続×８・なぜ立ち止まれない？武雄アジア大学構想の怪。武雄市議会でびっくり発言「武雄に作る大学、学生は全員留学生でも良い」？！「サイレント・インベージョン（静かなる侵略）」と言う安全保障上の問題、ご存知ですか。

武雄市議会12月定例会の一般質問をYouTubeで見返して、ぶったまげました。

佐賀県武雄市で起きている筋の悪い私立四年制大学の新設誘致問題。

地元・武雄市議会でも、いろいろな角度から議論があり、当初は賛成派と目されていた議員の先生方の多くも「学校法人に財務状況をまず明らかにさせるべき」「（学校法人も武雄市も）情報を出さないので市民に不安が広がっている」など地域を守ろうという視点での発言をされており、率直に素晴らしいなと感じていたのですが、保守系の政治的流れにいるはずのトある議員の方が「（武雄に作る大学で、学生集めが大変なのであれば）学生は全員留学生でもよかろうもん」と発言。

絶句しました。

1,000万歩譲って、私立大学が自主財源で勝手にやる分にはそういう大学でも良いかもですが、私立大学にも私学助成金という国費が入ります。国費は血税によって賄われているわけで、国民の利益、公益に資するとはっきり言えるのであれば、良いですが、そこは曖昧です。まずは、国費は自国の次の世代の学びと成長に使って頂きたい、というのが原則論。

その上で、今回の武雄アジア大学なるものは、武雄市や佐賀県からの公的支援を最初からアテにしている私大ですから、なおさら、「県民、市民のためになりますか」「地域の未来のためになりますか」と言うのが厳しく問われます。何でも良いから留学生で数合わせをするような大学に野放図に支援するほどの余裕は武雄市には無いはずです。

その上で、大事なことを言います。

私自身も、多様性は地域や組織を強くしていく、ひとつの要素である、という立場に立っています。世界各国各地に歴史、伝統、文化や政治的立場の違いを尊重しつつ、腹を割って話せる友人も数多くいます。

ただ、一方で、

「多様性の確保」「文化交流」「学術交流」という美辞麗句を掲げ、特定の国が、心理的、経済的、政治的、言論的に浸透し、相手国や当該地域に影響力を行使しようとすることが多々ある、という点に強い懸念を有しています。

こういった動きを「サイレント・インベージョン（静かなる侵略）」と言いますが、このような動きの舞台に、大学はなりやすい、という問題があります。

実際にオーストラリアでは、特定の国（この場合は中国でしたが）からの政治的な浸透活動や情報技術の漏洩などが大学の現場において存在していることを、オーストラリア政府が認定し、「対外関係法」などの法整備を含めて毅然とした対応を取ったという事例があります。この辺りについては、クライブ・ハミルトン氏著の「サイレント・インベージョン」や共同通信グループNNA豪州代表・西原哲也氏の「オーストラリアはいかにして中国を黙らせたのか　静かなる侵略を打破した外交戦略に日本は学べ」に詳しいので、ぜひ一度読んでみて頂きたいです。

我が国の国内を見渡してみると、全ての大学がそうではない、と信じたいものの、実際に留学生の在籍状況を見てみると、特定の国に偏っているなどのケースも散見されますし、良かれと思って作った地方の私立大学が、経営危機を原因に、怪しげな学校法人へと経営移譲され、地元の血税が運営支援に吸い取られ、学生確保は留学生頼みになり、「サイレント・インベージョン」の舞台になってしまっている、と感じるケースもあります。

そう考えると、議会で「学生全員、留学生でも良い」と言っている場合では無いのです。

オーストラリア・クイーンズランド大学に在籍していた学生の言葉が印象的です。

「大学は覇権主義的な外国を支えるために存在するのではない」

そう。何のための大学か、今一度考えてみていただきたい。

私は、先人が数多の労苦を重ねて築いてきた日本という国の歴史と伝統、国柄を次の世代に引き継いでいきたい。
目先の中途半端な判断で「日本を溶かす」ようなことはしてはいけないと強く思います。

人口減少という危機に直面しているからこそ、地域のリーダーは「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の利己的判断ではなく、本当に地域の為になる、地域の未来に資する政策を打っていただきたい。

武雄の私立四年制大学の新設誘致問題を、日本を守る、佐賀を守る、武雄を守る、という文脈で捉え、これからも発信を続けていきます。

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