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【オリパラと多様性の関係などについて】

2021/2/12

【オリパラと多様性の関係などについて】

私はオリンピック・パラリンピックは単なる一過性のイベントではなく、日本社会をどのようにアップデートするかが鍵だと考えてきました。
単に海外から多くの人が訪れてスポーツで多くの人が感動する、その経済的価値やコンテンツ価値も大きいものがありますが、それだけでは巨額となったオリンピック開催経費の元は取れないと考えているためです。

そのため、私はオリンピック・パラリンピック開催都市としての行動計画を策定する際は必ず「2020年で終わりの線表を引くのではなく、2021年以降も入った線表を作り、オリパラ後に何を残せるのかを考えるように」と指示をしてきました。

今回の件で改めて考えることは多様性の尊重です。
日本はジェンダーギャップが先進国で最下位レベルなのはよく知られていますが、政治における女性比率の低さを筆頭に、女性課管理職の少なさ、収入の男女差、それと専門職や技術職の数の男女差など、まだまだ課題が山積しています。

障害者についても、日本はスポーツにおいて障害者スポーツ環境整備が遅れており、オリンピックのメダル数に対してパラリンピックのメダル数が際立って少ない、先進国でも異質の国でした。
障害者スポーツを見たことがある、と答えた人の割合も欧米と比べて低い状況です。
オリパラ開催が決定し、日本は急いで障害者スポーツ環境の整備を進めていますし、そこを皮切りに障害者全体に目を向け、障害のある人もない人もともに交流する共生社会の実現が求められています。

LGBTについても先進国の中で遅れている国です。G7で同性婚が認められていない国は日本だけであり、OECD加盟国の中で同性婚・パートナーシップ制度が存在しないのは韓国・トルコなど少数派となっています。

オリパラはこうした日本の社会のあり方について今一度考え、多様性が十分ではなく、社会全体の活力が低下しつつある状況を打破するきっかけとなることが期待されてきました。

私たち千葉市は女性活躍推進に取り組み、女性の管理職比率は21%(平成31年4月時点)と、平成21年:12%から大きく上昇しました。男性育休取得率は令和元年度で92.3%と、他の自治体が10~20%程度(千葉県は一桁)という状況の中で断トツ1位となっています。
また、女性の活躍だけが男女共同参画ではないとの立場から、男性が少数派の環境改善にも取り組み、「男性保育士の活躍推進プラン」を策定、男性保育士の働く環境の改善(トイレ・更衣室整備)や登用などを着実に進め、成果を出しています。

障害者についても千葉市は特別支援学級の設置が平成21年度:42%→令和2年度:83%と上昇するなどインクルーシブ教育などにも取り組んできましたが、パラリンピック開催を契機に障害者スポーツに力を入れてきました。
千葉市は「オリンピックと同じかそれ以上にパラリンピックに力を入れる」という方針の下で、課長研修にパラスポーツ体験を取り入れる、全小中学校の体育の授業にパラスポーツを取り入れる、パラスポーツコンシェルジュを整備し、障害者スポーツ環境を整えるなど、全市を挙げてこの間、障害者スポーツ振興に取り組みつつあります。
私たちはパラリンピックがゴールではなく、「パラリンピックがあったから千葉市の障害者スポーツ、障害者との共生は進んだ」と言われるよう今後も着実に施策に取り組んでいきます。

LGBTについても千葉県で最初にパートナーシップ制度を策定し、同性パートナー・異性パートナーを認め、賃貸借契約や病院の付き添いなど、様々な場面での当事者の苦しい環境の改善に取り組んできました。

このような形で千葉市はオリパラを契機に多様性を尊重する取組を加速化させており、それは仮にオリパラ開催が中止になったとしてもレガシー(財産)として千葉市に確実に根差していくものです。実効性ある受動喫煙防止条例もオリパラ開催都市だからこそ制定できたものです。

私はオリパラの取組を学ぶためロンドンに視察した際、関係者から「オリパラを開催するまでの期間が大事。その旅路を楽しんでほしい」と言われ、諸々の取組を学ぶことで、いかにイギリスが社会変革を念頭に周到に準備を重ねてきたのかを痛感しました。

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【森さんと発言の根底にある意識】

そうした中での森さんの発言です。
森さんは私の大学の大先輩であり、国体で森さんにお会いした際もいかにスポーツ界において重要な存在として貢献してこられたのかをよく知っています。

森さんのように何か異分子の存在を「女はこう」と決めつけるのは典型的な「無意識の差別」です。
意識的に差別する人はまれで、皆「私は差別するつもりはない」と答えますが、「その人がこう」を「そういう属性の人はこう」と一括りに考える、その思考回路が既に多様性の欠如であり、今回に限らず、過去にも同様の女性の括り発言をしていることから、森さんの根底意識の中に女性を「理解できないもの」「自分たちと(どちらかといえばネガティブな意味で)違う存在」という意識があることがうかがえます。

様々な審議会等において女性比率を向上させるため、外部委員を女性にする手法が往々にして行われます。
これまで専門的にその分野について考えてきた人達からすれば「何をいまさら」という発言があるかもしれませんが、外部からの新鮮な発言から今まで抜けていた視点を得ることもあるでしょうし、仮にそれが意味のない発言だったとしてもそれは「女性が」ではなく「その人は」と考えなければいけません。
なお、千葉市は公募委員は男性1人、女性1人という形で、偏らないよう意識しているほか、女性の専門家を極力入れるよう努力しています。

私も常に反省していますが、人は異分子に対して、違和感を感じ、その違和感を自分の中で解消するために、「こういう属性の人だから」と一括りにして自分の埒外に置くことで心の平安を保とうとします。
特に日本は忖度という言葉に代表されるように同質化することをよしとしてきましたので、多様性の尊重は私たち一人ひとりが常に意識して今までの習慣や常識に囚われないようにする必要があります。

違いを興味深いと考え、もっと知ろうと考える思考、違いが力に変わる、そうした時代を作っていきたいですね。

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【組織委員会のガバナンスと多様性】

気になったのは組織委員会のガバナンスと多様性です。
今回の発言は許されないことではありますが、撤回し、かつ適切に報道対応を行っていればここまでの問題には発展しませんでした。
森さんが少なくとも今回の件で根本的な部分を理解していない、報道対応などで過去にも問題を起こしていることを考えれば、丸腰で報道対応させたことは組織委員会として危機意識に欠け、開催にあたってテロ等も含めた突発事案、インシデント対応ができるのか、非常に不安です。

また、森さんに対して「余人をもって代えがたい」という発言が何度も出るのですが、もしそうだとすれば日本はそんなに人材がいないのか、今まで人材を育ててこなかったのか、今まで何をしていたのか、という、もっと深い課題が突きつけられたと感じます。

結局のところは武藤事務総長も含め、主要なメンバーは森さんと非常に深い信頼関係で結びついている方々なのですが、同質化した幹部集団がコロナ禍でのオリパラ開催を意思決定することは大丈夫なのか、心配になります。
予断を持たず、様々なシナリオを元に固執せずに柔軟に対応頂きたいので、組織委員会の多様性が非常に重要になります。
今回、千葉ご出身の川淵さんが後任と会長になると聞いていますが、ぜひ組織委員会の多様性を確立し、戦時中の日本軍のような状況にならないことを切に願います。

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著者

熊谷 俊人

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