2023/3/17
福島第一原発によるトリチウム等を含むALPS処理水の海洋放出の撤回を求める意見書の提出を求める請願に反対しました
ふじみ野市議会定例会の最終日となる3月16日、請願の採決が行われました
その本会議の場で立憲民主党の民部が反対したと一部で騒ぎになっているらしく、理由を教えてほしいと問い合わせまでありました
タイトルだけ見て「どうして?」と思っている人もいるかと思いますので、長文になりますが本会議場で行った討論をアップします
原発に賛成・反対に関係なく、原発というエネルギーの恩恵にあずかってきた私たちが福島の復興のために考えなければならないのは、正しく理解することです
いたずらに危険をあおることには、慎むべきだと思います
【反対討論全文】
請願第1号 福島第一原発事故によるトリチウム等を含むALPS処理水の海洋放出方針の撤回を求める意見書の提出を求める請願について、反対の立場で討論します
昨年、福島第一原発を見学いたしました
原子力建屋は囲いに覆われ防護服を着用せず近づける状態にまでなっていましたが、広大な敷地はおびただしい数のタンクに埋め尽くされていました。
今後、廃炉作業を進めるには発電所内に広い敷地を確保する必要があり、このままではタンクが廃炉作業の妨げになってしまうとのことでした
原子力事故の厳しさを改めて認識するとともに、復興への道のりはまだ遠く、福島をはじめとする原発立地地域にリスクを押し付けながら電気の恩恵にあずかってきたものとして申し訳なさも感じました
福島第一原発の廃炉作業が一刻も早く終わり、福島の復興と地域再生が進むことを切に願うばかりです
さて請願文には、「汚染水の海洋放出は復興の大きな妨げとなる」とあります
委員会の中でもALPS処理水と汚染水を混同した議論もあったようですが、ALPS処理水は汚染水とは別物です
ゴミ処理施設の焼却炉で発生したガスは有害物質を取り除いて大気に放出されています
それと同様にALPS処理水は汚染水から多核種を取り除いたものであり、汚染水がそのまま海洋放出されるわけではないことは指摘しておきたいと思います
ALPSの運用当初は敷地内の放射性物質濃度の低減を優先して処理していたため一部のタンクには放射性物質が国の規制基準を超えて残っているものもあるようですが、これらの処理水も海洋放出前には規制基準を満たすよう再処理を行うため、除去できない放射性物質はトリチウムのみになるとのことです
なおトリチウムは水素の一種であり、酸素と結びついて水として存在します
トリチウムが出す放射線は非常に弱く、皮膚を通すことはできないため、外部被ばくの心配はありません
また人や魚介類など生物に取り込まれた場合も水として排出されるため、体内に蓄積されることもありません
科学的にはトリチウムが環境に与える影響は限りなくゼロに近く、そこで摂れた海産物を摂取しても人体には何ら問題がありません
にもかかわらず、漁業関係者や住民がALPS処理水の海洋放出に反対しているのは、安全性の問題ではなく、風評被害を懸念してのことです
それに対して消費地に住む私たちができることは、福島の海産物や農産物の安全性について正しく理解することです
議会という公の場でALPS処理水を放射能汚染水と混同し、いたずらに危険性を煽ることは許されることではありません
さらに市議会として本請願を採択することになれば、福島に対する風評被害を広めることになるのではないでしょうか
よって本請願の採択は、強く反対します
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ミンブ カヨ/58歳/女
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