自民党都議が、中学校の性教育に介入して攻撃したことをきっかけに、世界の性教育を学び、性教育の必要性を都議会で質問して来ました。
フィンランドに中学校の性教育を視察にも行きました(自費)。その到達点で、二度に渡り、まとまった質疑をしてきました。
2回に分けて議事録を紹介します。
◯米倉委員 私からは、まず初めに、性教育について伺います。
現在、都教育委員会は、性教育の手引の改定作業をしていまして、今月末に新しい手引を発表するとしています。
これまで我が党は、性教育について、現場の教員が子供たちの状況に合わせて創意工夫をしている取り組みを尊重すること、都教育委員会としては国際的な到達点に学び、現場の努力を支援することが重要だと求めてきました。性教育の手引改定に当たって、都教育委員会の基本的な考え方を改めて確認したいと思います。
学校が性教育の授業に取り組むに当たって最も大切なのは、子供たちの状況や学習課題を一番把握している教員が、子供たちの課題に対応した教育ができる環境が保障されているということです。そして、年間を通して子供たちの成長、発達、さらされている情報に対応した取り組みが求められています。その中で、効果的に専門家などと協働していくことが重要です。
ですから、現場の教員が目の前の子供たちの実態に応じた教育を行うことが重要で、そのためにも、都教育委員会は、現場教員の裁量、判断を尊重する立場に立つべきですが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長の権限と責任のもと、指導計画に基づいて全教員の共通認識を図りつつ行う必要があると考えております。
◯米倉委員 ちょっともう一度伺いたいんですけれども、現場の裁量、判断は尊重されるということなんですか。今の答弁、ちょっとよくわかりませんでした。(発言する者あり)ちゃんと答えてください。
◯藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長の権限と責任のもと、指導計画に基づいて全教員の共通認識を図りつつ行う必要があると考えております。
〔「ちゃんと答えてる」と呼び、その他発言する者あり〕
〔傍聴席にて発言する者あり〕
◯米倉委員 いろいろ条件をつけられたわけですけれども、校長先生のリーダーシップですとか(「委員長、不規則発言してるよ、傍聴者」と呼ぶ者あり)、全教員の共通認識のもとということだったんですけれども(「委員長、答えなきゃ理事会だよ」「議事進行かけるよ」と呼び、その他発言する者あり)共通認識のもと取り組めるということです。
子供たちの発達段階というものは、あらかじめ決められた段階があるわけではなく、社会的背景や環境の変化に対応して……(古賀委員「委員長」と呼ぶ)
◯米倉委員 必要なスキルを身につけられるようになることが大切です。(「ちゃんと対応しなきゃだめだってことだよ」「委員長が発言してるときに傍聴者が発言してるじゃないか」と呼ぶ者あり)
◯とや委員長 あなたもしています。
〔古賀委員「議事進行の動議」と呼び、その他発言する者多し〕
◯米倉委員 ちょっと委員の皆さん、お静かにしていただけませんか。〔発言する者多し〕
◯古賀委員 議事進行の動議は一人の提案で出せます。
◯とや委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
◯とや委員長 では、速記を再開してください。
古賀委員から動議が提出されましたが、皆さんにお諮りいたします。
古賀委員の動議について、賛成の方、いかがでしょうか。 〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
◯とや委員長 古賀委員の動議に対して賛成の方、起立をお願いします。
〔賛成者起立〕
◯とや委員長 起立多数となりました。動議は成立しましたので、傍聴者の方はお静かに願います。
以上です。
議事を続けさせていただきます。
(発言する者あり)静かにしてください。
それでは、議事を再開させていただきます。
◯米倉委員 子供たちの発達段階というものは、あらかじめ決められた段階があるわけではなく、社会的背景や環境の変化に対応して、必要なスキルを身につけられるということが大切です。
ところが、この間の都教育委員会の対応は、大綱的基準である学習指導要領から逸脱してはならないとして、学校現場の性教育の取り組みを萎縮させてきたわけです。実際、教育委員会の大半の委員からも、現場を萎縮させないようにという発言が出ております。
子供の実態を把握している教員の取り組みを保障し、むしろ支援する立場で努力するということが求められています。
改めて確認をしますが、学習指導要領を超えた学習を学校は行えるということでよろしいですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長のリーダーシップのもと、全教員が共通認識し、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、児童生徒の発達段階を踏まえ、学習指導要領に示されていない内容を含む指導を行う場合は、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことも必要であるというのが都教育委員会の基本的な考え方でございます。
◯米倉委員 そもそも指導要領というのは、先ほど申し上げましたが、あくまで大綱的なものなのですから、全教員が共通認識がなければ取り組めないということ自体おかしいと思いますが、学校は学習指導要領を超える範囲について取り組めるということです。
校長のリーダーシップなど強調されているんですけれども、そういうことを強調されること自体が現場の先生たちの萎縮につながりかねないというふうに思います。(発言する者あり)
◯米倉委員 性教育の中身の前提なんですけれども、性的指向、性自認、表現の性など、性にかかわる多様性や家族形態の多様性を前提とした学習内容にする必要があると思いますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 各学校においては、学習指導要領を踏まえ、自他を尊重する心の育成や望ましい人間関係づくりなどを、道徳や特別活動を初め全ての教育活動を通して計画的に推進しております。
また、現在改定中の性教育の手引に、人権教育プログラムに掲載されている文部科学省の通知である性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についての内容についても掲載する予定でございます。
◯米倉委員 以前、性教育について質問させていただいたときにも指摘をさせていただいたんですが、改定前の性教育の手引には、異性への関心が高まる、異性への接近欲が強まったりするというふうな記載のみでして、小中高全ての段階で異性愛のみが前提となっています。やっぱり性の多様性が位置づいているとはいえません。
もう一度伺いますが、こうした異性愛を前提とせず、多様性が前提となるべきですが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校における性教育につきましては、一人一人の状況に応じて児童生徒の心情に寄り添い、丁寧に対応することが重要であると考えております。
◯米倉委員 今のご答弁のとおりですと、異性愛のみに限るというような手引とならないということになると思いますので、そういうことでお願いをいたします。
そもそもの性教育の前提として、男女平等ですとか男女共同参画社会を醸成していくものとなることも当然求められています。これまでの手引では、中学校段階では、例えば家庭や社会における期待される役割や、男として、または女として、自己の将来の生き方について考えられるようにするですとか、近年、男女の身体的、心理的違いを無視した平等化を求める傾向が一部に見受けられるが、男性あるいは女性としての特性に基づく指導が重要であるですとか、高校段階でも、男女ともに性の違いによる望ましい役割を理解するというような記載があります。
男女共同参画社会基本法が、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は緊急の課題になっているとうたっているもとで、手引の中身は、やっぱりそれに沿っているというふうには読めません。法の趣旨に沿うものに改めるということを強く求めておきます。
性に関する教育は、年間の学習計画に位置づけて計画的に児童生徒の課題を踏まえた取り組みとすることも重要ですが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、これまでどおり校長のリーダーシップのもと、全体計画や年間指導計画に基づき全教職員が共通認識し、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を発達段階に即して組織的、計画的に指導することでございます。
なお、学習指導要領に示されていない内容を含む指導を行う場合は、保護者の理解、了解を得ながら、個別やグループでの対応を行うことも必要と考えております。
◯米倉委員 性教育の努力で注目をされた秋田県に私も行って直接お話を伺いました。
秋田県は、医師を学校に派遣し、性教育を行う外部講師がメディアでは注目をされました。ですが、実際に県に行ってお話を伺いますと、県として大事だというふうに実践して考えているのは、ステップアップ性に関する指導というものをつくることでして、これは各学年ごとに学習指導、保健指導、生徒指導、つまり、学校での教育活動のあらゆるものを関連させて、中学校、高校の三年間で何を子供たちが獲得できるようにするかという横断的な取り組みだと話をされました。
実際の学校の取り組みを見せていただきました。例えば、ある高校の一年生では、六月に保健で感染症とその予防について取り組みます。七月には性感染症エイズとその予防について授業で学びます。そして同じ七月に、全学年対象に助産師を講師に性教育講座を受け、さらに保健だよりでも性感染症について取り上げるとなっています。六月、七月で体の理解、性感染症の理解などが定着するようにと、そして教科の学びと外部講師、さらに保健だよりも活用するという取り組みとなっています。
ここで重要なのは、養護教諭や保健体育の先生任せにせず、学校全体の取り組みであるということです。だからこそ、外部講師を招く学びでも、その到達点で活用することが深まっているということです。
この取り組みは、秋田県の十代の人工妊娠中絶率が高くなっていたことをきっかけに、県の教育委員会が旗を振って進めたことで全県的な取り組みとなりました。初めのころは教育委員会が年間の計画の提出を求め、同時に教育委員会は、参考になる事例を冊子にまとめて各校に配布し、取り組みを支援してきました。
ここ数年は、各校での年間計画づくりが定着したということで、計画書の提出は求めていないということですが、基本的に教育委員会がやることは、各校の取り組みを紹介したりですとか、研修会を設けることで、現場がやっていることを尊重、支援するということに徹しています。
都としても、学校全体で子供たちの課題に応じて学びが深まり、必要な力が身につくような取り組みとなるよう、学校支援を求めておきます。
手引の改定に当たって、幾つか伺いたいと思います。
今年度、都教育委員会は、外部講師を活用した性教育のモデル授業を五つの中学校で実施しました。モデル授業の目的、そしてまた、この授業を受けた生徒、保護者、教員の反応はどういうものなのか伺います。
◯藤井指導推進担当部長 生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な意思決定や行動選択ができるよう、科学的、専門的な知識を有する産婦人科医の具体的な活用方法等について検証することを目的としており、実施した学校の生徒からは、命のとうとさを実感することができた、教員からは、専門家からの指導はとても貴重だった等の感想が寄せられております。
また、保護者からは、妊娠することの重み、命のとうとさが生徒によく伝わった授業であり、事前に授業の内容について資料に基づいた説明があったことはよい取り組みであったとの感想が寄せられております。
◯米倉委員 今回の性教育の手引作成委員会の議事要旨を私も読みました。モデル授業の実施後の生徒と保護者に対するアンケートでは、授業内容について、今後役に立つと思いますかという質問に対して、九七%の生徒が肯定的な回答をしています。感想では、性と向き合いながら真剣に自分や相手のことを考えていきたいなどがあったと書いています。 モデル授業を参観した方の感想でも、性交、妊娠、中絶、それから緊急避妊薬、人とのかかわりなど、およそ十代が課題としている内容について全て網羅されていたという感想も寄せられています。この到達を広く生かすということは大切だと思います。
そこで、このモデル授業の内容を今後どう生かすのか伺います。
◯藤井指導推進担当部長 来年度は、モデル授業の実施を中学校十校に拡大するとともに、授業内容や保護者の理解、了解を得る方法等についてさらに検証し、その成果を都内全公立学校に周知するなどして、各学校において性教育が適切に行われるよう支援してまいります。
◯米倉委員 モデル授業を拡大するということ自体は大切です。ただ、それでも来年度十校というのは、都内の公立中学校が六百を超えるということを考えても、規模が小さ過ぎると思います。
秋田県では、県の予算で三年に一回は各学校に講師を派遣して、さらに市町村や学校でも独自に取り組みを進めています。希望する学校には外部の専門的な講師を派遣できるよう抜本的な拡充も必要だと思いますので、求めておきます。
外部講師の活用ですが、予算を拡充し、講師も産婦人科医に限らず助産師なども活用すべきですが、どうですか。
◯藤井指導推進担当部長 平成三十年八月に都内全公立中学校等を対象に性教育の実施状況調査を行っております。その調査結果によりますと、助産師を活用している学校は六十三校でございました。
今後、助産師の活用については、学校での実施状況に鑑み検討をしてまいります。
◯米倉委員 助産師の活用を検討していくということです。兄弟姉妹がいない生徒が多くなる中で、赤ちゃんに触れたり抱いたりした経験がほとんどないということが少なくありません。助産師を活用した取り組みでは、実際に赤ちゃんとかかわる機会を設けるなど、単なる知識ではなく、実践的な学びにつながっていると聞いています。早急に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
同時に、教職員が、性教育、包括的な意味での性教育ですけれども、その主体者として学び、成長し、学校が多様性を大切に性を人権として捉えられる場にしていくことも重要です。その支援のためにも、都教育委員会として、学校で性教育を進めていく上での困難や解決したいこと、都教委に支援してほしいことなどのニーズをつかみ、支援していくことが必要と思いますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 来年度は、中学校十校に拡大するとともに公開授業とし、授業後に、参加した教員の情報交換会等を行うなどして、各学校の取り組みを支援してまいります。
◯米倉委員 モデル授業を公開して学べるようにするということは重要です。ただ、そもそも現場の教員がどういうことに困っているか、どんな支援を求めているかと把握することは、やはり別で、必要だと思いますので、取り組みを求めておきます。
同時に、教員自身が専門性を持つ講師と同じような視点を持って、何を大事にして授業を行ったらいいかということを学べる場があることが重要です。外部講師が行った講座の狙い、子供たちの背景を教員が学べる場をつくることが重要ですが、どうやって取り組んでいきますか。
◯藤井指導推進担当部長 来年度は、モデル授業を公開し、授業後に、参加した教員による情報交換会を行うなどして、外部講師によるモデル授業の狙い等について周知してまいります。
また、現在改定中の性教育の手引に掲載予定の指導事例を活用した教員研修の方法等について、各区市町村教育委員会の指導室課長会や保健体育科主任連絡協議会を通じて周知してまいります。
◯米倉委員 モデル授業を参観するのは参考になると思います。ただ、一回の授業で触れられる内容というのは、やっぱり限りがありまして、子供と向き合う教員が最新の科学的な到達点ですとか、性教育の内容ですとか、また科学的な体の仕組み、それを取り巻く社会的な制度だとか、学べる場をつくっていくことはやっぱり重要で、そういう学びがあるからこそのできる教育があると思います。こういう支援を都教育委員会に求めたいと思います。
次に、デートDVの防止教育についてです。
DVは主に、結婚、同居している配偶者やパートナーの間で振るわれる暴力、暴言で、被害者は性暴力を含めた暴力被害だけでなく、人や自分への信頼感、希望や夢、安全な環境を失ってしまう、精神疾患になる場合もある深刻な影響をもたらします。男性が被害者になったり、同性カップル間で起きることもありますが、被害者の多くは女性というのが実態です。
DVは夫婦の間だけでなく、若者の間でも恋愛関係の中でも起きています。デートDVとは、デートをしているときに起きる暴力ではなく、デートをするような関係で起きるDVのことを指していまして、その中身はDVであって、被害の程度が軽いということでは全くありません。
国や東京都など各自治体での調査から、デートDVは多くの若者の間で起きているということがわかっています。二〇一三年の東京都デートDVの被害経験の調査がありますが、そこでは三七%、三人に一人が被害経験があり、二九%は加害経験があると答えています。これは大人だけの問題ではなく、子供の中で起きている問題です。
山形県の調査では、デートDVの被害経験者に初めて暴力を受けたのはいつかと聞いています。調査の結果は、中学生が九%、高校生が三二%、大学生が二八%という状況だとわかりました。学校に通う年齢の子供たちの間でデートDVを経験するという数が相当数に上っているということになります。
こういう実態があるからこそ、若いときからデートDVがあるということを学ぶ、そして、そうしたことをしない、またされないというような繊細な人権意識を持つ人を育てるということが大切です。
同時に、子供たちの周りには、例えば相手を束縛することが愛しているというような恋愛の描き方をしている漫画やアニメもたくさんあふれています。理由をつければ、言葉や力で相手を押さえつけてもいいというような暴力を容認する意識やジェンダーバイアスも容認となります。
デートDVが関係性や価値観の問題だからこそ、男女の対等なパートナーシップや暴力を伴わない人間関係があることを学べる、自分の人間関係を振り返る機会があるということが大切になっています。
そこで伺いたいんですが、生命、人格、人権の尊重という精神からして、デートDV予防の取り組みは学校現場でも重要で、都教育委員会はどういう認識なのか伺いたい。同時に、子供たちの状況についてもどう把握しているのか伺います。
◯宇田指導部長 生徒一人一人が互いの違いを認めつつ、自分を大切にするとともに、他の人の大切さも認める人権尊重の理念を理解することは極めて重要でございます。
こうした考えに基づき、学校では、生徒同士の望ましい人間関係のあり方について、実態を踏まえて、教育活動全体を通して指導しております。
◯米倉委員 生徒の実態を踏まえて指導しているということです。やはり他県、複数の自治体で、中学校、高校生の年齢でどのぐらい被害に遭っているかというのは調査されていて、高いんですね。やっぱりこういう結果からしても、個別に対応する事例が出てきてから対応するということにとどまらない問題だと思います。
実態を踏まえた指導というならば、やはり都教育委員会として実態を把握する必要があると思うんですが、いかがですか。
◯宇田指導部長 デートDVに限らず、学校での生徒の生活指導上の報告を受けております。学校では、その実態を踏まえて、教育活動全体を通して望ましい指導をしております。
◯米倉委員 これは少ない話ではなくて、いろんな調査から相当数に上る話だと思います。ぜひ実態をつかんでいただきたいと思います。
デートDVの支援団体にお話を伺いましたが、実際に起きている被害は深刻です。身体的暴力だけでなく、性交を拒否すると、俺のこと好きじゃないのか、浮気するぞと脅されて性交を強要されたとか、意見をいったら生意気だとか大声でどなられるというような状態が起きています。
私も中学校を卒業したばかりのころに、友達が年上の男性とつき合っていて、実は彼から殴られたりしていたという話を打ち明けられてびっくりしました。私もデートDVといわれるような関係性があると知らずに、殴られるという話を聞くまで、友達カップルの話を聞いても、その関係性に違和感を持てませんでした。大学に進学してからも、クラスメートの恋愛関係の中で同じような話を複数聞きましたが、私を含めて当事者も、どう考えて対応したらいいかわからないというのが率直な状況でした。
デートDVやDVという関係性があること、そうでないお互いを大事にする関係があるということを若いうちに知ることが加害者や被害者を生み出さないことにつながります。十代のカップル間でも相当数起きているという問題ですから、予防教育を広げることや安心して相談できる窓口があることを周知することが必要だと思います。
それで、これまでのデートDV予防のための取り組みがどういうものだったか伺います。
◯宇田指導部長 都立高校では、東京都独自の教科、人間と社会において、よりよい人間関係を築くことや支え合う社会を題材に、グループワークやケーススタディー等を通して、生徒は自他の尊重や思いやり、人間愛等について考えを深め、人間関係を形成する力を身につけています。
また、家庭科の科目、家庭基礎や家庭総合の学習において、男女の平等と相互の協力などについて学んでおります。
さらに、警察等と連携したセーフティー教室及び男女平等参画等にかかわる関係機関やNPO等による講話において、デートDVの定義や、被害者、加害者とならないための事例等を学ぶことを通して、デートDVの未然防止に取り組んでいる学校もございます。
◯米倉委員 さまざま取り組んでいらっしゃるということなんですが、私も実際に教科書を見ましたが、教科書に小さいコラムとして掲載されている程度なんですね。学校によっては、実際に講師を呼んで授業を行う高校もあるということですが、数校だと聞いています。取り組みを大幅にふやして、子供たちが自分の人間関係に照らして考えられるような機会を確保することを求めておきます。
そうした取り組みを拡充するためには、男女共同参画やデートDVの予防啓発などに取り組んできて知見もある生活文化局と連携をして、学校での予防教育を広げることも求められていますが、どう取り組んできているのか、また、今後はどうするのか伺います。
◯宇田指導部長 都立高校におきましては、生活文化局が作成しましたデートDVに関する啓発用カードを生徒に配布し、デートDVの定義や内容、相談窓口等について理解、啓発を図っております。
今後とも、校長連絡会や校長、副校長を対象とした人権教育研究協議会、また生活指導主任連絡会等において周知し、このカードの活用促進を図ってまいります。
◯米倉委員 教員に対する周知に取り組むということです。都立高校では生徒に、生活文化局が作成したカードを配布したということです。私も実物を生活文化局からもらいましたが、こういう、財布に入るようなサイズのカードです。
このカードに書いてあることは、相談窓口があるよということですとか、デートDVというものがありますよというような情報なんですが、やっぱり情報は非常に限られています。ですから、カード活用にとどまらない周知が必要だと思います。
教員に対する周知ですが、デートDVの理解が深まるような資料も活用して、内容が理解されるような取り組みにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
◯宇田指導部長 都立学校におきましては、生活文化局が作成したデートDVを生徒に配布するとともに、人間と社会、また家庭科などにおいて、男女平等、相互の協力などについて学んでおります。
◯米倉委員 埼玉県では、教職員向けにはデートDV防止啓発ハンドブックというものを作成して、県内全ての高等学校に配布するとともに、学校教育関係者を対象に、ハンドブックの活用法を含めた内容の研修会を毎年実施しているということです。やっぱりこれでは情報が少ないんですね。内容が理解されるという取り組みを求めたいと思います。
埼玉県では、デートDVは特別なことではなく誰にでも起こり得る問題だとして、児童生徒への取り組みも行っています。二〇一三年からは、県教育委員会と男女共同参画推進センターが連携し、県立高校でデートDV防止講座を行っています。教育委員会が学校に対して希望を募り、希望した高校には、男女共同参画推進センターから専門家を派遣するそうなんです。
そのほかにも、中学、高校生には、全生徒に、学べるように、わかりやすく絵も対応したパンフレットも配布しています。都としても、こうしたさらなる取り組みを求めておきます。 学校での取り組みを進めるためには、都教育委員会が学校と問題意識を共有し、取り組むための支援をしていくことが重要です。学校とはどう連携、また支援するのか伺います。
◯宇田指導部長 都教育委員会は今後とも、都立高校が警察やNPO等の関係機関や生活文化局と連携し、家庭科や人間と社会、セーフティー教室などの教育活動全体を通して自分と相手を大切にし、人と人とのよりよい関係を築くことができる態度を育むよう指導してまいります。
◯米倉委員 私の地元豊島区では、全ての中学校でデートDVについての授業に取り組んでいます。教員だけでなく、デートDVの被害者支援や加害者更生の支援をしているNPOの講師と、区の男女共同参画センターの相談員が一緒に授業に出席をして、大体授業の一こまか二こまを使って取り組んでいらっしゃいます。
授業を見せていただいたんですけれども、途中で出る生徒の質問も答えながら、恋愛や結婚は素敵なものだよという前提で、相手を大切にする人間関係はどういうものかと話をしていることですとか、また講義の最後に、男女共同参画センターの方が直接、相談窓口というものがあって、秘密は守られるから、困ったときには相談をしてくださいねと伝えていることも大切だなというふうに思いました。
全ての中学校の取り組みになったのはなぜかということで、私も関係者に話を伺いましたが、やっぱり教育委員会の努力でした。教育委員会は校長会に対して、これは人権問題として位置づけたいという働きかけをして、校長先生などの理解を広げて、全校実施に至っています。
授業の内容は、男女共同センターと区の教育委員会、NPOが一年かけて、中学生にふさわしい教材はどういうものかということで、何度もそういう検討を重ねてつくられたと聞きます。教育委員会のイニシアチブと各関係者との連携した取り組みがとても大切だったということです。都としてもこうした努力を進めていただきたいと要望しておきます。
LGBT、性的マイノリティーの児童生徒の学校生活での支援についても伺います。
LGBTは人口の五%から八%といわれていますから、クラスに一人、二人は存在すると考えられています。しかし、多数の生徒と性的指向や性自認が違うということによって、多くの困難に直面しています。 宝塚大学看護学部の日高教授の調査では、十代のLGBTの方のいじめに遭った割合というものは、全体では五八%、男性から女性に性別移行するトランスジェンダーの場合は、何と八六%の方がいじめられたことがあると答えていらっしゃいます。十代の方です。
不登校経験については、LGBT全体で三二%、特にトランスジェンダーでは六割近いということです。
刃物で自分の体を傷つける自傷行為は、十代のLGBTでは、レズビアン、女性のバイセクシュアル、トランスジェンダーでは二人に一人だということです。
自殺念慮は、トータルで六五%のLGBTの方が抱いていると。自殺未遂については一六%で、六人に一人と異常に高い割合だと思います。大変深刻な実態です。
こういう状況について、都教育委員会はどういう認識ですか。
◯宇田指導部長 東京都人権施策推進指針には、性同一性障害者であるために、学齢期にいじめに遭い不登校になったという例や、性同一性障害であることを家族や友人にいえずに悩み、自殺まで考える方がいるといった例などが示されております。
こうしたことを踏まえ、性自認や性的指向に悩む児童生徒について、一人一人の状況に応じて児童生徒の心情等に常に寄り添い、丁寧な対応を行うことが重要であると考えております。
◯米倉委員 実態を踏まえて、児童生徒に寄り添った対応が必要だということです。ただ、今のご答弁ですと、深刻な実態についてという、私、認識を伺ったんですが、性同一性障害についてしかお答えいただいていないんですね。私、紹介しましたが、深刻なのは、ゲイやレズビアン、バイセクシュアルも同じなんです。やっぱりそこを認識した取り組みとしていただきたいと思います。
学校での対応の仕方についてですが、トランスジェンダー、性同一性障害の子供への対応については、医師の診断がなくとも本人の気持ちを尊重した対応がされるということが大切ですが、どういう対応をされていますか。
◯宇田指導部長 学校は、文部科学省の性自認や性的指向にかかわる通知を踏まえ、医療機関を受診して性同一性障害の診断がなされない場合であっても、児童生徒本人やその保護者の意向を踏まえ、支援を行っております。
◯米倉委員 医師の診断にかかわらず本人の気持ちを尊重する対応をしているということを確認しました。
先ほど紹介しましたが、LGBTのいじめ被害や不登校、自殺念慮や自殺未遂などの割合は非常に高くて、学校でも孤立したり、ほかの子供と違う自分が、自分でも自分をそのままでいいと思えない、学ぶことも、それが一定の、当たり前の多様性の一つだということも学べずにいるという状況があります。
ですから、先生がクラスで性の多様性は当たり前だというスタンスで肯定的な情報を折に触れて子供たちに話をして、子供たちの認識にしていくということがLGBTの子供の居場所をつくると思います。また、自分のことをわかってくれる教員が学校にいるんだと子供がわかることも大切です。
そういう観点からは、例えばLGBTに関する副教材を都としてつくることですとか、児童生徒向けの図書を保健室や図書館に配架すること、図書室にLGBTコーナーがあったり、啓発のポスターが掲示されているだとか、当事者である児童生徒への応援メッセージとなるような取り組みというのは、実際、全国でやられています。
こういう取り組みはどう進めていらっしゃるんですか。
◯宇田指導部長 どのような図書を図書室に備えるのか、またどのようなポスター等を掲示するのかについては、校長の責任のもと、各学校でその内容や必要性等を踏まえて判断するべきものであります。
また、性自認や性的指向に悩む児童生徒の中には、自身のそうした状態を周囲に知られたくないという者もいることから、児童生徒一人一人の実態を正確に把握し、丁寧に取り組んでいく必要があると考えております。
◯米倉委員 学校がどういう本を購入するかなどは学校の判断で、当事者にとって丁寧な取り組みにしなきゃいけないというのは当然だと思うんです。
今のご答弁を聞いていますと、一人一人の実態を正確に把握して取り組んでいくというお話で、実際にはカミングアウトしない、できない方がたくさんいらっしゃる中で、そういうふうにいわれると現実的なのかというふうに思います。
やっぱり小学校に入学したときから性の多様性は当たり前だということを子供たちが理解できるような学校づくり、そのための学校への支援というのが大切だと思うんですけれども、いかがですか。
◯宇田指導部長 性自認や性的指向に悩む児童生徒の中には、そうした状態を周囲に知られたくないという子供たちもおります。そうした一人一人の状態を正確に把握し、各学校では校長の責任のもと、どのような学校内の環境整備を行うのか判断するべきものだと考えております。
◯米倉委員 ぜひ学校を支援していただきたいと思います。
東京都の人権条例ができまして、そこで、いかなる差別も許さないという姿勢が明確にされて、啓発と教育を位置づけました。性自認、性的指向を理由とする不当な差別はしてはならないとここでは明確にされています。
この人権条例を受けて、どう学校現場での取り組みを進めていくんでしょうか。
◯宇田指導部長 性自認や性的指向に悩む児童生徒を適切に支援するためには、教員が性自認等について正しい知識を持ち、一人一人に応じた丁寧な対応を行うことが必要であります。
今後とも、条例の趣旨を踏まえ、研修会等を通して、全ての教員が性自認等に悩む児童生徒の相談等にきめ細やかな対応ができるよう支援してまいります。
◯米倉委員 教員の理解を広げるということは重要です。同時に、教員だけでなく、子供たちが理解できるような取り組みが求められています。早期に教員の研修などを計画的に、どの程度の割合の先生に理解を得られるようにしていくだとか、そういうことも必要だと思っています。
それだけでなく、やっぱり授業でどういうふうに取り上げることができれば当事者に配慮した、みんなが理解できるようなプログラムにできるかというような検討も必要な段階だと思っています。
以前も紹介しましたけれども、奈良県では十三の高校で取り組み、授業五十分の一こま、どういうふうにLGBTの理解をその五十分で得られるかという授業プログラム案をつくりまして、実際に十三の高校で取り組んで、子供たちの認識がどういうふうに変わったかという調査を行っています。
たった五十分の授業一回で、偏見や抵抗感を持っていた高校生の四割以上が認識が変わったということがアンケート結果でわかりました。一度だけの取り組みにせず、時間をとって取り組めば、大きく学校内の認識は変わるんだということだと思います。ですから、やっぱり教員だけでなく、子供たちの中でどう認識をつくっていくかということを検討していただきたいと思います。
最後に、制服についても伺います。
都立高校の制服なんですけれども、学校にどういう服を着て通うか、特に公立高校の場合、多様性が尊重されるものである必要があると思います。そして各学校で、どう多様性を尊重した対応をするかということについて、その学校の生徒や保護者、教員で議論を深めていくということが大切だと思います。
同時に、教育委員会としても、例えば今、全国でも既に制服の選択肢を広げるという取り組みがある中で、やっぱりそういう取り組みを広げるというイニシアチブを発揮していただきたいと思っています。
ことしの四月からは、例えば世田谷区でも、制服のカタログに女子用、男子用という記載は載せずに制服を選べるようになりましたし、中野区でも、スカートをはきたくないという小学校六年生の女の子の声を受けて、区内の公立中学校で好きな服を選べる仕組みを順次導入するというふうな流れも起きています。
まず、都立高校での状況を伺いたいと思うんですけれども、都立高校全校のうち、制服や標準服が指定されている学校は幾つあるのか。また、そのうち、スカート、スラックスなど選択できるという対応をしている学校は幾つありますか。
◯江藤都立学校教育部長 平成二十八年度に実施いたしました調査によりますと、都立高等学校等百九十六校中、制服を指定している学校が百六十四校、標準服を設けている学校が十六校でございます。そのうち、スカートとスラックスの選択可能な学校は九十三校でございます。
◯米倉委員 制服や標準服を指定している学校は、百九十六校の都立高校のうち百八十校に上る。つまり九二%の学校で指定があるということです。
そして、女子生徒については、スカート、スラックスを選択できる学校が約半数あるということがわかりましたが、こういう選択ができるというのは女性のみということです。
こうしたスカート、スラックスを選択できるなどの対応をしている学校はどういう考え方で取り組んでいらっしゃいますか。
◯江藤都立学校教育部長 スカートとスラックスが選択できるなどの措置を講じている学校は、主に防寒や活動のしやすさへの配慮から、生徒が主体的に選択できるよう対応しております。
◯米倉委員 女子はスカートのみでは防寒、活動のしやすさの点があるということで選択肢が広がったということです。
これはもっと広がる必要があると思うんですけれども、都教育委員会としてはどうお考えですか。
◯江藤都立学校教育部長 制服や標準服の指定及び品目の選定は、学校経営の一環として各学校長の判断により実施されております。
また、制服や標準服につきましては、生徒、保護者の経済的負担への配慮や販売会社との調整等が必要でございます。
そのため、制服や標準服の見直しにつきましては、各都立学校において、こうした実情や社会的状況等を十分考慮して行うよう指導しているところでございます。
◯米倉委員 制服で男女に分けられることや、どちらかの制服を着ざるを得ないということに苦痛を感じて都立高校に進学できなかったという声は実際に上がっています。また、制服を女子用、男子用という選び方ではなく、複数の選択肢から本人の希望で選べるような配慮というものは必要だと思います。
早期に学校との連携や支援をして取り組むことが必要だと思いますが、いかがですか。
◯江藤都立学校教育部長 各都立学校では、制服の着用につきましては、文部科学省通知、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等についてを踏まえ、生徒本人が自認する性別に十分配慮した対応を行っております。
◯米倉委員 生徒本人の気持ちに十分配慮した対応ということなんですが、自分の気持ちに合う落ちつく服を着るために性別違和をカミングアウトしなくてはならないということになると思うんですね。それは本人に十分に配慮しているとはいえないと思うんですが、いかがですか。
◯江藤都立学校教育部長 生徒本人が自認する性別、その自分の自認する性別に合った制服に関して十分聞き取りをして、また、そこで十分本人の気持ちを理解する、そういう対応を学校がとっていくべきだと考えております。
◯米倉委員 十分に聞き取りをしてということは、つまりカミングアウト前提なんです。やっぱりそこが当事者に配慮した対応というふうにならないと思うんですね。(発言する者あり)
◯米倉委員 やっぱりここは検討していただきたいと思います。
北九州の市の教育委員会では、動きやすさ、寒さ対策だけでなく、やっぱりこういう性的マイノリティーの方への対応も考えて、そういう課題に対応するために公立中学校の生徒保護者アンケートを行って、女性のスラックス導入だけでなく、今までの学校の制服はそのままにして、市として共通した標準服の導入、検討を行っています。どちらの服を着たいかということは本人の希望に任せるそうです。
例えば女子生徒の場合で、スカートをはきたくない、ズボンがいいというときに、セーラー服だったらなかなかそれは厳しいわけですよね。やっぱりこういう北九州市のような対応というのは、学ぶところがあるというふうに思います。制服の選択肢によって、子供が学校から排除されるというような状況にならないよう取り組みを求めておきます。