7月20日、「ザ選挙」編集部は、<選管アワード6月度 月間最優秀賞>を受賞した東京都港区選挙管理委員会事務局(以下、選管)に、表彰状の授与を兼ねてお話を伺うため訪問した。
大本山増上寺からほど近い、整然とした街に港区役所がある。
東京タワーが間近に迫る近代的な建物の中に、事務局はあった。

今回お話を伺ったのは、選管事務局長 山下さん、事務局次長 小森さん、そしてホームページ担当の吉田さん。皆さん大変お忙しい中お時間を割いて頂いたことに感謝しつつお話を伺うことに。告示情報の掲載から、投開票結果まで、有権者が必要な情報を的確に、わかりやすく発信した港区選管。どのような工夫、努力がそこにはあったのだろうか。

「残念ながら、港区では身近な選挙ほど投票率が高くないのです。」率直にそうおっしゃるのは、事務局長の山下さん。
「なんとかできないか。」 「少しでも港区の選挙をいいものにしたい。」 「でも、どうしたら?」
そうした思いから、選挙管理委員は2011年から勉強会を重ねてきた。

投票率を上げるということは、有権者に関心を持ってもらうこと。しかしながら従来の選挙スタイルでは、有権者に関心をもってもらうのは難しくなってきているのではないだろうか。そうした考えから、港区選管では、東京23区で初の記号式投票の導入に踏み切った。導入にあたり、すでに記号式投票を導入している他自治体へ取材に出かけたり、電話インタビューを試みた。また、区民への、記号式投票の周知をはかるため様々な取り組みにも挑戦してきた。現在、港区の選挙のめいすい(明推)くんのコスチュームは、この記号式投票で決められたものなのだ。これも、記号式投票を区民に知ってもらうための取り組みの一つだ。
こうした選管の努力の結果、6月10日実施の港区長選挙ではこの記号式投票が大変好評だったようだ。残念ながら、投票日前日、当日の天候に恵まれず、投票率は期待していた以上にあがらなかった事は事実だが、大幅に改善された事がいくつかあったのも事実だ。それは以前の選挙スタイルまでは多かった無効票が、今回は大幅に減ったこと、障がいのある方々が、自分自身で投票できるようになったことなど、収穫も多く今回の導入は大成功だったと言えるであろう。

『ザ選挙』が最も注目したのは、告示情報の掲載から投開票結果までの情報発信が的確で、見やすく、ホームページを見た人がわかりやすいレイアウトだったことだ。特に、告示の立候補者情報は、まだまだホームページに掲載する自治体は少なく、ひどいところでは、インターネットメディアに情報提供することに難色を示す自治体があることも事実だ。そうした選管の一番気にしているのは、「個人情報の保護」なのだ。
今回の港区長選挙で、立候補者の情報掲載にあたり、難色を示す意見はなかったのだろうか。「インターネットを駆使した情報発信は、本当は怖いです。新しいことをするのは誰でも怖いんです。」選管の本音を臆すことなくおっしゃった港区選管。それを後押ししてくれたのは、選管委員たちだった。「何かあったら、責任は私たちが取るから進めてください」力強くそう背中を押してくれた選管委員。
港区の選管の情報発信が、素晴らしかったのは、こうした選管委員達の応援と連帯、選管の選挙に対する情熱、様々なアイディア、そしてわかりやすい情報発信へのこだわりだったのではないか。レイアウトを担当した吉田さんは、有権者にわかりやすいレイアウト構成、ページ作りにとてもこだわったそうだ。その結果、港区のホームページは、無駄のない、見やすいページに仕上がったのではないだろうか。
インタビューの最後に、事務局次長である小森さんのことばをここで紹介する。「選管で出せる情報は、すべて出す。メディアに掲載することに、過度に敏感になる必要はないのです。」情報発信をためらっている他の自治体の選管にも、ぜひ考えて欲しい課題だ。港区選管の挑戦は、今後も続くだろう。有権者にとって、また他地区の選管にとって刺激となる選管であり続けることを確信した。

港区選管の方々は、選挙の周知をはかるため、メディアを駆使し、イベントを様々企画するなど、選挙に対する思いがとても強く、アイディアが豊かだなという印象を受けました。新しいことに挑戦することは、「選挙」というカテゴリでは、とても勇気がいることです。それでも挑戦し続けるその理由は、「有権者のために、わかりやすい選挙を」「投票したくなる選挙を目指して」という思いに尽きるのでしょう。メディアとどう付き合っていったらいいのかまだ迷っている他地区の選管にとっての心強い存在となることでしょう。今後のご活躍も応援しています。
『ザ選挙』編集部 上村三恵子
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