2022/10/27
「ピースロード練馬」との関わりについては、これまで確認できた点からだけでも、練馬区は、検証されるべき多くの宿題を背負っています。
1.環境美化活動団体への登録にあたって、「ピースロード練馬」などが「統一教会」と一体となった団体であることをなぜ把握できなかったのか。あるいは、把握しながら登録を認めたのか。(環境課)
2.公設掲示板へのポスター掲示については、広く区民に働きかける行為であるだけに、さらに問題は深刻です。(地域振興課)
①ポスター掲示を認める際に、区は当該団体が「公益を害する恐れ」があることをなぜ認識できなかったのか。
②そもそも、公的な位置づけの全くない団体・活動であるにもかかわらず、そのポスターを毎月、継続的に掲示させてきたのはなぜか。
③今年度、環境美化活動団体の登録が認められなかったことが、区の内部でなぜ共有されていなかったのか。
3.個々の所管にとどまらず、練馬区全体として、「統一教会」やその関連団体についてどのように認識し、どういう対応をしてきたのか。また、今後、していくつもりなのか。
2-①について、池尻からの問い合わせに対して区(地域振興課)はこう答えています。
あらためて『練馬区掲示板等管理要綱』の内容を確認しておきます。
つまり、区(地域振興課)は、要綱第3条(4)にあたる地域の清掃活動のポスターであるという点は確認したが、第4条については「団体のホームページも確認」したにもかかわらず問題があるとは考えなかったということです。不思議です、というよりも驚きです。「ピースロード練馬」が(4)や(5)だけでなく、(3)にも触れる可能性があることは容易に理解できたはずです。少なくとも3月の時点で、環境課はホームページの記載をもとに「特定の宗教の教義を推進する」団体、具体的には「統一教会」と一体の団体と認定しています。環境課に出来て、地域振興課に同様の判断が出来なかったはずはありません。
要綱との関連では、もう一つ大切な宿題があります。
掲示できる掲示物として第3条にあげられているもののうち、最初の3つは行政機関やその関与が明白なもので、これらについては区の判断で掲示することができるようになっています。他方、4つ目の「地域住民が行う地域活動およびスポーツ、レクリエーション、文化行事等に関するもの」については、各町会等がその責任において掲示をする形になっています。
第3条第4号の「地域住民が行う地域活動およびスポーツ、レクリエーション、文化行事等に関するもの」については、別表として具体的な例が示されています。こんな内容です。
■地域活動 ―― 総会、地区祭、盆踊り、まつり、敬老会、清掃、防犯・防火、バザー、ラジオ体操 等
■スポーツ ―― 運動会、野球、卓球、バレーボール、ゲートボール、ネットボール、健康教室 等
■レクリエーション ―― カラオケ、ハイキング、ダンス、コーラス 等
■文化行事 ―― 俳句、囲碁、将棋、折り紙、料理、映画会、絵画 等
いずれも、地域コミュニティのごくありふれた身近な活動ばかりです。しかし、こういう活動を任意の団体が企画したとして、そのポスターを区が公設掲示板に、しかも何回も掲示するなどということはとても考えられないことです。
要綱自体も、区の後援や支援を受けていない地域の任意の団体の、任意の活動のポスターがそのまま掲示されることを想定していません。第8条にあるように、「町会の承認」を受けなければならない仕組みになっています。ところが今回、「ピースロード練馬」のポスターについては「町会等の承認」などまったく取っていません。
区が作成したものなどと同じように区から町会等に送付されており、このポスターが要綱上、どういう根拠で掲示されることになったかについての説明もなされていません。送付を受けた町会等は、他のポスターと同様に掲示すべきもの、公的な意味合いが確かなもの、区がなんらかの責任を負っているものと受け取ったに違いないと思われます。この点は、きわめて重大です。区が、結果的にせよ「ピースロード練馬」の活動を公認し、拡散することになってしまったという意味で。
ちなみに、公文書が保存されている過去5年について確認を求めたところ、環境美化活動団体のポスターを掲示した実績は「ピースロード練馬」以外には一度もありませんでした。ほんとうに異例な扱いがなされたのであり、少なくとも「ピースロード練馬」のポスター掲示について言えば、区の要綱は二重にも三重にも守られなかったと言わざるを得ません。
「ピースロード練馬」は、「統一教会」との関連を理由に、結果的には環境美化活動団体としても、ポスター掲示団体としても不適切で不適格であったことを区は認定しました。それ自体は、遅きに失したとはいえ、必要で賢明な判断、対応だったでしょう。しかし、問題はここからです。なぜ不適切で不適格な団体を区は“認定”してしまったのか?
「統一教会」が抱えている深刻な社会的な課題を認識していなかった? わかっていたけれども、ルールを忘れ、審査がルーズで見逃してしまった? いずれにしても大変情けない話です。本当にそうなのでしょうか。
政治家と「統一教会」や関連団体との関係は、自治体レベルでは全くと言ってよいほど明らかになっていません。要綱の規定を飛び越えてまで異例な対応をするほどの配慮や力、たとえば政治的な思惑や判断が介在したということは、まさかないとは思いますが…。
とにかく、今はまだ、真相はわからず、対応策も改善方もまったく示されていません。事の重大性を受け止めれば、区・区議会を上げて点検と検証に取り組むべきです。おとなりの杉並区では、全区的に調査をかけ、10月7日には調査結果を公表しています。
よいことです。練馬でも是非!
(終り)
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イケジリ セイジ/67歳/男
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