知名町では、昨年12月1日に知名町長選挙が行われました。
今回、編集部が注目したのは、知名町ホームページ内の選挙ページに掲載されたパンフレットでした。
選挙時になると、ホームページに選挙啓発ビデオやポスターを掲載する自治体がちらほら出てきますが、その殆どは県や政令指定都市などの大きな自治体。
地元出身のタレントを起用したり、著名な漫画家や選挙啓発ポスターコンクール等で優勝した作品等が採用され、大掛かりな啓発運動を展開しています。
それに対して知名町のパンフレットは、有名なタレントが登場するような華々しさこそありませんが、ほのぼのとした漫画とシンプルなデザインで有権者に訴求する地元密着型の姿勢で、とても好感が持てました。以上の評価に対し、知多町に選管アワード奨励賞をお贈りすることに決定したしました。
なお、今回は残念ながら大賞該当自治体はありませんでした。
選挙管理委員会・書記の藤田孝一さんにお話をうかがったところ、このパンフレットは選挙のたびに各家庭に配布されるものだそう。図柄選定を選挙管理委員会が行い、企画担当がホームページ掲載内容を決定しました。
知名町の選挙は、投票率が毎回90%前後と安定しています。その理由をお聞きしたところ、
「知名町は昔から選挙に対して関心が高いようです」と藤田さん。
「今回の首長選挙は16年ぶりの選挙ということもあり、特に有権者の注目も高かったようです」とのことでした。
しかし、その高い投票率を維持しているのは、このようなパンフレット配布や、選挙結果を各時間毎にトップページに掲載したりという、有権者目線に立った細かな心くばりがあったればこそと感じました。
藤田さんは一昨年より選挙管理委員会のお仕事をされているとのことで、印象に残っているのは2012年の知名町議会議員選挙。台風で投票日が延期になるという、前代未聞の選挙でした。
「台風の進路を睨みながら、いつ、どこで執行日の繰り延べを決定するべきか。その判断が問われる選挙でした」と藤田さん。
暴風雨でポスターが飛ばされぬように工夫したり、選挙に携わる役員達の身の安全を考えたりと、様々なご苦労があったようです。ぽつりぽつりとお話くださる藤田さんの言葉から、地元全体を守り、選挙執行を無事に完了しようとする強い気持ちが伝わって来ました。
藤田さんとお話しながら「知名町というのは、このパンフレットにあるような、ほのぼのした温かい土地柄なんでしょうね」と申し上げると、「ああ、そうかもしれません。(笑)」とおっしゃっていました。
(文・横内陽子)
選管アワードとは
これは、十分で適切な選挙情報の公開を促すために、『ザ選挙』編集部が、優れた情報発信を行っている自治体の選挙管理委員会を勝手に称えようというものです。
この賞は、自治体そのものの優劣を決めるものではありません。インターネット上の選挙情報の掲載方法に関して、何かしらのヒント、アイディアの一助になればと思います。
選管が的確な情報を素早く出すということは、選挙の質そのものを向上させ、有権者にとっても非常に有意義であると言えます。この賞は、もしかしたら日本で一番地味かもしれません。しかし、あまり日の当たることの無い縁の下の力持ちの努力を、ほんの少し意識することで、よりよい選挙が実行されるようになると考えています。(『ザ選挙』編集長 高橋茂)
『ザ選挙』編集部では、毎月選管アワードを発表していきたいと考えています。
その月の末日までに投開票のあった選挙を選考対象とし、厳正かつ公正な(一応)判断のもと、選挙情報をインターネット上で発信し、かつその内容が充実している自治体へ贈られます。ユニークな取り組みには、特別賞を贈ることも考えています。
毎月上旬には発表できるようにいたしますので、お楽しみに!
バックナンバー
2013年10月度 月間最優秀賞 茨城県石岡市
2013年9月度 月間最優秀賞 岡山県総社市
2013年8月度 月間最優秀賞 宮城県大郷町
2013年6月度 月間最優秀賞 大阪府門真市
2013年5月度 月間最優秀賞 千葉県千葉市
2013年3月度 月間最優秀賞 岡山県鏡野町
2013年2月度 月間最優秀賞 茨城県城里町
2013年1月度 月間最優秀賞 福岡県北九州市
2012年10月度 月間最優秀賞 山口県周防大島町
2012年9月度 デザイン賞 神奈川県真鶴町
2012年8月度 ソーシャルDE賞 北海道中標津町、鹿児島県宇検村
2012年7月度 月間最優秀賞 宮城県名取市選管
2012年6月度 月間最優秀賞 東京都港区選管
2012年5月度 月間最優秀賞 東京都福生市選管
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