2025/10/25
市長選挙や市議会議員選挙で、必ずと言っていいほど争点になる学校給食の無償化。
保護者にとっては「負担が減る嬉しい政策」ですが、本当に「子どものため」なのでしょうか? そして、その財源の使い方は本当に正しいのでしょうか?
ちょっと立ち止まって考えてみます。
まず、学校給食の仕組みを整理しましょう。
どの自治体でも、人件費や光熱費は公費でまかなわれ、食材費のみが「給食費」として保護者から徴収されています。
しかし、知っておいていただきたいのは、生活保護世帯や就学援助を受けている低所得世帯(世帯収入が生活保護世帯の1.3倍程度の世帯)は、すでに自治体が給食費を全額負担しているという事実です。
つまり、全世帯を無償化にした場合に新たに恩恵を受けるのは、中~高所得世帯ということになります。低所得世帯の負担は、今までもゼロであり、無償化後も変わりません。
ふじみ野市では、学校給食の年間の材料費は約6億円です。
この6億円を無償化するために捻出するには、市の財政のどこかを削らなければなりません。
所得に余裕のある世帯のために、この巨額の財政支出を優先することが、市の財政の使い方として本当に正しいのか、疑問が残ります。
ちなみに最近の食材費高騰で、本来は給食費を値上げすべきところ、ふじみ野市は約1億円を市が負担することで、現状の給食費を据え置いています。これだけでも、市は子育て世帯を支援していると言えます。
すでに給食無償化を導入した他自治体の話を聞くと、驚くべき実態が見えてきます。
・学校体育館にエアコンが未導入
・校舎のトイレがまだ和式
ふじみ野市ではとっくに完了しているエアコン設置やトイレ改修といった、子どもたちが日々使う教育施設の整備を後回しにして、給食無償化を優先しているケースがあるのです。
給食費の負担は保護者には分かりやすいですが、「学校のトイレが和式かどうか」を保護者が知る機会は限られています。
これでは、子どもの学習環境や快適さよりも、保護者の負担減という、分かりやすいアピール政策が優先されているのではないでしょうか。給食無償化は、子育て世帯支援としては助かるものの、「低所得世帯の支援」ではないとしたら、目的は全保護者への分かりやすい利益供与になってしまいかねません。
もちろん、子育て世帯の支援は重要です。しかし、給食費の無償化を自治体間で競うのではなく、国が責任を持って支える制度として取り組むべきだと考えます。
そして、自治体が今、教育で最も優先すべきなのは、公教育の充実、特に教員の負担を減らすことではないでしょうか。
「先生が忙しすぎる」「教員の成り手がいない」という問題は、子どもの教育環境に直結します。
教員の負担軽減のためにお金をかけることはたくさんできます。例えば、
・教員の仕事をサポートする支援員を増やす
・テストの採点などにAIやITの力を借りる
ふじみ野市では、昨年度から自動採点システムを導入したり、子どもたちのタブレットにいじめや自殺の兆候を検出するアプリを導入したりと、教員をサポートする先進的な取り組みを進めています。
教員の負担が減り、心に余裕ができれば、子どもたち一人ひとりに向き合う時間も増えます。
子どもたちの学習環境と、それを提供する教員のサポート。
給食の無償化という「分かりやすい負担減」よりも、この公教育の質の向上こそ、自治体が最優先で取り組むべき問題だと私は考えます。
あなたは、6億円の使い道をどう考えますか?
#学校給食 #給食費無償化 #ふじみ野市

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