昨日(9月5日)、衆議院議員会館において、8党の衆参両院議員参加の「原発ゼロの会」主催による「第15回国会エネルギー調査会準備会」が開かれた。


司会の近藤昭一衆議院議員(民主党)の紹介で、まず事務局の阿部知子衆議院議員(社民党)から本日の開会趣旨の説明が次のようになされた。
「この会は今年3月下旬の発足から今日まで、原発ゼロに向けての具体法を詰めてきた。その原発ゼロ推進法には、原子炉を危険な順に解体・廃炉にする事、再処理をゼロにする事、そして原発のある自治体である立地自治体で暮らしている、あるいはそこで働いている皆さんが次のステップに進めるような支援策を模索する事が含まれている。今日は、会の後半で原発ゼロを明言されている7人の首長の方々に広く話を聞きたいと思う。」

会の内容は、前半は「再処理の問題」について行政との質疑応答、後半は「脱原発首長会議との意見交換」と題し、それぞれの首長による原発ゼロへの具体的取り組み事例と意見を聞くという、2部で構成された。
■「再処理」に対する行政側の恣意的な資料に叱責の声
まず資源エネルギー庁、経済産業省から「再処理等に関する費用について」、「使用済燃料の直接処分について」等の配布資料について説明が行われた。原発の使用済燃料を再利用する「再処理」を今年度に中止すると、電力会社が蓄えた「再処理積立金」約2.7兆円では、0.9兆円が足りない試算になり、再処理を継続する場合でも追加投資が必要であるというのが主な内容だ。

これに対し、河野太郎衆議院議員(自民党)から「六ケ所再処理工場の建設費用は0.7兆円で出発したのが、2.2兆円もかかったのは日本原燃の経営の失敗であり、最終的な損失は電力会社が引き受けるべき。再処理を止める止めないという話とは、一切関係ない。」
「資料にある六ケ所再処理工場の建物、設備の廃止措置費用の1.51兆円も、あの時点で解体すれば良かったものを、試験(運転)をやりますと言って結局汚染してしまったからこうなった。日本原燃、電力会社はそれを分かってやっていた。だからそれぞれが処理すべき問題。これをまさか国民に費用転嫁させるつもりじゃないでしょうね。」
「再処理を止めると費用がかかりますという詭弁を未だに言っている資源エネルギー庁というのは、あれだけの事故が起こったにもかかわらず、まだ原子力村から手が切れていないと言わざるを得ない。」と声を荒げた。
「再処理して出てくるプルトニウムをどうするか、これを燃やしたらまた処理が必要ですよね。そこの話はどこにも書かれていない。今、45トンのプルトニウムをどうするか、という目処も全くたっていない。それについて、この資料では何もふれていない。」
「直接処分云々より、使用済核燃料をプールの形で置いておくと、ああいうふうになるんだから、ドライキャストの保存条件の明確化、かなり長期的な中間貯蔵の概念を決めていかないといけない。そろそろ、もたなくなってくる。」と続けた。
さらに「経済産業省と資源エネルギー庁が今やるべきは、止まりそうな原発を必死に伸ばす、原発ゼロシナリオを必死に防ぐことじゃない。もう少し真面目に取り組む、そういう姿勢を国民に見せることだ。今、あなたたちに対する国民の信用はゼロだ。」と厳しい声が響いた。

原子力資料情報室共同代表の伴英幸氏からは、提示資料について次の二つの意見が述べられた。
「まず費用に関することだが、事業評価をする必要がある事。日本原燃が事実上破綻状態になっている。資料は、止めるといくらお金がかかるという内容になっているが、じゃあ止めなければ、この先もっとお金がかかるでしょう。二つ目は、青森県知事が使用済み燃料を持って帰れというから原発が止まるんだという話になっているが、これは違うと思う。国策が大きく変わるのだから、政府が責任を持って知事を説得する必要がある。実際に持って帰ったら青森県は税収が大きく減っていくから困ると思う。だから一定期間貯蔵するなり、そういう方向にもっていくように交渉する事が、国策を変えていくことになると考える。」
阿部議員はそれに続けて「企業の負うべき責任もあると思う。国民に対して、だめだった分も払ってもらって、これからの部分もこんなに費用がかかるんだよという提示では、ひどすぎる。事業評価と事業者が負うべき責任、この2つを盛り込んで評価しなおしてほしい。」と述べた。

更に河野議員から官僚に対して「ここに出ている費用というのは、日本原撚が払うんだよね?まさか国民に負担しろとか言わないよね?日本原燃が建てた建物であり、日本原燃の建物を解体するんだから、当然、費用はすべて日本原撚が払うんだよね?株式会社なんだから。」という怒声が飛び、官僚が黙りこむ場面がしばらく続いた。
氏は続けて「再処理した部分のプルトニウムについては入っていないよね?直接処分はプルトニウムが入った状態だが、再処理はプルトニウムが入っていない状態であって、そのふたつを比較しても意味がない。再処理をしたのち、さらにプルトニウムが最終的に全部処分されましたという状態と比較しなくちゃ議論にならない。自分たちにとって都合のいい比較をやっている時代はもう終わったんだ。」と、重ねて叱責の声をあげた。
司会の近藤議員からは「部分的なところだけを取り上げた、恣意的な資料に感じる。今、何を議論しなくちゃならないのか考えてほしい。3.11以降、不安を持っている国民が、本当に知りたい資料を出してきてほしい。」
阿部議員は「国民的論議の中には、この再処理の問題は殆ど知らされていないので、国民に分かる形で問題点が提示されるようにしていきたい。」と結んだ。
■原発ゼロに向けて「国に物申す」自治体首長たち
まず原発ゼロの会について、阿部議員から簡単な発足説明があった。
「国会の中には、エネルギー問題を論ずる場は一切ない。国会議員はエネルギー政策には口を出せないようになっている。3.11以降も一切ない。これに危機感を持って、ゼロの会で始めたのが、今日の国会エネルギー調査会だ。」
「3.11以降、エネルギーの主権者は国民であり、より住民に近い自治体の首長の皆さんの意見と、国会でやってることがきちんと呼応しているかどうかが大事だと思っているので、このような場を設定した。」
次に「ゼロの会」の世話人から、次のような挨拶があった。
近藤昭一衆議院議員(民主党)
「原発事故は、万が一の場合は人の遺伝子まで傷つける。一刻も早く脱原発を目指したい。自治体の皆さんも色々とご苦労もあったと思うので教えていただきたい。」
河野太郎衆議院議員(自民党)「(先ほど)しゃべりすぎました。」
笠井亮衆議院議員(共産党)
「国民の過半数が原発ゼロを望んでいる事が明らかになったわけで、政府にいまこそ決断させるべき。」

山内康一衆議院議員(みんなの党)
「原発ゼロで必ず問題になる、立地自治体の財政、雇用をどうするのかという点、これをクリアにする法案をわれわれも考えてきた。皆さんの声をぜひ聞きたい。」


対して、「脱原発をめざす首長会」事務局長の上原公子氏から、まず会の成り立ちについての説明があった。
「今年の4月に発足し、68基礎自治体の首長によって主に構成されている。立地自治体の“立地”というのはどこに限るのか、という事ではなく、ある意味で日本全国に影響があるのだから、すべての自治体が立地自治体と同等の意識を持ってほしいという事、さらに、もう国に任せておけない、という思いで、この会を設立した。」
次に、出席した首長から、今現在の考え、具体的な事例紹介がなされた。
東海村長・村上達也氏は、「国民は2030年ゼロを選択し、民意は既に決まっている。これに対して政府はどのようにそれを目指していくのか。

しかしながら本日の民主党の素案は何も言っていない。2050年前半にはゼロになります、という言い方はどうなのか。ゼロにしますといわなきゃいけない状況でしょう。
「安全基準、立地基準についても明確にしなくてはならない。しかし現実には、政府は決断ができないし、方針が明示できない。すべて先送りだ。」
「原発の立地地域というのは過疎地域というが、何もなかったわけじゃない。産業はあったけれど、原発が来たおかげで、何もかも根絶やしにされた。経済的に原発に依存しなきゃやっていかれなくなっただけ。」等と意見を発した。

世田谷区長・保坂展人氏は次のように述べた。
「消費地域である世田谷区の取り組みとして、福島の事故に関しては、区民に声がけをして物件を出してもらいながら、応急仮設住宅というフレームで、約400人を受け入れている。また世田谷区の親たちから声があがって、福島の子供たちに春休み夏休みに来てもらいたいということで、“リフレッシュin世田谷”という試みを行った。」
「先ほどの行政からの資料は、作為的に原発は止められないという内容になっているが、これに対抗するために、消費地である東京としてはエネルギー転換で実績を作っていくべく工夫をしてきた。具体的に世田谷区では、太陽光発電利用、また大口のみならず一般区民でも東電以外からの電力供給を可能にできるようにしていくなど、消費の側から選択権を行使していきたい。」

湖西市長・三上元氏の主な主張は次の通り。
「まず原発労働者の事を言いたい。下請けに次ぐ下請けで、誰が働いているのかわからないという構造で、事故が起きないはずがないと思う。原発労働者の品質管理がなっていない。次に、経済界は、原発は危険であるとうすうす感づいていて、でも安いっていうからやろうかな、と思ってきてしまった。でも、実は高いということに若い人は気が付いている。安価と言うけれど、それは発電までのコストだけで、背後のコスト、つまり10万年をこえる保管コスト、事故が起きたときの保障のコストが入っていないデータに、だまされちゃいけない。それから再稼働するなら保険をかけてほしい。国が亡びるようなことを原子力程度のことでやるなんで馬鹿げている。」
「送電と発電の分離を早くやってほしい。発電所は全部売り飛ばせ。国が推進したんだから、原子力発電所は国が買ってくれ。その金がないんだったら政府紙幣を発行して買えばいい。」

生駒市長・山下真氏は次のように述べた。
「関西電力の管内として節電対策についての一例を紹介したい。全国初の取り組みとして、役所の職員に一斉に夏休みをとってもらい、平日閉庁を行った結果、電力使用量は平成22年を100%として昨年は76.8%、今年は68.9%の節電になった。事前の周知徹底で、市民も理解してくれた。また自宅クーラー使用を抑制する一環として市営プールなどを無料開放した。」
「民主党の素案の中で、2015年までに具体策を詰めるというが、その頃には民主党が政権を取っていない可能性も充分あり、これは単なる問題先送り。怒りを感じる。原発の廃炉に伴うコストを誰がどう負担するのか、これは避けて通れない問題なので議論願いたい。」

伊勢市長・鈴木健一氏の主な発言は次の通り。
「今後、地震が起こった際、地方自治体では原子力発電や放射能の専門家を配置していない。われわれが対応できるのか。逃げるしかないのではと思う。また地震が発生した際の放射能のハザードマップなどを作れないか。さらに医療機器、放射能の測定器などについても準備してほしい。」
「石炭から石油エネルギー転換で自治体が破たんしたという夕張の事例に学びたい。」
「責任を取る取るというが、政権交代したときに責任はとれない。法的根拠としてそこを整備できるのか。」

愛荘町長・村西俊雄氏の主な発言は次の通り。
「うちは、敦賀原発から約50km、スピーディーの予測でいけば事故が起これば丸かぶりの町。もし事故が起これば琵琶湖が放射能汚染され、2千万人の京阪神の人々が、水を飲めなくなる。」
「先日、政府から、防災の基本法見直しの説明会があった。3.11の教訓をいれたと感心したのだが、よくみると原発災害の事が書いていない。なぜ入っていないかと聞いたら、原発は人災だからと言うんですね。この法案は天然災害が対象だからという。とんでもない話だ。」
「原発再稼働について、総理大臣や地元自治体の首長だけで決めることではない。これは国会で決めることなのか。これは国民が決めるべきことなのではないか。国民投票をするべきなのではないか。」

鹿島台町長・鹿野文永氏は、元町長という立場から「応援していきたい」として「東北の女川を再稼働をさせてはいけない。これは日本人として世界に訴えていくべきことだ。」と述べた。
事務局長の上原氏は最後に次のように述べた。
「去年の震災後2ケ月くらいに、復興という名前で政府から大きなお金が出るということを目当てに、大きな計画を立てたりしているところがある。本当の復興とは、補助金待ちではいけない。経済的自立への決意を持たないといけないと思う。」
阿部議員は、「ゼロの会」として明日発表する予定の「原子力発電施設等の廃止に伴う周辺地域の振興に関する法律案(仮称)骨子」に、本日の首長の意見も盛り込んでいきたいと述べた。

最後に田村智子参議院議員(共産党)から、「原発ゼロを現実のものにするために、立地自治体の首長の方々と本気で考えていきたいと思っている。良い機会を得た。」と述べ、富士通総研主任研究員の高橋洋氏は「方向性として原発ゼロにするのは不可逆。原理的な対立を越えて、具体策を考えていく必要がある。電力会社の経営問題、今日のテーマでもある立地地域の財政をどうしていくのか、この2つの具体策がないといけないと思う。」と述べて、会は終了した。

※ビデオ(一部)は近いうちにアップします
文責 横内陽子
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします