【衆院選2026】兵庫8区に名乗りを挙げたのは?すべての始まりは埼玉14区だった!注目ポイントを山本期日前氏が解説!
2026/01/23
6月26日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、自由民主党の大野敬太郎衆院議員をゲストにお迎え!自民党の経済安全保障推進本部の本部長を務め、安全保障政策に詳しい大野氏に安保3文書改定の提言についての自民党の考え方を伺います。非核三原則の実情、そして「次世代の動力の活用」の文言に込めた安全保障への危機感とは?MCの政治ジャーナリスト・今野忍記者が深掘り取材します。
MC今野記者:今回も、例えば防衛費、非核三原則、核共有、潜水艦、そして新しい戦い方であるAI・無人、この5つぐらいが自民党案と日本維新の会案の違いとしてあると思っています。別に自民案と維新案を比べて、どちらが良い悪いと言うつもりはないのですが、これらを並べた方が分かりやすいかと思います。
というのも、維新の案はある程度、自民党の中のどちらかといえば積極的な人たちに近い感覚の案です。自民党案は、例えば非核三原則の「持ち込ませず」の見直しなど、高市(早苗)総理が総理総裁になる前は結構おっしゃっていたので、今回入ってくるのかなと思ったら抑えられていました。やはり自民党は長年の政権与党の知恵なのか、最終的に出してくるものは結構落ち着いた内容になっていると思います。
大野氏:そうですね。ざっくりと「知恵だから書いていない」ということよりは、一つひとつの項目ごとに、書いていない背景が結構違いますよね。例えば、今おっしゃった非核三原則でいえば「持たず、作らず、持ち込ませず」ですが、「もっと核兵器を持つべきではないか」と言う人も一部にはいます。しかし、実は「持たず、作らず」の部分は土台としていじれないわけですよ。変えるべきでもないですし。
MC今野記者:NPT(核兵器不拡散条約)という、世界との枠組みがありますからね。
大野氏:そうです。それを変えたら世界から完全に孤立して進むのかという話になりますし、そもそも実際にやるとしても、絶対に追いつかないですから。1年に10発やそこら作ったところで、何百発何千発も持っている人たちを相手にするわけですから。
MC今野記者:米は5000発の世界ですよね。中国が600発くらい。
大野氏:ですから追いつかないんです。もうそればかりに注力するような国になるなら別ですが、それは土台無理です。
そうすると「持ち込ませず」の部分ですが、これもいわゆる「共有」などの議論があります。ただ、基本的に「持ち込ませず」というのは、実はNPTのような制度的な担保というよりは、外交公文でピン留めされているものです。それが「事前協議」ですよね。ですから事前協議において、ある程度委ねられている部分があります。これまではずっと昔から「そこではノーと言います」ということになっていたのですが、これは小泉(進次郎)防衛大臣も最近言っていますが、民主党政権の時に方針転換されています。あの時に、「いやいや、緊急事態になったような危機的な状況の時は、全く持ち込ませないというわけではない」と。つまり、あり得るという政策判断をしたわけです。爾来、日本政府はそれを踏襲しているので、実は「持ち込ませず」の部分は、政治的な理念としてはまだ残っていますが、じゃあ実際に不可能なのかというと、そういった形で担保されています。そういう意味では基本的には上位の判断、高度な判断、つまり総理の判断や政府の判断において、持ち込むことが制度的に不可能ではない状況です。
MC今野記者:事実上、できてはいるんですよね。当時の民主党の岡田克也代表(当時、外務大臣)は「時の政権が命運をかけて判断する」とおっしゃっていました。仮にそういう有事で、例えばアメリカの戦略核を搭載した原子力潜水艦が入港するような時は、時の政府が命運をかけて判断しますともう言っているんですよね。
大野氏:そうなんです。ですから我々としては、その部分においてあえて「持ち込ませるんだ」というような論争を巻き起こす必要があるのですか、ということになりますよね。ただ、原子力潜水艦なんかはちょっと違いますよね。
MC今野記者:非核三原則は分かりました。ただ、ちょっと確認ですが、そもそも非核三原則とは何なのか、一般の方にはよく分かっていない人もいて、法律なのか、それとも閣議決定の国会決議なのか、どちらになりますか。
大野氏:非核三原則というのは、昔、核についてかなりの議論が行われた際に、政治の意思として核の扱いについては「持たず、作らず、持ち込ませず」という三原則が一応決まったということなのですが、別に法律でも何でもありません。ただ一方で、先ほども言いましたが「持たず、作らず」というのは、一応NPTという国際的な管理のレジームがあり、そこで縛られているということでした。
MC今野記者:佐藤榮作政権下の1967年ですね。「作らず、持たず、持ち込ませず」と。これはだから、何と言えばいいんでしょうか。
大野氏:そうですね。決意ですね。で、これで国会答弁の中で繰り返し繰り返し確認されてきたことです。
MC今野記者:別に閣議決定しているとか、そういうものではないんですよね。ただ、まあ国是というか、一つの指針にはなっているんですよね。ただ、それももう岡田さんの答弁によって、必ずしも絶対視されるものではないというものになっています。
それで、さっきその続きとして出たのが原子力潜水艦ですね。これは前提としておくと、日本維新の会は「早急に原子力潜水艦を導入すべき」というのが、今回の提言に入っています。それに対して自民党案は「『次世代の動力の活用』を速やかに検討」ということで、「原子力潜水艦」という言葉は使っていません。この次世代の動力というのは原子力潜水艦のことなのか、それとももっと違う最新の蓄電池なのか何なのか。
大野氏:これは何の文章かというと、自民党と維新の連立合意文書の文言をそのままここにほぼ引っ張ってきている状態です。基本的には、この「次世代の動力」の中に原子力潜水艦は入り得る、という風にご理解いただいて結構です。すなわち、先ほどの非核三原則の話もそうなのですが、安全保障環境というのはやたらめったら厳しくなってきています。これらは皆さんもテレビなどで感じになっているかもしれませんが、結構まずい状況にあるので、その認識というのは我々も維新もそんなに変わらないのだと思います。
例えば、原子力潜水艦というのも、ある種議論のスコープに入るアセットになってきているんですね。というのは、そういった全体的な国際秩序の土台が揺らいでいるということと同時に、やはり中国の軍事活動の活発化が結構広がってきていて、太平洋側にも出てきているので、我々の提言でも「太平洋側の防衛をしっかりと担うべきではないか」ということを書いているのです。そこで「じゃあどうやってやるの?」という時に、アセット論が出てきます。
MC今野記者:今持っている潜水艦は、ディーゼルとリチウムイオン電池のハイブリッドのような潜水艦ですよね。
大野氏:そうです。こうなると、だいたい1カ月くらいは潜っていられるようになります。昔は数日に1回は上がらなければいけなかったのですが、それに比べると、この領域抑止という意味での戦略性は格段に上がってきています。ただ、そうは言っても第2列島線についてです。第2列島線というのは、伊豆から小笠原、グアム、サイパンあたりに抜けているラインですね。
MC今野記者:第1列島線というのは、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオといった、沖縄から南西諸島、宮古島などを通って、台湾、フィリピンへとつながる、中国から見て一つ目の島の連なりのことです。第2列島線になるとさらにその外側に出て広くなり、小笠原諸島やマーシャル諸島などの辺りになります。
大野氏:ですから、第1列島線まで抑えをきかせるというか、「ちょっと中国さん、出てこないでね」という分には、現状のリチウムイオン電池を搭載した新型の動力の潜水艦でも、十分とは言わないまでも、まあまあ抑止は効かせられるでしょう。ただ、第2列島線というところは相当広いので、もちろんリチウムイオン潜水艦でもカバーできるわけではありますけれども、はるかに原潜の方が戦略性は格段に向上します。
MC今野記者:どれくらい違うのですか?リチウムとディーゼル(のハイブリッド)だと、要は酸素を取り入れるにはどれくらいの頻度で海面に上がらなければいけないのですか?
大野氏:これは公開情報ベースで言えば、昔は数日に1回だったものが、リチウムだと1カ月くらいは潜っていられるでしょう、というのが一応公表というか巷で言われている話ですね。
MC今野記者:潜水艦(の情報)は秘匿ですからね。原子力だと、まあ、こう言ってはあれですが、動力としては無限大ですよね。もちろん人の食料などの限界はありますけれど。
大野氏:だから、そういった戦略抑止を考えた時に戦略性を帯びたアセットを持っていた方が、当然抑止は相当効くようになるというのは間違いありません。ここで言う戦略性というのは、「戦略原潜」ではなく、普通の「攻撃原潜」のことですけれどね。そういう戦略を考えると、やはり原潜も議論のスコープに入るアセットなんです。だから、最初から全く排除しているということはありません。
MC今野記者:なるほど。これは「次世代の動力」という書き方をしていますが、原子力以外に何かあるのですか?
大野氏:あります。例えば、燃料電池や全固体電池などが挙げられます。まあ、そういったものがあるのですが、もうちょっと先になれば、もっとすごい技術が出てくるかもしれないです。
MC今野記者:ブレークスルーされれば、何か出てきそうな気はしますけどね。
大野氏:ですから、十分にスコープに入るものですし、これは非核三原則とは関係のない「動力」の話です。
MC今野記者:あくまで非核三原則は「核兵器」の話であって、こちらは軍事利用とはいえ、いわば「平和利用」と同じ動力の話ですからね。
大野氏:ですから、平和利用という意味で縛られるのは、よく議論になる「原子力基本法」です。ここには縛られることになるので、もし持つとなるとそこら辺の法律を変えなければいけないというのはあります。いずれにせよ、ある種対象になり得るアセットではあります。ただ、それを実際に持つかどうかというのは、また別の話です。まず制約としてコストがありますよね。1隻で5000億円とか1兆円とか、約5~10倍のコストがかかりますよね。
MC今野記者:アメリカだとマックスで1隻1兆円ですよね。
大野氏:もっとかかっている部分もあります。今回は戦略原潜ではないので、もうちょっとコストは安いですが、それでも少なくとも5~10倍はするのではないでしょうか。それぐらいのお金がかかるものであって、かつ恒常的にメンテナンスもかかるし、仮に「今すぐやろう」と言っても、まず運用の能力として人員やノウハウも日本にはない。これはオーストラリアがAUKUS(※編集部補足:オーカス。オーストラリア・イギリス・アメリカの3カ国が2021年9月に設立を発表した、インド太平洋地域の外交、安全保障、防衛協力を深化するための安全保障パートナーシップ)でまさにやり始めていますけれど、彼らは脅威認識が同じなので、「やっぱりこういった装備がないと困るんじゃないか」ということで、オーストラリアも韓国もある種踏み込みました。
MC今野記者:そうですね、韓国も今回原子力潜水艦に踏み切る方向ですね。
大野氏:そうなんです。ですから、そういったコスト感ですよね。あと、時間もそうです。最低でも人を育てるのに5年、それを作って運用するまでに10年とか言われますから、相当な時間がかかるのではないでしょうか。
MC今野記者:専門家に聞くと、保有まで20年はかかるって聞きますからね。その20年後って、今これだけAIが日進月歩で進化している時代ですから。
大野氏:そうなんです。だからこそ、その部分において、現在の脅威認識に対して領域抑止を最大化する組み合わせは何なのかということを、今この時点で決め打ちをすることが果たして正しいのでしょうか。
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