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【県内10市の上下水道徴収一元化に貢献 拙著抜粋企画 行財政改革④】

2020/10/28

【県内10市の上下水道徴収一元化に貢献 拙著抜粋企画 行財政改革④】

おはようございます。拙著の抜粋企画、今日は上下水道徴収一元化について。当時の職員の回想もあり、経過がよくわかると思います。

千葉県の県営水道給水地域(11市)は全国でも珍しい、上水道と下水道の請求が別々に来る状況で、私が市長に就任後、リーダーシップを発揮して一元化を実現しました。
千葉市と一緒に一元化した成田市、市原市、鎌ケ谷市に加え、来年1月より遅れて一元化する市川市、船橋市、松戸市、浦安市、印西市、白井市にも大きな行革効果と住民の利便性向上に貢献できた大きな行革案件です。

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■ 上下水道徴収一元化へ

 止める、カットするだけが行財政改革ではありません。創意工夫により、大きな財政効果を上げた事例を紹介します。それは県営水道と市下水道の徴収一元化です。

 私は千葉市に住んだ時に違和感を感じました。水道料金を支払った翌月に下水道料金の請求が来るのです。今まで住んだ都市では上水道と下水道は一緒にまとめて請求が来ており、上水道と下水道が別々に請求する都市に住んだのは初めてでした。
これは県営水道が給水する県内 11市(千葉市、成田市、市原市、鎌ケ谷市、市川市、船橋市、松戸市、習志野市、浦安市、印西市、白井市)において同様の状況で、全国的にも珍しいケースです。

 上水道と下水道で別々に請求するということは、住民側の手間も二重に発生することはもちろん、行政サイドも収納事務や滞納管理、システム運用などが別々で、二重にコストをかけていることになります。
 さらに、上水道は電力やガスといったライフラインの中で最も滞納率が低く、100%に近い徴収率を誇っているのに対し、下水道は滞納しても使用を停止できる性格のものではないため徴収率が低くなりがちです。上水道と下水道を徴収一元化することで下水道も上水道と同程度の徴収率まで引き上げられ、その財政効果は莫大なものがあります。

 私は議員になった2007年より、この問題について研究してきましたが、当時、行政レベルでは課題と認識されていても各市の議会や県議会、マスメディアで、この問題はクローズアップされていませんでした。昔から千葉に住んでいる人にとってはこれが当たり前だと思っていたのかもしれません。

 千葉県と同様の状況があった神奈川県においては県がリーダーシップを発揮して徴収一元化を2003年4月に実現しています。本来であれば、こうした県内行政全体の効率化こそが広域行政体である県の仕事そのものですが、当時の県政には徴収一元化を自ら仕掛ける意思はありませんでした。
 そこで、市長就任後、徴収一元化に向けて千葉市が引っ張っていくことを所管に指示し、局長以下、職員一丸となっての奮闘が始まりました。

 まずは徴収一元化に向けた問題意識を関係者が持つことから始める必要があるため、市議会議員に説明することはもとより、私が就任後に始めた千葉市選出の県議会議員との県市間の懸案事項説明においても取り上げ、県議会で会派を超えて取り上げてもらいました。また、市政記者にも千葉県政の課題として情報提供したところ、ある新聞では千葉版で大きな記事となりました。

■ 11市をまとめ、県との協議が動き出す

 こうした動きに加え、局長たちがそれぞれの人的ネットワークで関係市や県に働きかけてくれた結果、 11市がまとまって県と協議することとなり、県営水道と各市の下水道の徴収状況の整理、一元化に必要なシステムや制度設計などが具体的に検討されることとなったのです。この時、既に私が市長に就任してから3年の歳月が過ぎており、実現まで5合目まで来たという感じです。

 その後、システムや制度の設計が進み、県から各市へ徴収コストの提示があったのですが、ここへ来ていくつかの市がなんと徴収一元化に加わらないとなりました。
 「ここまで来てどうして?」と思い、各市の理由を聞くと「提示された徴収コストでは財政効果が出ない恐れがある」、「上水道と下水道を一括徴収することは違法だ」など、首をかしげる理由ばかりでした。

 徴収事務やシステムを二重に持ち、低い徴収率のままの現状に比べ、徴収一元化すれば財政効果が出ることはしっかりと計算すれば分かることです。
また、徴収一元化が違法などというバカな理屈は、全国で徴収一元化が行われ、残るは千葉県のみという状況で何を言ってるんだと思いますが、公務員はたまに法規を杓子定規に捉えて、現実離れした解釈をするケースがあります。私も行革を進める中で職員が同じような主張をしてきた時もあり、制度元である国に確認させ、「問題ないに決まっているじゃないですか」となった例を何度も見てきました。

 こうした市に対して、それぞれの市長に資料を基に説明しましたが、「詳しくはよく分からないけど、一元化しない方が良いみたいなんだ」というような反応で、首長が所管の話を鵜呑みにせず、自分自身で数字や理屈について検証することの重要性を痛感します。

 結局、一元化に参加する市は千葉市、成田市、市原市、鎌ケ谷市の4市となり、市川市、船橋市、松戸市、習志野市、浦安市、印西市、白井市の7市は先行市の状況を見て判断するということになりました。
 これでは 11市分の規模で設計されたシステム費用等が分担できず、一元化自体の実施が危ぶまれましたが、県が7市分を建て替え、4市だけでも先行して実施することになりました。ここで2段階の実施を飲み込んだ県の判断は良かったと思います。

■ 上下水道徴収一本化 4市でスタート

 長きにわたる調整、システム構築を経て、いよいよ2018年1月から、千葉市など4市で上下水道の徴収一元化が図られました。市民の皆さんからは「手続きや支払いが大変便利になった」と大きな反響がありました。
 気になる財政効果ですが、千葉市の徴収率は実施前の 98・6%から 99・8%へと大幅に向上、2018年度の下水道会計は一元化前の2016年度と比べ、2・2億円の大幅収支改善となりました。

 この結果を受けて、残る7市のうち市営ガスもあり、上水道と下水道の徴収一元化が難しい事情を持つ習志野市を除く6市が第二陣として一元化に参加することとなり、2021年1月から一元化されることとなります。

 千葉市が協議会の会長市となって職員とともに長年汗をかいたことで、千葉市以外も含めた県営水道給水エリア約295万人の利便性を向上させ、年間何億円もの財政効果がずっと発生することになったのです。
 市長に選んでもらったこと、実現に向けて市や県の職員が頑張ってくれたこと、全てに感謝し、達成感を感じた瞬間です。

 この上下水道の徴収一元化を巡る話で私が伝えたいのは、行政には首長と職員の決断や創意工夫によって改善できる余地がまだまだあること。大きな効果を生み出す案件ほど他行政との膨大な調整作業を要するものが多く、数年で職員がローテーションで入れ替わる行政では誰かがリーダーシップを発揮しない限り放置されたままになりがちなこと。だからこそ行政に携わる私たちの使命感が問われている、ということです。

 私は 11年間の市長在職中にこうした案件について職員とともに一つ一つ解決し、大きな財政効果を上げてきました。
 広域行政体である県はもっと多くの、大きな財政効果を上げることのできる案件を数多く抱えています。上下水道の徴収一元化は県側に決断する職員がいたために千葉市の努力が結果に結びつきましたが、 11年かかっても県側の姿勢が変わらずに解決できない案件もたくさんあります。
 「市町村が頑張ったら対応しますよ」といった広域行政体としての使命感に欠けた姿勢ではなく、率先して県内行政コストを最適化するために自分たちが存在している、給料をもらうことができているという感覚を持って自らが調整に汗をかく行政体となることを期待しています。それには、トップ層の意識、課題設定、リーダーシップが不可欠であることは言うまでもありません。

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職員の回想 ~元建設局長(清水 謙司氏)~

○上下水道料金徴収一本化
 熊谷市長から重要課題として上下水道料金徴収一元化を指示された当時、千葉市の下水道料金の徴収率は政令市中最低でした。政令市で上下水道料金の徴収一元化をしていないのは千葉市だけでしたから、徴収率を上げるため一元化を進めなくてはならないと思いました。

 実は2000年から下水道使用料等事務連絡協議会で徴収一元化を検討していましたが、県は「(県営水道の給水エリアの)全 11市が出席しないと協議に応じない」という姿勢でした。ですが、習志野市は下水道料金を市ガス料金と一括徴収し徴収率が高く、参加する必要がありません。私は旧知の習志野市都市整備部次長に頼み、下水道関係者を説得してもらいました。おかげで県も協議に応じてもらえましたが、なぜこんな理由で 10年も滞っていたのかと不思議に思いました。

 私が市役所を卒業した後、習志野市以外の6市からも表向きには「法的に問題はないのか」など不安視する意見が出たそうです。ですが、本音はシステム開発費が掛かるので費用対効果に確信が持てなかったからでしょう。そこで千葉市など4市で先行スタートしました。
千葉市の単独徴収最終年度の2016年度と一括徴収初年度の2018年度の現年分徴収額の差額は約2億2000万円。他市がすぐやろうとなったのは、千葉市を見て投資効果が確信できたからでしょうが、早くやればその分効果が早く出たはずです。千葉市が他市と違ったのは市長が指示を出したことです。指示がなく下から上を説得するのは大変です。その点、熊谷市長の判断と私たちの努力で実現した施策と言えます。

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著者

熊谷 俊人

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