2026/6/16
日本維新の会、北区議会議員のさいとう尚哉です。
先日、豊島区議会議員の林二葉さんの御厚意により、豊島区の不登校対策について視察する機会をいただきました。東洋経済オンラインの記事にも記載があるとおり、豊島区では各種施策を展開してきた結果、不登校児童・生徒の出現率が減少傾向に転じています。北区でも不登校児童・生徒数が増加傾向にあるなか、豊島区の先行事例で参考になることがあればとおもい、豊島区不登校スーパーバイザーおよび豊島区教育センターの皆様に御時間をいただきました。
いくつか参考になることを御教授いただいたので、皆様にも是非情報共有できればとおもいます。また、維新・無所属議員団としても北区の各種取組を後押ししていければとおもうので御注目いただければ幸いです。
尚、私のメモをもとに執筆した記事なので豊島区の公式見解ではないことは御留意ください。
まず、「現行の不登校対策はプロセスの設計ができていない」という御言葉が大変印象的でした。豊島区は不登校対策を「心のエネルギーの回復→学びの再開→学力の向上→主体的な進路選択」という一連のプロセスとして認識し、各段階に応じて必要な施策を設計しています。不登校児童・生徒の心のエネルギーがどの段階にあるのかを判断し、各段階にふさわしい支援を提供するという姿勢が豊島区の不登校対策では顕著でした。
北区も不登校児童・生徒の心のエネルギーに対応して多種多様な事業を展開いただいていますが、私達はこれを大変評価しています。一方、各種事業を実際視察してみて痛感したのは、「居場所」と「学びの場」の両者を提供することの重要性です。北区が実施している各種事業は「居場所」としての機能は素晴らしいものがある一方、「学びの場」としてはまだまだ改善できることがあるとかんがえています。特に高校進学前の不登校生徒のなかには学力について不安になる場合もあるとのことで、学習したいという不登校児童・生徒のニーズに対応していくことも大変重要だと認識しています。
この点、豊島区は心のエネルギーを回復させるために柚子の木教室(適応指導教室)を整備する一方、学びたいという不登校児童・生徒のためにはスリジエ(チャレンジクラス)を整備しています。スリジエについては定員数が限られているため、2週間の利用判定期間中の出席率等を考慮したうえで通級の必要性を判断しているとのことでした。一見厳格なようにもおもいますが、スリジエはあくまでも「学びの場」であるという不登校対策のプロセスにもとづいた制度運用だと理解しています。
また、豊島区はすべての区立中学校にスクール・ソーシャル・ワーカーを配置しています。配置されているスクール・ソーシャル・ワーカーは職員室に常駐し、家庭訪問等も実施するとのことです。また、教員に適宜確認しなくても出欠簿のシステムを参照できるようにしたことで、教員の手間になることなくスクール・ソーシャル・ワーカーが不登校予兆を把握しやすい環境整備も推進してきたことは特筆すべきです。スクール・ソーシャル・ワーカーの人材獲得競争が激化するなか、豊島区としてナレッジを蓄積するためにも区費のスクール・ソーシャル・ワーカーを1名雇用したということも大変印象的でした。
スクール・ソーシャル・ワーカーの全校配置は学校現場からの要望にもとづいたものではなく、区側の「不登校を早期から支援したい」という考えにもとづいたものだということです。「最初の1年は教員から信頼されることが仕事」という意識で、スクール・ソーシャル・ワーカーが学校現場で認められるために鋭意努力をしてきたということも御教授いただきました。
尚、北区にもスクール・ソーシャル・ワーカーはいるのですが、全校配置はされていません。一方、こちらについては北区としてのアプローチやビジョンがあることも事実なので、引続き所管部課とも意見交換していきたいとかんがえています。
また、豊島区は区立中学校の校内別室指導を校内教育支援センターに転換してきました。豊島区の「不登校対応を学校現場だけの責任にしない」という理念にもとづいて設置されたもので、欠席しがちな不登校予備軍の児童・生徒に継続的かつ専門的な支援を提供しています。不登校は突然開始するものではなく、遅刻や欠席等のさまざまなサインをともなうことがあります。そうした段階で、通常学級の教室以外にも安心して通級できる場所があることは大変意義があるとかんがえています。尚、令和8年度からはすべての区立小学校にも校内教育支援センターが設置されるとのことです。
また、豊島区の校内教育支援センターで特徴的なことのひとつに通常学級の教室との動線を共有していることがあげられます。一般的に校内別室指導や校内教育支援センターは通常学級の教室と動線が重複しないように設置されていますが、豊島区の場合はあえて動線を一定程度共有することで、校内教育支援センターが学校生活とのつながりを維持しながら利用できる設計にしているとのことです。こうしたな、校内教育支援センターの設置後は柚子の木教室(適応指導教室)を利用する不登校児童・生徒が減少したとのことです。学校内に安心できる居場所ができたことが数値に反映されていることに大変感銘を受けました。
これらの結果、校内教育支援センターを利用していない区立中学校の不登校生徒の平均欠席日数が125.5日である一方、校内教育支援センターを利用している区立中学校の不登校生徒の平均欠席日数は84.6日になりました。依然として平均欠席日数は長期間であることは事実ですが、改善傾向にあることは評価すべきです。
北区は校内別室指導をすべての区立中学校および一部の区立小学校に配置していますが、豊島区のモデルと比較してどのような優劣があるのか鋭意調査をしていきたいとおもいます。
チャレンジクラスの整備、スクールソーシャルワーカーの全校配置、校内教育支援センターの設置等を推進することも大変重要ですが、同時に重要なのが学校現場の「ねばならない」を変えていくことだと御教授いただきました。
児童・生徒が学校にいることに違和感があれば、それが不登校になるきっかけとなります。児童・生徒が納得できない校則、意義のわからない取組、「児童・生徒は〇〇すべき」という固定観念。こうしたものを学校現場が積極的に見直していくことが大変重要だという御指摘は、北区としても大変参考となります。
豊島区の不登校対応の各種取組について、北区としても大変参考になることがたくさんありました。北区としても不登校対応は区政の最重要課題のひとつとして認識しており、区長・教育長のリーダーシップのもと各種取組を拡充させてきました。北区議会としても豊島区の先行事例等を念頭に、北区の不登校対応を一層加速させていくよう提言していきます。
引続き御注目いただければ幸いです。
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