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投票翌日からの楽しみ 資格なき選良たちの行方:参議院選挙2013

2013/7/18

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竹内謙(ジャーナリスト)
 これほど低調な国政選挙はめったにない。有権者は白けきっている。憲法改正や原発の再稼働が争点になっているというのに盛り上がりがまったくない。風も吹かない。政治不信の現れか、諦めか、成り行き任せか、いずれにしても、国の行方を左右する選挙がすっかりみくびられている。
 参院選の投票日まであと3日。18日までにマスコミ各社の終盤の情勢調査が出揃った。各社とも、与党、自公両党の圧勝を確実視している。因みに調査結果を伝える各社の記事の見出しと主な政党の予想獲得議席数(概数)を整理してみると、以下のようになる。
【ポイントになる獲得議席数は、自公過半数=63、自公安定多数=70、自民単独過半数=72、改憲勢力2/3=自民・維新・みんなで101】
<朝日>与党、過半数は確実
自民64〜72、公明8〜12、民主13〜23、維新4〜9、みんな4〜9、共産4〜10、社民0〜2、生活0〜2、みどり0〜2
<毎日>自公70台 安定多数へ 民主20前後、共産勢い
自民62〜68、公明10〜12、民主16〜25、維新5〜9、みんな4〜11、共産3〜9、社民1〜2、生活0〜2、みどり0〜1
<読売>衆参ねじれ解消確実
自民61〜66、公明6〜11、民主11〜24、維新6〜15、みんな5〜14、共産4〜12、社民1〜2、生活0〜3、みどり0〜1
<日経>与党が過半数大きく超す
自民64〜69、公明11〜12、民主10〜23、維新5〜12、みんな6〜13、共産4〜13、社民1、生活0〜2、みどり0〜1
<産経>与党圧勝へ 自民70うかがう、民主20割れも
自民69〜72、公明10〜11、民主20未満〜25以下、みんな6、維新7、共産9
 マスコミの情勢調査はときに外れることもあるが、今回のように特定の党が圧倒的に強い傾向にあり、しかも各社の調査結果が一致しているときは、経験則からいって、ほとんどの場合が当たる。だから選挙結果が「与党過半数を確保 衆参ねじれ解消」になることは間違いないだろう。
ネット選挙運動でも自民が圧勝
 選挙戦が始まる前には、この参院選から導入された待望のネットによる選挙運動に野党側の奮起を期待したが、実際にはネットの活用ぶりでも自民が抜きん出ており、「与党が優勢・野党が劣勢」の傾向が顕在化している。
 参院選のSNS活用状況をまとめている「commucom.jp」によると、参院選が公示された7月4日以降の「Twitterフォロワー数+Facebookいいね数+YouTube登録者数」の合計は次の順になる(7月17日昼現在)。
 自民6,017▽維新3,404▽公明3,009▽共産2,618▽民主2,393。以下は順位のみ書くと、▽みんな▽社民▽みどり▽生活
 個別項目の順位を記せば、Twitterフォロワー数は1.自民、2.維新、3.みんな、Facebookいいね数は1.自民、2.公明、3.民主、YouTube登録者数は1.自民、2.維新、3.公明。これはあくまでも公示以降に限った数値の比較だが、公示以前からのフォロワー数、いいね数、登録者数を加えてみれば、この傾向は一層顕著だから、ネット選挙運動でも自民が圧勝したといえる。
「日本の春」を迎えるために
 衆参ねじれの解消で自公政権は安定化する。3年間は選挙をせずに、衆参とも過半数の体制を維持することができる。グローバル企業優先の経済政策、消費税増税、原発再稼働、TPP参加、憲法改正といった自民の公約は実行へ向けての歩みを進めるだろう。ただし、1つ致命的な不安定要因がある。
 昨年12月の衆院選も、今度の参院選も、1票の格差が「違憲状態」のまま実施されたことである。升永英俊弁護士らによる「一人一票実現国民会議」は参院選投票翌日の7月22日に、全47選挙区で原告を立てて選挙無効請求訴訟を全国各地の高裁に提起することにしている。
 国会は昨年11月、参院選挙区の定数について「4増4減」の手直しをして、1票の格差を5.00倍から4.77倍に僅かに縮めたが、依然として「違憲状態」、あるいはさらに厳しい判決が出る可能性が高い。なぜなら、最高裁大法廷は5.00倍の2010年参院選について「著しい不平等な違憲状態にある」との判決(1012年10月17日)を下した。ただ「定数配分の是正にかかる合理的期間は過ぎていない」との理由で「違憲」とはしなかったが、この判決の中で「参院選と衆院選の投票価値は平等である」「都道府県単位の選挙区割りをしかるべき形であらためるべき」との判断を示しており、国会はこれらの要請に何ら応えていないからだ。これまで1票の格差は衆院選で2倍、参院選で5倍と一部に語られてきた基準も「衆参の投票価値は平等」と否定された点から見ると、4.77倍も「違憲状態」であることは間違いない。
 一人一票実現国民会議は、すべての選挙区で選挙無効の訴訟を提起する意味について、「全選挙区で訴訟を起こせば、一部の選挙区だけ無効にすると不都合が生じるから無効にしないという裁判所の理屈も成り立たなくなる」という。そして、100日裁判ルールによって今秋には各高裁の無効判決が出る。さらに最高裁で無効判決が確定すれば、選挙区で選ばれた議員たちは失職する、と期待する。
 昨年12月の衆院選については、今年3〜4月に全国各地の高裁から「無効」2件、「違憲」13件、「違憲状態」2件の判決があった。最高裁は年内にもこれら高裁判決についての統一判断を示すことになるが、こちらもまた「違憲状態」よりも厳しい判決になるとみられる。
 違憲状態で選ばれた議員が国権の最高機関で権力行使をするという憲法逸脱が罷り通り続ければ、さすがに無関心の国民も怒りの声を上げるに違いない。国会がだめなら、司法にしゃんとしてもらわなければならない。「日本の春」を迎えるためには、一人一票実現国民会議の運動と最高裁に望みを託す以外にない。

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