2026/6/29

加古川市長選でも、駅前再開発のあり方(行政主導か、民間主導か)が大きな議論を呼んでいますね。都市の心臓部をどうデザインするかは、自治体の未来を左右する極めて重要なテーマです。
この議論を見ていて、改めて私たちの神戸市が現在進めている「都心部の建築規制(タワーマンション建設制限)」について、財政的な視点から少し解説しておきたいと思います。
三宮などの都心一等地でタワーマンションを規制することに対し、「建設を認めたほうが、固定資産税収がすぐに増えて財政が潤うのでは?」という疑問の声をいただくことがあります。確かに短期的な税収増だけを見れば、そうした側面もあるかもしれません。
しかし、久元市政が打ち出しているこの規制には、神戸の「中長期的な財政」を強固にするための合理的な理由があります。
① 「稼ぐ力」を持つ商業・オフィス空間の確保
都心の一等地を住宅(マンション)にしてしまうと、将来にわたってその土地を商業施設や企業誘致の受け皿として活用することが非常に困難になります。オフィスや商業施設が集積すれば、固定資産税だけでなく法人市民税や安定した雇用が生み出され、都市全体を持続的に潤す「稼ぐエンジン」となります。
② 行政コスト(インフラ負担)の最適化
都心部に急激に人口が集中すると、学校の教室不足など、新たな行政コスト(インフラ整備費)が局地的に発生します。一方で郊外(ニュータウン等)では空き家や施設余剰が進むという、アンバランスな状態を招きかねません。都心は「働く・楽しむ・集う」場所として価値を高め、居住は周辺エリアを含めてバランスよく配置するほうが、市全体の財政効率は圧倒的に良くなります。
③ 権利関係の細分化による「次世代の再開発」の停滞を防ぐ
大規模マンションは区分所有者が数百人に上るため、数十年後に建物の老朽化が進んだ際、建て替えなどの合意形成が極めて困難になります。これは全国の都市が直面している課題です。都心を「商業・業務エリア」として維持することは、環境や社会の変化に対応しながら、次世代に向けてまちを柔軟にアップデートしていくためのリスク管理でもあります。
目の前の税収増(カンフル剤)を急ぐのではなく、時間がかかっても「都市の骨格」を正しく整え、持続可能な財政基盤をつくる。これこそが、神戸市が取り組んでいる建築規制の本来の姿です。
神戸の都心再開発は今まさに過渡期にあります。生みの苦しみや先行投資は伴いますが、この方針が10年後、20年後の神戸の強い財政と活力を支えると、私は確信しています。皆さんは、これからの神戸の駅前空間にどのような風景を期待しますか?
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