討における課題といたしまして、仕事と子育てを夫婦で無理なく両立できる環境整備や、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方などを整理しております。
◯米倉委員 では、論点整理をつくる際、ジェンダーの専門家から意見は聞いていますか。どんな意見ももらっているか伺います。
◯小松少子化対策担当部長 ジェンダーの専門家から意見は伺っておりませんが、ヒアリングを行った有識者からは、男女格差の解消が出産、結婚に前向きになり、社会の寛容さの広がりにつながっていくといったご意見を頂戴しております
◯米倉委員 ジェンダーの観点については、東京都の少子化対策の論点整理をつくる際には直接の意見は聞いていないということです。女性の人権、自己決定権に関わる問題なのに、ジェンダーの視点で検討がないというのは、これはあり得ないと思います。当事者の権利を侵害することがないようにしようと思いましたら、これは聞かざるを得ないと思います。さらに、人口減少の事態の構造的な問題として捉えるためにも必要だと思います。
例えばですが、国連のさっきご紹介した人口白書二〇二三でも、こういうふうに書いています。出生率が極めて低くなる現象は、女性のキャリアアップが実際には可能であるにもかかわらず、実際には仕事と家庭のどちらかの選択を迫られる国において起こりやすい、職場でのジェンダー不平等、家庭でのジェンダー不平等、勤労者世帯への構造的支援の欠如という三重の足かせは、同様の所得水準にありながら出生率が高い国との比較において少子化が進む国の特徴となっていますと指摘しています。まさに日本の状況だと思います。
この指摘をどう受け止めますか。
◯小松少子化対策担当部長 東京都では、少子化対策の取組といたしまして、有識者ヒアリングやデータ整理などを踏まえまして東京都の少子化対策の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理して検討を進めているところでございます。
◯米倉委員 様々検討されているということなんですが、ジェンダーを含めて社会の構造の問題の結果、今の人口減少が起きているということをちゃんと認識すべきですし、議論の土台にすべきだと申し上げます。 こういう認識が中心に座らない少子化の議論というのは、これは日本の深刻な特徴だと思っています。結局、望む人への支援といいながら、こういうことでは個人の選択を責めるものになっているといわざるを得ないんですね。
この間の国や都の女性に関わる施策や社会で期待をされているものというのは、女性活躍で女性にも働いて輝いてくれと。しかし、男女の賃金格差も男性の長時間労働もそのまま、つまり女性に家庭でのケア労働はこれまでどおり担うことを押しつけたままとなっています。さらに、自己管理もして、三十歳くらいまでに第一子を産んで、無理なら卵子凍結をするという内容ですよね。
やれた人は自己管理に成功した女性ということになって、産まない女性は一層追い詰められる状況になっている、こういう側面があることについてはどう認識していますか。
◯小松少子化対策担当部長 七月に公表いたしました少子化対策の推進に向けた論点整理におきましては、分野ごとに現状の分析、課題の分析をしております。
この中では、職場環境、就労環境の状況といたしまして、男女関係なく働きやすい環境の整備、仕事と育児を両立できる環境整備が必要であるという分析をしておりまして、それを踏まえた政策検討における課題の整理といたしまして、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実や子育てしやすい労働環境の整備の促進、両立できる環境整備といった課題を整理しているところでございます。
◯米倉委員 今申し上げたのは、議論の中心が社会の構造の話になっていないということなんです。断片的にはそういうことは整理されているんですね、それは大事なんですけれど、結局、構造の問題として中心が座っていない、個人の選択の問題になっていますよね、今、議論が。そういうことは、女性を追い詰めるという状況になっています。
これね、本当に三十代、四十代の女性に深く刺さっていますからね。これはもう、少子化の議論というものは、自分を責められているように感じると。子供を産んでいない私は女性として失格だということを当事者にいわせていますからね。子供を望む人への支援といいますが、実際には、無意識なのかどうか知りませんけれども、何重にもこういった女性たちに責任を転嫁しているということを認識すべきだと思います。
都は、論点整理でも、少子化の要因は複合的、最新のデータや知見を基に少子化の背景、要因を丁寧に分析と冒頭で示しています。ジェンダーの観点でこれから検討が必要じゃないですか。解決すべき社会の構造の問題として専門家に意見を聞くべきだと思います。どうですか。
◯小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
本年春に実施をいたしました有識者ヒアリングやデータ、課題等を踏まえ少子化の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理しているところでございますが、先ほどご答弁したような考え方を尊重しながら検討を進めているところでございます。
◯米倉委員 これ、まだ議論している最中ですから、ぜひここを、ちゃんと専門家のご意見を聞いて、よく議論の仕方なんか考えていただきたいと求めておきます。
もう一つなんですが、都の今検討されている内容で心配しているものがあります。来年度予算に向けて子供政策連携室が要求しているものに、少子化の要因分析と対策の効果検証というものがあります。検討状況を伺います。
◯小松少子化対策担当部長 本年春に実施をいたしました有識者ヒアリングやデータ整理などを踏まえまして、少子化の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理いたしました。
また、今後、長期的な視点で対策の効果を検証する仕組みの構築に向けまして、現在、効果を測定する手法等について検討を進めているところでございます。
◯米倉委員 現状や要因を分析していくと、政策課題を整理するということは必要だと思います。ただ、効果を検証する仕組みについて検討するというのは、これ非常に問題ではないかと思っています。
これ、ちょっと伺いたいんですが、この政策は、少子化を克服するのに役立つか役立たないかという効果検証をできるようにしようということでいいんでしょうか。
◯小松少子化対策担当部長 現在検討を進めております効果検証でございますけれども、長期的な視点で少子化対策の効果を検証する仕組みということで検討しておりまして、詳細につきましては現在検討しているところでございます。
◯米倉委員 やっぱり少子化克服に役立つかどうかということだと思うんですね。
そもそも、社会的な構造、福祉や教育の不十分さなどが個人の望む家族計画を妨げてきたわけですよね。それは断片的には述べられている話です。都がやるべきはそれをなくしていくということのはずなんですが、産ませるためにどんな取組をするかということに、そういう施策の立て方をするとなってしまうんじゃないかと思うんです。 世界人口白書では、人口動態に関する強靱性、レジリエンスを実現するためのツールキットというものを示しています。各国が人口問題に対応するために何に取り組めばいいのかという十のポイントが示してあります。ここには、今後の政策対応が人権に及ぼしかねない影響、これを調査すると掲げています。
具体的には、人口操作に焦点を絞った政策は回避すること、そしてその代わりに、生殖に関する権利と選択のさらなる実現が持つ可能性に信頼を置くと示しています。
この指摘をどう受け止めますか。
◯小松少子化対策担当部長 都が進めております少子化対策につきましては、望む人が結婚から妊娠、出産、子育てしやすい社会の実現に向けまして、取組の強化を図るものでございます。
◯米倉委員 都がやろうとしていることは、これは人口操作につながるものであって、権利ベースとはかけ離れていってしまうと思います。本当にやめるべきだと思います。
こういう検討がされる源流には、これまでに都が、「未来の東京」戦略にチーム二・〇七というものを掲げて、人口維持に必要な水準である合計特殊出生率は二・〇七だと、目指す二〇四〇年代の東京の姿として、合計特殊出生率が先進国最高水準の二・〇七となり少子化からの脱却に成功などと掲げてきたことがあると思います。
国連は、出生率目標というのは、国家やコミュニティなど誰かが特権的に決めるものではないと指摘していますし、実際に数値目標が設置されるということは先進国では例外的なことで、あり得ないことです。産む圧力にしかなりません。その点で人口操作につながる効果検証の仕組みをつくるという検討は最悪です。検討の中止を求めます。
私は冒頭から、このテーマというのは個人の人権に密接に関わる問題だと繰り返し話をしてきました。この議論というのは何を中心に置いて議論するかで、あっという間に一人一人の人権を削り取るものになってしまいます。そして大切なことは、個人の家族計画が保障されるために障壁となっている社会の課題を取り除くということに徹するということだと思います。
問題視されるべきは、今私も少しご紹介しましたが、ジェンダー不平等ですとか格差など、やっぱり社会の課題ですよね。都の論点整理で、断片的にですが、そうした、東京では教育費、住宅費に係る負担が重いということなど触れられている、これは必要な議論だと思います。 そういう観点で聞きたいのは、人口減少の事態を受けて、今、都として行っていく議論というのは、どうこの事態を受けて、社会をよりよくしていくかという立場での議論である必要があると思いますが、いかがですか。
◯小松少子化対策担当部長 予想を超える速さで進行する少子化に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、今年度の予算においても、〇一八サポートですとか教育費の負担軽減といった様々な取組をスピード感を持って取り組んでいるところでございます。
◯米倉委員 私、繰り返しいいましたけれど、本当にどういうスタンスで物をいうかって大事ですからね、よく検討してください。
日本財団のこども一万人調査でも、国や社会に望むことのトップというのは教育費の無償化です。東京の高い教育費や住宅費を考えれば、教育の無償化、家賃補助や公営住宅を確保する、こういうことは非常に重要です。これは、この子供連携室との関係、皆さんの立場でではですね、子供の権利をベースに議論すべきことだと思います。
その点で、子供政策連携室に少子化対策を位置づけたのは違和感があるんですが、これはなぜなのか、経緯も含めて伺います。
◯小松少子化対策担当部長 予想を超える速さで進行する少子化に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、今年度予算において対策の強化を図り、スピード感を持って取り組んでおりまして、この取組を都庁全体でさらに推進するため、総合調整機能を担う子供政策連携室に、今年度、少子化対策の担当が設置されたものでございます。
◯米倉委員 もともとは、少子化対策の議論というのは政策企画局などだったと思います。子供政策連携室は、子供の権利を実現することが大切な役割であって、子供を産むかどうかというのは全く別の話ですよね。少子化対策が入ることは、これは違和感しかなくて、子供の人権保障からしてもふさわしくないという意見を申し上げて、質問を終わります。
この記事をシェアする
ヨネクラ ハルナ/38歳/女
ホーム>政党・政治家>米倉 春奈 (ヨネクラ ハルナ)>「少子化」対策についてこの都議選でも、「少子化」対策が争点のひとつとなっています。