2023/6/27
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。
今回も、立憲さん、維新さんから時間の御配慮をいただきました。ありがとうございます。
私からは、ITの規制という問題についてお伺いをしたいと思っています。
EUで四月末に、GAFAなど巨大IT企業への規制が発表をされました。その規制では、オンライン上の違法コンテンツの排除や、広告の適正表示を求めています。
また、イギリスでも、定額契約の解除をしやすくしたり、口コミの評価対策の義務化などを盛り込んだ法案が発表されております。
ヨーロッパでどんどんと進む巨大ITに対する具体的な規制に対してどのように考えていらっしゃるのか、消費者保護の観点から同じようなスタンスを取っていくのか、大臣の見解をまず伺いたいと思います。
○河野国務大臣 EUにおきましては、デジタル市場法、あるいはデジタルサービス法といった新たな規制に基づいて、プラットフォーム事業者に対し、一定の行為規制を課すなどの対応を行っていると承知をしております。
我が国におきましては、デジタルプラットフォームに関して、消費者庁所管の取引デジタルプラットフォーム消費者保護法、あるいは経済産業省所管の取引透明化法に基づいて、規制の大枠を法律で定めながら詳細を事業者の自主的な取組に委ねる共同規制の手法を通じて消費者の保護を図るように施策を講じているところでございます。
プラットフォーム事業者によるサービスが適切に消費者に提供され、消費者がその利便性を享受して、安心して安全で豊かな消費生活を営むことができるように、消費者保護とイノベーションの両立の観点から引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
基本的にこれを所管する公正取引委員会にも今日は来ていただいておりますので、具体的に話をお聞きをさせていただきたいと思います。
巨大IT企業の産業規模は既に日本の全上場企業をしのぐ規模でありまして、時価総額で見ても、例えば、GAFAプラスMの、GAFAMの時価総額は一千兆円にも及んでいます。これは、日本のメディア産業やITコンテンツ産業から過剰な付加価値がこのGAFAMに流れている状況の結果とも言えます。アメリカ国内でさえ、コンテンツ産業やメディア産業、消費者団体が、過剰な利益の集積に対して危機感を持ち、裁判や行政機関への訴えを行っているほどであります。
日本の公正取引委員会は、こうした過剰でいびつな企業群に対してどういう認識でいるのか。独占禁止法の第一条には、私的独占を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止ということが掲げられています。この条項に反しているのではないかと思っておりますが、認識を伺います。
○塚田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のGAFAMのようなデジタルプラットフォーム事業者がそのマーケットパワーを背景に競争制限的な行為を行うことにより競争環境を阻害するようなことがあれば、独占禁止法上、問題となるおそれがある、このように考えております。
そのため、公正取引委員会といたしましては、これまでも、デジタルプラットフォーム事業者に関する競争上の問題につきまして、独占禁止法の執行と、実態調査等を通じた競争環境の整備の両面におきまして、重点的に取り組んでおります。
また、内閣のデジタル市場競争本部を中心とした、政府全体での今後の具体的な政策の方向性に関する議論にも参画をしております。
引き続き、関係する省庁とも緊密に連携しながら、デジタルプラットフォーム事業者に関する競争上の問題に関しまして、厳正、的確な法執行や競争環境の整備に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○田中(健)委員 独占禁止法にこれは当たるというような観点で、これから具体的な施策を進めていくということでありますので、是非その取組に期待をしていきたいと思っています。
その中で、先日あったG7デジタル大臣会合でもこの問題についての議論が行われておりました。閣僚宣言の中では、「デジタル競争」において、「迅速かつ効果的に、固定化した市場支配力に起因する問題に対処し、競争を促進し、イノベーションを活性化させる」とあります。
今後、我が国が率先してこの問題に対処していく必要があると考えておりますが、河野大臣はこの宣言の取りまとめでも責任者でありました。ちょっと今日は大臣に、デジタル大臣という立場ではないんですが、この現状をどう考えて動いていくつもりか、御見解があればお聞かせください。
○河野国務大臣 当委員会はデジタル大臣の所管外でございます。
○田中(健)委員 また、じゃ、デジタル庁のときにお聞かせをいただければと思っています。
それでは、公正取引委員会の個別の問題について伺いたいと思います。
公正取引委員会が本年二月に発表した、モバイルOS等に関する実態調査報告が出されておりましたが、これは、一度スマホを持つと、モバイルOSやアプリストアには、アップルかグーグルにロックインされて、なかなか競争が働かないと指摘をしています。
こうした市場のゆがみが、自分の欲しいサービスが利用できないなど、消費者にマイナスに働いている事例が出てきており、明らかにこの問題というのは是正すべきであるというふうに指摘もされています。
この状況に対して、公正取引委員会としてはどう考え、対処を考えていくのか、伺います。
○塚田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の実態調査報告書におきましては、グーグルやアップルが、十分な競争圧力が働いていないモバイルOS市場やアプリ流通サービス市場における立場を利用して自社のアプリなどを優遇する行為などにつきまして、独禁法上の考え方を整理しております。
一例を申しますと、グーグルやアップルが、デフォルト設定されたアプリを変更するプロセスを複雑にしたりすることによって、消費者の合理的な選択に影響を与え、その結果として、競合のアプリ事業者が排除されるような場合には、独占禁止法上問題となるおそれがあるというふうに指摘しております。
さらに、モバイルOS市場やアプリ流通サービス市場における健全な競争環境の整備でありますとか、あるいはアプリ市場などにおける独占禁止法違反行為の未然防止などを図ることにより、独占禁止法の執行による対応を補完できるということから、必要な範囲で法律による制度整備を行うことが有効であるとの考え方を明らかにしております。
現在、内閣のデジタル市場競争本部の下で、この実態調査報告書の内容も踏まえながら、モバイルエコシステムに関する競争評価の作業が行われております。公正取引委員会といたしましては、内閣官房を始め関係省庁とも緊密に連携しながら、我が国の今後の具体的な政策の方向性に関する議論に積極的に参画してまいりたい、このように考えております。
○田中(健)委員 問題認識を同じくしていただいて、ありがとうございます。
その中で、特にアプリの事業者の排除ということを取り上げていただきました。日本やアメリカの様々なコンテンツ産業が、このような問題について声を上げ始めています。公正取引委員会は、今の調査の中にこう書いてあります。「アプリストア運営に要した費用とアプリストア運営により得た手数料等の収入を明らかにするとともに、アプリストアを利用する他のアプリ提供事業者に適用する手数料の水準や課金料金表について、一定額以上の手数料を支払っている事業者など合理的な範囲を前提として、積極的に個別交渉に応じることが望ましい。」というふうに書いてあります。明確にこれは示しております。
ここまで方針を示した以上、このように個別交渉というのをアプリ事業者等が行うことについて、政府としてはどういう支援を考えられるのか、またそういうことができるのか、お聞かせください。
○塚田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘いただいたとおり、公正取引委員会の実態調査報告書におきましては、アプリストアの手数料問題につきまして、少なくとも、一定額以上の手数料を支払っているような大規模なアプリ提供事業者であれば、グーグルやアップルなどのアプリストア運営事業者との間での個別交渉は可能であると考えられますことから、そうした交渉に当たっての前提として、グーグルやアップルにおいて、アプリストアの運営に要した費用、あるいは運営により得た手数料などによる収入が透明化されることが望ましい旨指摘しております。
また、この指摘の前提といたしまして、グーグルやアップルが一方的に著しく高額な手数料を決定することにより、他のアプリ提供事業者に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には、これは優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがあるとの考え方を示しているところであります。
公正取引委員会としましては、以上のような考え方に基づきまして、グーグルやアップルの対応状況を注視するとともに、独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正、的確に対処してまいる所存でございます。
○田中(健)委員 独占禁止法に当たるということ、また、個別交渉ができる、可能だということを言ったんですが、一般の企業がグーグルとかアップルに個別交渉を望むというのはなかなか考えづらいというか、とても巨大企業に対抗するのが難しいからこそ、この報告書の中で個別交渉が望ましいということまで公正取引委員会が掲げたならば、支援という言い方をしていましたが、何かそれに対して一緒に支えていくような体制が考えられないかというか、これを読むと、アプリ事業者からしたら、そういうことを国としても後押ししてくれるのかなというふうに思うというような話を聞いていますので、是非、もしも具体的な取組があれば教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○塚田政府参考人 私どもといたしましては、いわゆる民民の取引に介入するということは必ずしも適当ではないというふうに考えておりますけれども、ただいま申し上げましたとおり、このような考え方を示すこと、そして独占禁止法違反行為に対しては厳正、的確に対処していくということ、これによって問題に対処してまいりたい、このように考えております。
○田中(健)委員 今、公正取引委員会からの取組を聞きましたが、政府におかれても、ヨーロッパのような強い姿勢を持って、各国をリードし、巨大IT企業に対してもしっかりとした態度で挑み、適切な競争とともに、消費者の利益、また我が国の産業を育成するという強い姿勢で臨んでほしいと考えておりますが、これまでの質問の経緯を見て、意気込みについて河野大臣からあれば、是非とも一言お願いします。
○河野国務大臣 デジタル化が進む社会の中でも、消費者の利益を守り、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のために、公正取引委員会を始め各省庁連携をして、しっかり対応していきたいと思います。
○田中(健)委員 最後に、私が以前に質問したオンラインカジノについてお聞きをしたいと思います。
この委員会でも議論をしまして、その後、四月二十七日、オンラインカジノでお金を賭けたとして、実はカジノ利用者が送検をされております。これが七年ぶりの事犯ということで、大々的に取り上げられたんですけれども、それについては一定の評価をするんですが、捕まったのが警察官だったということで、余り笑えない結果であったんですけれども。
この送検は、一方で、今まで七年間も逮捕はありませんでしたので、警察はオンラインカジノプレーヤーを摘発するんだ、逮捕するんだということが示された。さらに、消費者庁と一緒に連携をして撲滅キャンペーンを進めているのが一つ形にはなったので、社会的意義はあったんだろうと思っています。
しかしながら、この委員会でも言ったように、その人たち一人一人を、日本人を摘発していってもそれは余り意味がないことでありまして、元々のこのオンラインカジノとの関係、海外との関係ですね、こういったものも整理していかなきゃならないという中で、大臣からこれを整理して取り組んでいただけるという意思を示していただきましたが、この議論の進捗状況、取組をお聞かせいただければと思います。
○河野国務大臣 前回の御質問の後、関係省庁に集まっていただきまして、それぞれ対応を私からお願いをしたところでございます。
具体的に申し上げますと、警察庁に対しては、取締りの強化と周知徹底、対外的な広報、金融庁、金融機関との連携強化。金融庁に対しましては、警察当局からの違法事業者に関する情報提供に係る連携の強化と、情報提供があった場合の無登録事業者への警告。総務省に対しては、オンラインカジノサイトをブロッキングの対象とすることの適否の検討及びそれに相当する措置の検討。経済産業省に対しましては、警察当局からの違法事業者に関する情報提供に関する連携の強化、情報提供があった場合のクレジットカード国際ブランドを通じた海外アクワイアラー、決済代行業者への取引停止要請又は警告。内閣官房ギャンブル依存症対策室には、ギャンブル依存症対策の取りまとめ。これをそれぞれ私から要請をしたところでございまして、しっかりフォローしてまいりたいと思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
各省庁、それだけの取組、取締り強化を警察庁に言ったからすぐに結果が出たのかどうかはまた分かりませんが、しかしながら、これだけ多くの取組が進み、一日も早く解決に向かって進むことをお願いして、質問を終わります。
以上です。
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タナカ ケン/46歳/男
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