
インターネット選挙運動解禁を目指して1年前から活動してきたOne Voice Campaignの4回目になるイベントが衆議院第一議員会館で行われた。会場は満員で、補助椅子も出されるほどの盛況だった。
今回は「インターネットは政治を変えていくのか」というタイトルのもと、インターネット選挙から少し広げて議論を行うことも考えられたが、ちょうど自民・公明・維新によるインターネット選挙解禁法案が衆議院に提出されるタイミングと重なり、与野党協議会のメンバーが出席したこともあり、ほぼネット解禁の議論に終始した。

「ネット選挙解禁は大賛成。むしろ『やっとか』というくらい」(夏野剛(株)ドワンゴ取締役)というように、本来であれば2005年の郵政選挙、そして2009年の政権交代後に速やかに解禁されていたはずのネット選挙は、昨年暮れの自民党政権復帰直後の安倍首相による「次の参議院選挙までに解禁する」というメッセージでやっと現実的なものとなった。

「政治活動と選挙運動が区切られているために、選挙が始まると急停止しなければならない」(平井卓也議員)というように、ネット選挙解禁は新しいことではなく公示・告示日にそれまで発信してきたことを止めてしまわなければならないという「不自然さの解消」である。それを拒んできたのは、「議員間のデジタルデバイド」(平井卓也議員)問題が大きく、平井議員はとにかく法案を通して、その後に出てくるであろう細々した問題は、ネット選挙解禁後に対応していけば良いとの考えである。そのために、与野党協議会も法案可決をもって解散するのではなく、継続していくという。
自・公・維案に対抗して、メールも有料バナー広告もほぼ制約を取り外す案を出す民主党とみんなの党も、今年の参院選から解禁するという方針は変わらない。「有権者だけが制限を受けるのはおかしい」(松田公太議員)、「選挙は立候補者や政党だけのものではなく、有権者のものである」(鈴木寛議員)というのは正論であり、平井議員も「できれば制約は付けたくない」と言っている。まだ多くの「隠れ反対派」がいる自民党内をまとめるには、現在の法案が限度なのだろう。平井議員の苦悩がかいま見えるが、同時に「何としてもまとめ上げる」という意思も感じることができる。

選挙プランナーの三浦博史氏は「『選挙比較ドットコム』みたいなものを立ち上げて欲しい」と言っていたが、それはまさに『ザ選挙』の発展形であると言える。そこがスルーされてしまったのは残念だったが、「ちゃんとした議論の場が欲しい」(ハリス鈴木恵美氏)、「政策イシューごとのネットでの有権者と国会議員とのやり取りがほしい」(遠山清彦議員)や「ITリテラシーの教育も必要」「ネットの問題は不注意がきっかけとなっている」(江戸浩樹氏)といった声を拾っていくと、ネット選挙解禁をきっかけにIT企業やネットユーザーができることが見えてくる。「アメリカの事例をそのまま日本に持ち込んでもいけない。日本には日本の『作法』がある」「炎上をおそれず、細かなスキルを積み重ねていく事が重要」(大谷広太氏)と、解禁後の進め方も提案された。

公選法としてみると、そのものを変えなければならないという意見も根強い。「公職選挙法そのものの見直しにつなげていってもらいたい」(夏野剛氏)、「今後、公選法の設計のコンセプトを変えたい」(鈴木寛議員)。

ネット選挙解禁後に必ず問題になる政見放送に関しては、「政見放送も一般的に比較できるようにしてほしい」(三浦博史氏)というように、今後はネットに場が移ることが予想される。

自公・維新案にも民主・みんな案にも賛成しない共産党は、「選挙期間中の有料ネット広告はお金持ちが有利になるので反対」「第三者に企業団体が含まれるのは良くない」(佐々木憲昭議員)と、党としての基本スタンスから一貫した主張をしていたが、ネット選挙解禁に関しては他党と思いを同じにしている。
今回のイベントで、もっとも共感を得た発言は、これだったかもしれない。「争点はマスコミが作っているんです」(鈴木寛議員)。多くが思っていながら、なかなか公の場では政治家自ら口に出せなかったことをハッキリと発言したので、ニコニコ動画のコメントも沸き立ったのではないだろうか。

ネット選挙解禁はほぼ間違いないものとなった。しかし、まだネガティブな意見が残っていることも事実であり、解禁後に後退する危険も残されている。そこを前に進めるのは立候補者であり、政党・政治団体であり、そして有権者(ネットユーザー)なのだということを実感できたイベントだった。
ネット選挙解禁法案は、これから審議に入り、今月中の成立を目指す。
(『ザ選挙』編集長 高橋茂)
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