2024/7/19
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
今日は一日お疲れさまです。最後の質問となりますので、よろしくお願いします。
まず、本法案の前提となる社会環境の認識について大臣に伺いたいと思います。
国家公務員や地方公務員、また教職員など、今、離職や採用難、公務員離れということが深刻になっています。デジタル化によって行政の運営の簡素化、効率化を図る本法案の趣旨とは逆の流れが来ているんじゃないかなと思っています。現場では、デジタル化によって業務が簡素化するどころか、逆に、まだリアルとデジタルが併存することで大変になっているという声も聞きます。
こうした声に対して、デジタル庁としての考えや、また、公的機関の在り方に関するグランドデザインが必要ではないかと思っています。メッセージの発信が必要ではないかと思っています。先ほど、業務は標準化、またシステムは共有化というキーワードもいただきましたけれども、まず、大臣の現状認識等をお聞かせください。
○河野国務大臣 学校や行政機関で今までのようなアナログの業務を続けられると思っている方は、多分どなたもいらっしゃらないんだと思います。なるべく早く業務の見直しをした上でデジタル化を進めていく、これをやらなければ、もうどこももたないというふうに思っております。
もちろん、アナログでやっていたものをデジタルに変えるということは、そこに追加の業務が発生をするわけでございますので、例えば霞が関は、そのために一時的に人員を増やす。結果として将来的には人員を削減することができるかもしれませんけれども、現行の業務をやりながらデジタル化をやってくださいというのは、これはなかなか難しいことですから、その辺りのことをしっかり配慮しながらデジタル化というものを進めていく必要が大事だと思います。
○田中(健)委員 まさにデジタル化というのは私も必須であると思っていますし、ここの委員会に集う皆さん、そうかと思っていますけれども、デジタル化の仕事そのものや、今、情報システム、デザインをし直す、今の仕事をやりながら何とか回していかなきゃならないということで、今、人員も増やして対応してくれているということです。何とか、過渡期という、今負担がちょうど上がるときでありますから、ここを乗り越えて、是非踏ん張っていただいて、次のデジタル化のステージに上がっていただきたいと思います。
追加でちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、東京都も今、個別自治体で頑張っているどころではなくて、人手がいないので、GovTech東京ということで、人材を共有して、東京都の中で何とかDXを進めていこうといった動きがあります。
今大臣が、人材ということで、今増やして何とかデジタル庁もやっているということなんですけれども、人材の共有化というか、人材をこのようにして、東京はオール東京でDX推進と言っているんですが、デジタル庁としてはオール・ジャパンという考えかと思うんですけれども、人材について、もしも大臣の考えがありましたらお聞かせください。
○河野国務大臣 やはり、自治体の中には一人情シスなどと言われているところもございます。デジタルの人材をいかに確保する、育成していくというのは非常に大事になってまいりますので、デジタル庁として、まず、委員おっしゃるように、オール・ジャパンで、専門人材を確保した上で、都道府県にも御協力をいただきながら具体的な人材をプールをして、必要な自治体には支援をしていく。
そういうことをこれから考えていかなければいかぬということで、知事会、市長会あるいは町村会とデジタル庁、今様々検討をしているところでございます。なるべく早い時期に結論を出して、方針を出した上で動いてまいりたいというふうに思っております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
まさに、東京や都市圏はいいですけれども、地方になるとまだまだ人材が不足しておりますし、これをオール・ジャパンで進めようというときに、やはり人材不足というのが大きな課題となると思いますので、お力添えをお願いしたいと思います。
デジタル化によって簡素化や効率化を図る上で、経済的なインセンティブを働かせていくというのが私は大事だと思っています。一部の自治体では、特に繁忙期に、マイナンバーカードを使った証明書のコンビニの交付手数料を引き下げるなどの動きもあります。こうした動きを是非より後押しすることで、窓口業務の負担を軽減していくことも大事だと考えています。
経済的インセンティブの活用の仕方というものについて大臣はどのように考えているか、お伺いします。
○河野国務大臣 幾つかの自治体が、委員おっしゃるように、コンビニ交付手数料を大幅に下げて、窓口に来る方をコンビニに誘導をされたということは私も実際に聞いております。遠くの役所より近くのコンビニ、九時―五時の役所より二十四時間開いているコンビニ、待たなきゃいけない窓口より待たなくてもいいコンビニ。そして、手数料がコンビニの方が安ければ多くの方がそちらへ流れるということで、窓口業務に当たる職員の数を削減をすることができたというような話もございますので、こうしたインセンティブというのは非常に大事になってくると思います。
更に加えて、今、デジタル庁では窓口DXSaaSを提供して、書かない窓口というものを提供しております。バックオフィスのデータ連携をすることで、来庁者が窓口をぐるぐると回らなくても一つの窓口で必要な手続を全部こなすことができる。これも、窓口の職員の負担を軽減をすることができるようになります。
また、スマホを使って行政手続、オンラインで六十秒でできるようにしてまいりたいというふうに思っておりますので、そうしたことを実現できれば更に窓口業務の人数というのは減らすことができますので、限られた職員を必要なところに、優先順位の高いところに割り当てることができるようになると思いますので、手数料その他のインセンティブと必要なサービスシステムの提供という両面から、そこはしっかり対応してまいりたいと思います。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○田中(健)委員 銀行なんかが分かりやすくて、元々銀行もみんな窓口でやっておりましたが、ATMになりまして、更に今は携帯で取引できるようになりました。これも、もちろん便利だというのもあるんですけれども、しっかり手数料をかなり格差をつけて、窓口でやると大変な手数料を取られるということで誘導をしています。私は必要だと思っています。そのようにして、まず使ってみることで便利だということを実感してもらうのが必要だと思っています。
しかし、普及は今は実現したけれども、マイナンバーカードを使うことでの住民のメリットやインセンティブやサービスの活用シーンというのはまだまだ少ないと思いますので、これから一気にいろいろなサービスが付与されるということですので、是非、推進を期待します。
経済的インセンティブ、大臣の考えは私も賛同するんですけれども、マイナ保険証においては、医療機関に補助金を出すとかそういうふうにして、私はちょっと、使い方、どうかなという思いもあります。是非、私たち国民が便利だと、国民に対するインセンティブという、今大臣が言っていただいた考えで進めていただければと思います。
また、大臣が自治体窓口ということも言っていただきましたけれども、自治体窓口、特に福祉や子育て支援、どんどんと制度が今変わっておりまして、また充実をしていることもありますので、これをめぐって職員が窓口や電話で住民からの相談や問合せに忙殺をされているということで、多くの各自治体から声が上がっています。
この自治体の窓口業務のうち定型的なものについては、国で一元的に窓口をつくり、問合せを受け付け、そういったことができればと思っています。自治体の現場は、個別の詳しい対応が必要なときに、個別具体的なことに集中して向き合ってサービスを充実させていくということができればすばらしいと思っています。
これは、政府のデジタル行財政改革会議でこうした議論が行われているということは承知をしています。今回の法案の中では、そういった考え方や、また推進するような内容というのが盛り込まれているのかということで、デジタル庁の取組について、参考人でよろしいですが、伺いたいと思います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、自治体窓口の職員の負担軽減を図ること、これは非常に重要なことであるというふうに認識をしております。
これを実現するために、御審議いただいている法案とは直接の関係はございませんけれども、デジタル庁といたしましては、先進自治体等を参考に、全国の自治体において書かないワンストップ窓口を実施できるよう、必要な機能を有したソフトウェアサービスである窓口DXSaaSをガバメントクラウド上で提供をしております。
また、システム導入の前提として、業務のやり方を見直すBPR、業務改革も重要であるという認識から、これをサポートする窓口BPRアドバイザーを希望する自治体に派遣する取組も行っております。
そのほかの取組といたしまして、総務省とデジタル庁が連携し、国・地方共通相談チャットボットを本年三月末にリリースいたしまして、住民からの問合せが多いマイナンバー、医療保険、年金、税、子育て、登記、戸籍の行政分野を中心として、自動的に回答するサービスを提供を始めたところでございます。
実際に効果を上げていくためには、しっかりと問合せと回答のデータベースを充実させる等の取組が今後必要となってまいりますけれども、こういった取組を通じまして、国民の利便性の向上とともに、自治体窓口の職員の負担軽減を実現してまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 共通のものはチャットボット等を使って情報提供するというのはいいことだと思っております。
また、同時に、先ほど大臣もほかの答弁でありましたけれども、今、千七百を超える自治体、ばらばらだということで、ガバメントクラウドも進めています。やはり、標準化することで更に効率が進みまして、そして、この人口減の中でも持続可能な行政をつくっていくことができると思っていますので、その前提には、先ほどありましたが、各自治体ではなかなか財源が足りない、また財源の見通しがつかないということなので、そこもしっかりと地方自治体にも目を配っていただければと思います。また、実現スピードを是非上げていただきたいと思っていますので、それについてもお願いをいたします。
法案についても伺いたいと思います。
これも先ほど来出ていましたけれども、法人の登記情報を変更した際に、法務省に変更を届け出ると各省庁が持つ企業情報が自動で更新されることになります。各省庁がばらばらに扱う公的情報を管理するデータベースを整理するということになるかと思いますが、今回、商業登記のほか、不動産登記、住所表記、これも議論が出ましたけれども、これも、それぞれ一括のシステムを構築するという理解でよいかをお聞きしたいと思います。
あわせて、行政機関等がデータ連携をすることにより情報を入手した場合には、どの程度の規模や件数、効果が期待できるのか、伺います。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
今後、商業登記関係データベース、不動産登記関係データベース、住所・所在地関係データベースにつきましては、それぞれ独立したデータベースとして整備することとしております。
また、本法案で想定するデータ連携といたしましては、法人が名称、所在地等を変更した際に、その変更に係る行政機関への届出を省略するために行うものも存在をしております。具体的には、ある制度の届出変更を不要とする場合、当該制度を所管する行政機関が法人の名称や所在地等、変更届出の省略の対象とする事項を特定し、当該事項に係る情報に変更があった場合に、当該行政機関がシステムを通じて自動で情報を取得できるような仕組み、こういったものを想定をしております。
また、整備の効果につきまして、商業登記関係、不動産登記関係のデータベースが整備をされることによりまして、届出省略の実現、書類添付の削減、登記事項確認のオンライン化対応等によりまして、年五千万件以上の手続が効率化されることを想定をしております。
○田中(健)委員 不動産登記や住所表記、これは独立してシステムを改築していくということで、これは岡本委員からもありましたが、まだまだ不十分でありますし、各自治体の力もかりなきゃならない、また、ほかの各省庁の力もかりなきゃならないということ。これは大臣からも答弁がありましたので、是非このようにして、大変私はすばらしいと思っています、登記情報。私も一度変更に行ったことがありますけれども、一つのところに行くと、次は法人税だとか、次は給付金だとか、次は年金だとか、あちらこちら事務所を回らなきゃならないということで、変更だけで一日以上かかるという、何て無駄なんだろうということを思ったことがありますので、是非、これは効率よくできるように、課題はありますけれども、進めていただければと思います。
また、今回の法改正には入っていませんが、これも少し出ました、民間同士の手続のデジタル化についてもより進めていくべきと考えていますが、どのような考えで今進めていらっしゃるでしょうか。
○楠政府参考人 今回の法案につきましては、行政手続等に係る国民の利便性の向上や行政運営の簡素化、効率化を図るためのものではございますけれども、議員御指摘のとおり、データ整備につきましては、民間を含めたデータ連携を見据えて取り組むことが大変重要であるというふうに考えております。
今回の法案に関しましても、例えば町字情報については、行政機関だけでなく、配送事業者、不動産事業者など様々な民間事業者が利用することを想定し、様々なニーズを集め、データ整備に反映しているところでございます。本当に、住所揺らぎを始めとした問題というのは、住所を扱うあらゆるシステムや事業者に影響がございますので、大きな効果を出していけるのではないかというふうに考えております。
引き続き、デジタル社会の形成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 是非、民間が進みますと更に日本全体が進むということでありますので、お願いしたいと思います。
時間がなくなってきましたが、LINEの情報漏えい問題について伺いたいと思います。
これは、デジタル庁、認証アプリの件がありまして、最後に大臣に意見を伺いたいと思っていたんですけれども、まず、日本で一番使われているアプリと言われているLINEなんですけれども、総務省が四月十六日に、LINEヤフー社の対応を不十分だとして、二度目の行政指導を行われたと承知をしています。
LINEや親会社のソフトバンクの対応が不十分ということであったと思いますが、この情報漏えいについて、今どのように総務省は当たっているのか。またあわせて、少なくとも国が認定したLINE社の今の違法の状態が改善されることを知って、地方公共団体が多く使っています。これについても、地方の自治体について、どのようにして総務省は問題視して地方にも伝えているのかもお聞きします。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
LINEヤフー社に対しましては、三月五日に行政指導を実施しまして、四月の一日に、同社から再発防止等に向けた取組に関する報告書の提出があったところでございます。
この報告書を精査しましたところ、一定の応急的な対策については実施済みであるものの、安全管理措置及び委託先管理が十分なものとは言い難く、また、グループ全体でのセキュリティーガバナンス体制の構築につきまして見直しの具体的な計画が示されておらず、十分な見直しが行われる展望が明らかでないと判断をしまして、四月の十六日に再び行政指導を行ったところでございます。
この行政指導におきまして、LINEヤフー社に対しましては、安全管理措置や委託先管理の抜本的な見直し及び対策強化の加速化、それから、委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含め、親会社等を含むグループ全体でのセキュリティーガバナンスの本質的な見直しの検討の加速化、こういったことの措置を講じるように求めるとともに、その措置の履行状況や実施計画につきまして、本年の七月一日までに具体的かつ明確に報告するように求めているところでございます。
総務省としましては、今後も、委託先の適切な管理やセキュリティーガバナンスの強化に向けまして、厳正に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○田中(健)委員 LINEは今や利用者が九千六百万人ということで、多くの日本人が使っています。政府も、調査によれば、政府機関でも七八・二%、地方公共団体も六八・四%と、LINEを業務利用しています。機密情報の取扱いや住民の個人情報も扱う業務も含まれているということです。
今、今年に入って二回と言いましたが、前社のLINEのときも、二〇二一年、二〇二三年と二度にわたって行政指導、つまり四回も行政指導が起きています。
LINEは、政府、自治体、私たち国会議員も利用してしまっていますが、公的機関や公人の話の内容もあります。漏れてしまっているなんというおそれもあります。政府はそういった情報をどこまで把握しているのか、機密情報は漏れていないと確約できるのか、内閣官房にお聞きします。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
内閣サイバーセキュリティセンターとして、現時点で、御指摘のような公的機関や公人の機密情報がLINEを通じて漏えいしたとの情報には接しておりません。
なお、政府では、政府機関等における情報システムのセキュリティーを一定以上に保つための基準として、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準を策定しております。この中で、政府機関においては、LINEサービスを含め、民間企業が不特定多数の利用者に向けてインターネット上で提供するいわゆる約款型サービスの利用に当たっては、要機密情報を取り扱うことはできないとしております。
いずれにしましても、今般の事案を踏まえて、現在、総務省及び個人情報保護委員会がLINEヤフー社に対し、対策、検討の加速化を求めているところと承知しておりまして、これを踏まえ、今後、同社のサービスのセキュリティーの確保に万全が図られるよう注視してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 情報は漏れていないということで、それについては一つ安心をしたんですけれども、今ありました、総務省だけではなくて政府の個人情報保護委員会も、三月二十八日には、個人情報保護に違反していると是正勧告を出しています。この中では、個人データの適切な取扱いが組織的にできていないと認定もしていますが、つまり、現時点ではLINEは違法状態のまま運用されているということになるんでしょうか。見解を伺います。
○大槻政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのLINEに関する個人データの漏えい等事案に関して、個人情報保護委員会においては、先月二十八日、LINEヤフー社に対し、個人情報保護法第二十三条の規定違反、組織的安全管理措置の不備でございますが、これを是正するよう勧告等を行ったところです。
したがいまして、当該時点において、LINEヤフー社が組織的安全管理措置の不備という意味において個人情報保護法に違反する状態であったこととなると考えております。
現在、LINEヤフー社に対して、再発防止策の実施状況を含めまして、勧告に対する改善状況について、今月二十六日までに初回の報告を求めているところでありまして、また、それ以降も、約三か月ごとに一年間報告を求めることとしておりまして、報告内容を精査の上、引き続き適切に対応してまいります。
○田中(健)委員 違法状態であるということでありまして、本来なら、しっかりと総務省が確認し、また個人情報保護委員会が安全確認をするまでは、しっかりと、今そういう状態であるということを発信をしてもらって、また本来ならば、公的機関の利用を制限するなどという措置が私は必要ではないかとも思っています。
総務省、大臣は大変に怒っていまして、会見でも、対応をしっかりしろということを言っていましたので、そこには対応を期待しますけれども、是非この問題、もう大分根が深く続いている問題ですので、取組を、しっかり対応してもらいたいと思っています。
そこで、本来、LINEを使ってマイナポータルが子育てワンストップサービスをやっていたので、大臣、これは問題じゃないですかと聞こうと思ったんですが、これは去年にもう終了してしまっているということです。終わったのは個人情報と関係なくて、そもそも、LINEを使っていたんですけれども、もうマイナポータルで全てできるということで、もう使わなくていいということなんですね。私は、これは大きなこれからの流れになるんじゃないかなと思っています。
というのは、マイナポータルはそもそも、オンライン上での行政機関が持つ自分の情報を確認したり、あと、行政機関などのお知らせを受け取るということができる。これは、今LINEの公式アカウントを各自治体がつくって、同じことをやっているんですね。でも、それがマイナポータルでできるならば、私は、そういったLINEのサービスを地方自治体が使うのも今の状態では危険だと思っていますので、やめるべきだと思うんですけれども、本来はマイナポータルがそのようにして全てのサービスができれば、私は、その必要性はなくなってくるんじゃないかなと思っていました。
先ほどの個人認証やまたオンライン署名の話ではなくて、まさにオンライン上で行政機関が持つ自分の情報を確認したりするというのは、マイナポータルが役目として果たせるんじゃないかと思うことについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○河野国務大臣 マイナポータルで様々な情報を、国であったり都道府県、地方自治体が個人向けに発信をする、大分いろいろなものの用意が整ってきているところでございます。こうした双方向のやり取りをマイナポータルを通じてしっかりできるように、今後も機能の拡張はしてまいりたいというふうに思っております。
スマホ搭載を今頑張っているところでございますが、現時点で、例えばiPhoneを使っている方は、マイナポータルにアクセスするのに、カードを読み取って暗証番号を入れていただかなければいかぬという手間もかかるというところはありますが、スマホ搭載ができれば、これはもう少し便利になるんだろうなというふうに思っております。自治体も、ぴったりサービスその他、いろいろとマイナポータルをこれまでも使ってきてくれているところでございます。
LINEのサービスの在り方につきましては、これは総務省と個情委で今後も適切に対応されていくだろうと思います。民間のサービス、これはLINEに限らず、民間のサービスと公的なサービス、どういうふうに切り分けていくのがいいのか、これはいろいろな考え方があると思いますので、デジタル庁としては、まずはマイナポータルを使いやすくしていく。当然、民間の様々なサービスというのもアップグレードされていくだろうと思いますので、我々は我々として、必要なことをしっかり粛々と進めてまいりたいというふうに思っております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
私たち、皆さん、国民の情報がしっかりと守れるような体制を、民間そして私たち国でもしっかり取り組んでいただきますことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、ベースレジストリーの整備によって、行政手続の簡素化、効率化と引換えに、官民連携での個人情報の利活用を進めるとともに、自治体の行政サービスの標準化を更に進めるものだからです。
策定を義務づける公的基礎情報データベース整備改善計画に基づいて整備を進めようとしているのは、現時点では法人、不動産ベースレジストリーとアドレスベースレジストリーで、地方自治体や民間事業者にとって業務効率化に資する面があることは理解できます。しかし、機微な情報を扱う場合は個別法で対応するとしているものの、同計画の対象としている整備計画の範囲は政府に委ねられており、今後、どのようなデータを整備し、連携するのかは見通せません。
ベースレジストリーの整備は、官民が保有するデータ連携を容易にし、利活用を促進するための基盤整備としての性格を有します。個人情報を匿名加工していれば本人の同意なしに目的外流用が可能となっていることなど、プライバシー保護がないがしろにされている現行制度の下で、オープンデータ化、利活用が進むことは認められません。
さらに、地方自治体に対して、同計画に従い整備改善を行うよう努力義務を課しており、行政の効率化の名の下に、行政サービスの共通化、ひいては住民生活向上のための自治体独自のサービスが後退させられることにもなりかねません。
第二は、スマホへのマイナンバーカードの搭載を可能とし、個人を特定する機微な情報である四情報等を一体化することは、個人情報の漏えいと流用のリスクを高めるからです。
スマホはサイバー攻撃のリスクを抱える上、日常的に持ち歩くことでプライバシーの侵害や成り済まし等のリスクが高まることが懸念されます。現在でも民間アプリを通してマイナカードによる本人確認は様々な場面で使われており、様々なトラブルが起こっています。しかし、マイナカードのスマホ搭載を機に、政府が本人確認アプリ提供に乗り出すこと、別途準備しているログイン認証アプリなどと併せ、デジタル庁に国民個々人の利用状況が集中することにもなり、自身の情報が誰に、どのように利活用されることになるのか分からないという重大な懸念があります。
終わりに、河野大臣が健康保険証の廃止について発言してから約一年半が経過しました。国民や医療機関関係者からの声に耳を傾けず、スケジュールありきで推し進めてきた結果、トラブルが絶えず、マイナ保険証はいまだ五%台という非常に低い利用率にとどまっています。このような状況で、事実上の通報を促し、更に医療機関に圧力をかけることは断じて許すことはできません。今すぐ健康保険証の廃止を撤回するべきです。
以上述べて、討論とします。
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ホーム>政党・政治家>田中 けん (タナカ ケン)>2024年4月25日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員 議事録