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【視察】①「暦」にまつわる月と日と生命のこと(井戸理恵子さま)

2026/05/23

お元気ですか?荒川区議の大月です。

月の満ち欠け ChatGPTより

月の暦と職人の知恵に学ぶ「いのちのリズム」

■新月伐採との出会いと科学的証明

 NPO法人「新月の木国際協会」は、発足から20数年にわたり、月の満ち欠けと自然界のサイクルに関する検証を続けてきました。きっかけは、ヨーロッパの職人の伝承をまとめた本の中に「冬の新月期に伐採した木材は、腐りにくく、シロアリやカビにも強い最高品質の建材になる」という記述を見つけたことです。

 当時、日本の建築業界では木材に防腐剤や防火剤を注入するのが常識であり、「新月の木」という伝承は半ば迷信のように扱われていました。しかし、自分たちの目で確かめるべく、水木の木を用いた観察実験を開始。京都大学の田辺名誉教授(当時・助教授)の協力を得て、顕微鏡で木の成分を調べました。

 その結果は驚くべきものでした。満月の時期に切った木には虫の栄養源となる「デンプン」が黒々と大量に残っていたのに対し、新月の時期に切った木からはデンプンがほぼきれいに消えていたのです。冬の新月期、木は水分と栄養を根に落とし、成長を止めて深く眠りにつきます。科学的なデータが、先人の伝承の正しさを証明した瞬間でした。同様のバイリズムは植物全般に言えることであり、実際に満月前に収穫したお米は、常温に置くとコクゾウムシが湧きやすくカビだらけになりますが、新月(旧暦の二十日過ぎ)の頃に収穫したお米は美しく保存できます。冷蔵庫のなかった時代、先人たちはこの自然のタイミングに真摯に向き合っていたのです。

■職人の身体性と「100年後の未来」を見つめるものづくり

伝統的な職人の精神や技の中には、現代人が忘れてしまった日本の豊かな文化が今も息づいています。 日本の古い道具は、人間の自然な身体性と完璧に調和するように作られています。例えば、薬師寺の西塔を建てた際に使われた巨大なノコギリ「大鋸(おが)」があります。力自慢の若い大工がどれだけ力任せに引いても全く刃が立ちませんが、まだ身体に不自然な力みが染みついていない2、3歳の子供に持たせると、スーッと吸い込まれるように木が切れてしまうのです。日本の鋸は「引く」ことで機能し、職人は腰を落として体幹で道具を扱います。道具に生かされる(化される)ことで、身体に負担なく最高の仕事ができる仕組みが、伝統技術には備わっています。

 また、職人たちは決して「今」だけを見ていません。「黄砂が吹く日にカンナをかけると、10年後、20年後に木肌が荒れるから今日は仕事をしない」という独自の拘りや、「この木はお塩(シオジ)だから、できたては緑っぽくても、100年経てば素晴らしい琥珀色になる。だから相性の良い楓(カエデ)を組み合わせよう」といった知恵があります。100年後の未来に生きる人たちが、その建物や家具を見たときに「またこれを作りたい」と復元を志すような、時を超えるものづくりに彼らは命をかけているのです。

【続く】

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