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「雨だれ」の旋律に乗せて ー 三好りょうとピアノの20年

2025/6/21

 ショパンの《雨だれの前奏曲(Op.28-15)》は、静かな雨音のように繰り返される左手の音型が印象的な、美しくもどこか孤独を感じさせる一曲です。柔らかな冒頭から嵐のような中間部、そして再び静けさへ戻る展開は、まるで人の人生そのもの。ショパンが病床にありながら自然の雨音からインスピレーションを受けて生まれたといわれるこの曲には、深い感情が宿っています。

 私がこの曲に出会ったのは、モスクワでの勤務時代。ロシアの雪景色と静寂のなかで、この《雨だれ》をよく弾いていました。ピアノの前に座り、窓の外の白い世界を見ながら鍵盤に触れる時間は、忙しい外交官生活の中で唯一、自分の心に戻れるひとときでした。

 ピアノとの出会いは3歳。6歳までは母のもとで習っていましたが、練習中に「孫の手」で手を叩かれるのが怖くて、6歳で辞めてしまいました。それからは、独学でたまに弾くだけの毎日。しかし、アメリカ留学中、同級生がショパンの《革命のエチュード》を目の前で弾いている姿を見て衝撃を受け、再びピアノに惹かれていきました。

 外務省に入省した2013年から、週1回のレッスンを再開。2014年からのモスクワ駐在中には、モスクワ音楽院ピアノ科に聴講生として通い、ミハイル・リツキー先生のレッスンを受けるようになります。

 先生からは、「君の演奏は猿以下だ。基礎からやり直せ」と言われ、バッハのインベンションから出直し。毎週日曜日、1年間怒鳴られながらの厳しいレッスンが続きました。ですが2年目も「君を見てやる」と言ってもらえたとき、本当に嬉しかったのを覚えています。

 モスクワではそのほかにも、子どもの音楽学校に通い週2回レッスンを受けたり、日本人の先生からも週1回教わったりと、ロシア語の勉強と並行して、全力でピアノにも向き合いました。

 のちにユジノサハリンスクでの勤務を経て、再びモスクワに戻った際、リツキー先生に連絡すると、こう言ってくれました。「君は私の生徒だ。元生徒からはお金は取らない」と。そしてまた無償でレッスンをしてくださったのです。

 《雨だれの前奏曲》をモスクワで何度も弾いたあの日々。怒鳴られながらも本気で向き合ってくれた先生の姿。私にとってこの曲は、単なる一つの作品ではなく、努力と再出発の象徴です。

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著者

三好 りょう

三好 りょう

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肩書 元外交官、参議院議員秘書
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