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【災害時の首長SNSが持つ意味 『千の葉をつなぐ幹となれ』抜粋連載企画、台風15号対応⑤】

2020/10/13

【災害時の首長SNSが持つ意味 『千の葉をつなぐ幹となれ』抜粋連載企画、台風15号対応⑤】

おはようございます。
新型コロナウイルスについて、市内で2か所クラスターが発生しています。1件は社員寮で、もう1つは特別養護老人ホームです。
前者は陽性者は多いものの、若い世代で無症状か軽症のため、病床・軽症者用ホテルを中心に十分に対応できます。特別養護老人ホームの方は人数はそれほど多くないものの、入所者は高齢者のため、施設と連携しながらしっかり対応していきます。

さて、連載していた拙著『千の葉をつなぐ幹となれ』の抜粋企画。今回は災害時の首長と組織の関係についてです。

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■ 組織とトップの連携と役割分担

 災害時に行政でよくありがちなのは、災害対応と名の付くものは全て防災部門に回すという対応です。
よくよく考えると、本来は専門の部署が対応すべき案件も災害対応の名の下に防災部門に回されます。するとどうなるか。防災部門は膨大な事務と判断に追われ、機能不全になる一方で、他所の部署はほぼ平時に近い業務をやっていて危機感が組織全体に共有されていない、そんなアンバランスな現象が発生します。発災当初の県はおそらくそのような状態だったと推測されます。

 私はそのようなことが起きないよう、「この案件は君の部署の本来業務だ。防災部門とはよく協議してもらいたいが、君たちが主体的に判断し、実行してほしい」と指示することを心掛けています。市長や副市長が仕事を各部署にさばく役割をある程度引き受けないと、防災部門が他組織にさばく仕事すら引き受け、組織がパンクします。防災部門が彼らでしかできない仕事にリソースを集中できるようにすること、これがトップの役割の一つです。

 ツイッターなどSNSについても、千葉市は災害時でも広報広聴課が本来の業務として市民に対して災害関連情報を発信することにしています。防災部門と異なり、全庁的な情報が集まりますので、直接的な災害対応情報だけでなく、保育所や学校の状況や災害ごみの収集など、被災者が知りたい市全体の情報を発信することができます。

 ここで重要なことは時間軸です。災害対策本部や市長が決定した事項が、様々な調整を経て、担当職員が市民に詳細を発信できるようになるまでタイムラグが生じます。発災後しばらくは数時間のタイムラグも被災者にとっては死活問題となります。
そこで、組織的に決定したものの、詳細発信に時間を要することが見込まれる場合は、私のアカウントから「○○についてはこのような方針と決定しました。詳細については後ほど広報広聴課アカウントから発信します」と発信することとしました。

 例えば、災害ごみを無料回収する方針を9日時点で発信して翌日に注意事項も含めて詳細を広報広聴課で発信したり、ペット同伴での避難が可能な避難所を開設する方針をあらかじめ表明して半日後に該当避難所と注意事項を広報広聴課アカウントが発信するという流れです。この間に、該当する被災者はどうするか考え、準備する時間が与えられ、詳細情報にすぐに対応することができます。
災害時は、トップ、各組織の緊密な連携と役割分担を行うことが重要で、それは平常時の実践が左右します。平時にできていないことは非常時にもできないのです。非常時にできなかったということは平時もできていなかったということでもあります。

■ 災害時最も余力がある首長の役割

 このようにSNSで情報発信を続けていると「災害時に市長はSNSばかりしているのか」という批判が必ず上がります。こういうことを言う人はたいていSNSをやっていない人で、平時でも一定数います。この意見自体は取るに足らない意見ですが、災害時の首長の状況については説明しておいた方が良いと思います。

 誤解を恐れずに言えば、災害時、首長はヒマです。災害時、危機管理意識のある首長はいつでも所管が飛び込んで判断を仰ぐことができるように、通常のスケジュールは全てキャンセルします。実際に台風 15号では、私は市役所を離れる案件は全てキャンセルしています。ですから、報告を受け、指示を出し、その指示が被災者・被災現場が求める時間軸で動いているか進捗を適宜把握する以外の時間は市長室に待機しています。

 従来はその時間は待機するしかありませんでしたが、今の時代はその時間を活用して、SNSで市長自身の言葉で情報を発信したり、支援を全国に呼び掛けたり、情報収集や市民への励ましのメッセージなどに充てることができます。

 私は、9月 17日に以下のツイートをしました。

「災害時、トップのSNS投稿が多いと必ず批判があります。これは災害を経験した首長なら誰でも分かることですが、有事の際、危機管理意識がある首長は通常スケジュールを全て中止・延期しますので、指示を出し、報告を受ける合間に時間は十分にあります。その時間を首長でしかできない仕事に回すわけです」

 大阪府箕面市の倉田哲郎市長が、私のツイートに対し的確な発言をされているのでご紹介します。

「昨年、大阪北部地震や台風の大停電を経験しましたが、(熊谷市長の意見に)まったく同感です。
災害時、市職員は、目の前に流れてくる大量のタスクを処理するのに手一杯。言葉を選ばずに言えば、一番ヒマなのが首長です。だから、職員がやれない情報収集・発信、全体の動きを眺めて不足の取組を探す、他組織との交渉などを頑張ります。
ヒマは言い過ぎですが、よく言えば『遊軍』って感じです。ともかく、災害時は、指示や報告を受ける以外の『隙間の時間』を一番もってるのが首長です。それが組織の在り方であり、役割分担でもあります。
もちろん実際に現地にも赴きますが、近年、SNSにより、現地に赴くより広範囲に被災者と生々しい接触が可能になりました。首長の余力が、ここに費やされる意味は大きいと思います。昨年の災害の最中、なにが足りず、なにが不安か、などの声をバーチャルに見聞きし続けられたのは、対策を進めるうえでとても大きかったです」

『千の葉をつなぐ幹となれ』はおかげさまで好評で多くの方に読んで頂いています。アマゾンや書店でも購入可能ですが、私の公式ホームページから申し込んで頂くと、希望する方には私のサインを入れてお渡ししています。

https://www.kumagai-chiba.jp/book/

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著者

熊谷 俊人

熊谷 俊人

選挙 千葉市長選挙 (2017/05/14) [当選] 182,081 票
選挙区

千葉市

肩書・その他 千葉市長
党派・会派 無所属

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