2026/6/19
本日、新座市議会の令和8年第2回定例会が閉会しました。
今定例会では複数の議案が採決されましたが、その中に、
議案第53号として、「(仮称)三軒屋公園等複合施設整備運営事業」の設計・施工を一括で契約する議案がありました。
私は、この議案の採決時に「退席」の判断をしました。
議員は、議案に対して賛否を判断することが役割です。
だからこそ、退席の判断は軽く行うことではありません。
しかし、退席の判断をしたことについて、ご報告致します。
この事業については、私は過去2年間、担当する委員会の中で市に説明を求めてきました。事業の必要性、合理性や公共施設全体の再配置の計画との関係はどう整理されているのかなど、確認を重ねてきましたが、疑問が十分に解消されたとは言えません。
一方で、今回の議案は「契約案件」です。
事業全体への賛否ではなく、設計と工事をまとめて任せる契約を、議会として認めるかどうかを判断するものでした。
私は、契約内容そのものに問題があるかどうかだけでなく、この契約に進むための判断材料が充分に整っているのかを重く見ました。
現時点では、基本設計は未確定です。都市計画変更の手続きもこれからです。施設の設置条例は令和10年度に審議予定です。さらに、人件費・資材費の高騰により、事業費が増える可能性もあります。
本議案に関する質疑では、都市計画変更がうまく進まなかった場合、工事が中止・延期となった場合、原材料費や人件費が高騰した場合、国の交付金が見込みどおり確保できなかった場合などに、市に追加負担が生じる可能性があることが確認されました。
国の交付金が見込みどおり確保できなかった場合、差額を一般財源等で対応すること自体を問題にしているわけではありません。差額を市が負担することは、事業を進める上で当然起こり得ます。
問題は、契約前にその差額リスク、市負担増、財政影響、他の事業への影響が十分に示されておらず、議会が本来判断すべきことを判断できないという点です。
家を建てる契約にたとえるなら、間取りや土地の条件、補助金の額が固まりきっていないうえに、物価高騰などで追加費用が発生する可能性もある状態です。その場合に「いくらまでなら進めるのか」「増えた分をどこから出すのか」がはっきりしていません。
家計でいえば、予定外の支出が増え、教育費や生活費を見直さざるを得ないように、市の他の事業へ影響が出る可能性があります。それにもかかわらず、その影響を事前に整理して判断するのではなく、「問題が起きたらその時に考える」という進め方に見えました。
契約前であれば、市負担をしてでも進めるべきか、規模を見直すべきか、他の事業を圧迫しないかを判断できます。しかし契約後では、「既に契約した事業の不足分をどう埋めるか」という判断しか残らなくなります。
学校施設の長寿命化、防災やインフラ整備、他の公共施設の改修など、他にも優先度の高い事業は多くあります。その中で、この事業に追加の市負担をしてもなお、市民負担に見合うだけの便益があるのか。
現時点では、私はそこまで判断できませんでした。
大きな公共事業は、一度契約が進むと後戻りが難しくなります。
契約内容そのものに明らかな瑕疵が確認できないことは、契約案件としては賛成の理由になり得ます。一方で、今回私が重く見たのは、本契約に進む前提条件への疑問です。
契約の規模が大きいにもかかわらず、補助金減額、事業費増加、市負担増、他事業への影響といったリスクの見通しが十分に具体化されていない。その状態で、この契約に進むことは判断できませんでした。
そのため、契約そのものを明確に否定する「反対」ではなく、しかし賛成の意思も示せないという判断から、退席しました。
市の財源は、市民の皆さまの共同の財布です。
だからこそ、全体として公平で合理的な使い方になっているのか、将来の負担や他の事業への影響はどうかを確認する視点を持って取り組んで参ります。
#田口訓子
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