2018年10月に都議会議員のおときた駿氏によって立ち上げられた『あたらしい党』をご存知ですか?
政治の既成概念を壊すような活動でネット中心におなじみの代表・おときた氏を筆頭に、30代の現役会社員、ワーキングマザー、中には地下アイドル出身(!)など、個性的なメンバーが集まる新党です。
「なぜ今の政治は、ずっと変わらないのか?」
「どんな目的で立ち上がった党で、市民に何をしてくれるのか?」
こんな疑問に、堅苦しくなく誰でもわかるように答える結党大会が、12/22(土)に開かれたので、お邪魔してきました。
結党大会の会場は、代表・おときた氏の地元である北区・王子の文化施設。若い同党メンバー同様、受付のスタッフの方々も20代~30代と思われる方で構成されていました。党のマスコットになっているオレンジのペンギンもお出迎え。
キャラクターの名前は党大会の中で発表があるとの情報に、政党のゆるキャラ好きとしては、地味にワクワクします。
会場内には食事や飲み物の用意もあり、政党のおカタイ報告会のような雰囲気はなく、中堅規模の会社の立食パーティーのようです。
開演前にすでに場内に、来年の統一地方選に参戦予定の候補数名やおときた氏の姿もあり、参加者と会話するシーンも見られました。
開演5分前にもなると会場は参加者がぞろぞろと駆けつけ、賑わってきました。
今回の党大会参加券は、電子チケットサイトで一般購入できたのに加え、先述のクラウドファンディングの出資特典にもなっていたのが特徴。
出資特典で参加している方も多いのか、若い学生さん、働き盛りのお父さんとお子さんのファミリーも多数見かけました。
参加者が正装で固めていた別の政党の党大会の様子と打って変わって、パーカやネルシャツなどラフな格好の方が多かったのも新鮮です。
時間になると、代表おときた氏の開会挨拶で結党大会がスタート。
一方的なスピーチではなく、「政治家といえば『握手』。参加者の皆さん同士、30秒間で会場にいる多くの方と、握手をしてください」と、参加型のアクティビティを挟む一面も。参加者同士、笑顔で握手を交わしていました。
その後、党の想いや今後のロードマップの発表がありました。
「あたらしい党は “あたらしいあたりまえ”をつくる『アジャイル(※)政党』です。あたらしいとは、奇抜なことをするという意味ではなく、ITやAI活用など民間では新しくなくても行政ができていないことを取り入れていくなど、世の中のあたりまえで政治をアップデートしていきます」と、おときた氏。
※アジャイル…仕様や設計の変更があることを前提に物事を進めていき、徐々にすり合わせや検証を重ねていく手法 |
またロードマップについては、長期的には国政を見据え政界の中でプレゼンスを発揮していく意気込みが強く語られました。
1.2019年の統一地方選で首長候補・議会議員候補の複数当選
↓
2.首長が当選した自治体で党として具体的な改革で成果を出し、改革の成功例を党所属者の他自治体へも横展開をし、選挙のたびに首長が輩出される党へ
↓
3.首長経験者たちが国政に進出し、政権交代・あたらしい党から首相選出を目指す
その後、来年の統一地方選候補者の紹介を挟み、目玉コンテンツのパネルディスカッションへ。
各業界で “あたらしい”ことに取り組んでいる面々と、おときた氏が登壇しました。
パネリスト:(左から)
・おときた駿氏(あたらしい党代表/東京都議会議員)
・マドカ・ジャスミン氏(エバンジェリスト)
・伊藤和真氏(PoliPoli代表/学生起業家)
・石山アンジュ氏(政策ロビイスト)
・青木真也氏(プロ格闘家)
・モデレーター若新雄純氏(慶應義塾大学特任准教授)
さまざまなバックグラウンドのパネリストに「それぞれの分野で “あたらしい”をどうやってつくろうとしているのか」「あたらしさのために政治は何をすべきか」という質問が投げかけられます。
「あたらしいものは、どうやっても壁にぶつかる。あたらしいものは、知らない周りの人から見るとその先どうなるか読めず、どうしても怪しまれてしまう」とのおときた氏の前置きを皮切りに議論開始。印象的だったトピックをご紹介します。
学生起業家の伊藤氏が若くしてベンチャーキャピタルから多額の出資を得ている点に触れ、あたらしい党もクラウドファンディングで設立資金を調達したことが伊藤氏と重なるとモデレーターの若新氏が指摘します。
「ネットを通じて若い子も政党を応援しやすくなっている。一方で、お金を出したからといって絶対にこの政党を支持するという重い契りではない。ライトな支持の仕方があっていい」。(おときた氏)
格闘家の青木氏曰く、「自分は “あたらしい”か、古いかにこだわっていない。目標に一番早く到達するためのやり方をやってきた。練習が目的になる人も中にはいるが、試合に勝つという目的を見失っている」。
「政界も同じで、選挙に勝つこと・議員バッジを手にすることに必死になり、社会を変えるという目的を見失ってしまう候補も多い」(おときた氏)。
あたらしい党は、そういった手段の目的化を避け、市民・社会のための志を高く持つことを掲げていました。
エバンジェリストの肩書で、何をやっているのか自身の説明が一言でしづらいというマドカ氏は「SNSでの自己ブランディングが一般的になった昨今、何者かにならなければいけない圧力がある。これをやっている人という一つの枠にはまらずに、やりたいことはジャンルを問わず何でも挑戦していきたい」と実体験を重ねて発言。
「政党支持に関しても右でも左でもない、グレーな無党派が50%以上。その大多数の無党派層には、『この党自体、何者(右か左)かわからないよね?』と堂々とオープンにすることで、かえって共感を得られるのでは」との見解も。
シェアリングエコノミー伝道師の石山氏からは「これまでの政党の政策は、誰か(一部の癒着している団体・支持母体)のための利益を優先するか、ほかの誰かは我慢するという構図。一部の誰かではなく、社会全体としてどうあるべきか、を考えられるようになれば」とコメント。これには、おときた氏も非常に共感している様子でした。
強くて当たり前というイメージの格闘家である青木氏も、試合前に弱音を吐くようなツイートをすることがあるそう。しかしそうして「気にせずさらけ出すことで、共感を生み、応援の声が集まる」(青木氏)。
「次の世代の政治家もそうなるしかない。文春にも取り上げられることもあるが(笑)、弱みを見せない聖人君子ではない。『都議会行くの面倒臭くなっちゃったな』とか僕がつぶやいたら、オンラインサロンのメンバーなど仲間が、『じゃあ代わりに質問表を作りましょうか』と助け舟を出すようなあり方になってもいい」(おときた氏)
大きな一点に全部の信頼を預ける時代ではないと語る石山氏も、「政治も、権力で締めたり、個人を守ってもらうものではなく、個人が活躍することを支えてくれる存在になるのが求められる」と、政治家と市民のフラットな関係からあたらしい未来が見えてくるのでは、と語りました。
既存の政治の価値観を覆す濃い内容の詰まったディスカッションを終えると、会場は公認候補の紹介へ。登壇して意気込みを語った候補に加え、都合で会場には来られなかったものの、アイドルグループ・仮面女子の桜雪こと、橋本侑樹氏が渋谷区から立候補することが動画で発表されるサプライズもありました。
公募していた党のキャラクター名が発表も。『情報をOPENに』という意味と、ペンギンを掛けて “オーペン”に決定!
「応募数1位の名前で、僕自身も気に入っています。高輪ゲートウェイのように操作はありません(笑)」(おときた氏)
おときた代表から改めて参加者への感謝と来年の選挙戦への意気込みが伝えられ、参加者全員で記念写真撮影、会場出口で公認候補による握手での見送りでお開きとなりました。
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