2024/8/2
通貨主権(自分で自由に通貨を発行できる)を持つ国は、自国通貨発行額は無制約であり、いくら借金しても財政破綻は起きない=デフォルト(債務不履行)からの自由!
この定義を忠実に実行すれば、お金=貨幣の価値は暴落、ハイパーインフレ(制御不能物価高)になり、社会は破綻、混乱するだけではないか?
このような疑問が出てきます。
これに対するMMT支持者の答えは、
「ハイパーインフレに対しては、政府支出の削減や増税で抑制できる!」
となります。
つまり、「税は物価調整の手段である」というMMTの論拠につながっていきます。
また、現実的なMMT支持者は、「さすがにハイパーインフレになるまでは、借金はしないよ」と言います。
これに対して、MMT批判者は、「財政の民主的統制の難しさを考慮していない」と反論する。
政府支出の削減や増税は現実の政治プロセスで行うのは容易ではない。例えば、1997年に消費税率は3%から5%に引き上がったが、2014年に消費税率が8%に引き上がるまで17年もの時間がかかったのが一つの証である。本丸の社会保障改革もなかなか進まない。日本をはじめ各国では財政赤字の問題に長年悩んできたが、社会保障費の削減や増税が政治的に容易に可能ならば、今ごろ日本では財政再建が終了しているはずである。政治家は票を求めて選挙で競争を行う。その際、有権者や利益団体の要求に応じて予算は膨張するメカニズムをもつ一方、政治家は有権者に税を課すことは喜ばない。むしろ、減税こそが歓迎される。つまり、財政民主主義の下では、財政は予算膨張と減税の政治圧力にさらされることになり、現在の政治家と有権者には財政赤字が膨れ上がるメカニズムを遮断するのは簡単なことではない。
小黒一正キャノングローバル研究所主任研究員【半歩先を読む経済教室】MMT(現代金融理論)が見落としているもの...財政の民主的統制の難しさ Business Journalに掲載(2019年6月4日付)https://cigs.canon/article/20190611_5835.html
確かに、小黒氏の反論は、「正論」のようにも思えます。
しかしながら、平時には増税が国民に歓迎されないのは当然だが、ハイパーインフレという特殊状況であるならば、どうでしょうか?
我々国民とって重要なのは、「手元の使えるお金を多くする」ことです。
通常、増税は、「手元の使えるお金少なくする」ことです。
だから、増税は歓迎されません。
しかしながら、手元にあるお金の価値を低下(手元の使えるお金を少なくする)させ続けるハイパーインフレを止めるためなら増税も歓迎するのではないでしょうか。
なぜなら、この場合の増税が、「手元の使えるお金を多くする」ことになるからです。
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