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米倉 春奈 ブログ

性教育についての都議会質疑(その1)

2025/6/21

 自民党都議が、中学校の性教育に介入して攻撃したことをきっかけに、世界の性教育を学び、性教育の必要性を都議会で質問して来ました。
 フィンランドに中学校の性教育を視察にも行きました(自費)。その到達点で、二度に渡り、まとまった質疑をしてきました。
2回に分けて議事録を紹介します。
* * *
2018年9月18日・文教委員会
◯米倉委員 私からも、学校における性教育への政治家の介入をやめ、性教育の発展を求めることに関する陳情について伺います。
 日本でも今、池川委員の発言でもありましたけれども、子供にとって必要な性教育は何かと。国際的な水準を参考にしながら、また今日的な課題でもあるSOGIなどについて、子供の幸せにとって、どんな性教育が必要なのかという立場での真剣な議論が必要だと思います。
 それで今、日本と世界の性教育はどういう到達点にあるのか、私もこの間、勉強させていただきました。今、そもそも日本では、性教育といいましても、月経、射精、思春期の体の変化などの範囲でイメージされがちですが、国際的には性の捉え方というものは、これまでの狭い捉え方からこれが広がって、九〇年代の早い時期から包括的性教育、セクシュアリティー教育の推進が取り組まれております。
 具体的にこのセクシュアリティーとは何かといいますと、ユネスコのセクシュアリティー教育ガイダンスでは、セクシュアリティーは、人間の生涯にわたる基本的な要素であり、それは身体的、心理的、精神的、文化的、経済的、政治的な側面を持つものであること、そして、セクシュアリティーはジェンダーとの関連なしには理解できないこと、多様性はセクシュアリティーの基本であると示しています。
 また、性の権利宣言では、性の権利、すなわちセクシュアルライツとは、あらゆる人間が生まれながらにして有する自由、尊厳、平等に基づく普遍的人権であるとし、全ての社会があらゆる手段を講じてセクシュアルライツを認識し、推奨し、尊重し、擁護しなければならないとして、その上で性教育を受けることは権利だとうたわれています。
 つまりセクシュアリティーとは、人権の根幹にかかわる問題であり、人格の形成に欠かせない問題となっています。
 そうした中でユネスコは二〇〇九年に、世界中で行われてきたこのセクシュアリティー教育について、どういう効果を上げているかという世界中の八十七の研究をもとにして、エビデンスに基づき、効果的であると判断をするプログラムで構成をする国際セクシュアリティー教育ガイダンスをつくりました。これは、各国が五歳から子供の発達段階に即した学校でのセクシュアリティー教育のプログラムを実践する際に、手助けとなることを目的につくられたものです。
 国際的には、このガイダンスがつくられた同じ二〇〇九年段階で、EUでは、二十六カ国中二十カ国で性教育が義務化されていますし、またEUも、その二年後の二〇一一年に、ゼロ歳からを対象にしたセクシュアリティー教育スタンダードを作成し、セクシュアリティー教育の推進を進めています。それまで性教育がおくれていた中国、台湾、韓国などでも、ユネスコのこのガイダンスの発行を受けて取り組みの水準を引き上げるという流れが今、行われております。
 しかし、そうした東アジアの変化に乗れずにいるのが日本と北朝鮮ということが国際的な状況だと指摘をされている状況です。
 それで今、こうした中で、日本はどういう状況かといいますと、性教育の制度的な基盤がないどころか、二〇〇〇年代の国会や都議会での性教育バッシングによって、性教育の現場での努力が潰され、性教育に取り組みにくい状況が広がったままになっています。真剣にこれからセクシュアリティー教育を豊かにしていくために、都教委の取り組みや学校現場への支援が必要だと思います。そのためにも、まずは国際的な研究やセクシュアリティー教育の実践に学ぶことは非常に重要だと考えます。
 そこで、まず初めに、都教委は人間の性をどういう範囲で捉えていらっしゃるのか確認をしたいと思います。
 現在の性教育の手引の高等学校編の七ページには、基礎的な考え方として、人間の性の基本的な捉え方について、セクシュアリティーの概念について説明が記載されております。その内容を少し紹介しますと、まさに国際的にはセクシュアリティーが性教育において最も重要な概念として提唱されていること、また、セクシュアリティーとは、人間の感情、思想、行為などの構造体系全てにかかわるもので、一方で社会に影響を与え、一方で社会から影響を受けているものだと説明をしています。
 確認をしますが、都教委もこの手引に記載されているように、性の捉え方はセクシュアリティーのこの考え方だという認識でいいでしょうか。
◯藤井指導推進担当部長 ご指摘の箇所は、主に有識者の見解を掲載しているものではございますが、都教育委員会として、人間の性の基本的な捉え方については変更はしておりません。
◯米倉委員 このページ、有識者の見解だけではなくて、図解もして説明されているんですね。人間の性の基本的な捉え方は手引に示すとおりだということは重要だと思います。しかし、だとするならば、大幅な取り組みの拡充が必要だと思います。
 ユネスコのガイダンスやヨーロッパの教育スタンダードのカリキュラムを読みますと、本当にセクシュアリティー教育の範囲の広さに驚きます。六つの柱を立てて、それを五歳から十八歳以上のそれぞれの年齢層でどのようなことを学習するのかを示しているものですが、例えば大きな柱の一つ目は人間関係についてです。その柱の中にも、家族はどういうものか、友情とは、敬意とはどういうものなのか、それぞれにテーマがあり、それぞれについて年齢に応じて系統的な学びを進めていくとなっています。
 例えば、この大きな一つ目の柱である人間関係の中の、その中のある複数のテーマの一つである家族についての各年齢の学習目標を紹介したいと思います。
 五歳から八歳の学習目標は、家族の意味を知ること、世界には二人親の家族、ひとり親、世帯主が子供の家族、拡大家族などさまざまな種類の家族があること、家族のメンバーは、時にそうしたくなかったり、できないこともあるが、たくさんの方法で互いに助け合うこと、ジェンダーの不平等は家族のメンバー間の役割などに反映されることが多いことなどについて学びます。
 その次の段階の九歳から十二歳の学習目標は、家族内でジェンダー平等を推進することができるということ、家族は子供たちが価値観を身につけるのを助けるし、彼らの人格に影響を与えることもあるということも学びます。
 そして、十二歳から十五歳の段階では、子供は成長するにつれて、子供たちの世界や愛情は家族を超えて広がり、友達や仲間が特に重要になること、成長することは自分自身や他者に対して責任を持つことだということ、親子間での対立や誤解は前期思春期にはよくあることで、大抵解決できるということについてです。
 十五歳から十八歳の段階では、家族のメンバーが妊娠したり性的指向を打ち明けたときに、家族にどういう影響が起こり得るかということ、また危機的な状況では家族が頼ることができる支援の仕組みがあること、家族が互いに敬意を持って支え合えば危機を乗り越えることもできるということが記されています。
 年齢と発達に応じて、それぞれのテーマで学びを積み上げていくというものになっています。こうした積み重ねの学びを、これは一つの柱の中の一つのトピックを紹介しましたけれども、ほかの柱でもそれぞれに、年齢に応じて学びを積み重ねています。
 概要を紹介しますと、ほかの柱では、例えば価値観とはそもそもどういうものか、また自分と異なる価値観に対して寛容さと敬意を持つことが必要であること、また、コミュニケーションとはどういう種類のものがあるのか、効果的なコミュニケーションとそうでないものがあること、自己主張と交渉のスキルが望ましくない性的圧力に対抗するのに役立つこと、そしてジェンダーの意味、そしてジェンダー不平等が少年と少女、男性と女性にどう押しつけられているのか、男性と女性の体の仕組み、性と生殖に関する器官の仕組み、こうしたそれぞれのテーマで積み重ねて学んでいくのが国際的に示されているセクシュアリティー教育の内容で、これまでのイメージする性教育とはほど遠く、豊かな内容となっています。
 個人が自分の体や価値観、判断を大切にしながらも、他者と効果的なコミュニケーションをとり、良好な人間関係を結び、パートナーと性的な関係を結ぶのかどうか、性的関係を結ぶ場合にもお互いの気持ちや健康を大事にすること、そして家族や子供を持つかどうか決めていく、一人一人が自立して自分らしく生きていくための力をつけるのがセクシュアリティー教育の中身となっています。こうした到達点に学ぶことは多いと考えます。
 そこで伺いますが、都教委はこのユネスコのセクシュアリティー教育ガイダンスや、ヨーロッパにおけるセクシュアリティー教育スタンダードなどの国際的な性教育の状況を認識、把握していらっしゃるのか、またその内容や視点をどう認識しているのか、伺います。
◯藤井指導推進担当部長 ご指摘のガイダンス等は、さまざまな文化、社会、宗教などを背景とした諸外国における性教育の状況等について紹介されていると認識しております。
 日本の学校における性教育については、日本の文化、社会等を踏まえた学習指導要領に基づき、人格の完成を目指す教育の一環として指導が行われております。
◯米倉委員 ガイダンスについて認識されているということは重要で、そうであるならば、その到達点に学んで取り組むことが重要だと思います。
 実は、私はこの夏に自費でフィンランドに行ってまいりました。フィンランドは世界的にも性教育の進んでいる国で、中学校三年間の性教育の平均時間は、フィンランドは日本の二倍である約十八時間が確保されています。私は公立学校の十四歳、十五歳、日本に当たる中学二、三年生の保健で、まさに性教育の授業を見てまいりました。思春期の心と体の動き、子づくりがテーマで、具体的な避妊についても授業で習いました。
 まず、この授業の概要を報告というか話をさせていただきますと、教科書やドキュメンタリーのテレビ番組などを使いながら、思春期の変化について生徒と先生で考えます。第二次性徴を迎えて、相手にさわりたい欲求が出てくること、それは、男性が女性に対してだったり、男性が男性に対してだったり、女性が男性に対してだったり、女性が女性に対してなど、いろんなあり方があることを先生は話をします。
 そういう話をした上で、具体的な性交までの心づもりについても話します。メディアではいろんな宣伝があるけれども、身体的な安全を考えたら、十六歳までセックスは控えた方がいいこと、それと同時に、そもそも一生セックスしない人もいて、絶対にしなきゃいけないというものではないこと、アルコールを飲んでいるときは普通の状態ではないからセックスは控えること、避妊はお互いの責任であることも伝えます。大人の小説では、出会って二回目に性交するという話もあるけれども、みんながそうじゃないということも話します。
 そして、教科書と、学校に常駐するスクールナースが用意してくれた、かばんに避妊具一式が入っているセットがあるんですけれども、そのセットのかばんを使って、コンドームやピルなど、どこで幾らくらいで手に入れられるのか、どういう特徴があってという話を、実物を見せながら説明をします。避妊に失敗したときには七十二時間以内なら薬局で売っている薬を飲めば大丈夫だということも伝えます。
 コンドームのつけ方は、男性器の模型に実際に説明をしながらつけ方を教えます。性についての授業を子供たちは積み重ねているので、子供たちもどんどん質問します。コンドームは、はさみであけてもいいんですか、わざわざつけなくても早く出せばいいんじゃないですかという質問に、前回の授業で精子は幾つあるって話をしたかなと。射精の前から精子は出ているから、それでは避妊にならないんだと先生が返します。 女子生徒からは、私はピルを飲んでいますという発言が出て、先生はそれに答えて、ピルは思春期ににきびがたくさんでき過ぎたり、生理が重くてつらい症状を軽くしたり、旅行に生理が重なってほしくないときにも効果的なんだと説明を加えます。
 クラスを見ていて、子供たちが性についての質問や自分の考えを恥ずかしがったり、嫌らしいものとして話していないのが印象的で、体の発達や性について科学的な学びを積み重ねていることや、子供の疑問に対して大人がごまかさずに正面から答えているからこそ、こういう授業ができるんだろうと感じました。
 また、こういう内容は、外部の専門家の力もかりることはあるものの、基本的には学校の先生が子供の生活実態をつかんだ上でやるので、ここのテーマはじっくり学んで議論した方がいいという場合になると、授業のこまをふやして対応するということもやっていまして、学校教員の役割は非常に大きいということも感じました。
 移民の多い地区で、ある学校で、子供の母語は二十六言語に上る中、イスラム教徒の生徒もいましたけれども、同じように性教育を受けていました。家庭では一切、性の話ができないけれども、性教育の授業を何度も受ける中でなれていったんだと先生は話していました。
 ヨーロッパや中央アジアでは、移民の背景を持つ若者などが社会的な不利益を受け、貧しい教育しか受けられず、社会の中で性感染症などのハイリスクグループとなる中で、どの国でも一定水準のセクシュアリティー教育が受けられるようにと取り組みが進められています。日本でもグローバル化が進む中で、さまざまな宗教やバックグラウンドを持つ方がふえているからこそ、積極的な性教育が必要になっていると指摘をしておきます。
 その上で、日本の性教育についてですが、やはり子供たちの実態や疑問から出発したものとなることが重要ですし、その内容は、ただ漠然とテーマをさらうというものではなく、具体的に子供にどういう力を身につけさせるのかということを重視した内容となることが求められていると思います。
 例えば性感染症を扱う場合、どんな性感染症があるのか、性交で感染するという中身にとどまらず、実際に子供たちが性感染症にかからないようにするためには、例えば性交渉に慎重になることや、正しくコンドームを使えるようになることなどが不可欠になります。そうした具体的な獲得目標を持った取り組みにすることが大切だと思います。
 ですから、性教育の手引では、性教育は、いつ、どういう力がつけられるようにするのか、課題を重視したものとなることが大事だと思いますけれども、見解を伺います。
◯藤井指導推進担当部長 全ての児童生徒に、系統的に網羅的につくられております学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、児童生徒の発達段階や実態に応じて適切な指導が行われるよう、手引を作成してまいります。
◯米倉委員 いつ、どういう力が身につけられるようにするのかということを、大事にしているのかどうかという認識を私は伺いたいので、今のお答えですと、ちょっとわかりにくかったので、もう一度お答えください。
◯藤井指導推進担当部長 児童生徒の発達段階や実態に応じて適切な指導が行われるよう、手引を作成してまいります。
◯米倉委員 実態に応じて適切な指導、対応していくというときに、結局、目の前の子供たちがどういう力を身につけられるようにするかということが非常に重要になっていくと思います。とりわけ子供の体の安全や健康を考えたときに大事になると思います。
 例えば、中高生の性がテーマになったNHKのウワサの保護者会では、彼から性交を求められて断れなかったという高校三年生が出てきました。性教育の授業で習ったとき、私は絶対断る側の人間だと思っていたけれどもちゃんと断れなかった、行為を拒むことで気持ちを拒むような感じがするから、断り方がわからなかったと話していました。
 その後、彼が性教育を受けたことで、彼女に対して、あのとき断り切れなかったんじゃないかと、無理をさせてしまったんではないかということで切り出してくれたという話が紹介されました。もっと早い時期に性教育を受けられていたら、男の子も、また彼女の気持ちを確認できたかもしれません。
 ユネスコのガイダンスでも強調していますが、若者が望まない性交や無防備な性交を引き起こしやすい特定の場面はどういう状況なのかを見きわめて、そうした状況を避けたり脱出する方法を教えることが重要だと強調しています。
 望まない性的活動を断るスキルをつけるために、こういうシチュエーションで自分ならどう行動できるかと授業でロールプレーイングを取り入れたり、積極的に生徒にディスカッションや考える時間をとるなどして、自分のこととして考える機会をつくっていくことが重要だと思います。
 次に、性教育は地域による特徴など、子供の実態に合わせた学習となることが重要だと思いますが、都の認識を伺います。
◯藤井指導推進担当部長 全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、性情報の氾濫等の実情や児童生徒の発達段階と実態を踏まえ、保護者の理解、了解を得て、個別やグループでの指導を実施していくことが重要であると考えております。
◯米倉委員 地域や子供の実態を踏まえた学習となることが重要だと思います。
 例えば、都内では、JKビジネスなど、高校生くらいの女性を性的サービスや搾取に使う業界が全国的にも突出して東京は大きい状態となっています。実態に即した学習ができるように求めておきます。
 ジェンダーギャップ指数が世界百十四位で過去最低を更新する中、ジェンダー不平等を改善していく上で、学校教育が重要になっていると思います。ところが、日本性教育協会が行った調査では、中高大学生の男女にアンケートを行っていますが、その中で、男性は女性をリードするべきだという質問に対して、大学生でそう思うと答えたのが二割を切る一方で、中学生の約三割がそう思うと答えていることや、また、男の子は男らしく、女の子は女らしくあるべきだという質問に対しても、大学生の男子が九%、女子が三%に対して、中学生では、そうあるべきだと答える割合が男子で二七%、女子も一六%と若くなるほど大幅にふえている実態があります。
 性教育の手引では、中学生で男女の生き方の多様性について理解するとともに、家庭や社会における期待される役割や、男として、また女として自己の将来の生き方について考えられるようにするという記載ですとか、また高校生についても、男女ともに性の違いによる望ましい役割を認識するとともに、人間としてのあり方、生き方を重視した認識を持てるようにするなどの記載がありますが、これでは男らしさ、女らしさを強調していることになるんじゃないですか。
 ジェンダーステレオタイプの再生産につながるような不要な男女の区別で、らしさを強化しないことや、らしさが社会によって異なることを子供が理解できるような内容とすることが重要と考えますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、東京都男女平等参画基本条例に基づき、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具現化を図るための教育を推進しております。
◯米倉委員 性による望ましい役割を押しつけることは、現代社会で求められている男女平等や男女共同参画社会の理念から大きく外れるものです。条例に基づき、固定的な性役割に偏ることなく、個性豊かな人間として発達することを手助けする内容にすることを求めておきます。 
 LGBTについても伺います。
 今、LGBTという言葉は、LGBTの人々を一つのカテゴリーとしてくくるため、その人が特別、特異な存在という印象を持たれる心配があり、新たにSOGIという言葉が使われ始めています。SOGIとは、全ての人が持っている性的指向、好きになる相手の性、そして、性自認、自分は男だと思うか、女だと思うかを示す言葉です。
 そもそもセクシュアリティーは多様性が前提ですから、SOGI理解を深めること自体が性教育です。きょうの最初の質問で、都教委は性の考え方の基本はセクシュアリティーの概念だと確認をさせていただきました。だとするならば、多様性が前提となる性教育となることは当然です。
 第三回定例会には人権条例案が提案される予定ですが、条例の中には、都、都民、事業者は、性自認や性的指向を理由とする不当な差別はしてはならないことが位置づけられ、そのために、都は、啓発、教育を総合的に実施していくことが求められています。都教委が改定する性教育の手引は、人権条例が可決する場合に、当然それに基づく内容とすることが求められると思いますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 本都議会定例会に上程される東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を可決いただけた場合、性教育の手引がその条例を踏まえた内容となるよう検討してまいります。
◯米倉委員 条例を踏まえた内容としていくというお答えです。
 そうなりますと、今の性教育の手引を見たときに、異性愛が前提となるような内容は、異性愛者以外の存在を無視することになります。教育の中で人権侵害を起こさないためにも、性的指向は必ずしも異性に向くとは限らないということを前提としたものとする必要があると思いますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校においては、児童生徒一人一人の心情や保護者の意向に寄り添いながら指導することが重要であると考えております。
◯米倉委員 一人一人に対応するということは、それはそれで重要なんですけれども、条例案に照らしても、そもそも教育の中身自体が異性愛が前提となることを改める必要があると思います。ですから、やはり手引にしても、必ずしも性的指向が異性に向くとは限らないということを前提にすべきだと思うんですが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 学校においては、児童生徒一人一人の心情や保護者の意向に沿いながら指導することがまずは重要と考えております。
◯米倉委員 条例を踏まえた内容になるように検討していくというさっきの答弁からして、はっきりお答えくださらないというのは、ちょっと疑問に感じます。
 同性愛の場合は、自分が好きになるのが同性なのかなと認識をし出すのは十三歳くらいといわれているそうです。そういう時期に自分の性についてきちんと学べることは重要ですし、当事者への個別対応で済まされて終わるわけにいきません。そもそも性は多様であるということが前提ですから、そうした前提の手引、性教育となることが必要だと述べておきます。
 そのためにも、LGBTについて授業などで扱う上では教員の理解が重要で、研修の機会があることが大事だと思います。LGBTについての教員研修は教員全体、また管理職のどの程度の割合が受けているのか、伺います。
◯藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、毎年、全公立学校の学校管理職等を対象とした人権教育研究協議会を開催しており、協議会の開催の趣旨説明を行う際、東京都人権施策推進指針に示された人権課題の一つとして、性的指向や性別違和に関する内容について必ず取り上げ、教員が正しい理解と認識を深めることができるよう指導助言を行っております。
 また、本協議会は、各回ごとに外部講師を招聘し、さまざまな人権課題を重点的に取り上げております。その中で、性的指向や性別違和に関する専門家を講師として招聘した協議会等では、過去五年間において、校長、園長千百六十五名、副校長、副園長千九十九名、主幹教諭、指導教諭等千百六十四名、区市町村の指導主事等百八十三名が参加しております。
 これらの協議会等を踏まえ、さらに各区市町村教育委員会では、人権教育担当者の研修を実施したり、各学校での校内研修を実施しておりますが、全体の割合については把握しておりません。
◯米倉委員 全体像で見ますと、約二千五百校のうち研修を受けた校長、園長先生が千百六十五名、副校長、副園長先生は千九十九名ということです。
 都として頑張っている面が大いにあるとは思いますけれども、やはり早期に管理職は全て研修を受けるような体制をつくっていただきたいと思いますし、教員全体で、主幹教諭などが千百六十四名というお話がありましたが、全体の教員の数からすると本当にわずかだと思います。やっぱりこれは、校内で教員の理解や共通認識をつくることが、LGBT対応ができるようにするには重要ですので、さらなる取り組みの拡大を求めておきます。
 私も専門家の方々からお話を伺っていて、今、何がこの対応で求められているかということなどを伺ってまいりました。やはり教員研修が重要だということで、その中でもとりわけ、校内での取り組みを行う上では、校長先生の理解だとか管理職の理解が必要だと。ですから、管理職でのこの研修というものを早く進めてほしいとお声をいただいています。
 そうした中で、学校内に複数のLGBTについての理解を持つ教員が生まれる中で、学内の対応だとか研修が実際にできるだろうというふうに伺っていますので、さらなる取り組みを求めておきます。
 同時に、この次の段階を考えたときに、やはり教員が子供に授業など、また、さまざまな機会を捉えてLGBTについて取り扱うということがあると思います。その際に手助けとなるような事例集などを都教委が作成することは必要だと思いますが、いかがですか。
◯藤井指導推進担当部長 各学校においては、学習指導要領を踏まえ、自他を尊重する心の育成や望ましい人間関係づくりなどについて、道徳や特別活動を初め、全ての教育活動を通して計画的に人権教育を推進しております。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、各学校において人権教育が適切に行われるよう指導助言をしてまいります。
◯米倉委員 今、都教育委員会は、教員や区市町村の教育委員会の人権担当者の研修に取り組んでいるところなんだとは思いますけれども、やはり次は、各学校でどう取り組んでいくかということが問われます。 
 奈良県では、高校生にLGBTについての授業を一こま行ったら、授業の前にLGBTについてネガティブに思っていた生徒の約半分が、認識を変えたということが報告されています。学校での取り上げ方は、配慮がなければ逆に当事者を傷つけてしまうこともありますが、適切な取り組みができれば大きな効果につながります。
 都教委も、学校の実践を応援する立場で、これからこの課題に取り組む学校がどういう支援を求めているのか聞き取って、それに応えていただきたいと思いますし、その一つとして、どういうふうに子供たちに伝えていくかという事例集などもつくっていただけたら、現場の力になると思います。
 今、埼玉県や徳島県、倉敷市、宝塚市などでは、そういう取り組みが既に始まっていると聞いております。都教委としても、そうしたイニシアチブをとっていただきたいと求めておきます。
 学校における性教育を発展させてほしいという陳情ですが、やはり学校が試行錯誤しながら意欲的に取り組んでいることに対し、都教育委員会が指導と称してそれを一方的に抑えつけるようなことは厳に慎むべきです。各学校が、子供たちの状況や社会環境の変化も踏まえ、国際的な到達にも学びながら、それぞれの教育を発展充実させられるよう、都教委としてもその立場で学校を応援していただくことを求めて、そして、陳情の採択を求めて、質問を終わります。

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著者

米倉 春奈

米倉 春奈

選挙 東京都議会議員選挙 (2025/06/22) [当選] 22,179 票
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肩書 東京都議会議員(3期)
党派・会派 日本共産党
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