
東京都議会経済・港湾委員会において、産業労働局およびスタートアップ戦略推進本部所管の補正予算案について質疑に立ちました。原材料の供給制約や価格高騰の影響を受ける事業者への下支え策を評価する一方、エネルギー構造転換や先駆的施策について、その必要性と効果を都民に十分説明する必要があるとの立場から質疑を展開しました。
以下、質疑の要点を抜粋してご報告します。なお、東京都令和8年度6月補正予算案の概要は以下より
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052907
<産業労働局所管分>
1.補正予算全体の考え方について
Q1.当初予算で想定した規模では不十分とする理由は?
当初予算で実施中のZEV補助、SAF価格差支援、省エネ設備導入支援など、今補正予算では多くの事業で「規模拡充」や「上限引上げ」が行われています。改めて当初予算で想定した規模では不十分であると都が考える理由は。
A(産業・エネルギー政策部長)
都は、令和8年度当初予算において、エネルギー効率の最大化やZEVの普及拡大に向けた取組など、ゼロエミッションを達成し、持続可能な環境先進都市を実現するために必要な予算を編成してまいりました。今回、長引く中東情勢の影響を踏まえ、脱炭素の取組など先駆的施策に前倒しで着手することとし、再エネや省エネの導入等の支援の規模拡充を図るとともに、今後価格上昇が見込まれるEV等への補助上限額を引き上げました。あわせて、国産SAFの供給事業者に対し、従来の支援に更なる上乗せを行ったところです。これらにより、エネルギー構造の転換を加速化し、東京の持続可能性を高めてまいります。
💬 福井コメント
東京都がピンチをチャンスに変える前向きな姿勢と決意でエネルギー構造の転換に取り組むことを評価。一方で、単にメッセージ発信に終始せず、根拠に基づいた支援方法・金額を設定し、実効性あるものとすることが大切。
2.ZEV普及促進事業について
Q2.中東危機以降のレアメタル価格高騰は、ZEV普及にどう影響するか?
A(産業・エネルギー政策部長)
中東情勢等の影響により、今後、EVとガソリン車の価格差の拡大が見込まれております。本補正予算案により、購入時の事業者の負担を抑えることで、引き続きZEV導入を推進し、運輸部門の脱炭素化を着実に進めるとともに、エネルギー構造の転換を加速化し、東京の持続可能性を高めてまいります。
Q3.補助上限をEV100万円→130万円、PHEV85万円→115万円に引き上げる根拠は?
A(産業・エネルギー政策部長)
中東情勢等の影響により、EVで多く使われるアルミニウムや銅などの原材料価格が高騰しており、今後、EVの車両価格の上昇が見込まれております。こうした状況を踏まえ、本補正予算案では、EVとガソリン車の価格差について原材料ベースで価格上昇額を試算し、補助上限額を30万円引き上げることといたしました。
💬 福井コメント
30万円の上げ幅は原材料ベースでの試算によるもので、根拠に基づいた金額設定であると理解。今後も市場分析を行い、適切な補助金額となるよう検証を重ねるよう要望。
Q4.引上げ額30万円の内訳「ベース10万円+GX取組20万円」のGX取組要件は?
A(産業・エネルギー政策部長)
本事業では、基本補助額に加え、自動車メーカー別に補助額を設定しており、メーカーごとの上乗せ額として、自動車メーカーのGX実現に向けた取組等を総合的に評価しているところです。評価項目としては、充電インフラの整備などユーザーが安心・安全に乗り続けられる環境構築や、バッテリーサイクルなどライフサイクル全体での持続可能性の確保などが挙げられます。今回の補正予算案では、基本額の部分に10万円上乗せするとともに、GX実現に向けた取組に20万円上乗せすることにより、自動車メーカーのGX実現に向けた意欲を喚起し、ZEVの普及を後押ししてまいります。
💬 福井コメント
メーカーごとにGX取組を評価し上乗せを行うものと理解。どのメーカーが対象になるかなど、事業者が申請にあたり必要な情報を得られるよう、周知徹底を要望。
3.価格転嫁等緊急支援事業について
Q5.7万社アプローチ・3,000社巡回・200社診断士派遣という野心的目標、関係機関との役割分担は?
A(商工部長)
価格転嫁等緊急支援事業では、中小企業の取引の適正化を図るための専門組織を持つ中小企業振興公社と、各地域にネットワークを持つ商工会議所などの支援機関が連携し、幅広く企業の課題を聞き取るとともに、専門家によるアドバイスなどにつなげることで、効果的に支援を展開してまいります。
Q6.発注側監視・指導の枠組みと本事業の関係は?
A(商工部長)
法令違反が疑われる事例があった場合には、中小企業振興公社の紛争解決専門員が解決に向けてサポートを行うほか、国の専門相談窓口を紹介しております。今回の巡回相談においても、同様の事例があった場合には、公社の専門窓口と連携して対応してまいります。
4.経営基盤安定化緊急対策事業について
総額109億円、中小企業の経営安定化に向けた取組の柱となる事業です。
Q7.「利益率の低下が見込まれる」という将来見通し要件だけでは審査が難しい。都の審査基準は?
A(商工部長)
経営基盤安定化緊急対策事業では、営業利益率が前期と比較して減少が見込まれる事業者も対象となりますが、その申請にあたりましては、直近の決算書に加え、期中の仕入れや売上に関係する書類を提出いただき、審査を行うこととしております。
💬 福井コメント
適正な審査を行い、こうした審査基準を事業者にしっかり示すことで支援漏れが起こらぬよう求める。
Q8.「原材料費の縮減等に資する設備・システム」とは具体的に何を想定しているか?
A(商工部長)
本事業は、中東情勢による原材料価格の高騰などへの対応として、企業が実施する使用量の縮減や代替素材への切り替え等を支援するものでございます。例えば、伸縮性のあるフィルムを使用する包装機の導入による資材の使用量の削減や、インクの在庫ロスを削減する発注管理システムの構築などの取組を想定しております。
5.島しょの漁業者支援について
先日、島しょ農林水産総合センターを視察。水産業が島しょ地域の基幹産業として重要な役割を果たしていること、本土に比べて輸送コストが高く市場規模に制約があることから、単純に生産量を増やすだけでなく、限られた資源で長期的に稼げる産業構造をつくる重要性を実感しました。
Q9.中東情勢による燃料費・資材高騰、島しょの漁業にどのような影響が出ているか?
A(農林水産部長)
東京都漁業協同組合連合会によれば、島しょ地域の漁協に供給している燃油の価格は、本年3月に比べて4月には約2割、5月には約3割上昇しております。また、出荷に用いる魚箱等の資材価格についても、5月から約3割値上がりしているところです。漁業経営に必要なコストのうち、燃料費や出荷資材が約6割を占めており、これらの価格の変動は漁業者の操業に大きな影響を与えております。
Q10.島しょの漁業者の実情を踏まえ、都として今後どのような支援を講じるか?
A(農林水産部長)
都はこれまで、燃油価格が一定の基準を超えて上昇した部分に補填を行う国の積立金制度について、漁業者が負担する積立金の最大5分の4を補助してまいりました。これに加え、資材価格の高騰を踏まえ、今回の補正予算案におきまして、魚箱や緩衝材等の出荷資材の平均単価が本年4月と比べて3割以上高騰した場合、その購入費に対する補助率を、従来の3分の2から5分の4へ引き上げることといたしました。
💬 福井コメント
ウクライナ危機以降実施されている漁業経費の負担軽減支援に加え、資材高騰対策をスピード感をもって手を打っていると理解。漁業・農業・観光業といった島しょの基幹産業を担う事業者に必要な支援が届くよう、引き続きの取組を要望。
<スタートアップ戦略推進本部所管分>
1.中東情勢がスタートアップに与える影響
Q1.長期化する中東危機による燃料費・資材費高騰に関し、協業するスタートアップ企業からどのような声が寄せられ、どう対応していくか?
A(都答弁)
中東情勢等を受け、一部のスタートアップからは、研究開発の進捗の遅れや梱包資材の不足などの影響が出ていると聞いております。一方で、石油由来製品の代替や省エネルギーの実現などに寄与する技術・製品等も数多くあることを改めて確認したところです。このような状況を踏まえ、石油に頼らない社会の実現に向け、スタートアップと連携し、資源・エネルギーの構造転換につながる産業モデルの構築に取り組むこととしております。
💬 福井コメント
協業企業からのヒアリングを実施していることが確認できた。資材不足や原材料費の高騰により影響を受けるスタートアップ企業に対して、既存の支援制度も含めて丁寧に対応いただくようお願いする。多くの資源を輸入に頼る日本においては、資源流通が国際的に停滞した際の影響はひときわ大きく、今回の中東情勢で改めて明らかになった。新技術を活用し、資源・エネルギーの自給率を高めていくことが今後ますます重要。
2.SusHi Tech Global参加企業の技術と拡大方針
都は昨年度から、テクノロジーの力で持続可能な都市の実現を目指す有望なスタートアップを集めたSusHi Tech Globalプロジェクトを推進しています。この事業の趣旨は、都市課題の解決と新たな価値創造につながるテクノロジーを持つスタートアップ企業に対して、世界市場への挑戦も含め官民挙げて支援を行うこと。ここに集う企業の技術をエネルギー構造の転換に活かすことは、本プロジェクトの趣旨を考えれば時宜に適った取組です。
Q2.SusHi Tech Globalにはどのような資源・エネルギー自給率向上に資する技術を持つ企業が参加しているか。また本事業を進めるにあたり参加企業を拡大していく予定はあるか?
A(都答弁)
優れた技術を持つ有望企業が集うSusHi Tech Globalには、植物由来素材、CO2や廃プラスチックを活用した新素材、次世代バイオマス発電など、資源・エネルギーの構造転換に資する技術を持つスタートアップが数多く参加しております。SusHi Tech Globalにつきましては、7月、8月、9月に新たな参加企業を追加していくことを予定しており、本事業の趣旨に沿う企業を広く掘り起こすことで、革新的な技術を持つスタートアップの力を活かし、将来にわたり持続可能で強靭な都市の実現につなげてまいります。
💬 福井コメント
SusHi Tech Globalには、資源やエネルギーの構造転換につながる優れた技術を持つ企業が数多く存在し、今後もさらに加入が進んでいくことを理解。資源・エネルギー構造の転換に繋がる新技術の実装という大きなテーマであることから、プロジェクト選定に当たっては技術が社会に与えるインパクトの大きさや意義、マネタイズの可能性など様々な視点で検討を行うことが重要。
3.プロジェクトの選定方法
Q3.本事業の実施にあたり、どのようにプロジェクトを選定していくのか?
A(都答弁)
SusHi Tech Global選抜企業から、各社の革新的な技術・アイデアを活かし、資源・エネルギー構造の転換につながるプロジェクトの企画案を募集いたします。資源・エネルギー領域において専門的知見を有する大学教授や投資家、支援機関などの有識者等により、提案に係る新技術の社会実装の意義、早期社会実装の見込や実現性、国内外での横展開の可能性などの観点から審査し、優良なプロジェクトを選定してまいります。
💬 福井コメント
ビジネスを目利きする投資家だけではなく、大学教授などの多様な外部人材を含めることで、技術の確からしさや社会的インパクトなどを確認できる体制を整え、より効果の高いプロジェクトを選定していくと理解。
4.最大2億円の資金サポートの使途と支払方法
Q4.本事業では最大2億円の資金サポートを行うが、その資金はどのような用途に充てられ、どのように支払われていくのか?
A(都答弁)
都からの資金は、スタートアップの革新技術を活用したプロダクトの開発・改良や、技術実証や社会実装に向けた経費などの原資として活用されることを想定しております。本事業では、各社が都と協議の上、成果目標やKPIを設定し、都においてその達成状況など、取組の進捗や成果に応じて支払額を決定してまいります。
💬 福井コメント
成果目標やKPIの達成状況に応じて支払われていく点を評価。資金を出して終わりにならないよう、プロジェクトの実効性に留意しながら事業を展開することは、こうした先進的な施策を実施する際には都民の理解を得るためにも重要。適切な成果目標やKPIとなっているか、引き続き注視していく。
5.スタートアップの成長と世界市場への挑戦
本事業はSusHi Tech Globalに集う企業を支援する事業である以上、SusHi Tech Globalの趣旨に沿った事業であることが必要です。
Q5.本事業での成果をもとに、「スタートアップの成長」や「世界市場への挑戦」にどのようにつなげていくのか?
A(都答弁)
本事業ではスタートアップの革新的新技術を活用して、資源・エネルギーの構造の転換につながる産業モデルの構築を図ってまいります。こうした資源・エネルギーの構造転換と都市のレジリエンスの向上は、東京だけでなく世界の都市が共通して抱える課題でございます。スシテックにおいて、国内外に向けて効果的に成果発信を行うとともに、海外でのプロモーションの機会を活用して、本事業を通じて得られた成果や知見などを積極的にPRし、構築したモデルの横展開・普及を促進することで、スタートアップのグローバルな成長につなげてまいります。
💬 福井コメント
資源・エネルギー構造の転換につながるモデルをつくり社会実装していくことは当然重要だが、合わせてそれを国内外に積極的に売り込む体制を整えることで、ピンチをチャンスに変え、グローバルにスケールアップする企業が生まれることにつなげていただきたい。