2026/6/27
こんにちは。未来進歩党代表の鈴木しんじです。
未来進歩党はこのたび、「新日本国憲法草案」を公開しました。
この草案は、私個人の思いつきではありません。本党において、これからの日本に必要な統治機構、安全保障、人権保障、地方制度のあり方について議論を重ね、党としての考え方を整理したものです。
憲法というと、多くの人は「改憲か、護憲か」という二択で考えがちです。しかし、私はこの二択そのものが、いまの日本の憲法論議を狭くしてきたと考えています。
一方には、国家や秩序を強めることを中心にした保守的な改憲論があります。安全保障や危機対応を重視すること自体は必要です。現実の国際情勢を見れば、日本が自国の安全保障について正面から考えなければならないのは当然です。
しかし、政府に大きな権限を与えるなら、それをどう縛るのか、国民の自由や権利をどう守るのかを同時に考えなければなりません。権力を強めるだけで、それを止める制度が弱ければ、危機対応の名の下に行政権が肥大化する危険があります。
もう一方には、現行憲法を一字一句変えないことを重視する護憲論があります。平和主義、人権、立憲主義を守りたいという問題意識は、私たちも共有しています。
しかし、現実の安全保障、災害、感染症、気候危機、情報社会、地方の衰退、司法制度の限界に向き合わないままでは、憲法は現実から離れてしまいます。その結果、本来なら憲法に明文で書き、国民的に議論すべきことが、政府の解釈や、その場しのぎの運用で進められてしまう。いわゆる解釈改憲です。これは、立憲主義にとっても危険です。
未来進歩党の新日本国憲法草案は、国家統制型の改憲でも、現実を見ない護憲論でもありません。
現実の危機に対応できる制度をつくる。しかし、その権力を憲法で厳しく縛る。これが、私たちの基本的な立場です。
| 論点 | 国家統制型の改憲論 | 思考停止型の護憲論 | 未来進歩党案 |
|---|---|---|---|
| 安全保障・危機対応 | 権限を強める | 正面から向き合わない | 制度として対応する |
| 権力の抑制 | 縛りが弱い | 解釈改憲を招く | 憲法で厳しく縛る |
| 立脚点 | 国家の強化 | 現状維持 | 国民が国家を動かす |
未来進歩党案は、現行憲法の平和主義、基本的人権の尊重、国民主権を否定するものではありません。むしろ、それらをこれからの時代にも機能させるために、政治制度、司法制度、地方制度、人権保障、安全保障のあり方を更新する提案です。
平和を願うだけでは、平和は守れません。しかし、危機を理由に権力を暴走させてもいけません。
人権を守ると言うだけでは、人権は守れません。権力を止める制度が必要です。
国民主権を掲げるだけでは、政治の責任は明確になりません。国民が政治の最高責任者を直接選び、その権力を議会と裁判所が監視する仕組みが必要です。
私たちの草案は、こうした問題意識から作られています。
本草案の大きな特徴は、大統領と副大統領を国民が直接選ぶ制度を導入することです。
現在の日本では、国民が内閣総理大臣を直接選ぶことはできません。国民は国会議員を選び、国会の多数派によって総理大臣が選ばれます。
もちろん、議院内閣制にも長所はあります。しかし、日本の政治では、国民が「誰に国のリーダーを任せるのか」を直接決められないことが、政治責任の分かりにくさにつながっています。
選挙で政権を選んだつもりでも、党内事情や派閥の都合でリーダーが変わる。国民が直接選んだわけではない人が、国の最高責任者になる。この仕組みに違和感を持つ人は、保守・中道・リベラルを問わず少なくないはずです。
未来進歩党案では、大統領と副大統領を国民が直接選びます。これにより、誰が国の基本的な方向性について責任を持つのかが明確になります。
ここで、保守的な方や中道層の方が気にされる点があります。大統領制を導入するということは、天皇制を否定することなのか。
私たちの答えは、明確に違います。未来進歩党案は、象徴天皇制を否定するものではありません。
天皇は日本国の象徴として、憲法に定められた国事行為を行います。一方で、政治の責任者である大統領と副大統領は、国民が直接選びます。つまり、象徴天皇制と大統領制を両立させる制度です。
天皇が政治権力を持つのではありません。政治権力の責任者は、国民が選びます。この点で、未来進歩党案は、象徴天皇制を維持しながら、国民主権と民主主義をさらに進める制度設計になっています。
もちろん、大統領を直接選ぶ制度にはリスクもあります。大統領に権力が集中しすぎれば、強権政治につながる危険があります。世界を見ても、大統領制の国で権力集中が問題になっている例はあります。
だからこそ、未来進歩党案では、大統領を直接選ぶ一方で、権力を一人に集中させない仕組みを置いています。
国民が選ぶ。議会が監視する。憲法裁判所が止める。この三つを組み合わせることで、民主的な正統性と権力の抑制を両立させる。それが本草案の考え方です。
日本では、政治が憲法に反しているのではないかという問題が起きても、裁判所が正面から判断しないことがあります。このままでよいのでしょうか。
未来進歩党案では、憲法裁判所を設けます。憲法裁判所は、法律、条約、行政の命令、大統領の行為などが憲法に反していないかを審査する機関です。
これは決して特殊な制度ではありません。世界には、憲法裁判所を持つ国が多数あります。日本でも、権力を本当に憲法で縛るなら、憲法判断を正面から行う機関が必要です。
権力を使えるようにする。しかし、その権力を必ず止める仕組みも置く。これが、立憲主義です。
安全保障についても、未来進歩党案は現実から逃げません。私たちは、自衛隊を憲法上明確に位置づけ、役割と限界を定めるべきだと考えています。
草案では、自衛隊を「防衛機構」として憲法に明記します。ただし、それは軍国主義への回帰ではありません。
平和を願うだけでは、平和は守れない。しかし、武力を持つなら、その武力を民主的に統制しなければならない。これが、未来進歩党の安全保障に対する考え方です。
災害、感染症、侵略など、通常の統治では対応できない危機はあり得ます。その意味で、危機対応の制度は必要です。しかし、危機対応を理由に政府の権限を無制限に強めることは、立憲主義とは相容れません。
未来進歩党案では、通常の統治では対応できない重大な危機を「例外事態」と位置づけます。この制度は、行政権を無制限に強めるためのものではありません。むしろ、危機の中でも権力を憲法で縛るための制度です。
危機に対応する。しかし、独裁は許さない。これが、未来進歩党案の基本姿勢です。
日本は、中央集権が非常に強い国です。地域によって、人口構成も、産業構造も、行政課題も違います。それにもかかわらず、多くのことが中央の制度設計に縛られています。
未来進歩党案では、日本を連邦国家とし、州と市町村を地方自治の基本単位にすることを提案しています。
外交、防衛、通貨、国籍など、国全体として統一が必要な分野は連邦政府が担う。一方で、地域の実情に応じた政策は、地域が主体的に行う。地域の主体性と、国全体の統一性を両立させる。これが、本草案の地方制度改革です。
未来進歩党案は、統治機構だけの草案ではありません。現行憲法の基本的人権の尊重を受け継ぎながら、現代社会に必要な人権保障を明記しています。
こうした課題は、戦後直後の憲法制定時には、今ほど明確には意識されていなかったものも多くあります。しかし、21世紀の憲法としては、正面から向き合う必要があります。
平和主義だけでなく、人権保障も現代化する。これも、未来進歩党案の重要な柱です。
私は、憲法論議を「保守かリベラルか」という単純な対立だけで考えるべきではないと思います。
真面目に政治を考えている保守層にとっても、国家権力を強めるだけの改憲では不十分なはずです。現実を見ているリベラル層にとっても、現行憲法を一字一句変えないというだけでは、これからの危機に対応できないと感じている人は多いはずです。
必要なのは、現実に対応できる国家をつくることです。同時に、その国家を国民が民主的に動かし、憲法で縛ることです。
国家を強めるためではなく、国民が国家を動かすために。平和を願うだけでなく、平和を守る制度をつくるために。権力を使えるようにし、同時に、その権力を憲法で縛るために。
未来進歩党は、この考え方に基づいて党内で議論を重ね、新日本国憲法草案として整理しました。
この記事では、草案の概要だけをお話ししました。特設ページでは、草案本文、要旨、統治機構図、現行憲法との条文対照表などを掲載しています。
→ 特設ページ:新日本国憲法草案(草案本文・要旨・統治機構図・条文対照表)
この草案は、完成された絶対の答えではありません。しかし、少なくとも私たちは、憲法論議を「改憲か護憲か」という古い対立に閉じ込めるのではなく、国民が国家をどう動かし、その権力をどう縛るのかという観点から、具体的な制度案を提示する必要があると考えています。
この草案を、国民的議論のたたき台として公開します。賛成、反対を問わず、皆さまのご意見、ご批判、ご提案をお待ちしています。
改憲か、護憲か。その二択だけではない。国家統制型でもない。思考停止型護憲でもない。平和・人権・民主主義を、現実に機能させるための新しい答え。
未来に向けて、政治を進歩させる。未来進歩党です。
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