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【自治体DX】鎌倉市の子育て介護手続きオンライン化率0%?デジタル庁発表の数値の裏側 システム標準化

2024/8/5

鎌倉市議会議員選挙2025の候補予定者 細川まなか

『育児と介護を市政でサポート!現役世代が潰れない社会へ』     
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細川まなか(ホソカワマナカ)|政治家情報|選挙ドットコム (go2senkyo.com)

鎌倉市の子育て介護手続きオンライン化率0%?デジタル庁発表の数値の裏側

先日、デジタル庁のホームページを見ていたところ、気になる数字を発見しました。

鎌倉市の子育て・介護手続きのオンライン化状況がまさかの0%!

市区町村ごとのDX進捗状況デジタル庁HP 自治体DXの取組に関するダッシュボード(7月12日時点)   
鎌倉市の「子育て・介護26手続きのオンライン化状況」が、まさかの0%だったのです。     
ちなみに100%の都道府県は千葉県、山梨県ということで、少々驚きですが、どうやら都心部であるかどうかはあまり関係ないようです。     
神奈川県が全国ワースト3の24%ということも大いにきになるところではありますが、県内で0%なのは鎌倉市、葉山町、寒川町、湯河原町だけ。     
一体どうなってるのでしょうか。

そもそも自治体のDXの経緯とは?

2020年12月「デジタルガバメント実行計画」が閣議決定、つまり国の政策として決定されました。     
デジタルガバメント?     
ガバメントとは政府や行政を指します。     
簡単に言うと、デジタルを行政分野にも活用しようという計画です。     
何を今更?といった感じもしますが、行政は民間に比べてセキュリティー予算の問題など課題が多く、なかなかデジタル化が進められていない現状があります。     
この2020年の「デジタル・ガバメント実行計画」を受け、自治体の取り組むべき内容を具体化した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」が策定されました。     
トランスフォーメーションとは「変革」     
デジタル技術を活用し、業務、組織、プロセスなどを変革することをデジタル・トランスフォーメーション(DX)と呼びます。

2年でマイナポータルからオンライン申請ができるように整備せい!

さて、この2020年に策定された「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」     
デジタル人材の確保や、マイナンバーカードの普及と合わせて、デジタル化による利便性の向上を国民が早期に享受できるよう、2022 年度末を目指して、原則、全自治体で、特に国民の利便性向上に資する31手続について、 マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にする、という方針が発表されました。     
こちらが「特に国民の利便性向上に資する31手続」です。

特に国民の利便性に資する31手続き

総務省HP 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画

このうち、子育て関係15手続きと、介護関係11手続きを合わせた26手続きが、冒頭申し上げた衝撃の「鎌倉市0%」なのです。     
目標の2022年度末を1年以上過ぎた2024年7月現在でも0%     
もちろん神奈川県内でも、2022年度末までにこの26手続きについてオンライン化を済ませた自治体はあります。

では何故、鎌倉市は目標から1年以上過ぎた2024年7月現在でも0%なのか…     
有難いことに、鎌倉市デジタル戦略課の方々にお話を伺う機会を頂きました。     
そこで、デジタル庁発表の数字の裏側に隠された事実が発覚しました。

草の根過ぎた、鎌倉市

鎌倉市のデジタル戦略課は、実は庁内業務にチャットを導入したり、ChatGPTの導入を検討するなど、デジタル化については比較的先進的な取り組みをしています。

では、何故「子育て・介護26手続きのオンライン化」は0%なのか。     
そこには、市民の利便性と職員の業務効率を考えたデジタル戦略課の方々の想いがありました。

①利用頻度の高い手続きを優先

鎌倉市では、粗大ゴミ、道路占用許可、介護保険事故報告書、職員採用、図書館の自習室など、2024年7月時点で約100の届け出や申請をe-kanagawaからオンラインで行うことができます。     
昨年度の利用件数は約18000件!市民アンケートを含むと3万件近い利用があったそうです。     
市民が日常的に使う届け出や申請の多くを電子化しており、利用件数も多くなっています。     
介護や子育てなど、利用対象者が限られ、また何度も使う手続きでないものをオンライン化するよりも、市民が日常的に使う届け出や申請を優先的にオンライン化することで、市民の利便性向上と、オンライン申請に慣れてもらうことを目的としているそうです。     
なるほど!確かに、一生に一回しかしないような申請よりも、年に何度もする申請をオンライン化してくれた方が、市民の利便性は高まりますね。

②子育て・介護に関する手続きは窓口利用率が高い

二つ目の理由として、子育てや介護に関する手続きは初めて申請する方の割合が多く、窓口利用率が高いという問題があります。     
特に保育園入園の書類は、就労証明等の添付書類もあるため煩雑。     
私も窓口で職員の方に書類をチェックしてもらいながら申請しました。     
また、介護手続きをされる方は高齢の方も多く、オンラインの利用が少ないことが予想されます。     
実際の利用率を見ても0.0%という数字が多く並んでいます。

市区町村ごとのDX進捗状況 行政手続きのオンライン申請率デジタル庁HP 自治体DXの取組に関するダッシュボード(7月12日時点)

③職員の業務効率は上がるどころか、手間が2倍に

鎌倉市では、オンラインで受けた申請も紙で印刷し、窓口申請と同じように処理しているそうです。     
全てがデジタル化し、システムが構築されるまでは、紙による申請とデジタルによる申請の2通りが発生することになり、業務効率は上がるどころか、手間が2倍になってしまうのです。

以上の理由から、鎌倉市では市民の利用の多い手続き、申請のオンライン化を優先し「子育て・介護26手続きのオンライン化」は進めてこなかったそうです。     
0%という数字は、国の計画をそのまま進めるのではなく、市民の利便性と職員の業務効率を考えた上で判断した結果だったのです。

どこからがオンライン化?

さて、冒頭でも書きましたが、自治体によっては「子育て・介護26手続きのオンライン化」が100%となっている都道府県もあります。

デジタル庁HP 自治体DXの取組に関するダッシュボード(7月12日時点)

都心部が進んでいるのかと思いきや、そうでもないのが事実。     
意外ではありませんか?     
実は、ふたを開けてみると、書類をPDFで取り込みメールで送信可能、という状態で「オンライン化」完了を謳っている自治体が多くあるのです。     
なんだか、イメージしていたオンライン化と違いませんか?     
これではまるで、一昔前のFAXと変わりませんよね。     
ちなみにPDF化した書類をメールで提出、という状態であれば鎌倉市も既に対応済みということです。     
デジタル庁がオンライン化の定義を定めていないため、オンライン化完了の回答の基準がそれぞれの自治体の判断にゆだねられているのです。     
オンライン化とはいったい何なのか、考えさせられます。

国のシステム標準化を待っていては進まない!

国の策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」  では、特に国民の利便性向上に資する31手続について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にする、とのことですが、マイナンバーは分散管理となっており、個人情報は各行政機関でが保有し、必要になった際に情報提供ネットワークシステムを 使用して、情報の照会・提供を行うことができる方式となっています。     
つまり自治体それぞれが独自のシステムを作り管理しているため、そのシステムを作るための人材と費用の問題となっています。   
また、制度改正のたびに各自治体がシステムを改修しなければならず、各自治体の負担が大きく、なかなかデジタル化に踏み切れない理由にもなっていました。  
これを受け、 国は2022年10月に「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を閣議決定し、原則2025年度までに、全国すべての地方公共団体の住民票や地方税など、標準的な20業務を管理するシステムを標準準拠システムに移行させる方針を示しました。  
国が標準的なシステムを作り、各自治体がそれを利用することで、安全面やコストの問題が解決されることが期待されていました。   
しかし、2024年6月に行われたデジタル庁の検討会の資料には、2025年度までの標準化を事実上断念するような内容が書かれていました。

未来を見据えるのはいいが、今は見えていますか?

鎌倉市のデジタル戦略課は「子育て・介護26手続きのオンライン化」について、市民のオンライン申請への慣れや、国のシステム標準化などを待ち、機が熟してから実施する方針のようでした。   
しかし今回、国によるシステム標準化の目途は立たなくなりました。   
国の出方を待っているようでは、鎌倉市のデジタル化はなかなか進みません。   
自治体という機動力のある小さな組織であるからこそ、国ではできない新しい取り組みができるはずです。   
鎌倉市は往々にして、将来の状況を仮定し、対応を後回しにするように思えます。   
例えば、待機児童に関して、将来人口が減ることを想定し保育園の増設をしてこなかった結果、想定以上の人口流入と利用希望者割合の増加により、令和6年4月の待機児童数はここ数年1位であった座間市を抜き、ついに1位になってしまいました。   
将来を予想し計画を立てるのは良いことでもありますが、今必要としている人たちのことは見えているのでしょうか。   
また、自治体が先行し事例を作ることにより、国政に影響を与えるといった流れもここ最近多くなっています。  給食費の無償化や、高等教育費の無償化などがその例です。   
鎌倉市には、自ら先導を切って制度改革を行っていくという積極的な姿勢も期待したいところです。

ちなみに、今回私が指摘するまで、デジタル推進課はデジタル庁のホームページ上で鎌倉市の「子育て・介護26手続きのオンライン化」が「0%」と表記されていることを知らなかったそうです。   
対外的な印象の問題もあるため、デジタル推進課の方からは年度内のオンライン化を目指すという返答を頂きました。   
これからの対応に期待したいところです。

ということで、今回は鎌倉市のDX化について調べてみました。     
細川まなかへのご意見、ご質問は電話080-9770-1192又は公式LINEにていつでも承っています。     
市民の意見を集結し、一緒に鎌倉市の未来を作っていきましょう!

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著者

細川 まなか

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