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2023年5月17日 衆厚生労働委員会 議事録

2023/6/27

【国立健康危機管理研究機構法案及び国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案】

○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 私からは、法案の審査に入る前に、二点お伺いをしたいと思います。

 一点は、前回積み残した質問でありますが、知的障害のある子供の一時的失踪についてお伺いをしたいと思います。

 知的障害のある子供は、目を離した隙にどこかに行ってしまうことがあり、ひとときも目が離せないとも言われています。

 昨今、新聞の記事ですが、ある養護学校に通う女の子というのは、父がATMを操作している僅か二十秒の間にいなくなってしまって、十三・五キロ先のコンビニで見つかったのは三十三時間後の次の日の夜であったということでありまして、また、今年一月には、その子は、家から二キロ離れた交差点で車にはねられて、一時、意識不明になったと。

 また、ある放課後デイサービスでは、昨年の十二月、車から降りた特別養護支援学校の男子生徒が、突然走り出して、行方が分からなくなってしまったと。これは、川で発見されてしまって残念な結果だったんですが、この男子学生は川に強い興味があったということであります。

 家族や通所先の施設からは、切実な問題であって、対応が求められております。この実態というのをどのように把握をして対応がされてきたのか、お伺いします。

○野村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害児の支援におきまして、子供の安全確保というのは、これは支援の基礎となるものでございまして、大変重要な課題であるというふうに考えてございます。

 障害児の福祉サービスを提供する事業者、施設に対しましては、その運営基準の中で、事故が発生した際には、都道府県へしっかり報告をしてくれということを義務づけてまいりましたが、加えて、本年四月、この基準を改正いたしまして、設備の点検、職員の研修等々、安全確保に関する計画、いわゆる安全計画の策定を義務づけをいたしまして、それに基づいて、日々の取組、安全確保に向けての取組を進めてもらうということにしているところでございます。

 また、福祉サービスにおける危機管理に関する取り組み指針というものを示してございまして、障害のあるお子さんの潜在的ないしは顕在的なリスクを把握しつつ、アセスメントを行って、個別支援計画を立てていくなど、施設としての対策をあらかじめ明らかにしておくなど、事故防止策を講じるようにということで求めているところでございます。

 こうした取組を行っているところではございますけれども、今年度、こども家庭庁で実施する調査研究におきまして、こうした障害児支援事業者における支援の提供の中で発生した事故などについての実態を把握することとしております。その結果も踏まえて、必要な事柄につきましては、先ほど申し上げましたような取組に反映させていくなど、引き続き、子供の安全確保に向けた取組の徹底が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 知的障害の方、児童だけでなく、二十歳を超えても、親と一緒にいなけりゃならないという状況は変わりません。児童だけの課題ではなく、知的障害を持つ一般の方は、一時的失踪をめぐっては、今度は、厚労省としてはどのように把握をして、支援が取られてきたのか、伺います。

○辺見政府参考人 成人期にある障害者の入所施設など、障害者支援におきましては、サービスの提供に当たって、障害者の安全を確保することは大変重要と考えております。

 障害福祉サービス事業者には、法令上の運営基準において、サービス提供時に事故が発生した場合の都道府県等への報告などを義務づけており、障害者の行方不明を含めた個別の事故の状況や、事故に際して取った措置などについては、都道府県において把握する仕組みとしているところでございます。

 また、福祉サービスにおける危機管理に関する指針として、事業者としての事故の未然防止策や事故発生時等に取り組むべき対応などを示しているところでございます。

 なお、障害福祉サービス事業者が満たすべき基準に違反することが明らかになった場合には、指定権者である都道府県等が指導監督を行うということとなっております。

 さらに、各自治体や施設において、地域の関係者のネットワークによる見守りや捜索の仕組みなどを活用することなど、障害者が行方不明となってしまった場合の早期発見に取り組まれている事例もあることと承知をしております。

 成人期にある障害者につきましては、行動の自由にも配慮した意思決定支援も重要と考えておりますが、あわせて、このような取組は障害者の行方不明対策としても有効と考えており、引き続き、関係部局や市町村とも連携をしながら、障害者の安全確保に努めてまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 幼児であっても成人期であっても、問題なのは、日本全体としてどのくらい起きているのか分からないということであります。先ほど、一義的には都道府県また市区町村というお話がありましたけれども、こども家庭庁では、四月に、これから調査をして、取りまとめていただくということでありますので、是非、まず全体の、何が起きているのか、何が課題かというのを集約してもらって、その上で対策を取っていただきたいと思っています。

 専門家からは、失踪は命に関わる問題だが調査研究は十分に進んでいないと、実態把握や傾向分析の立ち遅れが指摘をされており、情報が集まれば有効な手段が取れるんじゃないかということも言われています。是非、子供を始め、障害を持つ全ての人々の命を守り、また、家族が大変に負担でございますので、そのサポートができるための共生社会の実現に向けて取組を進めていただきたいと思います。

 引き続きまして、もう一点が、先ほど来も他の委員からもありましたG7の保健相会合についてです。

 長崎で開かれていた先進七か国の保健相の会合、十四日、終わったところでありまして、加藤大臣におかれましては、議長の大役をお務めいただきました。お疲れさまでありました。

 その中で、先ほど来からお話がありました、将来の感染症危機に備えて、特に低中所得国に行き渡るようにすること、ワクチンの問題が挙げられておりました。ワクチン、治療薬、検査キット、発展途上国を含めた世界各地に公平に供給する必要性が明記された共同声明が採択をされたところであります。

 その中で、どの新聞を見ても、ワクチン、公平に供給という見出しが躍っておりますし、また、大臣からも公平な供給のお話がありました。その必要性は誰もが認めるところでありますが、なかなか難しい現実がありまして、特に公平という概念であります。

 ワクチンを開発した企業、欧米を含め、その企業が開発費を出しているわけですから、その国が優先して供給を受けるということも当然であると思いますが、一方、途上国に配布をしようと思いますと、全く開発等に関係ない途上国が、同じ人口比率で供給をすることが公平なのかという様々な議論が起こると思っています。

 日本も含め、ワクチンに関しては、各国が我急ぎ確保に努めた、またその確保競争の現実を私たちは見てきましたが、公平という概念、この言葉について、大臣が共同声明に込めた思い、またその大臣の認識というものを伺いたいと思います。

○加藤国務大臣 まさに公平なアクセスを確保するための仕組みづくりの必要性について合意をしたわけであります。

 ここで言っている公平という点については、パンデミック時に先進国でも、途上国も含め世界全体、どこの国にいても開発された医薬品が迅速にアクセスできる、あるいは届けられる、こういったところを念頭に置いたものであります。

 じゃ、更に具体的なというお話が今ありました。

 その具体的な仕組みづくり等については、まさにこれから進めていくわけでありますし、これはG7だけでできるわけでもありません、G20だけでできるわけでもありませんが、まだ、今回のG7の議論、また、この秋にはG20もあります、そうしたところ、そして、さらには、本年九月に国連総会のハイレベル会合等もありますから、そういったことを通じて、その仕組みづくりの必要性を更に認識をし、そして具体的な議論を進めていかなければならないというふうに考えています。

○田中(健)委員 ありがとうございます。

 今、国際的な仕組みと。なかなか、市場や民間だけに任していては、この実現がいかないとは思うんですが、その中でも、コロナ禍でも、世界で様々な仕組みが構築をされて、取組が行われてきたのも事実であります。そのこれまでの取組について伺いたいと思いますが、一つは、ACTアクセラレーターと言われるものです。

 新型コロナウイルス感染症を収束させる上で決め手となった検査、治療、ワクチン、この三つの医療ツールの開発や生産を加速をして、低中所得国への公平な、まさにまた公平が出ますが、アクセスを実現させるための国際協働の仕組みであります。

 これは、G20の提唱に基づいて、各国政府、WHOを始めとする国際機関、民間財団によって二〇二〇年の四月に立ち上がりました。これについては外務省が中心となって取組が進められてきたとのことですが、この成果、また今後の取組について伺います。

○原政府参考人 お答え申し上げます。

 ACTアクセラレーターは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けまして、我が国を含む八か国、世界保健機関及びゲイツ財団の共同提案によりまして二〇二〇年に設立された、緊急対応のための国際的な枠組みでございます。ワクチン、治療、診断、保健システム、こういった四つの柱から構成されておりまして、関係国際機関等が連携して、安全、有効で負担可能なワクチン、治療、診断の開発、生産及び公平なアクセスを加速化させるための取組を実施してまいりました。

 ACTアクセラレーターを通じまして、これまでに、主に低中所得国に対して、およそ十九億回分のワクチン、一・七億回分の検査薬、三十一万回分の治療薬、加えて医療用酸素等の供給がなされたと承知しておりまして、新型コロナウイルス感染症に国際社会が協調して対処する上で一定の役割を果たしたと評価しております。

 ACTアクセラレーターにつきましては、様々な評価が行われておりますけれども、昨年十月に公表されましたACTアクセラレーター外部独立評価報告書におきましては、ACTアクセラレーターが前例のないレベルでの迅速な対応と関連機関間の調整、協力を可能にしたと評価する一方で、特に保健システムの柱については十分に目的が実現できなかった点や、四つの柱の間での調整不足、さらには、意思決定における低中所得国の関与が不十分であった等の点が課題として指摘されております。また、今後に向けまして、パンデミックへの対応に関する政治的リーダーシップの確保や、平時における保健システム強化への投資の必要性が指摘されたところでございます。

 こうした教訓も踏まえまして、G7の議長国として、G20等の各種フォーラムやアフリカ、インド太平洋等の途上国、さらには、WHOを始めとする保健関連機関と連携いたしまして、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を見据え、将来の健康危機対応に向けた感染症危機対応医薬品等への公平なアクセス確保のための取組を一層推進してまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 そのACTアクセラレーター中でワクチンの件が述べられましたけれども、このワクチンに関しては、COVAXという枠組みがつくられまして、これもWHOが主導して、ワクチン普及のための国際組織としてつくられました。

 その中で、厚労省は、流行感染症対策イノベーション連合、CEPIということを担っておりまして、この取組を進めてきたところでありますが、これまでの成果、また課題というのを伺います。

○富田政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症流行対策イノベーション連合、CEPIでは、将来起こり得るパンデミック等に備えるため、ワクチンの研究開発等を支援しております。新型コロナウイルスワクチンについても、CEPIの支援を通じて、現在までに世界で八種類のワクチンが開発されております。

 こうした中、CEPIに対しては、我が国は、設立当初から支援を行っておりまして、昨年二月には、岸田総理が、今後五年間に更に三億ドルの拠出を行う旨を表明しているところでございます。

 ワクチンの研究開発は比較的迅速に行われた一方で、開発されたワクチンが途上国の人々に十分に行き渡らなかったという課題があったというふうな指摘もございます。先ほど加藤大臣からもございましたとおり、先週開催したG7長崎保健大臣会合での議論におきましても、製造から流通に至る、アクセス・アンド・デリバリーまでを含めたバリューチェーン全体の改善に焦点を当て、G7各国が率先して取り組むことが重要と認識しておりまして、関係機関等と連携しながら進めてまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 ACTアクセラレーター、またCOVAXの仕組み、今も、一定の役割はあったと言いますが、まだまだ期待したほどの成果は出ていないという厳しい評価もあります。是非、G7で高らかに、ワクチン、治療薬、検査キット、発展途上国を含めた世界各地に公平に供給すると訴えるのであれば、これまでの検証をしっかりした上で、次のパンデミックに備える、その先頭に日本が立ってほしいと思っています。

 是非、日本政府には、国際保健の理念、誰一人取り残さないというこの理念を真に実現されるように、次のG7にこの概念を生かしてほしいと思うんですが、それに加えて、これら二つの機構を先導したのはWHOであります。

 WHOに関しては、コロナ禍でも、時に中国に忖度するような言動を繰り返したり、また、日本にも批判的であったことも事実であります。日本や西側諸国も、WHOに不信感を持つ人が多いのではないかと思っています。コロナ禍でのWHOの途上国支援の呼びかけが余り功を成さなかったというのは、もちろん、自国内の対応でみんな手いっぱいであったのも事実であるんですが、それだけではなく、ある意味の不信感ということも一因ではないかという指摘もある中、これまでのWHOの取組や、また信頼関係に対して大臣はどのように感じてきたか、伺います。

○加藤国務大臣 WHOは、保健分野における国連の専門機関でありまして、国際的なルールづくりを行うなど、グローバルヘルスにおける重要な国際機関であります。

 コロナ禍におけるWHOの一連の対応がどうだったのかというのは、なかなか評価は難しいところでありますが、WHOには、科学的知見に基づき、専門の立場から公衆衛生上の助言や支援を行うことが求められているところでございます。

 いろいろな評価はありますけれども、例えば、地域でいえば西太平洋の事務局、WPROにおいては大変感染症に対応をうまくやったという、これはランセットという雑誌でも高く評価されていたということはあったと思います。

 その上で、パンデミックの対応をする上でまず大事なことは、パンデミックを引き起こし得る病原体やそのデータを迅速にまず共有するということ、そして、適時適切に国際交通の往来等を管理して、感染が拡大しないようにするということが非常に大事であります。

 WHOが加盟国とともに将来のパンデミックに備えるため、国際保健規則、IHRというのが設けられておりますが、それを改正する、あるいは、パンデミックへの対応に関する新たな法的文書、いわゆるパンデミック条約の制定の議論を進めております。先日のG7でもその必要性について認識が一致し、そうした方向性を共有をしているところでありますので、我が国としても、こうした議論を積極的に関与し、また、そうした方向に向けて進めていくように対応していきたいというふうに考えております。

 また同時に、WHOが引き続き、全ての人々の健康を増進し、保護するための国連専門機関として期待をされているわけでありますから、その専門性を生かして、科学的知見に基づいた活動がなされるよう期待をしていきたいと思っておりますし、必要な関与もしていかなきゃならないと考えています。

○田中(健)委員 ありがとうございます。

 ここから法案に関する質問に入っていきたいと思うんですが、今、途上国に支援するのは大切であり、その取組、是非、加藤大臣に先頭に立って進めていただきたいと思うんですが、日本でのワクチン、新薬への製造支援体制や薬物研究機関の強化というのも、もちろん大事なことであります。

 感染症に関する国産ワクチンの開発の司令塔と言われる組織は、先ほど来も出ていましたSCARDAが昨年発足し、日本医療研究開発機構の中に新設をされました。この医療研究開発機構は内閣府所管の独立行政法人でありますが、国立健康危機管理研究機構は厚労省の位置づけになります。それぞれ、ワクチンの開発に従事するということでありますが、どのような役割分担がなされて役割を果たしていくのか、伺います。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 役割分担のお尋ねでございますが、AMED、国立研究開発法人日本医療研究開発機構につきましては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構法において、医療分野の研究開発及びその環境の整備に対する助成を行うこと等を業務とする、いわゆるファンディングエージェンシーでございまして、特にAMED内に設置されています御指摘のSCARDA、先進的研究開発戦略センターにおきましては、今後の感染症有事に備え、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、アカデミアや企業への戦略的な研究費の配分等により、ワクチンの開発能力の向上に取り組んでいるものと承知しております。

 一方、国立健康危機管理研究機構は、研究費配分機能は持たず、研究実施機関といたしまして、次の感染症危機に備えた科学的知見の基盤、拠点としての機能を果たすことを目的とした組織でございまして、ワクチン、医薬品開発におきましては、治験などに取り組んでいく組織でございます。

 かように役割分担は違いますが、機構とSCARDAを含むAMEDとが必要な連携を図っていくことは感染症対策上、重要であると考えておりますので、機構設立後は、この連携を適切に図ってまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 今お聞きしたのは、SCARDAを紹介するときもワクチン開発の司令塔というふうに言われまして、今回の日本版CDCをつくるときも司令塔という言葉が乱立をしておりまして、やはり、船頭多くしてとならないように、今の役割というのをしっかりと明確に定めて、そしてしっかり機能するようにしてほしいと思っています。

 その中で、新機構の二十三条、機構の業務という中に質問を移したいと思いますが、十一号、業務に係る成果の普及及び政策の提言を行うとあります。

 今回の新機構、基礎から臨床までの一体的な研究基盤、また全国的な情報基盤を確立して、質の高い科学的知見を提供するということをこれまで答弁をされてきましたが、この場合は、誰に関して普及をし、また、政策提言とありますけれども、政策提言をしていくということが想定されているんでしょうか。

○加藤国務大臣 まず、誰に対してということでありますけれども、第二十三条第一項第十一号の規定は、現行の、高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律第十六条第五号の規定、いわゆる国立医療研究センターの規定に該当するわけでありますが、引き継いだものであり、業務に係る成果の普及とは、感染症に関する分析、調査、研究、医療提供や国際協力などの機構の業務を通じて得られた科学的知見や技術などを国民に分かりやすく普及啓発をしていくことを意図するものであります。

 それから、政策提言でありますが、これも既に今の国立国際医療研究センターにも同じ業務がついているわけでありますけれども、実際、どういう活動をしているかといえば、政府の審議会等に委員として参加して、科学的見地から意見を述べること、シンポジウムを開催し、社会全体に向けた提言を行うこと、感染症の特性に基づく注意喚起を行うことといったことを実施をしているわけでありますので、機構においてもそうした役割を果たしていただきたいと考えているところであります。

○田中(健)委員 政策立案等、意思決定に関しては、感染症危機管理統括庁と、また厚労省の感染症対策部ということが説明を受けてきましたけれども、先ほどの阿部先生ですか、質問、答弁にもありましたけれども、この科学的知見に基づいた政策提言というのは、この新機構も是非どんどんとしてほしいと思っておりますし、また、それがしっかりと私たちの生活に役に立つ、科学的知見に基づいた政策提言につながるように期待をしていきたいと思いますが、その中で必要なのはリスクコミュニケーションだと思っています。

 今、国民に情報発信をしていく、普及をしていくと言ったのでありますが、これもこの間の委員会でありましたけれども、情報発信については、新型コロナウイルス会議の分科会の尾身会長が大きな役割を果たしてきた一方、感染研では脇田所長も専門家で発言をするなど、様々な立場から専門家としての意見が出されてきました。それぞれの役目を果たしてきたとは思うんですが、様々な情報、特に新しい情報が次々と出てきますから、私たち専門家でない国民からすると、困惑した方も大変多かったと思っています。

 司令塔ということに関しては統括庁が担うことになると思いますが、アメリカにおいてはCDCの所長が常に感染症に関する情報発信を一括して行って、国民とのコミュニケーションを果たしてきたと考えられます。日本においては、まさにコミュニケーションをしていく、いわゆる報道官のような役割というのは誰が担っていくことになるんでしょうか。

○大西政府参考人 お答えいたします。

 リスクコミュニケーションについての御指摘でございますが、感染症危機におきましては、政府が科学的根拠に基づいた正確、迅速な情報発信を行うことですとか、あるいは政策判断につきまして明確、丁寧な説明をすることによりまして、国民の理解を得ることが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 今般設置することとされております内閣感染症危機管理統括庁でございますけれども、政府の感染症対策の司令塔機能を担う組織として、情報発信についても中心的な役割を果たすということで、広報実施体制をきちんと整備してまいりたいというふうに考えておりまして、先般、内閣法の改正法案を御審議いただきました参議院内閣委員会におきましても、その発信や説明については、政策決定等に責任のある者がその役割を担い、十分な頻度でかつ継続的に行うという御指摘をいただいておりますので、こうした御指摘も踏まえながら、今後の感染症危機における政府の情報発信の体制を整備を図ってまいりたいというふうに考えております。

○田中(健)委員 統括庁が一元化して行っていくということでありますが、それに対して機構はどのような形で関わっていくんでしょうか。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 感染症対策を国民の理解を得ながら迅速に進めるに当たりましては、先ほど御答弁がありましたけれども、政府が科学的知見を踏まえて、国民の混乱を招かないようにすることが大事だというふうに考えております。

 その際、国立健康危機管理研究機構が一体となって正確な情報を発信することが重要であると認識しております。

 このため、機構におきましても、感染症等に関する調査、分析、研究により得られた知見等につきまして、政府の方針に沿って分かりやすく情報発信していくことが必要であると考えており、政府全体のリスクコミュニケーションを担う内閣感染症危機管理統括庁等とともに緊密に連携して、分かりやすく効果的な情報発信ができるように工夫してまいりたいと考えています。

○田中(健)委員 感染症に関わる情報の一元化が統括庁であり、それをサポートするのが新機構というようなお話であったと思うんですけれども、しかし、先ほどの話では、統括庁の方から責任ある立場の人がということでありましたけれども、リスクコミュニケーションというのは国民が不安なことを説明をして解決をしていくと思いますが、さらに、この国民の不安に応えるために、恐怖を鎮めるためには、クライシスコミュニケーションと言われるものもコミュニケーションにはあります。

 これらは、単に役職として責任ある立場、これは審議官というお話も聞きましたが、それが担うのではなく、やはり、広報の専門家としての位置づけを統括庁に置き、そのときの担当官が、たまたま感染症があったからではなく、平時から訓練をしたり発信をしていくということが必要ではないかと考えますが、再度、この専門官の必要性や、また、その養成ということはどういうふうに考えているか、伺います。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御指摘につきましては、国立健康危機管理研究機構も先ほど申し上げた情報発信機能を強化いたしますので、リスクコミュニケーションに特化した組織体を検討するよう、今後考えていきたいと思います。

○大西政府参考人 恐縮ですが、補足させて、内閣感染症危機管理統括庁としての取組について御説明させていただきます。

 私どもも、統括庁において、リスクコミュニケーションに専門的な知見を有する者、そういった者の人材の確保等に努めるということと、あわせまして、私ども、新型インフルエンザ等対策推進会議という外部の有識者の会議もございますので、そういったところでリスクコミュニケーションの専門家からいろいろ御助言をいただくというようなことも含めて、きちんと対応してまいりたいというふうに考えております。

○田中(健)委員 これについては、これまでの過程の中でも、情報の一元化や発信の在り方、専門家にも指示やまたアドバイスを仰いできたということでありますが、まだなかなか一元化ということには至っておりませんので、是非、検討課題として取組を進めていただきたいと思っています。

 引き続きまして、二十四条のことについてお聞きをしたいと思います。株式又は新株予約権の取得及び保有という欄であります。

 成果活用事業者が発行した株式や新株予約権を取得することができると、ここにはありますが、そもそも、機構の研究者が会社を起こし、株式を発行するということが考えられているという理解でよいのか、伺いたいと思います。また、先ほどの質疑の中でも、国際医療研究センターの際には実績がないということでありますが、今回、これは特殊法人に移るということであります。特殊法人においては、他の法人でもいいんですが、これまでそのような事例があったのか、伺います。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構法第二十四条第一項に規定いたします成果活用事業者は、国立健康危機管理研究機構の研究開発の成果を事業活動において活用し、又は活用しようとする者を指します。

 これは、機構の研究者が創設した会社を排除するものではございませんけれども、そうした会社を想定した規定ではなく、広く機構の成果を活用しようとする事業者が対象となり得るものでございます。

 厚生労働省といたしましては、特殊法人全体における同様の事例は把握しておりませんが、同じ規定を持つ現在の国立国際医療研究センターにおきましても、これまでのところ具体的な実績はございません。

○田中(健)委員 独立行政法人でも同じような仕組みがあり、そのままこの法案にも適用したということと理解をしておるんですが、国立大学法人や大学共同利用機関法人、また地方独立行政法人法では、その活用がガイドラインに示されておりまして、かなり具体的な形でこれを活用していくと、いい意味で前向きなガイドラインが示されております。

 感染症に関しては、基礎研究を感染研が担って、ある意味、国の政策を担う機関でありました。一方、今、機構の研究開発の成果を生かしていくということでありますので、是非、私はスタートアップとかベンチャーとかということも可能となって、先ほど人材確保という面もありましたけれども、自分の研究成果が外でも発信できる、ないしはオープンイノベーションで活躍、また活用ができるというように思っていたんですが、そうでは少しないという位置づけではあると思うんですが、スタートアップやベンチャーということが可能になるという位置づけでないということでよろしいでしょうか。もう一度。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 御質問の件につきましては、広く機構の成果を活用しようとする者であれば、そういった方を排除するものではございません。

○田中(健)委員 先進国におけるワクチン、治療薬で、やはり多くのベンチャー企業や、またそういった人たちが今回も役目を果たしてまいりました。是非、この機構においても、ワクチン開発、治療薬というのは、事業者が果たす役割が大きい一方、いつ感染症が起こるか分からない、どんな感染症が起こるか分からないということで、なかなか巨額の投資を日本もできなかったという現実があります。是非、次のパンデミックに向けて、今回の新機構が専門的な見地から対策に必要となる治療薬、またワクチンの研究開発の方向性を示すような役割も期待をされていると思いますので、その研究開発の成果を生かせるような制度を構築していただきたいと思っています。

 引き続きまして、二十七条の中期目標、また二十八条の中期計画、年度計画について伺いたいと思います。

 機構の運営の流れというのは、まず、厚労大臣が、六年間において機構が達成する中期目標を定め、その際に、健康・医療戦略推進本部と独法評価委員会の意見を聞く。そして、それに基づいて、さらに、機構が中期計画と年度計画を定めていくというふうに読み取れますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構法第二十七条におきまして、厚生労働大臣は、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部及び独立行政法人評価制度委員会の意見を聞いた上で、六年間における中期目標を定め、これを機構に指示することとされております。

 また、機構は、同法第二十八条の規定により、大臣が定める中期目標に基づき、国民生活等に重大な影響を与える感染症の発生等に備えるための体制整備に関する事項、研究開発の成果の最大化その他業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべき措置、業務運営の効率化に関する目標を達成するため取るべき措置などを中期計画として定めることとしております。

 さらに、機構は、同法第二十九条の規定によりまして、この中期計画に基づき、年度計画を策定することとしております。

○田中(健)委員 ありがとうございます。

 その中で、国立国際医療研究センターというのは、今まで、六つある国立高度専門医療センター、先ほども六NCというお話がありましたけれども、これに位置づけられておりまして、その横断的な研究というのが推進をされてきましたけれども、機構に変わることで、また、計画が変わることで、今回、その中に、特に医療研究連携推進本部という位置づけがされておりませんが、どのように、特殊法人に移ることで連携というのが取られていくのか、伺います。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部、いわゆるJHと我々称しておりますが、このJHにつきましては、平成三十年度に取りまとめられました国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会報告書を踏まえまして、いわゆるNC、国立高度専門医療研究センターの横断的な組織として設置されたものでございまして、NCの資源及び情報の集約による研究の更なる活性化や他機関との連携に取り組んでいるところでございます。

 機構はこのNC法上の国立高度専門医療研究センターではなくなりますが、他のNCとの連携の中の枠組みは重要であると考えております。JHの取組の中で機構をどのような位置づけができるかどうかは、法案の施行までに検討してまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 是非、これまで六NCで様々な提携をして連携してきたということでありますので、それについて今後検討していただけるということですので、お願いをしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

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著者

田中 けん

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