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中谷 一馬 ブログ

世界ブロックチェーン政策会議で行われた議論

2018/10/14

韓国ソウルにて、Global Blockchain Policy Conference 2018が開催されました。

世界各国のブロックチェーンに精通した有識者が韓国政府から招待され、エストニアのケルスティ・カリユライド(Kersti Kaljulaid)大統領などを中心にエストニア、フィンランド、台湾、韓国など各国の国会議員が集まり、私、中谷一馬も日本代表の国会議員として参加をさせて頂きました。

※前列 左から1番目 カリユライド大統領 左から4番目 中谷一馬衆議院議員

 

私からは、ブロックチェーン技術の展開が与える社会への影響について下記の5点を中心に会議の中で説明致しました。

※日本のブロックチェーン政策を語る中谷一馬衆議院議員

 

詳細は、以下の通りです。

 

①日本政府のブロックチェーンに対する温度感

日本政府は、「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」において、「中長期的な成長を実現していく鍵は、近年急激に起きている第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー等)のイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、様々な社会課題を解決する『Society 5.0』を実現することにある。」としているが、ブロックチェーンが抜けている。

◆引用:未来投資戦略2017

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf

 

第4次産業革命によるイノベーションを中長期的な成長の鍵としてブロックチェーンの重要性だということを経済産業大臣に提言した。

 

本年6月に公表された「世界最先端デジタル国家創造宣言(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20180615/siryou5.pdf)」に、ブロックチェーン技術等を活用した政府の業務改革の推進やスマートフードチェーンシステムの構築における活用が記載されたが、まだまだ甘い。

 

IoTやAIなどと並んで第四次産業革命を牽引する中心的なテクノロジーになると確信を持っているので、日本においても世界をリードした議論を行っていきたい。

 

②ブロックチェーンの市場規模と経済に与える影響

経済産業省の「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」によれば、ブロックチェーンの日本国内における潜在的市場成長の予想している。

国内では価値の流通・ポイント化プラットフォームのインフラ化などのサービスが1兆円。

土地登記、電子カルテ、出産、婚姻、転居など各種登録といった公的書類管理の非中央集権化が1兆円。

デジタルコンテンツやオークションなど高効率なシェアリングサービスに13兆円。

小売り、貴金属管理、美術品などの真贋認証などオープンかつ高効率で高信頼なサプライチェーンの実現が32兆円。

IoT、電力サービス、遺言などプロセス、取引、契約などの全自動化・高効率化の実現が20兆円。

合計で67兆円の潜在市場がある。

◆引用:経済産業省 ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査http://www.meti.go.jp/main/infographic/pdf/block_c.pdf

 

価値の流通が進めば、日銀による金融政策による景気対策以外にも民間企業主導で仕掛けができる可能性がある。

また、サプライチェーンが進化すれば流通がアンバンドル化する。

高効率なシェアリングが進めば、生産者と消費者の境界がなくなり、プロシューマーが一般化する。

ブロックチェーン技術が市場だけではなく、社会経済や産業構造に大きなインパクトを与える可能性がある。

 

③ブロックチェーン技術を活用した様々なユースケースと実証実験

日本でも規制のサンドボックス法案が可決された。

これからは、シェアリングサービスにおける本人確認手続、IoT機器の信頼性 向上、食品や自動車のトレーサビリティ、電力取引の自動化・効率化(スマートコントラクト)、医療データの真正性確認、宅配ボックスの配達・受取記録など一般市民にも深く関係する分野での実証実験が始まる。

◆引用: 総務省 ブロックチェーン活用検討SWG 取りまとめ案 概要

http://www.soumu.go.jp/main_content/000493849.pdf

 

日本も世界に先駆けてブロックチェーン技術の社会実装を推進するため、このような処理の自動化等による業務プロセスの改善や多数当事者間での共有などにより、具体的にどのような課題が解決されるのかを明確にした上で、ブロックチェーン技術のメリットがより顕著に感じられるようなユースケースを積み重ねたい。

 

 

④仮想通貨・ICO(イニシャルコインオファリング)のあり方

日本では、仮想通貨の規制とイノベーションのバランスをどうしていくのか議論がなされている。

 

昨年は、ビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨市場全体の時価総額が一時的に100兆円へと近付き、世間を賑わせていたが、コインチェックやテックビューロの問題が社会に大きなインパクトを与え、多くの国民が不安を持つようになった。市場も残念ながら大きく停滞している。

 

その一方で、仮想通貨を成長分野とみなし、金融分野における競争力を高め、経済成長のエンジンとするべく戦略的に取り組んでいる国がある。

 

例えば、仮想通貨を発行して世界中からの資金調達を行うICO(Initial Coin Offering) に関していえば、エストニアが電子居住権(e-Residency )のコミュニティ内で流通させる独自の仮想通貨「エストコイン」構想を進めている。

 

また、 ベラルーシにおいては、仮想通貨・ICO等の発展を目指した法令が採択され、仮想通貨の発行・取得・採掘などする事によって得た所得を2023年まで非課税にする見通しで、国家レベルでブロックチェーン 技術を成長させる狙いがあると言われている。さらに、カナダでは、州証券監督当局がスタートアップ企業のICOの安全性を承認するなど、柔軟な対応をすることによりイノベーションの後押しをしている。 

 

その他にも、スイスやロシアなど様々な国で仮想通貨の活用や研究が始まっている。

 

日本においても、何もかも規制すればよいものではないとの見解から利用者保護とイノベーションのバランスを見極めながらクリプトカレンシーを含むブロックチェーン産業発展させていく必要性があると考えている。

 

 

⑤中央銀行のデジタル通貨発行の可能性

 

自国のデジタル通貨の発行によって、金融分野における競争力を高めると同時に、コストカットや経済成長を目指して戦略的に取り組みを進めている国がある。

例えば、スウェーデンにおいては、デジタル通貨「eクローナ」発行の検討を行っている。

また、ウルグアイでも希望者一万人を対象に「eペソ」を発行し、試験運用を始めた。そのほかにも英国、中国、ロシア、エストニアなどでもデジタル法定通貨の研究が行われている。そしてまた、シンガポールでは、現金や小切手 といった紙ベースの決済手段の利用に伴うコストはGDPの0.52%に達すると試算されており、現金から電子的な決済手段への移行を後押しする取り組みが進められている。

 

※参考:日銀レビュー 中央銀行発行デジタル通貨について 海外における議論と実証実験

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j19.pdf

 

日本銀行の河合祐子フィンテックセンター長は、日銀による法定デジタル通貨発行について、技術的には可能との見解を示している。

その一方、安全性など検討する課題も多く、現金志向の強い日本は需要がないため「現在は考える段階にはない」としている。

 

私の意見を申し上げれば、日本銀行が発行する日本銀行券、および造幣局が製造し政府が発行する貨幣、硬貨といった法定通貨をデジタル通貨(e円)へと段階ごとに切り替えていくことは、銀行券や硬貨の発行に加え、現金や小切手といった紙ベースでの決済手段の利用管理に伴うコストの削減に繋がると同時に、ユーザー利便性の向上、金融政策の有効性確保、通貨発行益(シニョレッジ)減少防止にも繋がると考える。

 

デジタル通貨によるキャッシュレス化の推進は、効率性・利便性を高め、社会のスマート化を進めることに繋がり、金融、 経済、観光、福祉、行革、防犯などあらゆる分野で様々な効果をもたらす可能性があると考える。 これらの状況を踏まえ、確かな技術の活用と万全な管理体制を構築し、安全性を確保した上で、デジタル通貨発行を含めた、仮想通貨の可能性や是非について本腰を入れて研究・検討すべき時期である。

また、ホストを務めていただいた韓国の国会議員団からは、ブロックチェーンポリシーの共感と交流のためのグローバル協議体を結成する提案があり、市場の動向や政策の方向の共有、人的交流などを行うという呼びかけがありました。

 

またブロックチェーンのグローバルポリシーのガイドラインについても提言がありました。

 

要約した概要は以下のような内容です。

 

①暗号貨幣、仮想通貨などで混用されている用語を「デジタル資産」として通称で、各国の立法と政策ガイドラインを見てブロックチェーンとICOの明確な定義を設ける。

 

②ICO政策の基準と原則を提示する。ICOの消費者保護義務を明示し、デジタル資産のファンディング形態に基づいて差別化された規定を適用する。

 

③デジタル資産取引所の申請資格と義務を規定する。

お客様の確認、詐欺的取引の監視、高額現金取引報告、資金洗浄、テロ資金調達、不法価格操作防止などの監視システムを導入する。

 

④各国の制度的環境を考慮して規制サンドボックスと特区の指定などを検討する。

 

その他にも多くの韓国メディアに取り上げて頂き、各国代表から提言された議論内容が記載されております。

 

記載は全て韓国語ですが、下記にURLを添付します。Google Chromeのブラウザを使った翻訳機能である程度のニュアンスは読み取れるかと思いますので、ご興味のある方はよかったらご高覧ください。

 

縷々記載させて頂いた内容のように様々な課題がありますが、テクノロジーの発展は社会を豊かにすると確信を持っておりますので、正しいルールの元に運用できる仕組みづくりをしっかりと構築していきたいと思います。

 

 

◆筆者プロフィール

中谷一馬 / Kazuma Nakatani 立憲民主党 衆議院議員

1983年生。貧しい母子家庭で育つ。厳しい経済環境で育ったことから、経済的な自立に焦り、中学卒業後、社会に出る。しかし「何か違う」と思い直し、横浜平沼高校に復学。卒業後、呉竹鍼灸柔整専門学校にて柔道整復師の資格を取得。 その傍ら、東証一部に上場したIT企業gumiを創業し、役員として経営に参画。 その過程において、社会を変革する必要性を感じ、人の役に立つ人生を歩もうと政界進出を決意。 第94代内閣総理大臣 菅直人の秘書を務める。 社会人として働きながら慶應義塾大学、DHU大学院に進学。 27歳で神奈川県議会における県政史上最年少議員として当選。在職中に、世界経済フォーラムのGlobal Shapers(U33日本代表)に選出。またマニフェスト大賞にて、一番優れた政策を提言した議員に贈られる最優秀政策提言賞を受賞。 現在は、立憲民主党 衆議院議員(神奈川7区 横浜市港北区・都筑区)として活動中。 

著書:「だから政治家になった」幻冬舎
http://amzn.asia/gKCFvZK

 

 

==↓以下、韓国メディア記事URL↓==

 

日本の中谷一馬衆議院議員は、ソウル国会大会議室で行われた「GBPC2018」行事に参加し、「日本銀行は数年前から、紙幣をデジタル貨幣に転換する研究をしてきた」とし「シンガポールの場合、紙の紙幣に入る社会的費用がGDPの0.52%を占めるという発表を見た後、デジタル貨幣研究が始まった」と述べた。

https://blockinpress.com/archives/9634

 

日本の中谷一馬衆議院議員は「日本でも規制のサンドボックス法案が可決された。食品流通履歴推定、再生可能エネルギーのスマートコントラクトなど様々な実証実験が行われる予定だ。」と紹介した。

また「消費者を保護しながら、クリプトカレンシーを含むブロックチェーン産業振興を推進することが望ましい」と述べた。

https://www.coindeskkorea.com/%EC%84%B8%EA%B3%84-%EA%B0%81%EA%B5%AD-%EC%9D%98%EC%9B%90%EB%93%A4%EC%9D%B4-%EB%B8%94%EB%A1%9D%EC%B2%B4%EC%9D%B8-%EC%9E%85%EB%B2%95%EC%9D%84-%EC%9C%84%ED%95%B4-%EC%84%9C%EC%9A%B8%EC%97%90-%EB%AA%A8/

 

中谷議員は「政府の第4次産業革命の指針では、ブロックチェーンが抜けていたが、経済産業省大臣にブロックチェーンの重要性をアピールした。」とし「ブロックチェーンを扱うスタートアップ・ベンチャー企業に対する支援をしたい。」と強調した。

中央銀行のデジタル通貨の発行準備状況についての言及も続いた。中谷議員は「日本銀行で関連研究を進めており、技術的には、実装が可能であるとの発表があった」とし「ただ、まだ日本国民は、既存の現金を使用している「現金主義」の傾向が高く、デジタル通貨に対して国民の需要が低く、セキュリティ上の問題も完全に解決されず難しいという見方もある」と述べた。

http://m.edaily.co.kr/news/news_detail.asp?newsId=03250486619371936&mediaCodeNo=257

 

「ブロックチェーン業界の規制対話」のセッションに参加した日本の中谷一馬議員は、今年のコインチェックやテックビューロなど、日本の仮想貨幣取引所のハッキング事件を例にあげて、現在の日本では、クリプトカレンシーの信頼性に疑問を提起する声が大きくなっているという点を指摘した。

また、ブロックチェーンに関しては、関連規制とイノベーションをどのようにバランスよく推進していくかが重要だと強調した。

https://www.blockdaily.com/2018/10/11/2313/

 

ICO規制について中谷一馬議員は「技術革新と規制のバランスを合わせなければならない」とし「利用者の観点から規制を断行しなければならない」と主張しつつ、ブロックチェーンの育成に積極的に乗り出している。

http://www.newstomato.com/one/view.aspx?seq=850924

 

国会初のグローバルブロックチェーンポリシー会議(GBPC 2018)を翌日に控えた10日、国会のサランジェで晩餐会が開かれた。

Nakatani Kazuma、Matsudaira Koichi日本国会議員、Olli-Poika Parviainenフィンランド国会議員、Kalle Pallingエストニア国会議員、Jason Yu-Jen Hsu台湾国会議員をはじめとするブロックチェーン先導国のブロックチェーン政策専門の国会議員が参加し、ブロックチェーンのいくつかの国の制度的な動きを見てブロックチェーン産業振興と仮想通貨の利用者保護策のための望ましい制度について議論する予定である。

ブロックチェーン先導国であるエストニアのKersti Kaljulaid大統領も出席する。

http://blocktimestv.com/skin/news/basic/view_pop.php?v_idx=2006

 

http://www.dreamwiz.com/VIEW/NEWS/AWY_qwRd9sStCcB3ZV7a#1302

 

◆2018 Global Blockchain Policy Conference
https://gbpc.micehub.com/fairDash.do?hl=ENG

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著者

中谷 一馬

中谷 一馬

選挙 第49回衆議院議員選挙 (2021/10/31)
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神奈川7区 124,524 票 比例 南関東ブロック 立憲民主党 [当選]

肩書 衆議院議員(神奈川7区/横浜市港北区)
党派・会派 立憲民主党
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