6月12日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、「河野談話」を大特集!戦後の日本の歴史認識を示す談話として受け継がれてきましたが、その後に判明していった真相とは?安倍政権下で進んだ「無力化」とは?当時を取材した政治ジャーナリストの今野忍記者がリアルな空気感を解説!MCの選挙芸人・山本期日前氏がお話を伺います。

MC期日前氏: 河野洋平さんが6月8日に亡くなられたことが、10日にニュースで報道されました。

今野記者:お悔やみ申し上げます。大物政治家というか、巨星の方でした。

MC期日前氏:河野洋平さんといえば、河野太郎衆院議員のお父さんで、総理にはなれなかったけれど、自民党総裁を務めました。

今野記者:歴代でも河野洋平さんと谷垣禎一さんの2人です。

MC期日前氏:重鎮の方だったので、高市(早苗)総理や色んな方がメッセージを出されております。河野さんのこれまでの取り組みも色んなところで映像が流れたりもしているんですけども、その中で一つ注目されているのが『河野談話』です。

今野記者: そうでしょうね。どことは言いませんけども、リベラルな新聞などで河野さんの功績とか、偉大な足跡に関してはもういっぱい書かれるでしょうからいいんですけど、もちろんお亡くなりになった方を必要以上に落とす意味じゃなくて、ちゃんと歴史的なものをファクトとデータに基づいてしっかりと検証して、ちゃんと触れるべきだと思うので、この機会にファクトをベースに、河野談話とは何だったのかをしっかりとお伝えした方がいいんじゃないかと。ここは多分、リベラル紙は触れないと思う。センシティブすぎて。触れないというか、触れたくないのか、意図的に触れてないのか分かりませんけど、あの皆さん、新聞見れば分かります。

MC期日前氏:歴史の談話というのは、色々皆さんご意見あるっていうとこではあると思うんですけど、ちなみに河野談話と村山談話がありますよね。

今野記者:はい。まず、河野さんは2026年6月に89歳でお亡くなりになって、どんな方だったのか?宮沢内閣の官房長官で、野党時代の自民党総裁です。 細川連立政権の時の野党の自民党総裁ですよね。皆さんにとっては衆院議長をされていた、議会人というイメージが強いのかなと思います。14期務められて、神奈川県平塚市出身です。河野太郎さんのお父様で、河野一郎のご子息です。河野家の三代は一郎、洋平、太郎みたいな。

MC期日前氏:だから、河野太郎さんが総裁選を目指す時、本当に河野家の悲願みたいな言われ方をしましたよね。

今野記者: そうですよね。一郎さんも総理にあと一歩のところでなれなかったと言われてる方で、洋平さんも自民党総裁になったけど総理になれなかったってことで、河野家の悲願と言われてますよね。

ちょっと若い人などは「談話」って言われると同じように見ちゃう人もいるのかもしれないので、念のため言うと全然違うものです。何が違うのか。まず発表日は、95年と93年。村山談話は内閣総理大臣の談話で閣議決定します。これが一番大きいんですよね。閣議決定をして、植民地支配とか侵略だということを認めるような談話を出したというところで、非常にアジアでの評価は高かった。実は、河野談話というのは閣議決定してないんですよ。ここに結構誤解があって、じゃあ何かというと、官房長官のただの談話です。

MC期日前氏:村山談話は政府としての正式見解ですよね?

今野記者:そうです。歴代の政権、安倍政権や今の高市政権も基本的に踏襲してます。河野談話は閣議決定しないから当時の官房長官の話をどう位置づけんのかって問題があるんですけど、ただ国際的には、少なくとも韓国と中国には河野談話が正式な日本政府の従軍慰安婦問題に対する見解だという風に捉えられています。簡単に、河野談話を説明すると1993年8月4日、宮沢喜一内閣の官房長官として発表したんですよね。簡単にまとめると、旧日本軍が戦争中、慰安所の設置、管理に関与し、慰安婦の募集を強圧的に本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲(当時の警察組織)や軍隊が直接これに加担したこともあったということを認め、「心からお詫びと反省」をしたって話です。実は、じゃあ本当に関与があったのかどうか問題というのが、ずっとその後も言われ続けています。歴史はその時々で明らかになることもあり、評価も変わるじゃないですか。(中略)これもそうで、この問題には三つのポイントがあります。まず一つ目が、河野談話が公開されたタイミング。1993年衆院選って自民党が負けて、細川連立政権が発足する年なんですよ。この8月4日に談話を出されてんですよね。政権の発足が8月9日だから本当に退陣直前なんですよ。

MC期日前氏:細川政権が誕生する前に先出しちゃうっていうことですか。

今野記者:出しちゃうというか、ちょっと色々当時あったんですけど、一つ言えることは本当に退陣直前の談話だったこと。もちろん、そうは言っても退陣前でも内閣だし官房長官なんだから問題じゃないんじゃないかっていう意見もあると思いますよ。ただ、事実としては退陣直前でした。それで、韓国とは水面下でかなり調整していたと言われてるんですよね。簡単に言ってしまうと、韓国政府は金銭的な支援は独自でやるから、日本政府は強制連行を認めれば良いというような姿勢。そういったところがあの両国水面下の、秘密裏の交渉では出ていたと。それが明らかになってきた。

もう一つはね、1990年1月に、官房長官談話を出すきっかけになった出来事があります。それは何かというと、朝日新聞が軍の関与を裏付ける証拠が発見されたと報道したんですよ。宮沢総理が韓国に行ってる間にデモ隊に囲まれて騒ぎになったんですよね。それで再調査を約束したんですよ。それで、調査をしてたのが1990年1月で、この談話が出たのが93年の3月ですかね。ここから始まるんですよ。じゃあ、この談話の何が問題かって言うと、これを話していいかずっと悩んでたんだけど……第二次安倍政権が発足した時、僕は菅(義偉)官房長官番だったので、結構色々聞いています。基本的には村山談話は踏襲するってことを安倍さんと菅さんの中で一致してんですよね。この談話の位置付けに関してはかなり悩んでいた。正直、これが実態。結果的に、河野談話はちょっと曖昧。踏襲するともしないとも、多分明確には言われてないんじゃないかな。今言ったような事実があるから、菅さんはすごい悩んでた。

MC期日前氏:撤回はしてないけど。でも、どう処理したんですか?

今野記者:それがこれからの話に繋がっていくんですけど、安倍政権ができた時に歴史認識に関してはすごいセンシティブだったんです。だって第一次安倍政権ができ、3年間の民主党政権から返り咲いて安倍さんが総裁選に勝って選挙に勝って、菅さんも悲願の官房長官になって政権が始まる時に、菅さんがもう全閣僚、麻生(太郎)さんもいる中の最初の閣議で言った言葉が、「歴史問題に関しては、総理と官房長官が預かります」と、勝手な発言した人間はもう即更迭に近いことをする。

MC期日前氏: もうそこまで牽制したんですね。

今野記者: そんなに強く言ったんですか?といったら、菅さんが僕に言ったのは「この政権がもしコケるとしたら歴史問題だ」と。それはもう安倍総理にものすごい進言してて。安倍総理はやっぱ思いが強くて、人が良い面があるから、支持者や岩盤支持層がいっぱいいたら、期待に応えたくなっちゃうじゃん。それをものすごい釘をさして、歴史認識に関しては私に預らせてくれと。菅さんが自分で管理するといって引き取ったわけですよ。引き取るところで村山談話に関しては踏襲をする。それが村山談話を踏襲した上で、未来志向で行こうっていうのが戦後70年の安倍首相談話に繋がるんですよ。

河野談話に関しては何をしたかというとですね、河野談話を出した当時の官房副長官筆頭の石原信雄さん(が産経新聞の取材に応えた証言)が1997年の参院の予算委員会で取り上げられました。証言して随分探したけど日本側のデータとして、慰安婦の強制連行を裏付けるようなものは見つからなかったと。また慰安婦を強制的に連れてきたという軍の関係者の証言をいくら探しても見つかりませんでしたって明らかしてんですね。この97年の予算委員会で石原さんの証言を分かっていた当時の官邸幹部たちは色々と準備をして2014年2月、だから第二次安倍政権が発足して3カ月後ぐらいに、衆院の予算委員会に参考人として石原さんを呼びます。ここで石原さんはより具体的に言います。これが有名で、日本政府・日本軍が慰安婦を強制的に募集することを裏付ける資料はなかったと言ったんですよ。ではなぜ強制連行しましたと官房長官は出したんですか、と聞いたら、石原さんは16人の元慰安婦からヒアリングをし、それを元に談話をまとめたって言ったわけ。だから、慰安婦で被害を受けたという方々の証言を元に作った談話だと言ったんですよ

MC期日前氏:それが記録に残っているとかではない?

今野記者: そう、歴史的な裏付けはない。だから、菅官房長官のある意味一流の政治技術でもあるんだけど、別に河野談話については撤回もしないし触れてないんですよ。ただ、そもそも前提が崩れているから、河野談話はこれで無力化されてますよね。当時、これを撤回するといったら、リベラル系の新聞が騒ぎ出すじゃないですか。だからかなりセンシティブに扱ったわけ。それが最初の閣議で、私が歴史認識問題を引き取ります、勝手に言った人間は容赦なく更迭しますからと、その3カ月後にこれをやったわけですよ。

MC期日前氏:この辺に関しては、安倍さんも思いがあったのでは?

今野記者:もう任せると、これは仕切ったのは菅官房長官。このやり取りは当時の菅さんの官房長官秘書官だった人はみんな知ってるよ。僕も当時は逐一、菅さんから聞いてたから。そういう背景が河野談話のところ、今後その後どういう風に処理するかっていう。

今野記者: こういうことは、歴史が動く時にこうやって明らかになってくんですよ。物的証拠がなく、証言だけが根拠。そう区切りをつけたけど、それをどうこれから評価していくのかは結構難しい。今言ったように、石原さんの国会答弁を聞けば、証拠なるものファクトやデータはないけど証言があったっていうだけなんだよ。証言を元に作った官房長官談話はどこまで有効かっていう論点があるけど、とはいえだよ、もう歴史的には僕は韓国の大使館の人とも話して意見交換するとね、やっぱり河野談話って言われますよ。今野さんが言っていることは分かるけど、河野談話が正式な政府の見解ですって。少なくと向こうにはそう言われます。それが今の実態です。

MC期日前氏:海外からすると、閣議決定しようがしていまいかは関係ない。

今野記者:官房長官の談話が日本政府の見解ですよねと。強制連行あったって認めてますよねって。ただ、日本では国会の答弁で、少なくとも資料はなかったって言ったわけです。これなかなかね、センシティブかつ難しいけど、こういう整理をしなきゃいけない。

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