第10回選管アワード月間最優秀賞は、千葉県千葉市 選挙管理委員会に決定いたしました!
千葉市では、5月26日に千葉市長選挙、及び千葉市議会議員補欠選挙(稲毛区)が行われました。
市選挙管理委員会は、5月12日の告示日前より千葉ロッテマリーンズ・ 唐川侑己選手の顔写真入りバナーの特集ページをホームページトップに設置しました。その内容は、千葉市稲毛区で育った小島よしおさんを起用した動画2篇の掲載や啓発イベント案内、加えて告示日には立候補者情報と選挙公報を掲載しました。18日には街頭選挙啓発イベントとして自転車キャンペーンを開催、 千葉中央公園では「市原ぞうの国」から象のランディが来場し、写真撮影会。千葉城太鼓の演奏も行われ、幅広い年齢層へ向けた選挙アピールを展開しました。
今回、この選挙啓発の企画意図、及び詳細についてお話しをうかがうべく、 千葉市選挙管理委員会事務局の次長・舩越俊雄さん、管理係長・木川一樹さんにお会いしました。
「今回、選挙があることをいかに知っていただくかという告知とともに、若年層に向けた啓発に力を入れました。」と木川さん。
「唐川さんは地元の野球選手なので年齢層を問わず人気がありますし、稲毛区で幼少時代を過ごした小島さんは、芸人さんということで若い人向けにアピールできると考え、出演をお願いしました。」
小島さんの動画は、投票の必要性を生真面目に主張する「1票の重み・熱弁」篇と、定番のギャグを使った「千葉市の未来に関係あ~るっ!」篇の2篇。19日から投開票日26日の期間内、動画再生は約8700回と、多くの人が関心を寄せました。
若い人に人気だったのは、やはり「関係あ~るっ!」篇だったそう。 「小島さんにはスーツ姿で登場してもらって、いつもの様子とは違うギャップ で印象づけるように考慮しました。」とのこと。 この動画はテレビ、ラジオCMとしても放送されました。
お笑い芸人の起用で、いささか不安もあったとのことですが、有権者の反応は好意的だったそう。 「テレビCMが流れた際、子供たちも興味を持ちはじめ、家庭の中で選挙そのものが話題になった」という声も。 やがて選挙権を持つ子供達にも、少なからず影響があったようでした。
投票率が低い傾向にある若年層に向けた啓発として、このほかにも携帯電話用コンテンツが用意されました。
投票日当日、特定の携帯電話会社と契約している20才から49才までのユーザー約72000人に向けて選挙啓発文を配信。千葉市のホームページへアクセス出来る仕組が作られました。
その他、銀行や商業施設内モニター、コンビニPOS画面等における選挙CM放映や、広報誌をはじめフリーペーパーへの広告出しなど、メディアや紙媒体への露出、さらに啓発資材といわれるゴミ袋やテッシュ配布、若者への啓発活用にモバイルクリーナーの配布、市内を走るモノレールのラッピング広告など、総合的な選挙啓発が実施されました。
千葉市選挙管理委員会事務局 舩越さん(左)と木川さん(右)
しかし、このような啓発活動にもかかわらず、今回の市長選挙、市議会議員補欠選挙の投票率は31.35%にとどまりました。
「今回の市長選挙では告示のぎりぎりまで対立候補者が出なかった事や一騎打ちというような話題性に乏しかったことに加え、明確な争点が少なかったことなどから投票率は伸び悩みました。」と舩越さん。
「さらに言えば、有権者からの信任が厚い現役市長が出馬する選挙というのは、どうしても投票率が低くなる傾向があるようです。」とのこと。
今回の選挙は、過去の選挙データの分析結果から予測して投票率30%を切るのではないかと、相当な危機感があったといいます。これが、今回の大規模な啓発実施理由のひとつでもあります。
しかしながら、恒常的な投票率低下現象は「やはり若い人たちの政治不信、選挙離れにつきます。」と舩越さん。
「若いうちは、選挙がどのように自分たちの生活に関わってきているのか、まだ実感がわかないのでしょう。しかし年齢があがればあがるほど、政治のあり方が自分の生活に直接ふりかかってきます。年代別の投票率を見ると、高齢者の投票率が高くなるというのは、ごく自然なことだと思います。」
就職、結婚、出産、住宅ローン、年金等など、人生の節目節目でどんどん身近に、そして切迫してくる政治との関わり合い。しかし「大人になってからの選挙啓発には限界がある」と舩越さんはいいます。
その対処方法としてお二人が声をそろえて強調されたのは、小・中学生や高校生に向けた「選挙時以外の恒常的な啓発の取り組み」でした。 そのために、教育委員会の協力のもと、小学生の模擬選挙を実施しており、現在、高校生の選挙事務への参加を企画中といいます。 「たとえば選挙啓発甲子園といったような、学生さんたちが選挙に関しての取り組みを発表する場や全国大会があると、きっとモチベーションも上がるのではないかと思います。」と舩越さん。
つづけて木川さんは「実は、象のランディも、そういう要素を考えて企画したんです。」と話してくれました。 公園で象に親しみつつ、親子で思い出を作ってもらいながら選挙を身近に感じてほしい。そういう体験が、やがては投票行動につながるのではないか・・・。
「長期スパンではありますが、こういった小さな種まきをして、少しでも根付かせていかないと・・・・。政治に無関心になることが、なによりこわい事です。日本の将来がかかっていますから。」
舩越さん、木川さんはじめ、今回、選挙啓発に携わったすべての方々の熱い思い、そして使命感を強く感じた取材でした。
文責:横内陽子
写真:伏見十二
これは、十分で適切な選挙情報の公開を促すために、『ザ選挙』編集部が、優れた情報発信を行っている自治体の選挙管理委員会を勝手に称えようというものです。
この賞は、自治体そのものの優劣を決めるものではありません。インターネット上の選挙情報の掲載方法に関して、何かしらのヒント、アイディアの一助になればと思います。
選管が的確な情報を素早く出すということは、選挙の質そのものを向上させ、有権者にとっても非常に有意義であると言えます。この賞は、もしかしたら日本で一番地味かもしれません。しかし、あまり日の当たることの無い縁の下の力持ちの努力を、ほんの少し意識することで、よりよい選挙が実行されるようになると考えています。(『ザ選挙』編集長 高橋茂)
『ザ選挙』編集部では、毎月選管アワードを発表していきたいと考えています。
その月の末日までに投開票のあった選挙を選考対象とし、厳正かつ公正な(一応)判断のもと、選挙情報をインターネット上で発信し、かつその内容が充実している自治体へ贈られます。ユニークな取り組みには、特別賞を贈ることも考えています。
毎月上旬には発表できるようにいたしますので、お楽しみに!
2013年3月度 月間最優秀賞 岡山県鏡野町
2013年2月度 月間最優秀賞 茨城県城里町
2013年1月度 月間最優秀賞 福岡県北九州市
2012年10月度 月間最優秀賞 山口県周防大島町
2012年9月度 デザイン賞 神奈川県真鶴町
2012年8月度 ソーシャルDE賞 北海道中標津町、鹿児島県宇検村
2012年7月度 月間最優秀賞 宮城県名取市選管
2012年6月度 月間最優秀賞 東京都港区選管
2012年5月度 月間最優秀賞 東京都福生市選管
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