奈良県議会議員・永田ゆづる（３６歳）｜奈良市・山添村選出｜です。

奈良公園に新たな魅力拠点「NARAMILE」誕生 〜観光の課題とこれから〜

奈良県は10月1日、奈良公園バスターミナルの2階に、立ち飲み形式で奈良の地酒や特産品を楽しめる飲食店「NARAMILE（ならまいる）」をオープンしました。名称には「奈良に参る」という意味も込められ、観光客に奈良の魅力を“味覚”から体感してもらおうという新しい試みです。

この店舗では、10種類以上の奈良の地酒を飲み比べできるほか、奈良漬とクリームチーズを組み合わせた一品や、酒かすを使ったケーキといった工夫を凝らしたメニューも提供されます。さらに、柿の葉寿司や地酒の販売も行い、観光客がその場で楽しむだけでなく、お土産として持ち帰れる仕組みも整えられています。営業時間は午前11時から午後8時まで。まさに観光客が帰途につく前に「もうひと味」楽しんでもらう拠点となっています。

奈良の観光の大きな課題 ―「日帰り」の壁

奈良は古都として全国的に名を知られていますが、他県と比べて宿泊観光が少なく、日帰り客が多いという特徴があります。世界遺産や歴史的文化財の豊かさは折り紙つきですが、観光消費額は京都や大阪に比べて依然として低い水準にとどまっています。

その背景には、交通アクセスの良さゆえに「行って帰れる」ことが逆に宿泊を妨げている面があります。また、夜に楽しめる食や文化の体験が不足しており、「夕方には帰路に」という流れが定着してしまっているのです。

今回の「NARAMILE」の設置は、そうした課題を解消するための小さな一歩といえます。歴史や自然に加え、「食と酒」という新しい魅力の軸を観光に組み込むことで、奈良に長く滞在してもらう動機を増やす狙いがあります。

万博後の消費減少を見据えて

加えて、2025年の大阪・関西万博が間もなく終了することで、関西全体の観光需要や消費が一時的に落ち込むことが懸念されています。万博という大規模イベントは広域的に人の流れを呼び込みましたが、その効果が終われば「通常モード」に戻り、観光地ごとに本来の力が試されます。

奈良としては、万博の賑わいに頼るだけでなく、独自の魅力づけで観光客を呼び込み、滞在時間を延ばしてもらう戦略が急務です。県として「食・地酒・文化体験」を一体で打ち出すことが、今後の安定した観光消費を生む柱になると考えます。

今後に期待すること

奈良の観光資源は、東大寺や春日大社、興福寺といった歴史文化財にとどまりません。豊かな食文化や酒蔵、また夜のライトアップや芸能公演などと組み合わせれば、観光の幅を広げることが可能です。たとえば、奈良公園での夜の散策に「NARAMILE」での立ち寄りを組み合わせることで、自然と「夜まで奈良に滞在する」流れができるでしょう。

観光は“点”ではなく“線”と“面”でつなげてこそ力を発揮します。今回の試みがそのきっかけとなり、奈良全体の観光消費を押し上げる循環が生まれることを期待しています。

経済労働委員会に所属する県議として、今後もこのような取り組みを注視し、議会の場でさらに実効性ある政策を求めてまいります。奈良が「日帰り観光」から「滞在型観光」へと進化するために、食と文化、そして人の交流を結びつける施策を重ねていくことが、地域経済を支える鍵になると確信しています。

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