2024/9/17
足立区議会議員 加地まさなおです。
今日から数回シリーズで農業の問題点についてお話しさせていただきたいと思います。
農業の問題は本当に深刻かつ、多岐にわたっているのですが、「令和の米不足」に代表されるように私たちの暮らしに直結する問題です。
私たちがこの問題を身近に考え、1人1人がなぜこのような事態になるのか、原因と解決策を考えることこそが問題解決の近道になると思います。
今回は以下の問題について取り上げさせていただこうと思います。
1.種子法廃止のなぜと種苗法改定
2.農業競争力強化支援法とは
3.国防と食料争奪戦
4.表示無効化と食品の選び方
「令和のコメ不足」は足立区のスーパーでも実感することです。
ではなぜこのような事が起こるのか。
新聞やテレビニュースではその原因を「猛暑」と「外国人観光客の増加」だと言います。
確かにそういった一面は否定できません。去年も猛暑でしたし、コロナ禍が明けてインバウンドが戻ってきたことも一つの要因には違いありません。ですが、それはほんの表面的な一因に過ぎないと思います。
農林水産省は、9月になれば新米が出回る予定であり今のコメ不足は一時的なものだからと備蓄米の放出を拒否していますが、これでは本来の備蓄米の意味を成しません。
政府は備蓄制度の本旨に則り速やかに備蓄米を放出して、上昇しているコメ価格を鎮静させ、国民の不安を払拭すべきであると考えます。
また、新米についていえばJA農協は新米コシヒカリの半俵(30㌔)買取単価を4,000円~高くすると言っています。という事は、店頭価格に換算すれば通年の5~6割、あるいはもっと大幅に値上がりする可能性があるという事です。
そもそも近年の農林水産省の政策は”減反”一色のものでした。
減反というのは、コメの生産を減らして、市場価格を上げるという目的の政策と説明されていました。コメ生産の維持のために高米価が必要であり、コメ農家が麦や大豆など他の作物に転作すれば、国が補助金を出す仕組みです。日本はこれを50年以上も続けているのですが、この政策により恩恵を受けたのは果たして農家だったのでしょうか。
今や農家は米を作るうえで必要な肥料、農薬、飼料の価格は2倍になり、配合飼料になると3倍の値段に苦しめられ、年間所得が1万円(時給換算で10円)という困窮をみせています。
減反政策は愚の骨頂であると考えます。生産を減らすための補助金に年間3000億円超も支出し、わざわざ米価を高くして、消費者の負担を増やしているのです。例えば医療分野なら、国民の医療費負担を軽くするために財政から支出しますが、減反はその逆。税金を使って消費者と米農家を苦しめているのです。
食に限った事ではありませんが、私たちの民意が政策に反映されることが年々減少していっています。民意の逆を行く政策が強引に推し進められ、どこか特定の懐だけが温かくなる。
このような循環を断ち切るためにも、身近なところからの一歩が必要なのです。
昨今の有機・自然農法ブームに乗って、耕作放棄水田のレンタル水田の需要も少しずつ伸びているように感じます。週末農業として都市近郊の水田を個人で借りてお米を作っている方の話しもよく耳にするようになりました。一人一人の意識と一歩が行き詰った世の中を変える力になると感じます。
世界一おいしいお米。おにぎりブームも相まって美味しい日本米は輸出需要も増えているのです。今こそ減反政策は辞め、農家支援、個人水田増産に転じるべきであると考えます。
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