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令和最初の参院選スタート。公示日の第一声に見る、各政党それぞれの思惑と直面する現実(安積明子)

2019/7/5

安積明子

安積明子

第25回参議院選が7月4日に公示され、21日の投開票日まで17日間の闘いが始まった。注目すべきは各党の党首の「第一声」がどこで行われたのかという点だ。

自民党 安倍総裁の「第一声」は示唆することは?

自民党の安倍晋三総裁の「第一声」は、福島市内の果樹園で発せられた。東京電力福島第一原発を抱える福島県は、東日本大震災の復興の象徴でもある。

「この選挙で問われているのは、私たちのようにしっかりと国会議員としての責任を果たして議論をする候補者、政党を選ぶのか。議員としての責任を果たさず、審議を全くしない政党や候補者を選ぶのか。それを決めていただく選挙でもあります」

参議院選挙は衆議院選挙のような「政権選択選挙」ではない。だが今回の選挙は「何かが違う」と関係者は口々に言う。なんらかの「序章」のようなものが感じられるというのだ。

「12年前、私が総裁を務めた時に、自民党は参議院で惨敗をした。そして国会はねじれた。そしてあの民主党政権が誕生した。あの時代に逆戻りするわけにはいかない」

安倍総裁がここ数か月演説するたびに使ってきたフレーズを繰り返すのは、こうしたことを警戒したためかもしれない。実際に渡部恒三元衆議院副議長や玄葉光一郎元外相の影響が強い福島県選挙区は自民党にとって非常な激戦区。2016年の参議院選では現職の法務大臣だった岩城光英氏が落選した。

立憲民主党はあの熱気を取り戻せるのか

立憲民主党の枝野幸男代表が「第一声」として選んだのは新宿駅東南口だ。立憲民主党は2017年の衆議院選で躍進したが、その象徴となったのが10月14日に同じ場所で行われた街宣だった。街宣車ではなく小さな台の上に立って演説する枝野代表の周りには、多数の人が押し寄せた。異様なほどに盛り上がりを見せた当時の熱気は、今回は感じられない。

公明党 山口代表は兵庫から有楽町

最重点区で「第一声」を発したのは、公明党の山口那津男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表だ。

山口代表が選んだのは兵庫県。定数3議席の兵庫県選挙区で、公明党の公認候補である新人の元外交官は立憲民主党が擁立した元アナウンサーに苦戦を強いられている。また自身も候補者である山口代表は、夕方には東京に戻って有楽町で演説した。聞き入る聴衆の多くは中高年の女性で、創価学会婦人部の選挙マシーンとしての機能ぶりが窺える。

国民民主党は因縁の掛川で勝負をかけた

国民民主党の玉木代表が選んだのは静岡県掛川市だ。静岡県選挙区には同党の榛葉賀津也参議院幹事長が4選を目指す。元民主党の榛葉氏はこれまで定数2議席を自民党と仲良く議席を分け合ってきたが、今回は立憲民主党から徳川宗家19代目の家広氏が出馬。榛葉氏は苦戦を強いられている。

なお掛川は榛葉氏の地元(榛葉氏は県立掛川西高校出身)ではあるが、徳川氏の主君筋にあたる今川氏の本拠地。後に家康が奪いとったという因縁があるが、現代の「戦い」ではどうなるか。

日本共産党は歴史を持つ政党の宿命

日本共産党は「第一声」を新宿駅西口で行うのが慣例だ。2期目を目指す吉良よし子氏は公示日前から若いJCPサポーターらと共に都内で街宣していたが、志位和夫委員長の「第一声」には年配者が目立っていた。

日本維新の会は大阪・なんば

日本維新の会 松井一郎代表は大阪市で「第一声」を行った、改選7名の今回の選挙には大阪以外での勢力拡大を狙い、現職の前希望の党代表の松沢氏や、地域政党「あたらしい党」代表のおときた氏などを茨城、埼玉、東京、神奈川、愛知で擁立している。

政党要件維持へ、歴史ある社民党

これと同じ時刻に新宿で「第一声」を発したのは、社民党の吉川元幹事長だ。健康上の理由で不出馬宣言をした又市征治党首を除けば国会議員が3名にすぎない同党は、3年後の参議院選までは政党助成金は受け取れるものの、その前途は厳しい。にもかかわらず、意外と多くの取材陣が集まったのは、その歴史を記録する必要があったのかもしれない。

1996年に現在の党名に変更したが、社民党の源流は1945年に結党された日本社会党。自民党とともに55年体制を作り上げ、戦後日本の政治史を織りなした。

各政党がさまざまなものを背負いつつ、令和最初の国政選挙がこうして始まった。

 

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安積明子

安積明子

政治ジャーナリスト。兵庫県出身。慶應義塾大学経済学部卒。 国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。 その後に執筆活動に入り、政局情報や選挙情報についてさまざまな媒体に寄稿している。趣味は宝塚観劇やミュージカル鑑賞。月に1度はコンサートに足を運ぶ。

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