安倍総理が最も警戒する男。それが二階俊博(にかい・としひろ)自民党総務会長です。
読みの鋭さと決断力を兼ね備え、小沢一郎氏の側近でもあった時期もあり、豊富な経験と人脈に恵まれています。そして何よりも人を魅了する人間力が群を抜いているとの評判です。
率いる派閥「志師会(しすいかい)」も、諸事情で自民党に入党できずに無所属のまま派閥に所属する議員(3名)を含めれば自民党内で4番目の勢力(39名)となります。
安倍総理とは政治路線を異にするので安倍総理の対抗馬になるのではとの見方もありましたが、安保関連法案や自民党総裁選挙、消費税への軽減税率の導入など、最近の政局の節目では、その影響力を発揮しつつ安倍総理をしっかり支えています。
二階氏の選挙区は衆議院和歌山県第3区です。人口約96万人の和歌山県には3つの小選挙区があります。この第3区は山間部と海岸部を抱えており、面積では和歌山県の大半を占めています。
二階の衆議院初当選は1983年。和歌山県議会議員を2期務めてからの国政への転身でした。当時は中選挙区制で、定数3の和歌山2区からの出馬でした。
以来、選挙制度(1996年より小選挙区制が導入)や所属政党(自民党→新生党→新進党→自由党→保守党→保守新党→自民党)は変われども勝利を重ね、当選回数は11回を数えます。
2012年の総選挙では11万票強を獲得。維新の会と共産党の候補を余裕の大差で破りました。2014年は11万票弱を獲得し、トリプルスコアで対抗馬の共産党候補を一蹴し、まさに王国を築いています。
この二階王国ともいうべき選挙区内の、二階氏の出身地である御坊(ごぼう)市の市長選挙(5月22日投開票)に、まずは長男で政策秘書を務める俊樹氏(としき)が出馬の意向を表明しました。
去就が注目されていた柏木征夫(かしわぎ・いくお)市長も7回目の当選を目指しての立候補を表明。地元選出国会議員の子息と現職市長の激突となります。
二階氏はこれまで柏木市長を支えていました。これで「自分が気にかけていた仲間」と「自分の後継の息子」が「自分の地盤」で争うことになってしまいました。
二階氏の得票率が8割を超える同市ではこの8割の有権者がどちらかを選ぶまさに「分裂」選挙となります。支持層が競合する激しい選挙戦が繰り広げられることでしょう。
柏木市長は75歳であり、多選や高齢が不安視されているようです。二階本人も77歳。俊樹氏は50歳ですので、世代交代を進める時期との決断でしょうか。
御坊市の人口は約2万5千人で、人口流出への対策や雇用の確保が課題となっています。
候補者に注目が集まっている状態ですが、はたして御坊市の未来に希望が見えるような選挙戦が展開されるのか、注視していきたいと思います。
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